ZOZOTOWN(ゾゾタウン)で有名な株式会社ZOZOさんが一気に成長してます。
ZOZOTOWNを立ち上げたのが2004年12月なので、たった20年で商品取扱高5,744億円の企業になりました。
今では、ZOZOTOWNのことを知らない人はほとんどいない状態です。
成長できているポイントは、高い利益率で稼くビジネスモデルを構築し、稼いだお金をたくさん投資することでさらに売上が上がるというサイクルになっているからです。
この記事では、ZOZOさんがどのような工夫をして、成長しているのかを最新決算含めてわかりやすく解説します。
この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つよしつが実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい 【成長企業の成長の理由】有名18社の直近決算と成長のポイントを解説)
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ZOZOが成長した理由
・高い販売手数料を取る仕組み
・売上総利益率(=粗利率)が90%以上
・儲かった分を販促に大きく投資
上記3つが大きく成長できた理由です。
まずは、決算で発表されている財務三表を元にどんな会社かを解説した後に、上記をそれぞれを解説します。
ZOZOは財務三表から見るとどんな会社?
ZOZOさんとは、ご存じの通り、メイン事業であるZOZOTOWNの運営で売上の70%以上を稼いでいる会社です。
発表されている財務三表でどのような会社かを見ていきます。
会社とは「現金を使って現金を増やす行動」をおこなっており、その行動は以下の流れです。
・お金を集めて投資する(貸借対照表B/S)
・投資したのものを使って売り上げ、費用を引けば利益(損益計算書P/L)
・上記の結果、現金が増えたのかどうかを把握する(キャッシュフロー計算書C/F)
(詳細は、本質を一言で表現!「会社とは何?」をわかりやすく解説を参照)
上記の流れに現在の業績を加えて、順番に見ていきます。
ZOZOさんの2024年3月期の公表されている決算短信を元に説明していきます。

上記の場所から、2024年3月期決算短信をご覧ください。
注意点ですが、数字の単位が万円や億円ではなく、百万円表記となっています。
財務諸表等では、カンマごとで切られて表示されています。例えば、10,000,000円の場合、10百万円や10,000千円と表示されます。
表の右上等に表記されている単位が記されていますので、見る癖をつけることとこの表記に慣れましょう。
ちなみに、この記事ではわかりやすいように、万円・億円かつ数字を丸めて表記します。
直近の業績
売上は1,970億円(昨年1,834億円、一昨年1,662億円)、売上総利益1,831億円(昨年1,713億円、一昨年1,562億円)、営業利益601億円(昨年564億円、一昨年497億円)となりました。
売上は、ZOZOTOWN中心に販売した商品価格の一部をいただいたものです。商品取扱額は5,744億円となります。
特筆すべきは以下の2点です。
・売上総利益率93%
・売上額/取扱額=34%
100万円売り上げたら、93万円が粗利となることと、ZOZOTOWN等で10,000円の商品を販売したら、3,400円がZOZOさんの売上になります。
この2点がZOZOさんの特徴です。詳細は後述します。
お金を集めて投資する(貸借対照表B/S)

(貸借対照表の見方は「貸借対照表(B/S)」超簡単解説&使い方紹介を参照)
お金を集める
どのようにお金を集めているのでしょうか?を見てみましょう。貸借対照表の右側です(決算短信12.13P参照)。
過去の利益が積みあがった利益余剰金935億円(昨年1,186億円、一昨年971億円)、短期借入金200億円(昨年204億円、一昨年202億円)が多い科目となっています。
他にも受託販売預り金が267億円あります。これは、ZOZOさんが販売はしたけどまだ各企業へ支払う前の金額です。
ちなみに、利益余剰金が減っているのは、1株当たりの価値を上げるため、自己株式の買い付けをおこなったためです。
ちなみに自己資本比率は52%です。
投資する
どう投資しているのか?を見てみましょう。貸借対照表左側です。
現金で647億円(昨年691億円、一昨年655億円)、建物で151億円(昨年104億円)となっています。
建物は物流拠点に投資に使っています。千葉と茨城に6拠点稼働しており、来年度にもう1拠点増える予定です。
投資したものを使って売り上げ、費用を引けば利益(損益計算書P/L)

