成長している企業には、様々な成長パターンがあります。
財務三表を比較すると、どのように資金調達し、集めたお金をどんなことに投資しているかがわかります。
また、売上総利益率を見ることで、儲かりやすい会社かどうかがわかりますし、販管費の額を見れば、広告宣伝費や人件費をどれだけ使っているかもわかります。
このような数字を見ることと、ネットで流れている様々な情報を集めることで、その会社の成長のポイントが見えてきます。
この記事では、各社の成長のポイントをまとめています。財務三表の分析含めて、詳しく知りたくなったら、リンク先の各社の記事に詳細を書いていますので参照ください。
この記事は、風土の違う5社での経験、数百名のマネジメント経験、100回を超える若手向け勉強会の講師をした経験を持つよしつが、記事を書いています。
(あわせて読みたい 「1枚の図」と「一言で要約+詳細解説」でビジネス基礎知識をわかりやすく解説)
有名企業の事例を知るメリット

上図は、会社の活動を表した一枚の図です。有名企業の事例を知ることで、会社の活動を深く理解できます。
特に成長している企業は、上図の何かが優れているから伸びているのです。この観点で以下の各企業の事例を読んでみて下さい。
(上図の説明は、「1枚の図」と「一言で要約+詳細解説」でビジネス基礎知識をわかりやすく解説を参照)
有名企業を読み解く
株式会社キーエンス
平均年収の高さで有名なキーエンスさん。人にお金を沢山出しても儲かる高い利益率の仕組みがあるのです。
- 他社にない圧倒的な商品力
- 最大効率で行われる営業
ポイントはこの2つです。キーエンスさんはよく営業力が強みと言われていますが、あくまで商品が強いのです。営業担当は顧客ごとの企画書は作りません。いかに強い商品を早く高く売るかが大事だからです。
(詳しくは「キーエンスの高利益率の理由」をわかりやすく解説を参照)
株式会社ZOZO
ZOZO TOWNで有名な株式会社ZOZOさん。引き続き高成長を続けていますね。
- 30%を超える販売手数料率
- メーカーはZOZOの倉庫に商品を送るだけで、他の業務はすべてZOZOがおこなってくれる
- ただし在庫はメーカーのもの
商売のポイントは上記3つです。消費者とメーカーをつなぐマッチングビジネスですが、高い手数料を取っています。ただ、商品を届けるスピードにこだわるために、ZOZOさん自体の倉庫は持っています。ただし、商品自体の製造はメーカーなので販売できない場合のリスクは負いません。
(詳しくは「ZOZOの高成長と高い販売手数料の仕組み」をわかりやすく解説を参照)
メルカリ
個人対個人のマッチングサービスを展開しています。利用者増に伴い大きく成長しています。
- マッチングモデルで、法人ではなく個人から売上を上げる仕組み
- 「怪しい」「不安」を解決
- 売る側は手軽に出品でき、買う側は明確な金額が表示され即決できる
- 潤沢なキャッシュを得る仕組みがある
この4点が高成長の主たる理由です。個人対個人のマーケットを創ることで大きな収入を得つつ、その過程で預り金として大きなお金を持つことができる仕組みがポイントです。
(詳しくは「株式会社メルカリ 高成長の理由」をわかりやすく解説を参照)
ビズリーチ(ビジョナル株式会社)
ビズリーチ(ビジョナル株式会社)は沢山のTVCMをおこなっていますね。
- 消費者(転職者)ファーストではなく、募集者(企業・人材会社)ファーストで事業構築
- ハイクラスのオープンにできない募集を、ひとつの場所に沢山集めた
ポイントは上記2点です。普通ビジネスを考える際は、消費者ファーストで考えるのですが、あえて募集者ファーストで事業構築したことで、結果消費者にとっても役立つサービスを作り上げました。
(詳しくはTVCMで有名な「ビズリーチの高成長の理由」をわかりやすく解説を参照)
サイボウズ株式会社
グループウェアでトップクラスのサイボウズさん。最近では、キントーンのTVCMが沢山流れていましたね。
- 大手企業から中小企業まで必要となるグループウェアを提供(マーケット大)
- クラウド化の波(マーケットの成長)にしっかり乗ったこと
ポイントは上記2つです。社内コミュニケーションの課題は大手中小関係なく、課題となります。その課題を解決するグループウェアをクラウド(当社はパッケージ)で提供したことで、高成長だけでなく高利益率も実現しました。
(詳しくは「サイボウズの高成長の理由」をわかりやすく解説を参照)
株式会社ラクス
楽楽清算等楽楽シリーズで有名なラクスさんが、高成長を続けています。
Saas系の会社の中では、事業運営開始後20年たっており、実は事業経験が豊富な会社です。
- 6つの事業を展開してること
- 6つの事業すべてで売上が伸びていること
- すでに20年以上の事業運営経験があること
