ビジネスで取引する際には、必ずお金のやり取りが発生します。
製品・商品・サービスが販売できたのに、お金を払ってもらえないと、製品・商品・サービスの原価分や販売にかかった経費が収益上マイナスとなります。
せっかく、販売したのに、儲かるのではなく、損をすることになるのです。
このようなお金を払ってもらえない状態をできるだけ起こさないように、取引する前に未入金リスクを管理することが重要となります。
この記事では、最低限知っておきたい未入金リスクを管理する方法である与信管理をわかりやすく解説します。
この記事は、風土の違う5社での経験、数百名のマネジメント経験、数千社との取引経験を活かし、よしつが、書いています。
(あせて読みたい 知っておきたいビジネススキル向上のための基礎知識をまとめてわかりやすく解説)
与信管理とは?
- 取引する前に未入金となるリスクを判断
- リスク判断に応じた対策をおこなう
受注する前に、この取引はどれくらいの未入金となるリスクがあるのか?を想定し、取引するしないも含めた、リスク対策をおこなう一連の行動を与信管理といいます。
支払い規定通り、納品前払い、取引をしないなどの判断を行うことで、入金確率を上げていきます。
当然条件を厳しくすればするほど、入金確率は上がりますが、売上は減ります。
逆に条件を緩くすればするほど、売上は上がりますが、入金確率は下がります。
この最適解を求める作業が与信管理です。
与信管理の「詳細説明」
入金されないとどれくらい損をする?
100万円の商品を1つ買ってもらいました。仕入れ値は80万円です。この売上が入金されない場合何がおきるでしょうか?
100万円の売上がなくなるのはもちろん、仕入れ先には80万円をお支払いしないといけません。
当然、入金されなかったので支払いません!とは言えません。
ということは80万円が実害となります。売上が消滅するだけでなく、実害が出てしまいます。当然これ以外にも販売にかかった費用が無駄になります。
仮に、この実害を売上で挽回しようとしたら、この商品を何個売らないといけないか?
1個当たり20万円の粗利(100万円-80万円)なので、4個(80万円÷20万円)です。売上としてはなんと400万円(100万円×4個)も必要です。
でもこれって損を取り戻しただけです。入金してもらえないとこれだけの実損失が出てしまうのです。
なぜ与信管理が必要なのか?
与信管理が必要なのは、製品・商品・サービスを納品してから、一定期間後に販売代金をいただく取引が一般的で、すべての取引にはリスクがあるからです。
信用取引と言って、例えば、月末に締め翌月末日に支払う。という取引が基本となります。
請求ごとに処理していると、とても大変な労力がかかるので、このような方法で取引をおこなうことが基本となっています。
ちなみに、販売した場合にお金をもらえる権利が発生しているが、まだお金をもらえてない状態を売掛金といいます。
(詳しくは、「入金サイトと売掛金・買掛金」超簡単解説&使い方紹介を参照)
納品から入金までタイムラグがあることで、その間に何が起きるかは誰もわかりません。だから、リスクを回避する対策=与信管理が必要なのです。
与信管理の「方法」
- 取引をしない
- 納品前に支払ってもらう
- 納品後すぐに支払ってもらう
- 支払ってもらう金額により取引条件を変える
- 先方の支払いサイトで支払ってもらう
与信管理の方法には大きく5つあります。リスクが大きい順番でのリスク対策です。それぞれを説明します。
1.取引をしない
一番簡単な方法です。取引をしない。取引をしなければリスクを負うことはありません。ただ、取引しなければ会社は儲かりません。
唯一お金をいただけるのは、顧客だからです。
2.納品前に支払ってもらう
製品・商品・サービスを納品・提供する前に販売代金をいただく方法です。この方法では、未入金リスクはありません。お金をいただけない場合は納品しなければいいからです。
ただ、取引するお客様がこれを認めてくれるどうか?がポイントとなります。
初めて取引する際に、まだ納品もされていないのに、支払うことを良しとするか?お客様側にも、お金を払ったが、ちゃんとした製品・商品・サービスが提供されるか?のリスクが発生するからです。
3.納品後すぐに支払ってもらう
製品・商品・サービスを納品・提供した直後に販売代金を支払ってもらう方法です。
この方法では、販売側は、すぐに入金してもらえるので、リスクを減らすことが出来ます。お客様側では、納品物を見てから入金出来ます。
ただし、お客様側の経理に手間が発生します。このことをどのようにお客様側が判断するかがポイントとなります。
4.支払ってもらう金額により取引条件を変える
製品・商品・サービスの販売価格により、取引方法をそれぞれ設定する方法です。
例えば、100万円以上の取引なら、納品後すぐに払ってもらう。100万円未満なら、通常の支払いサイトで払ってもらうなど、取引金額に応じて取引方法を変える方法です。
5.先方の支払いサイトで支払ってもらう
お客様が指定した支払いサイト(末日〆翌月末日払等)で取引をおこなう方法です。
信用のおける会社は、リスクが低いので、お客様の言う通りで取引します
取引会社の判断方法
よくある判断方法は、支払いサイトの把握と、帝国データバンク等の信用情報を購入し、この2つで判断するパターンです。
支払いサイトを把握する
受注する前に、どのような条件で取引するかを事前に判断しておく必要があります。
そのためにまずはお客様の支払いサイトを把握することが最初のステップとなります。
商談の初期に「御社を当社のシステムに登録したいので、支払サイトを教えてもらえますか?」などとと聞くことで支払いサイトを把握します。
すぐ支払ってくれるのか?翌月支払いなのか?翌々月支払いなのか?手形支払いなのか?を把握することで、リスク期間を把握することができます。
この時点で、教えてくれなかったり、何か不穏な対応があれば、その時点で最初の判断情報となります。
信用調査会社の情報を購入する
信用調査会社から会社情報を購入すると、取引したい会社のリスクを点数化しているものを見ることが出来ます。
すべての会社ではないのですが、多くの会社情報を知ることができます。
信用調査でよく使われるのは、帝国データバンクの企業データベースです。1件当たりの契約(数百円から数万円)や月間契約など様々な契約方法があります。
ちなみになぜそのような情報を一民間企業の帝国データバンクが持っているかですが、各企業へ売上や利益などの重要情報をヒアリングしているからです。
ではなぜ各企業はこのような重要情報を答えるか?ですが、大企業から中小企業まで、与信管理をしっかりおこなっている企業は多くあります。
その際に、情報がない=不安な会社と思われることで、取引のチャンスを逃したくないからです。
※判断方法については、各会社でルールが決まっているかと思いますので、それに従ってください。
与信管理の方法の「まとめ」
- 請求した売上が入金されないと、大きな損害が出る
- 納品から入金までにタイムラグがあるため、リスク管理の必要がある
- 事前に取引するかしないか、取引するならどんな条件かを判断する必要がある
商品を納品するときに、急に「では明日入金して下さい」と言えば怒られます。だから、できるだけ早いタイミングで判断及び条件伝達の必要があります。
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