パレートの法則とは、ビジネスにおける経験則を法則化したものです。
28(ニッパチ、ニハチ)の法則と言われたり、80:20の法則とも言われます。
色々な場面で使える法則であり、知っていることで、問題の根源=課題を見つけるスピードが上がります。
この記事では、パレートの法則とは何か?及び使い方をわかりやすく解説します。
この記事は、全く風土の違う5社で、若手の成長に30年近く関わってきた よしつ が、書いています。
(あせて読みたい 知っておきたいビジネススキル向上のための基礎知識をまとめてわかりやすく解説)
パレートの法則(28の法則)とは?
- 上位2割で全体の8割を占める
- この法則を知っているとイレギュラーがすぐわかる
この2つがパレートの法則(28の法則)の意味と使い方です。
何かの集まりを分析した場合、2割で8割を占めていることが多く出現します
例えば
売上上位2割の顧客で8割の売上を上げている
売上上位2割の商品で8割の売上を上げている
などです。
この経験値を法則化したものがパレートの法則(28の法則)です。
パレートの法則(28の法則)の詳細解説
パレートの法則を詳細に解説していきます。
パレートの法則(28の法則)の別名は?
呼び名が沢山ある、めずらしい法則です。パレートの法則、28(にはち)の法則、28(にっぱち)の法則、80-20(はちじゅうにじゅう)の法則、ばらつきの法則が代表的です。
同じ法則のことを言ってますので、ここでは、パレートの法則(28の法則)という表記で統一します。
パレートの法則(28の法則)の提唱者は?
イタリアの経済学者ビルフレッド・パレートさんが提唱者です。
所得分布に関する法則として発見していますが、所得以外のことにも当てはまることが多いため、様々な場面で使われるようになりました。
上位2割で全体の8割を占める

売上総額が1,000万、取引会社数10社の場合、各社ごとの売上は上図のようになり、上位2社で80%(=800万)を占めます。
必ずこのようになる法則というわけではないのですが、多くの場合、上位2割の会社で、全体の売上の8割を占めるのです。
売上総額1,000万円で10社なので、平均100万円となりますが、基本的に10社とも100万円の取引額にはなりません。
この法則を知っているとイレギュラーがすぐわかる
この法則を知っていると、とても便利です。
なぜなら、様々な分布は基本2割で8割になるという仮説で物事を見た時、イレギュラーとなることがすぐにわかるからです。

例えば上位1割の会社で、9割の売上を占めていたら、通常とは違うということがわかります。
違うということがわかったら、何か起きているかも?ということに気づき、そこから、仮説立てすることができます。
もし、この法則を知らなかったら、上位1割の会社で、9割の売上を占めている事実を見ても、おかしいかも?とは気づかない可能性がありますよね。
パレートの法則(28の法則)の使い方
このような法則を知っていると、「普通はこうなるのに、そのようになっていないのは何かある!」と仮説を立てることができるのです。
当然、課題にたどり着くスピードが格段に上がることになります。
使い方の具体例
基本形の仮説立て
先ほどの例の売上総額1,000万円の会社で10社の取引があるとします。

どのような分布になるでしょうか?と聞かれたら、この法則を知っていると、上図のような分布になることが想像できます。
取引上位会社からなだらかに売上が下がっていくことと、2社で8割の売上を上げることがイメージできます。
実データを作成

