約20年で2,500億円の売上を超える企業に成長したモノタロウさん。中小企業の工場・現場関係者の「不」を取り除くサービスを展開しています。
なんと2,200万点を超える商品を扱う会社になりました。
この記事では、モノタロウさんの強みと高い成長率の理由を最新決算を含めてわかりやすく解説します。
この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つよしつが実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい 【成長企業の成長の理由】有名18社の直近決算と成長のポイントを解説)
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モノタロウ 強みと高い成長の理由とは?
中小企業の工場及び現場が抱える大きな課題を解決した
あまりにも当たり前ですが、これが強みであり成長した理由です。
まずは、モノタロウさんの財務三表を元にどんな会社が解説した後に、詳細を解説します。
モノタロウはどんな会社?
現場を支えるネットストア「モノタロウ」を運営している会社です。工場や現場関係者が使う間接資材を自社商品と他社商品の代売を行っています。間接資材とは、原材料などの製品になるもの以外の資材のことです。
メインターゲットは中小企業でしたが、今は大企業向けのサービスもおこなっています。
モノタロウを財務三表から見るとどんな会社?
まずは、モノタロウさんがどんな会社かを公表されている財務三表で見てみます。
会社とは「現金を使って現金を増やす行動」をおこなっており、その行動は以下の流れです。
・お金を集めて投資する(貸借対照表B/S)
・投資したのものを使って売り上げ、費用を引けば利益(損益計算書P/L)
・上記の結果、現金が増えたのかどうかを把握する(キャッシュフロー計算書C/F)
(詳細は「会社の本質は何?」を超わかりやすく解説を参照)
この流れに現在の業績を加えて順番で見ていきましょう。
モノタロウさんの2023年12月期の公表されている決算短信を元に説明していきます。
上記の場所から、2023年12月期決算短信をご覧ください。
注意点ですが、数字の単位が万円や億円ではなく、百万円となっています。
財務諸表等では、例えば10,000,000円=1,000万円はカンマごとで切られて表示される場合がほとんどです。
具体的には10百万円や10,000千円と表示されます。
表の右上等に表記の単位が記されていますので、見る癖をつけることと、この表記に何とか慣れましょうね。
ちなみに、この記事ではわかりやすいように、万円・億円かつ数字を丸めて表記します。
直近の業績
売上は、2,543億円(昨年2,260億円)、売上総利益760億円(昨年654億円)、営業利益313億円(昨年262億円)です。
2,000億円を超える売上規模で、昨年と比べて12%も売上を伸ばしています。伸ばし額は283億円以上です。
また、売上総利益率が約30%となっており、小売業としては、悪くない利益率(安売りをしているわけではない)で大きく成長しています。
お金を集めて投資する(貸借対照表B/S)
(貸借対照表の見方は「貸借対照表(B/S)」超簡単解説&使い方紹介を参照)
お金を集める
どのようにお金を集めているのかを見てみましょう。貸借対照表の右側です(決算短信4.5P参照)。
利益余剰金で836億円(昨年692億円)です。利益余剰金は過去の利益の積み上げなので、この額が大きいのは、優良企業の典型です。負債純資産合計の6割を超える金額を利益余剰金で占めています。
投資する
どう投資しているのかを見てみましょう。貸借対照表左側です。
様々な用途につかえる現金で186億円(昨年89億円)、法人取引が多い会社なので、受取手形・売掛金が284億円(昨年252億円)あります。
更に目立つのが、商品で182億円(昨年189億円)。当日出荷するために、在庫を沢山抱えていることがここでわかります。
投資したのものを使って売り上げ、費用を引けば利益(損益計算書P/L)
(損益計算書の見方は「損益計算書(P/L)」超簡単解説&使い方紹介を参照)
どれだけの売上と利益が出ているかを再度見てみます(決算短信6P)。
売上は、2,543億円(昨年2,260億円)、売上総利益760億円(昨年654億円)、営業利益313億円(昨年262億円)です。
約20年で2,543億円の売上まで拡大しているのは本当にすごいことです。大きなマーケットに大きなソリューションを提供したことがここでわかります。
上記の結果現金が増えたのかどうかを把握する(キャッシュフロー計算書C/F)
(キャッシュフロー計算書の見方は「キャッシュフロー計算書(C/F)」超簡単解説&使い方紹介を参照)
キャッシュの増減を見てみます(決算短信9P)。
昨年86億円だった期末残高が、185億円に増えています。
営業活動で得た308億円(昨年255億円)の現金を有形固定資産59億円(昨年95億円)と配当金で75億年(昨年61億円)、無形固定資産21億円(昨年20億円)使っています。
有形・無形固定資産の投資は引き続き大きな投資をおこなっています。特に、倉庫・配送関連及びWebサイト、システム構築への投資をおこなっているのがわかります。
モノタロウはどんな売上獲得のモデル(ビジネスモデル)か?
(モデルの詳細は「売上獲得のモデル(ビジネスモデル)は3つ」をわかりやすく解説を参照)
小売りの直接提供モデル
一見、マッチングモデルのように感じますが、小売りの直接提供モデルです。商品を仕入れて、Webで販売しています。仕入販売だけでなく、自社商品販売もおこなっています。
モノタロウの強みと高い成長率の理由を「詳細解説」
間接資材を買う際のホームセンターの「不」を解消
必ず必要となる間接資材の購入は、ホームセンターで買う方法がメインでした。ただ、沢山の「不=問題点」がありました。
どんな「不=問題点」があったか?
