成長戦略のフレームワーク「アンゾフの成長マトリクス」を解説

4.フレームワーク・法則
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会社に勤めている以上、必ず求められることが売上拡大です。

売上拡大には様々な方法がありますが、大きく分けると4つしかありません。

この4つを定義したのが、アンゾフさんが提唱した成長マトリクスです。

会社全体、事業部、営業個人それぞれの単位でも当てはまることができる、とても便利はフレームワークです。

この記事では、このアンゾフの成長マトリクスの意味と使い方についてわかりやすく解説します。

このフレームワークを知っておくと、売上拡大(特に新規事業)を考える際に、どんな考え方をすればいいのかがわかりますよ。

この記事は、

・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験

これらの経験を持つよしつが実体験から得たことを元に書いています。

(あわせて読みたい、ビジネスフレームワーク・法則を用途別に分けて紹介

アンゾフの成長マトリクスとは?

売上拡大の方法を4つに区分けしたもの

なんと売上拡大の方法が、たった4つに集約されるのです。

アンゾフの成長マトリクスはどんな時に使える?

戦略・戦術策定で使えるフレームワーク

戦略・戦術を考える際の方向性を提示してくれているため、考えるポイントがわかりやすくなるフレームワークです。詳細は後述します。

アンゾフの成長マトリクスの「詳細解説」

アンゾフの成長マトリクスの一般的なフレームワーク

既存市場・新規市場×既存商品・新規商品の4つのセグメントに分けたもの

上図の通り、既存商品×既存市場・既存商品×新規市場・新規商品×既存市場・新規商品×新規市場の4つのセグメントに分けたものです。

このように分けることで戦略立案の方向性がわかりやすくなります。

それぞれのセグメントを紹介します。

既存商品×既存市場(市場浸透)

既存商品を既存顧客・既存市場に販売する方法

既存商品を、現在対象にしている市場に販売します。既存顧客に重ね売りする方法と、同じ市場にある取引のない顧客に既存商品を販売する2つの方法があります。

このセグメントで売上が上がるのであれば幸いです。行動を変えずに、慣れたことをやり続けることで売上拡大ができるからです。

ただ、同じ市場で同じ商品で商売をしていると必ず限界が来ます。なぜなら、事業を継続していると、新しい顧客がいなくなったり、商品が陳腐化してしますからです。

この流れをフレームワーク化したものが、プロダクトライフサイクル(PLC)です。市場は導入期→成長期→成熟期→衰退期をたどるサイクルとなることを1枚の図で表わしています。

詳細は、プロダクトライフサイクル(PLC)をわかりやすく解説&使い方紹介参照下さい。

今の市場が成熟しはじめたら、他の3つのセグメントで売上拡大しないと、会社全体の成長が止まってしまいます。

停滞企業が陥っているほとんどのパターンが、このパターンとなります。

成熟するタイミングをしっかり見据えて、他のセグメントを攻める準備をしているかどうかが、会社の将来を決める大きなポイントです。

既存商品×新規市場(新市場開拓)

既存商品を新規顧客に販売する方法

具体的には、今の市場(商圏)ではないエリアや国を攻めるパターンです。

現在、東京の顧客に販売してるのであれば、例えば大阪や名古屋に進出する。もっと飛び超えて海外を狙うことも選択肢に入ります。

これも選びやすい方法です。なぜなら、すでに売れている商品を、売り慣れている方法で展開できるからです。当然、どんな顧客に喜ばれるかもわかっているからです。

新しい顧客とどのように接点をどのように持つのか?がポイントとなりますが、売り方が慣れている分自信をもって攻めやすいセグメントです。

新規商品×既存市場(新商品開拓)

新規商品を既存市場に販売する方法

新しい商品を開発して、取引のある顧客に重ね売りするセグメントです。

現在、接点を持っている顧客に販売するパターンなので、商談ができる環境がすでにあります。

新規商品の販売は、通常商談まで行くのが大変ですが、この大変さを飛び越えることができることがメリットです。

このセグメントの攻めのポイントは、どんな新商品を開発するか?です。既存商品を使ってくれている顧客がどこまで新しい商品を受け入れてくれるかとなります。

通常は、既存商品の周辺で商品開発される場合が多いです。

新規商品×新規市場(多角化)

