成長戦略「アンゾフの成長マトリクス」の意味と使い方をわかりやすく解説

3.フレームワーク・法則
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会社に勤めている以上、必ず求められることが売上拡大です。

売上拡大には様々な方法がありますが、大きく分けると4つしかありません。

この4つを定義したのが、アンゾフさんが提唱した成長マトリクスです。

会社全体、事業部、営業個人それぞれの単位でも当てはまることができる、とても便利はフレームワークです。

この記事では、このアンゾフの成長マトリクスの意味と使い方についてわかりやすく解説します。

このフレームワークを知っておくと、売上拡大を考える際に、どんな考え方をすればいいのかがシンプルにわかります。

この記事は、
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験

これらの経験を持つよしつが実体験から得たことを元に書いています。

(あわせて読みたい、ビジネスフレームワーク・法則27選を用途別に分けて紹介

アンゾフの成長マトリクスとは?

売上拡大の全方法を4つに区分けしたもの

なんと売上拡大の方法が、たった4つに集約されるのです。

アンゾフの成長マトリクスは会社のどの活動で使えるか?

会社の活動を表す一枚の図

上図は、会社の活動を1枚の図にしたものです。アンゾフの成長マトリクスは、戦略・戦術立案で使えるフレームワークです。

(上図の詳しい説明は、「1枚の図」と「一言で要約+詳細解説」でビジネス基礎知識をわかりやすく解説を参照)

アンゾフの成長マトリクスをシンプルに表現すると?

同じ顧客に「重ね売り」、「同じ商品で新規開拓」、「同じ顧客に別商品を売る」、「別エリアや海外進出」、「ド新規事業の立ち上げ」の5つです。

基本の分け方は4つですが、実務を考える際にわかりやすいように一つ増やして5つとしました。上記の既存商品で既存市場という部分が少し混乱しやすいためです。

売上拡大は、この5つのいずれかをおこなうことで実現されます。

アンゾフの成長マトリクスの「詳細解説」

アンゾフの成長マトリクスの一般的なテンプレート

まずは、アンゾフの成長マトリクスを解説をしていきます。

一般的なテンプレートは、上図の通り、「市場・商品」と「既存・新規」を組み合わせて4つのセグメントに分けたものです。

既存商品×既存市場(市場浸透)

既存商品を既存顧客に販売する方法です。

既存商品を、現在対象にしている市場に販売します。既存顧客に重ね売りする方法と、同じ市場にある取引のない顧客に既存商品を販売する2つの方法があります。

このセグメント内である程度売上が上がるのであれば幸いです。行動を変えずに、慣れたことをやり続けることで売上拡大ができるからです。

ただ、既存市場の中に、新規取引の可能性を残す顧客が少なくなってくると、同じ人に「重ね売り」するしかなくなるセグメントです。

そして残念ながら、必ず同じ市場で同じ商品で商売をしていると必ず限界が来ます。なぜなら、市場は導入期があり、成長期があり、成熟期があり、衰退期をたどるサイクルとなるからです。

(導入・成長・成熟・衰退期の詳細はプロダクトライフサイクル(PLC)をわかりやすく解説&使い方紹介参照)

ある程度成熟感が見えてくれば、他の3つのセグメントで売り上げ拡大しないと、会社全体の成長が止まってしまいます。

停滞企業によくあるパターンですが、現在の取引額上位の顧客に戦力を集中させてしまうパターンです。

新しいことができず既存にこだわり、その顧客の行く末もしくは、顧客が他社に取られることで売上も下がり、事業閉鎖や倒産となるパターンです。

成熟するタイミングをしっかり見据えて、他のセグメントを攻める準備をしているかどうかが、会社の将来を決める大きなポイントとなります。

既存商品×新規市場(新市場開拓)

既存商品を新規顧客に販売する方法です。

具体的には、今の市場(商圏)ではないエリアや国を攻めるパターンです。

現在、東京の顧客に販売してるのであれば、例えば大阪や名古屋に進出する。もっと飛び超えて海外を狙うことも選択肢に入ります。

これは選びやすい方法です。なぜなら、すでに売れている商品を、売り慣れている方法で展開できるからです。当然、どんな顧客に喜ばれるかもわかっているからです。

新しい顧客とどのように接点をどのように持つのか?がポイントとなりますが、売り方が慣れている分自信をもって攻めやすいセグメントです。

新規商品×既存市場(新商品開拓)

新規商品を既存市場に販売する方法です。

新しい商品を開発して、取引のある顧客に重ね売りするセグメントです。

現在、接点を持っている顧客に販売するパターンなので、商談ができる環境がすでにあります。

新規商品の販売は、通常商談まで行くのが大変ですが、この大変さを飛び越えることができることがメリットです。

このセグメントの攻めのポイントは、どんな新商品を開発するか?です。既存商品を使ってくれている顧客がどこまで新しい商品を受け入れてくれるかとなります。

通常は、既存商品の周辺で商品開発される場合が多くあります。

新規商品×新規市場(多角化)

新規商品を新規市場で販売する方法です。

ド新規事業の立ち上げとなります。ゼロベースで新規商品の開発の案出しをすると、このセグメントの話になりやすいです。

ただ、これが一番難しい。なぜなら、今の顧客ルートも使えず、今の商品も使えないからです。すべてを1から立ち上げる必要があります。

このセグメントは、ついつい隣の芝は青いぞ症候群で、この「ド新規事業」を立ち上げようとする会社が多く、一番失敗の確率が高いセグメントでもあります。

既存事業がどうしょうもなくなってから、慌てて何かしないといけなくなってから進出してしまうパターンも多く、成功率がさらに低くなります。

アンゾフの成長マトリクスの「使い方」

売上拡大をどの方向で考えるかを検討する際に使います

どのセグメントに行くのかを仮置きすると、そのためには、何が必要なのか?現在の強みを生かせるのか?新しい強みは何か必要なのか?が具体的に検討できます。

方向性は5つしかないので、検討が早くなりますし、議論が整理できる大きなメリットがあります。

検討の手順は、まずは、現在の顧客へ別商品の販売もしくは、既存商品を別エリア等の市場に販売する方向で考えます。

今の事業の顧客や商品を使って、新しい事業展開ができる(事業シナジーがあるといいます)マーケットを攻めることが成功率を上げるからです。顧客か商品どちらにするかは状況に応じた判断となります。

それが成功したら、また、同じように事業シナジーがあるマーケットを攻める。その結果、大きな事業展開ができるようになります。

新規商品を新規市場で販売するのは、本当に最終手段となります。

アンゾフの成長マトリクスの「まとめ」

  • 売上を上げる方向性には、「重ね売り」「同じ商品新規顧客」「別商品」「別エリア」「ド新規事業」の5つがある
  • 新しい事業を作るには、「別商品」が「別エリア」を攻めるのか定石
  • 「ド新規事業」は成功率が非常に低い

皆さんの会社は、事業をどのカテゴリーで行っていますか?ド新規マーケットや既存×既存マーケットしか事業展開していなければリスクが大きい状態だとわかることができます。

売上拡大の方向性だけでなく、会社の将来性を見るフレームワークとしても、活用できます。

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