・仕事中に店まで買いに行かないといけない
・間接資材は種類が多く、品揃えの問題で買えない可能性がある
・職人さんにはこだわりがあり、少しでも違う商品では代替えにならない
・目当てのものがないと注文し、また店にいかないといけない
・社員数が多くないので、作業している人が買い出しに行くとその間作業が止まる
・故障した機械の部品がないとその間機械が使えない
・適正価格がわからない
中小企業の現場・工場関係者の人は上記のような不を持っていました。
モノタロウさんの扱っている商材は、間接資材です。
製品を作る際に、製品になる直接の原材料を直接資材と言います。それ以外で使うのもすべてが間接資材となります。
直接資材は、製品の原材料なので取扱い量も多いので、原材料メーカーや問屋さんが、直接営業に来てくれます。
ただ、間接資材は、工具・機械の部品・ねじ・作業服・軍手・文具と多種多様です。
中小企業では、発注数も少数なので、問屋さん等の営業担当が訪問してくれるわけではなく、ホームセンター等に自分で買い出しに行かないといけません。
ホームセンターでは、品揃えも充実しているように思えます。
ただ、ネジ1本だけでも、今のモノタロウさんのサイトには10,000種類以上掲載されています。頭の形(+-)や長さや太さを考えただけで、驚くほど種類があります。
品揃えの多いホームセンターさんでもすべてを取りそろえるのは、店舗の大きさの制限があり無理です。
ということは、わざわざ買い出しに行っても、目当ての商品がなく取り寄せとなり、入手するまで結構な日数がかかるだけでなく、また受け取りに行かないといけなくなります。
また、機械の故障で部品が欲しい場合はすぐに必要となります。入手できないと機械を動かすことができず、業務が止まってしまうからです。
ただ、上記の「不」を見ているとすべてにおいて、ネットで注文、配達、多品種対応、価格の透明性などWeb販売が向いていることがわかります。
ここにモノタロウさんは参入したのです。
今では減りましたが、事業立ち上げ当初は、Webだけでなく、実物のカタログを作成し、電話やFAXでの注文にも対応していました。
「不」の解消の具体策
・圧倒的な品揃え数の仕入れルートの開拓
・多数の商品をWebに掲載する仕組み構築
・在庫管理及び注文後即日発送の仕組み
・価格の透明性
・ターゲット層のサイトの会員化
不を解消するためには、品揃えの豊富さと即日発送が大事になります。その仕組みを構築するための上記がポイントになります。
それぞれを解説します。
1.圧倒的な品揃え数の仕入れルートの開拓
求められるものは、豊富な品揃えです。先ほど紹介したようにネジだけでも10,000種類以上あります。それらの商材を仕入れるルート開拓が重要になります。
モノタロウさんは、全世界のメーカーや問屋の2,000社から商品を仕入れています。
2.商品をWebに掲載する仕組み構築
2,200万点の商品を検索しやすいサイトを構築する必要があります。
モノタロウさんは、サイト及びシステムを自社の社員を使って構築しています。そのために、エンジニアを大量採用しています。
3.在庫管理と注文後即日発送の仕組み
豊富な種類の商品を在庫管理しつつ、注文が入ればすぐにピックアップして発送する必要があります。
モノタロウさんは、物流拠点の拡充にとことん投資しています。売上拡大と共に、拠点自体の拡充が追い付かなくなり、移転を繰り返し拡大している状態です。
また、在庫管理や物流のシステム自体も自社のエンジニアにより自社で構築しています。
4.価格の透明性
会社で使用する商品を買うために、価格が適正な価格かどうかをわかってもらう必要があります。
モノタロウさんは、ネット上で価格がフルオープンとなっており、いちいち見積を取らなくてもいい状態となっています。これにより、どの会社(中小大手関係なく)も同じ価格ということがわかります。
会社の規定で相見積もり(複数の業者の見積もり)を取る必要がある会社でも見積の必要がなくなります。
5.ターゲット層の会員化
注文をできるだけ楽におこなってもらうために、会社等の情報を登録してもらう必要があります。
モノタロウさんは、過去は実物のカタログも制作して顧客接点を確保していました。今は、データサイエンスに徹底的にこだわり、ビックデータ解析をおこない、誰に何をどのように伝えれば検索性が上がり、購入してもらいやすくなるかを追求しています。
これらのことがうまくいっており、商品を仕入れ→Webに掲載→モノタロウのサイトに沢山の人が訪問→販売→お届けというフローが日々大きくなることで、売上の高成長となっているのです。
モノタロウ高成長の理由のまとめ
中小企業の工場及び現場が抱える大きな課題を解決した
商品数は上記の通り2,200万点、その内当日出荷対象商品数が66万点もある体制を作っています。
仕入に関しても2,000社以上と取引をしつつ、売れ筋商品を自社開発して、販売もしています。
コアなターゲットの中小企業だけでなく、大手企業の売上も伸ばしています。事業拡大の打ち手をしっかりおこなっており、今後が楽しみです。
他の企業の解説もしております(キーエンス、オービック、ZOZO、出前館、エムスリー、ワークマン、ABCマート、ビズリーチ、メルカリ、サイボウズ、無印良品、ネット印刷ラクスル、freee、Sansan、ダイキン工業、日本M&Aセンター、楽々精算ラクス)。
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また、上記企業のポイントをまとめてさくっと知りたい方は、【成長企業の成長の理由】有名18社の直近決算と成長のポイントを解説を参照ください。
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