財務三表と聞くと、どうしても、難しく感じて避けてしまいがちだと思います。
私もこの記事で説明する考え方を知るまでは、そうでした。
でも、この考え方を初めて聞いた時、なんだそうゆうことなんだ!、難しく考えすぎていた!と思いましたし、財務三表の理解が一気に進みました。
この記事では、このひとつの考え方でつなげて、まとめて、財務三表ををわかりやすく紹介します。
この記事は、風土の違う5社での経験、数百名のマネジメント経験、100回を超える若手向け勉強会の講師をした経験を持つよしつが書いています。
この記事を読むと三表がどうつながっているのか?それぞれ何を表しているのか?どう見ればいいのか?がわかります。
科目等は触れなくても理解できますので、一切触れません。気軽に読み進めてください。
財務三表を理解できるだったひとつの考え方
- 会社は、現金を使って現金を増やす器
財務三表はこの考え方ですべてつながっています。財務三表をつなげて理解しましょう。
財務三表で何が分かるか?

上図は「会社の活動」を1枚の図で表しています。財務三表は、「会社の活動」に現金を投入し、その結果現金がどれだけ増えたか?の「プロセス」と「結果」を表しています。
(上図の詳しい説明は、 「1枚の図」と「一言で要約+詳細解説」でビジネス基礎知識をわかりやすく解説を参照)
財務三表つなげて理解
財務三表とは?
・貸借対照表(B/S)
・損益計算書(P/L)
・キャッシュフロー計算書(C/F)
財務三表とはこの3つのことです。この3つが「現金を使って現金を増やす器」という考え方でつながっているのです。
財務三表をつなげて理解するとは?
会社の活動は以下の流れはこの通りです。
1.現金を集める
2.集めた現金を使って投資する
3.投資したものを使って売上を上げる
4.売上を上げるために使った経費を差し引く=利益
5.これらの活動で現金がふえたのかどうかを確認する
1で集めた現金を使って、最終的に5で現金が増えたかどうかを確認する。
この流れが、まさしくつながっているということの意味です。この活動をそれぞれ数値化したものが、財務三表です。
まさしく会社で日々おこなっている活動を一言で表しています。
ちなみに、貸借対照表(B/S)が1.2、損益計算書(P/L)が3.4、キャッシュフロー計算書(C/F)が5を表しています。
では、それぞれの財務諸表を解説していきます。
出来るだけわかりやすく簡単に説明するために、とっても大括りで説明します。
最初の第一歩として、大枠を理解してくれればOKなのでご安心下さい。
財務三表のそれぞれを解説
貸借対照表(バランスシート、B/S)とは?

貸借対照表は「どのようにお金を集めて」「何に投資しているか」を表しています。
まずは右側の説明です。どうお金を集めているか?ですね。
大きく2つあります。負債と純資産です。
「どうお金を集めているか?」負債について
負債は、返済の必要があるものです。有名なものでは、金融機関からの借入や買掛金などです。
金融機関の借入は大きく2つあり、短期借入金(1年以内に返済)と長期借入金(1年以上後に返済)です。
買掛金とは、サービスや商品は購入し請求されているが、まだ、支払日が来ていないものです。
BtoBの商売では、信用取引と言われる、購入後一定期間たった後に支払う場合が多くあります。末〆翌月末払いという言葉は聞いたことがあるでしょう。このことです。
(詳しくは、支払いサイトとは?売掛金・買掛金とは?をまとめてわかりやすく解説を参照)
「どうお金を集めているか?」純資産について
純資産とは、返済の必要がないものです。会社を立ち上げる時に株主が出資した資本金、株を発行して買ってもらったお金、過去の利益の積み重ねなどとなります。
株式については、もし倒産したとしても返済の義務はないので、返さなくていいお金になります。過去の利益についても返さなくていいお金です。
こう考えると、返さないといけない負債(銀行借入)が多いと当然経営が厳しくなります。なぜなら、返済期限ががあることと、借りた金額に金利分を上乗せして返済しないといけないからです。
逆に純資産が多いと経営が楽になります。多くの返さなくていいお金で事業を行うことができるからです。ただ、株数に応じた配当を1年に一回出す必要はあります。
ちなみに純資産は自己資本とも言います。自己資本比率(=負債全体に占める純資産の率)という言葉を、聞いたことがある方もいるかとは思います。
自己資本比率が高いと、返さなくていいお金を集める率が高いことになりますので、経営が安定すると言われます。
「何に投資するか?」
左側は集めたお金を何に投資したか(=使ったか)を表しています。
・現金のまま持っておく
・建物や機械を購入する
・ソフトウェアを買う
・有価証券に投資する など
当然集めたお金と投資したお金は一緒ですね。だから、右と左の金額が一致する=バランスする=バランスシートとも言います。
また、貸借対照表は、同じ期内だとしても、3月1日と12月5日では当然数字が変わります。支払金額の大小や設備投資したかどうか等が変わるからです。だから、期末最終日時点(3月末決算だと3月31日時点)の数字で表すルールとなっています。
貸借対照表(B/S)の詳細は「貸借対照表(B/S)」超簡単解説&使い方紹介をご覧ください。
損益計算書(P/L)とは?

