損益分岐点=儲かるか?儲からないか?の境界線です。
どの説明を見ても、複雑に見える計算式が書いてあり、それだけで、理解する気力が失せます。
この記事では、そんな方向けに、できるだけわかりやすく、複雑な計算式を使わずに損益分岐点を解説していきます。
この記事は、風土の違う5社での経験、数百名のマネジメント経験、数千社との取引経験、100回以上の勉強会講師の経験を活かし、わかりやすく解説していきます。
(あせて読みたい 知っておきたいビジネススキル向上のための基礎知識をまとめてわかりやすく解説)
損益分岐点とは?
儲かるか?儲からないか?の境界線(個数もしくは売上)
損益分岐点とは、このことです。事業を行う上で、必ず必要となるものです。
そして、損益分岐点で理解しおいてほしいことは以下の3つです。
- 「計画時」もしくは「結果分析」の際に使うもの
- 「結果分析」はひとまず無視
- 「計画時」の使い方のみ理解しよう
複雑な式が出てくるのは、過去を振り返る結果分析の場合です。
例えば、前期の数字を使った結果分析等は、経営企画部や部課長以上の人に任せましょう。
まずは、実行前の計画を立てる際に、どれだけ売ったら儲かるのか?をどのように計算すればいいかだけを理解しましょう。
損益分岐点の「詳細説明」

損益分岐点を表した図が上図です。よく使われているものです。
例えば、利益が出る販売個数が100個だった場合、損益分岐点個数は100個となります。
利益が出る売上金額が100万円であれば、損益分岐点売上は100万円となります。
仕入れ販売の場合の計算方法
問題
例えば、1個400円で仕入れた商品を500円で売ろうと思っています。人件費や家賃等で10万円かかるとします。 では、損益分岐点となる販売個数は何個でしょうか?
答え
1個売ると100円儲かります。これで10万円をまかなえばいいので、10万円÷100円=1,000個ですね。
考え方は単純で、1個販売して儲かる金額の合計が、売っても売れなくても固定でかかる家賃や人件費を超えればいいのです。
仕入れ販売なら単純です。
製造販売の場合の計算方法
原材料や外注費のように、売上に比例して増減する費用が変動費と言われるものです。
例えば、1個当たりの変動費が原材料費200円、外注費200円かかる商品を500円で売るとします。人件費や家賃等で10万かかったとします。
この際の損益分岐点個数は、上記と同じく10万円÷(500円-200円-200円=100円)=1,000個となります。損益分岐点売上は1,000個×500円=50万円です。
- ①固定でかかる費用=固定費
- ②1個当たりの売上
- ③売上に伴って増加する1個当たりの費用=変動費
考え方は①<(②-③の金額×販売個数)です。
過去の分析ではなく、これからの計画を考える際には、
- 1個売っていくら儲かる?
- 固定費いくら?
- 固定費をまかなう個数は何個?
とすれば単純です。
(変動費・固定費の詳細は、「変動費と固定費」超簡単に解説&使い方紹介参照)
損益分岐点で必ず出てくる限界利益の意味
限界利益=売上―変動費です。
でも限界利益という言葉がわかりにくい。限界という言葉のせいですね。
私は中々頭に入らない言葉なので、いつも読み替えています。
どう読み替えているかというと「最大利益」もしくは「マックス利益」。
1個仕入れると400円かかる商品を500円で売る場合、人件費や家賃等の固定費を1円もかけなかったとすると、利益はいくらか?
100円です。仕入れ代の400円は絶対に払わないといけないですから、それ以外は残る可能性がある。
現実的には固定費ゼロはありえないですが、ゼロだとすると「最大利益」「マックス利益」という言葉だととてもすっきりします。
限界利益=最大利益・マックス利益と読み替えたほうがわかりやすい方はそうしましょう。私はそうしています。
この限界利益を使うと上記の式が更にシンプルになります。
損益分岐点個数=固定費÷1個当たりの限界利益となります。
損益分岐点売上=損益分岐点個数×販売金額
ですね。
損益分岐点では必ず以下のような式が出てきます。分母に式が入る複雑な式になるのは、損益分岐点売上を過去の結果から出そうとするからです。過去の分析は一旦おいておきましょう。

損益分岐点の「使い方」
計画時に使うか結果分析によって変わりますが、計画時のみとします。
例えば、1個400円で仕入れた商品を500円で売ろうと思っています。
人件費や家賃等で10万円かかるとします。
この場合の損益分岐点個数は1,000個でしたね。
でも、1,000個は厳しいとなった場合、1個当たり、600円にしたら、何個販売すれば損益分岐点を超えることができるか?
10万円÷(600円-400円)=500個となります。
更に固定費の10万円を8万円まで削減したとします。そうすると
8万円÷(600-400)=400個となります。
このように将来の計画を立てる際に、1個当たりの利益をいくらにするか?(売値をいくらにするか?)固定費をどれだけ使うか?を決めに行く際に損益分岐点の考え方をいかすことができます。
この応用で1万円の利益を出したい場合は
(8万円+1万円)÷(600円-400円)=450個というふうに計算できます。
損益分岐点の「まとめ」
- 計画時もしくは結果分析の際に使うもの
- 結果分析はひとまず無視
- 計画時の使い方のみ理解しよう
計画時には
- 損益分岐点個数=固定費÷(1個当たり売上―1個当たり変動費)
- 損益分岐点売上=損益分岐点個数×1個当たり売上
計画時はどれだけの数量を売ればいいかが基準となるので、わかりやすい計算となりますし、結果分析は経営企画部とか部課長以上にまかせましょう。
もう一つ注意点。変更費と固定費の分け方ですが、精緻にやりすぎないようにしましょう。
損益計算書(P/L)の科目でこれは変動費、これは固定費ときめてしまいます。そうしないと変動費と固定費を分けることがメインになり、本来の目的にたどり着けなくなります。
例えば原材料費、外注加工費、運賃荷造費が変動費それ以外は固定費とするくらいスパッと行きましょう。
知りたいのは、100個売らないといけないのか105個売らいといけないのかではなく、おおよそ100個とわかればいいのです。
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