リボン図(リボンモデル)とは、ビジネスモデルのひとつである、マッチングモデル(プラットフォームビジネス)での課題設定や戦略立案で使います。
カスタマーとクライアントをマッチングさせる全体像が、1枚の絵で表現できるためです。
マッチング数を増やすために、カスタマーサイド、クライアントサイドどちらをどのように伸ばせばいいか?を全体を俯瞰しながら考えることができるとても優れたツールです。
この記事では、リボン図を使って事業運営した経験を元に、リボン図とはそもそも何か?どのように使うのか?をわかりやすく解説します。
この記事は、
・リボン図を事業運営で活用した経験
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つよしつが実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい、知っておきたいビジネスフレームワーク・法則)
リボン図(リボンモデル)とは?
・マッチングモデル(プラットフォームビジネス)の事業を1枚の絵で表現
・左右のバランスを考えながらリボンを大きくする=事業拡大になることを表現
この2つがリボン図のポイントです。
具体的には上記の図がリボン図です。リボンの形に見えることからこの名称となりました。
カスタマーとクライアントをそれぞれ集めてきて、マッチングさせるビジネスを一枚の絵で表現しています。
左サイドはカスタマー(消費者)サイドです。人が集まり一部の人が商品を買ってくれます。
右サイドはクライアント(販売したい人)サイドです。店舗等が参画し商品を提供し一部が売れます。
このように沢山の人や商品が、真ん中にいくに従い数が減っていき、最終的にマッチングされることを表現しています。
リボン図(リボンモデル)の「詳細解説」
マッチングモデル(プラットフォームビジネス)とは?
ひとつの場にカスタマーとクライアントを集めてマッチングさせる
そもそもリボン図が表すマッチングモデルとは何か?から解説します。
マッチングモデルとは、一つの場にカスタマー(消費者)とクライアント(企業)を集め、クライアントの商品をカスタマーが購入する機会を作るモデルです。
収益方法は、クライアントの販売収益の一定利率、もしくは、クライアントからの広告費です。
マッチングモデルはプラットフォームビジネスとも言われています。
有名なものは、楽天・アマゾン・ZOZO・じゃらんネット・転職サイトなどです。
楽天市場で具体的に説明します。
右側のクライアントサイドは、何かを販売したい店舗に参画してもらい、売りたい商品を楽天に掲載します。
左側のカスタマーサイドは、何かを買いたい消費者が集まり、買いたい商品を検索します。
これにより、売りたい人と買いたい人が出会い商品が売れるのです。まさに出会う=マッチングするので、マッチングモデルと言います。
そしてその場全体のことをプラットフォームと言いますので、プラットフォームビジネスとも言います。
(ビジネスモデル全体は「売上獲得のモデル(ビジネスモデル)は3つ」をわかりやすく解説を参照)
マッチングモデル(プラットフォームビジネス)の事業拡大
リボンが大きくなると事業拡大
上記の図のように、右側も左側も数が多くなることで、マッチチング数が増えて、事業拡大となります。
例えば上記の図のように、カスタマーは沢山集めることができました。ただ、クライアントサイドの商品はあまり集めることができませんでした。
そうするとクライアントサイドの商品数以上はマッチングしないため、無駄にカスタマーサイドの人を集めてきたことになります。
それだけではなく、せっかくこの場に来てくれた人が、求める商品がない場だと思うことで二度と訪問してくれなくなります。
逆に上記の図のように、クライアントサイドの商品は沢山集めることができました。でも、カスタマーサイドの買いに来る人は、あまり集めることができませんでした。
そうするとカスタマーサイドの買いに来た人以上はマッチングしないため、無駄に商品を集めてきたことになります。
それだけでなく、せっかく商品を出したのに売れないとなると、この場に商品を掲載することを減らしたり掲載をやめてしまいます。
したがって、両サイドのバランスを考えながら、このリボン自体を大きくすることが大事になりますし、それができれば事業拡大できたことになります。
このバランスを取りながら事業を大きくするために、全体を俯瞰しながら現状を踏まえて、事業展開案を考える際に役立つのかリボン図なのです。
マッチングモデルの3つの収益方法