(損益計算書の見方は「損益計算書(P/L)」超簡単解説&使い方紹介を参照)
どれだけの売上と利益が出ているかを再度見てみます(決算短信14.15P)。
売上は1,970億円(昨年1,834億円、一昨年1,662億円)、売上総利益1,831億円(昨年1,713億円、一昨年1,562億円)、営業利益601億円(昨年564億円、一昨年497億円)となりました。
売上は、ZOZOTOWN中心に販売した商品価格の一部をいただいたものです。商品取扱額は5,744億円となります。
特筆すべきは以下の2点です。
・売上総利益率93%
・売上額/取扱額=34%
100万円売り上げたら、93万円が粗利となることと、ZOZOTOWN等で10,000円の商品を販売したら、3,400円がZOZOさんの売上になります。
これだけの利益率だと最終利益も大きくなります。結果として現金も増え投資もしやすくなります。
売上総利益から、販管費を引いたら営業利益となりますが、販管費で多く使っているのは、荷造運搬費(宅配料)で334億円(昨年324億円)、広告宣伝費121億円(昨年123億円)です。
荷造運搬費が多くかかっているのは、物流倉庫を抱えて発送費もZOZOさんが負担しているからです。
上記の結果現金が増えたのかどうかを把握する(キャッシュフロー計算書C/F)

(キャッシュフロー計算書の見方は「キャッシュフロー計算書(C/F)」超簡単解説&使い方紹介を参照)
キャッシュの増減を見てみます(決算短信19.20P)。
期末残高で698億円(昨年741億円、一昨年655億円)となっています。自己株式の取得で100億円使ってます。
ZOZOはどんなビジネスモデル(売上獲得のモデル)か?