損益計算書(P/L)は「投資したもので商品を作って売上を上げ」、「売上を上げるために使った費用を差し引く」と残ったものが利益となり、この数字をそれぞれ表しています。
投資したもので商品を作って売上を上げる
販売する商品は、他社から仕入れたり、自社で作る必要があります。
そのために、B/Sの左側にある建物施設や現金を使います。
それらの投資して、得たり作ったものを顧客に販売することで、売上が上がり、現金を頂くことができます。
これがP/Lの一番上に記載される売上となります。
売上を上げるために使った費用
費用には大きく2つあります。
売上原価と販売管理費です。
売上原価は、製品・商品・サービス等を作る際に直接かかった費用です。仕入原価、原材料、加工費などです。
販売管理費とは、製品・商品・サービスを販売するために使った費用です。広告宣伝費、製造に直接関わらない人件費(営業担当やスタッフ等などです。
残ったものが利益
売上から費用を引くと利益となります。
損益計算書は、1年間かけて売り上げたものと、1年かけて使った費用を差し引きした金額を利益とするので、1年間の期間合計で数値を出します。
損益計算書でややこしいのは、利益がいくつも出てくることです。売上総利益、営業利益、経常利益、税引き前利益、純利益と利益が5つも出てきます。
まずは、売上から原価を引いた売上総利益(粗利)と、売上総利益から販売管理費を引いた営業利益だけを理解すれば大丈夫です。
損益計算書の詳細は超簡単解説&使い方紹介 「損益計算書(P/L)」をご覧ください。
キャッシュフロー計算書(C/F)とは?

キャッシュフロー計算書(C/F)は、「本業での現金の増減」と「資産・有価証券等での現金の増減」と「銀行・株式等での現金の増減」により、最終的に現金が増えたのか減ったのかを表しています。
昔は、貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)の2つが公表されていましたが、2000年度から上場会社については、キャッシュフロー計算書も(C/F)公表が義務付けられました。
会社は、俗に言う「赤字」でも、現金があれば倒産しないし、現金がなければ黒字でも倒産します。
だから、現金の増減は会社の経営状況を見る上で非常に大事な部分なので、追加されたのです。
でもここで疑問。あれ?損益計算書(P/L)で純利益が出ている=現金が増えるのでは?と思う方も多いかと思いますが、実はそうではないのです。
損益計算書(P/L)は会計のルールを元に、利益を算出しているのです。ルールなので厳密には現金の増減とは違う結果となります。
例えば原価償却費。資産となる何かを買うと、例えば5年で償却しなさいという複数年に分けて計上するルールがある。現金は資産を買った直後に支払うので減ります。
ただ、100万で勝った資産を5年で償却とは100万を5年間に分けて、毎年20万円ずつ費用として計上しなければいけない。この時点で現金と損益計算書(P/L)が変わります。
このような会計ルールと、売上計上と同時に支払ったり入金されないことにより、実際の現金との差が出るのです。
だから、キャッシュの増減を見るために、C/Fが必要となるのです。
C/Fは大きく3つに分かれています。営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローです。
それぞれ説明します。
営業キャッシュフロー
本業での現金の増減です。
商品やサービスを販売して得た純利益、原価償却費、商品在庫や作りかけ商品の在庫、売掛金・買掛金などを現金が増えたか減ったかで足し引きを行います。
商品在庫については、部品等はすでに仕入れているので、業者に現金を支払うため現金が減ります。商品を販売した時点でやっと現金が入ることになります。
投資キャッシュフロー
資産や有価証券を買うと現金は減り、売ると現金が増えます。会社は資産に投資する必要があるため、それらの活動による現金の増減を表しています。
財務キャッシュフロー
銀行借入をおこなえばお金が入ってくるので現金はプラス。返済すれば現金は減ります。その他株式を発行して株を買ってもらったら現金はプラスです。これらを中心に記載されています。
合計=増減
営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローを足し上げて現金(=キャッシュ)が増えたか減ったかを記載しています。ここで昨年と比べて現金が増えたのか減ったのかがわかります。
キャッシュフロー計算書の詳細は「キャッシュフロー計算書(C/F)」超簡単解説&使い方紹介をご覧ください。
財務三表 まとめ
1.現金を集める→2.集めた現金を投資する→3.投資したものを使い売上を上げる→4.売上を上げるために使った経費を差し引く=利益→5.これらの活動で現金が増えたかどうかをを確認する
貸借対照表(B/S)が1.2、損益計算書が3.4、キャッシュフロー計算書(C/F)が5を表す
このようにつながりで考えるととっても理解しやすいですね。
減とは違う結果となります。
有名企業の財務三表の解説は、高成長な有名企業の財務三表とビジネスモデルを解説した有名企業分析を参照ください。
財務三表をもう少し詳しく学びたい人は、シリーズ累計30万部も売れている以下の本で学んでください。
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