1.成約させて収益化
2.出会える可能性で収益化
3.その他の収益化
マッチングモデルの主たる収益方法は1と2でした。ただ、最近はその他の方法を増えています。それぞれを紹介します。
成約させて収益化
販売手数料をもらう
楽天さんはカスタマーに商品を買ってもらって初めて、クライアントから販売価格の一部を手数料としてもらいます。アマゾンさんも基本は同じです(仕入れ販売は除く)。ZOZOさんも同じです。
リボン図の言葉を作ったと言われているリクルートさんでは、じゃらんネットがこのパターンです。消費者が宿を予約して実際に宿泊したら、宿はじゃらんに販売手数料を支払います。
出会える可能性で収益化
広告掲載してもらう
成約して手数料としてもらう上記パターンとは違い、掲載費(広告)をもらうことで収益化しています。
例えば転職サイト(リクナビ、マイナビ、エン・ジャパン等)は、採用したい企業が広告費を払って募集内容を各サイトに掲載しています。
採用したい企業は、それぞれのサイトに沢山の転職を考える人が来ると思うから、その人たちとの接点を持てることを期待して広告掲載します。ただ、転職サイトは広告モデルしかないから選ばざるを得ないとも言えます。
マッチングモデルの多くは「制約させて収益化」するパターンがほとんどですが、転職サイトは、過去のリクルートさんがおこなっていた紙媒体による広告モデルの流れを各社が引き継いでいるからです。
広告掲載の収益が莫大だったので、広告モデルから脱却できなかったともいます。
その他で収益化
マッチングモデルで成功している各社がさらに収益を伸ばすために、上記1と2以外の方法が取られるようになりました。
クライアントへの更なる課金方法として、掲載代を月額で徴収したり、検索結果の最初に掲載できるように広告枠を設けるなどです。
クライアントはたくさん販売してくれているので掲載をやめることができず、マッチングモデルを運営している会社に支払う金額がどんどん増えています。
もうひとつは、アマゾンプライムのようにカスタマーへの課金です。様々な特典をつけることで、プライム会員になってもらい、月額料金を徴収しています。
リボン図(マッチングモデル)の「使い方」
「各項目の実数」と「遷移する際の率」を元に戦略を考える
成約モデルの例で進めていきます。
まずは、上記のように事実を数字でつかみましょう。これらを俯瞰して、まず何を増やしたいのかを決めます。
成約モデルは販売価格に対する手数料なので販売価格を上げたい。
販売価格=購入者数×単価と分解できます。
購入者数を増やすのか?、単価=1回あたりの購入数を増やすのか?、1回あたりの販売単価を上げるのか?の選択となります。
購入者数を増やすとすると、この場への訪問数を上げるのか?購入者率を上げるのか?となります。
リボン図を見ながらひとりで考えるのもいいですが、複数の人とリボン図を見ながら一緒に考えると、議論が散漫にならずに課題特定がしやすくなり、良質な戦略立案ができるようになります。
議論をしているとどうしても打ち手の議論になり、そもそもの課題設定が抜け落ちます。このような問題を避けることができるメリットがリボン図にはあるのです。
リボン図(マッチングモデル)の「まとめ」
・マッチングモデル(プラットフォームビジネス)の事業を1枚の絵で表現
・左右のバランスを考えながらリボンを大きくする=事業拡大になることを表現
この2つを知っておきましょう。
そして、具体的な数値を元に、課題設定の議論と共有ができれば、精度の高い打ち手を立てる確率が上がります。
他にも沢山のフレームワーク・法則の記事を書いています。参照下さい。
「開発→生産→販売」、「分解して考える」、「ロジックツリー」、「プロダクトライフサイクル」、「キャズム理論」、「SWOT分析」、「ファイブフォース」、「AISAS」、「AIDMA」、「ABC分析」、「4P」、「アンゾフの成長マトリクス」、「アップセル・クロスセル」、「ポーターの3つの基本戦略」、「PPM」、「ランチェスターの法則」、「コトラーの競争地位戦略」、「イノベーター理論」、「ロングテール」、「感度分析」、「262の法則」、「28の法則」、「メラビアンの法則」、「マズローの5段階欲求」、「ジョハリの窓」
ビジネスの知識を増やすには、本を読むことがおススメです。
本を読む習慣がない方は、プロのナレーターが朗読した本をアプリ等で聴けるサービスがおススメです。詳しくは以下の記事を参考にして下さい。
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