次に実際のデータでグラフを作ってみます。そうすると、上図のようなグラフになったとします。
直観的に良くないことはわかると思いますが、パレートの法則(28の法則)を知らなければ、どれ位悪いかをイメージできません。
原因を仮説立てする
2割で8割となるグラフと上記のグラフを見比べると、上位1社で9割の売上を上げており、2位以降はほぼ同じ売上ということがわかります。
普通は2社で8割だから、仮に1位の会社の売上が0となれば、売上は半減です。
でもこの会社は、1社で9割となるので、この1社の売上が0となると、売上は9割減となります。
1社の比重が高すぎて、とても大きなリスクを抱えていることがわかります。
更に、このような現象が起きると何が想定されるか?を仮説立てします。
1社の比重が高いという現象から
- 値引き要求は受けているだろうから、利益率はかなり悪いのでは?
- エース級の人材は、すべてこの会社だけに関わっているのでは?
- 当社のサービスの価値で取引が大きければいいが、例えば、人間関係であればかなりやばいのでは?
- とにかく社内オペレーションが、この1位の会社を最優先しているのでは?
1社以外の取引額が低いという現象から
- 会社の提供している製品・商品・サービスが劣化しているから、2位以下の会社の取引額が低いのでは?
- 2位以下の会社に会社のリソース(営業力等)をかけていないので、伸びていないのでは?
- この現象を経営者はわかっているが、解決しようとしていないのでは?
このようにすぐに色々な仮説がたちます。
これらの仮説を一つずつ検証していけば、ゼロベースで考えるより、かなり早く課題にたどり着くことできます。
この際に注意が必要なのは、1社で9割の売上を占めることが課題ではありません。単なる現象でしかありません。原因となる課題が、なぜこのような状態になっているのかに答えがあります。
例えば、この会社のオペレーションはすべてその1社の投入されており、それ以外への営業量がないことだったり、製品・商品・サービスが劣化しており、市場では時代遅れになっているなどまで落とし込むことで、原因の特定と課題化ができます。
よしつの具体的な使い方
今まで出向1回転職3回しています。そして、必ず転職初日にパレートの法則に従って、グラフを作ります。
そうすることで、上記のような仮説が沢山立ちますし、もうひとつ大事ことがわかります。
数字が出てこない会社があるのです。
売上数字が簡単にテキストデータとして、使えるようになっていないことが4社中2社で体験しました。
数字が使える形で存在しないのです。出てきたとしても紙でしか残っていない場合もありました。
古い会社であれば、このようなことがよくあります。
そして、このような会社には全く同じ傾向があります。従業員のエクセル能力が極端に弱いのです。
文章表記としての使用はできますが、式を組むとかグラフを作るとかの能力がほぼないのです。
数字をもとに議論する文化がなく、定性情報だけで話をしているので、数字を加工する必要がないのです。
真因は、経営者が現場に数字を求めないことなのですが。
パレートの法則をわかっておくと、上記のような現象が初日にわかるのです。
パレートの法則(28の法則) と似ている法則は?
262の法則と働きアリの法則
よく似た法則に262の法則と働きアリの法則があります。組織は必ず上位2割、普通6割、下位2割の分布となるという法則ですね。
28の8を6と2に区分けしている形になります。
(詳しくは、必ずこの分布に「262の法則」をわかりやすく解説&使い方紹介を参照)
イノベーター理論
また、少し違うのですが、人を分類化した理論で、イノベーター理論があります。
「新しいもの好き」から「保守派」の人たちを5分類化。マーケットにどのように商品が広がっていくかを理論化したものです。
自分から新しい物を求める16%(イノベーター2.5%、アーリーアダプター13.5%)、自分からは新しいものを求めない84%(アーリーマジョリティ34%、レイトマジョリティ34%、ラガード16%)という風に区分け居ています。
28ではないですが、近しい数字の分類となります。
(詳しくは人を5分類化「イノベーター理論」についてわかりやすく解説を参照)
パレートの法則(28の法則)とロングテール
パレートの法則は過去の経験則を法則化していますが、最近のネットの台頭により、上位2割以外のニーズが少ない部分で、商売ができるようになりました。
ネット販売は、店舗の大きさで販売できる商品数と、営業担当の訪問できる量による顧客数という2大制約と取り払いました。

その結果上図のように、上位2割以外での商売もできるようになりました。聞いたことがあると思いますが、ロングテールと言われるものです。
(詳しくは「ロングテール」をわかりやすく解説&使い方紹介を参照)
パレートの法則(28の法則)の「まとめ」
- 上位2割で全体の8割を占める
- この法則を知っているとイレギュラーがすぐわかる
このようなよく知られた法則を沢山知っておくと、ゼロから考えることが減り、確からしい仮説を立てることができるようになります。
このような法則を学んでおくと、仕事がとっても早くなりますよ。
他にも沢山、法則やフレームワークを解説しています。以下のサイトマップに一覧化されていますので、興味がある部分から読んでみてください。
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