新規商品を新規市場で販売する方法

ド新規事業の立ち上げとなります。ゼロベースで新規商品の開発の案出しをすると、このセグメントの話になりやすいです。

ただ、これが一番難しい。なぜなら、今の顧客ルートも使えず、今の商品も使えないからです。すべてを1から立ち上げる必要があります。

このセグメントは、ついつい隣の芝は青い症候群で、この「ド新規事業」を立ち上げようとする会社が多く、一番失敗の確率が高いセグメントでもあります。

既存事業がどうしょうもなくなってから、慌てて何かしないといけなくなってから進出してしまうパターンも多く、成功率がさらに低くなります。

アンゾフの成長マトリクスを分かりやすく加工

・既存×既存を2つに分けるとより使いやすくなる
・各セグメントを具体的な打ち手に置き換える

アンゾフさんには失礼ですが、上記2つで加工するとより理解が進みます。

それぞれを説明します。

既存×既存を2つに分けるとより使いやすくなる

市場を既存と新規に明確に分けるのが難しいので既存を2つに分けてしまう

既存商品を既存市場と新規市場に販売する際に、明らかな既存市場(=既存顧客)、明らかな新規市場(=全く手を出していない市場)に分けることができるとシンプルです。

ただ、既存市場で取引できていない新規顧客をどう扱うか?が不明確になります。

したがって、思い切って既存商品×既存市場を2つに割ると明確になり使いやすくなります。

既存商品×既存市場(既存顧客)と既存商品×既存市場(新規顧客)に分けて考えましょう。

各セグメントを具体的な打ち手に置き換える

①既存商品×既存市場(既存)=同じ人へ重ね売り
②既存商品×既存市場(新規)=同じ商品で新規開拓
③既存商品×新規市場=別エリアや海外進出
④新規商品×既存市場=別商品を創って売る
⑤新規商品×新規市場=ド新規事業立ち上げ

このように命名することで、より具体的な戦略イメージが沸きます。このように覚えておくのがおススメです。

アンゾフの成長マトリクスの「使い方」

①→②→③→④→⑤の順番で考える

売上拡大はとても大変です。特にド新規事業の成功確率はとても低くなります。

難易度は上記の番号通りとなりますので、①から検討し、ダメであれば②、それもダメであれば③という順番で考えましょう。

①②③は、今ある商品をどう拡販するかというテーマなので、販売戦略を考えるだけです。

④は、接点を持っているとはいえ、既存顧客の新しいニーズをつかみ、ニーズを解決するための商品を開発する必要がありハードルが高くなります。

⑤は、既存商品も既存顧客も使えないので、まったく新しい試みとなり今の強みを何も使えません。

難易度が全く違うので、やさしいセグメントから考えるのがおススメです。

アンゾフの成長マトリクスの「まとめ」

①既存商品×既存市場(既存)=同じ人重ね売り
②既存商品×既存市場(新規)=同じ商品で新規開拓
③既存商品×新規市場=別エリアや海外進出
④新規商品×既存市場=別商品を売る
⑤新規商品×新規市場=ド新規事業立ち上げ

上記5つのセグメントを覚えておきましょう。

①→②→③→④→⑤の順番で考える

検討の順番は上記の順番で考えましょう。

新規事業を考える機会があった時には上記を参考にしてください。よくあるのですが、いきなり⑤新規商品×新規市場を考えることが多くあります。

とても成功確率が低いので、上記順番を守りましょうね。

他にも沢山のフレームワーク・法則の記事を書いています。参照下さい。

「開発→生産→販売」「分解して考える」「ロジックツリー」「プロダクトライフサイクル」「キャズム理論」「SWOT分析」「ファイブフォース」「リボン図」「AISAS」「AIDMA」「ABC分析」「4P」「アップセル・クロスセル」「ポーターの3つの基本戦略」「PPM」「ランチェスターの法則」「コトラーの競争地位戦略」「イノベーター理論」「ロングテール」「感度分析」「262の法則」「28の法則」「メラビアンの法則」「マズローの5段階欲求」「ジョハリの窓」

ビジネスの知識を増やすには、本を読むことがおススメです。

本を読む習慣がない方は、プロのナレーターが朗読した本をアプリ等で聴けるサービスがおススメです。詳しくは以下の記事を参考にして下さい。

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