(モデルの詳細は「売上獲得のモデル(ビジネスモデル)は3つ」をわかりやすく解説を参照)
マッチングモデル
マッチングモデルの典型的なパターンです。サイトに沢山の人を集めて、アパレルメーカーの商材をサイトに沢山掲載し、マッチング(販売)させるモデルです。
Yahoo傘下に入り、yahooと連携することで新しい顧客獲得もできています。
一時、有名アパレルメーカーの離脱もありましたが結局再参画しています。
掲載されている商材は豊富なので、更にどれだけアパレルを買う人をZOZOTOWNに集めることができるか?と、アパレル以外をどれだけ伸ばすか?が今後の成長のポイントです。
ZOZOが成長した理由の「詳細」
・高い販売手数料を取る仕組み
・売上総利益率(=粗利率)が90%以上
・儲かった分を販促に大きく投資
前置きが長くなりましたが、上記3つの成長のポイントを解説します。
高い販売手数料を取る仕組み
ZOZOさんはECサイトを運営しています。同じようなECサイトでは楽天さんが有名です。
ZOZOさんの販売手数料率は、30%を超えていますが、楽天さんは、販売手数料率10%前後+月額固定費(プランにより差があり)となっています。
楽天さんも以前と比べるとかなり高くなっていますがそれでも上記の差となっています。
高い販売手数料の理由
・委託範囲が広い
・アパレルメーカーが百貨店の販売に慣れていた
上記2点が理由です。それぞれ説明します。
委託範囲が広い
メーカーがZOZOの倉庫へ商品を送った後すべてを委託
ZOZOさんの委託範囲は、アパレルメーカーがZOZOの倉庫に商品を送った、後工程すべてを委託しています。
(一部のメーカーは違う方式ですが、ほとんどが上記の委託範囲となります。)
具体的には、商品を受取り、倉庫で保管し、消費者に発送する一連の流れを行っています。
実はそれだけでなく、商品のサイト掲載用の画像を撮影し、説明文含めてZOZOTOWNのサイトに掲載する業務も行っています。
これだけの業務を行っているので、販売手数料が高いのです。
楽天さんでは、サイトの情報はすべて販売会社が作成し、商品発送もすべて販売会社が行っています。
当然、ZOZOさんの業務はとても煩雑となり、これらの業務をおこなうためにZOZOさんの手間は増えます。
ただ、後述する物流拠点を自社で構築することで、上記業務を効率化し利益が出やすい仕組みを作っています。
アパレルメーカーが百貨店の販売に慣れていた
後工程すべて委託する方式は百貨店に委託する方式と同じ
後工程を委託する方法に、アパレルメーカーが慣れていたことが大きな要素です。
通常のECサイトでは販売部分だけの委託です。この販売方法に慣れた会社は、いきなりたくさんの工程を外部委託して高い手数料を払うことに二の足を踏みます。
ただ、長い間、アパレルメーカーのメインの販路として販売してもらっている百貨店の販売形態と同じです。
百貨店も同じように委託形式の販売です。商品を百貨店に届けてもらい百貨店が販売する。そして20~40%の販売手数料をアパレルメーカーからもらっているのです。
アパレルメーカーはテナント料を払っているわけではなく、販売手数料を払っているのです。
したがって、ZOZOのように商品を送付した後工程すべてを委託する、販売モデルが受け入れられやすかったのでしょう。
※ちなみに百貨店も最近はテナント契約(場所代での契約)が多くなってきています。
売上総利益率(=粗利率)が90%以上
在庫はZOZOのものではない
アパレルメーカーから届いてZOZOさんの倉庫に置かれた服は誰のものでしょうか?
在庫管理や発送等はZOZOさんがおこなっていますが、所有者はアパレルメーカーです。
ということは、売れ残りリスクはすべてアパレルメーカーが負っているのです。
ZOZOさんは売れなければ返してしまえばいいのです。
したがって、製造コストはすべてアパレルメーカーが持つので、製造原価は一切かかりません。したがって、売上総利益率が高くなるのです。
ちなみに、アパレルメーカーさんは定期的なバーゲンで値引き販売をおこなっています。
理由は、売れ残った商品を売ってしまいたいからなのです。
すでに商品となっていますので製造原価がかかります。その商品が流行遅れになるので販売できなくなり廃棄することになります。どうせ捨てるのであれば、少しでもお金に換えた方が、損失額が減るのでバーゲンで売りつくそうとするのです。
(値引き販売の詳しい説明は、自社商品を値引き販売する際、どこまで値下げ可能なのか?をわかりやすく解説を参照)
儲かった分を販促に大きく投資
広告宣伝と物流センターに大きく投資
ZOZOさんの広告を見たことがある人も多いでしょう。また、千葉ロッテマリーンズの球場名はZOZOマリンスタジアムです。ちなみに2024年3月期では、1年間に121億円という巨額の広告費を使っています。
その上、商品の在庫発送のキモとなる物流センターを自社で構築しています。
これらの投資で、ZOZOTOWNにたくさん人が来て商品をたくさん買います。たくさん売れるので、アパレルメーカーもたくさんZOZOさんに商品を委託します。
これを処理する物流センターを拡大することで、更にたくさんの商品を在庫できるので、更にたくさん販売でき成長できるという好循環となっています。
ただ、近年は売上の伸びが1ケタ台となっていますので、これからの事業展開がとても大事になります。
ZOZOが成長した理由の「まとめ」
・高い販売手数料を取る仕組み
・売上総利益率(=粗利率)が90%以上
・儲かった分を販促に大きく投資
委託範囲が多いことが高い手数料をもらえていることがポイントです。流通のコストは負担しますが、在庫リスクは背負わないので、販売量が多ければリスクが少ない商売となっています。
アパレルならZOZOTOWNという認知が広がり、アパレルメーカーの販路としてZOZOTOWNに商品を出さないと売れない時代となってきました。
ただ、成長が止まってきていますので、どんな手を打つか楽しみです。
他の企業の解説もしております(キーエンス、オービック、出前館、モノタロウ、エムスリー、ワークマン、ABCマート、ビズリーチ、メルカリ、サイボウズ、無印良品、ネット印刷ラクスル、freee、Sansan、ダイキン工業、日本M&Aセンター、楽々精算ラクス)。
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また、上記企業のポイントをまとめてさくっと知りたい方は、【成長企業の成長の理由】有名18社の直近決算と成長のポイントを解説を参照ください。
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