この3点が高成長の理由です。Saas系の会社の中ではとても長い事業経験を持っており、ひとつひとつの事業を着実に伸ばしてきた結果、6事業を展開するだけでなく、すべての事業で売上を伸ばしています。
(詳しくは楽楽清算で有名「ラクス 高成長の理由」をわかりやすく解説を参照)
エムスリー株式会社
世間一般にはそれほど知られていないですが、医療業界では知らない人がいない高成長企業です。
2000年の創業から21年間で、なんと売上約1,700億円の企業となりました。たった21年です。
- 全国の医師の92%(約30万人)を自社サイトの会員にしたこと
- その接点を元に様々な事業を立ち上げたこと
ポイントは2つです。医師の92%を会員化できたことが一番の強みです。この背景には医師の「不」を見事に解決しました。だからこその92%の会員化です。後はこの会員組織を使って事業展開を多数行っていくことで高成長を実現しています。
詳しくは「エムスリー株式会社 高成長の理由」をわかりやすく解説を参照)
株式会社日本M&Aセンタ―ホールディングス
名前の通り、M&Aの仲介を行っている会社です。
・中堅・中小会社をターゲットに30年間事業をおこなっていること
・売り手買い手のニーズが集まる場所を押さえたこと
・コンサルタント(=営業)へのプレッシャー
この3点が高成長の理由です。M&Aがまだどちらかというときな臭い感じで捉えられていた時代から、全国のネットワークを作り、実績を重ねたことで大きく成長しました。
詳しくは、M&A仲介で躍進!「日本M&Aセンター 高成長の理由」をわかりやすく解説を参照
株式会社ワークマン
SNSで話題のワークマンさん。ワークマン女子などの言葉がはやっていますね。元々は職人の店ワークマンとして職人の方には知らない人がいない有名な会社です。
- 流行の影響が少ない特定分野でシェアを取ったこと
- 商品は変えずに違うターゲット開拓に成功したこと
ポイントは上記2つです。職人のマーケットで「不」を見事に解消する商品を提供し、シェアNO1になったことと、同じ商品を違うターゲットに展開したことが高成長の理由です。
(詳しくはワークマン女子で話題「ワークマン高成長の理由」をわかりやすく解説を参照)
株式会社オービック
オービックさんは、システム構築会社ですが、フルオーダーメイドにしないことで、超高利益率を実現しています。なんと、27期連続営業利益が増益で、利益率も右肩上がりで上昇しています。
- 特定の業界及び企業規模に絞った
- フルオーダーメイドが基本のシステム構築会社なのに、パッケージ化に成功した
ポイントは上記2つです。システム構築会社なのに、パッケージ化を実現したことと、それを実現するために、特定企業規模にターゲットを絞ったことが高成長・高利益率を実現したポイントです。
(詳しくは実はすごい会社「オービックの高利益率の理由」をわかりやすく解説を参照)
Sansan株式会社
Sansanさんは、名刺を軸に営業DX全般のサービスを提供する「Sansan事業」、請求書オンライン受け取りサービス「Bill One事業」個人需要に対して「Eight事業」としてサービスを提供しております。
名刺の運用に関して様々な「不」があったことは誰もが気づいていました。でも、解決できませんでした。この「不」に対して課題解決したのがSansan株式会社です。そして今は、名刺をコアに営業DXサービスを展開しています。
- 社会人であれば誰もが困る名刺の「不」を解決したこと
- 名刺をデータ化する技術を作り上げたこと
- 一度使うとやめられなくなるサービスであること
- 名刺サービスの顧客接点を基盤にサービス拡大していること
この4点が高成長の主たる理由です。名刺をデータ化する仕組みを開発し、一度使うとやめられないサービスを創りました。
(詳しくは「Sansan株式会社 高成長の理由」をわかりやすく解説を参照)
ダイキン工業株式会社
エアコンなどの空調メーカーであるダイキン工業さんが、高成長を続けています。22年3月期で初めて売上が3兆円を超えました。なんと、この10年で2兆円近く売上を伸ばしています。
- 単一事業に絞った事業展開をおこなったこと
- 世界に進出し、販売体制を自前にしたこと
- 上記のリスクをとって事業展開を実行したこと
この3点が高成長の理由です。特に3です。腹を決めて全世界に進出するという決断と、実行力がすべてです。中々真似のできる判断ではないです。
(詳しくは「ダイキン工業 高成長の理由」をわかりやすく解説を参照)
ABC-MART(株式会社エービーシー・マート)
小売業は一般的には低利益率だと言われています。ただ、ABCマートさんは、実はかなり利益率が高いのです。実は小売業というより、製造業に近い会社です。
- 売上の75%は自社生産もしくは、メーカーとの共同開発商品を販売している
- その商品を大量販売できる店舗網を持っている
ポイントは上記2つです。他社の商品を単純に仕入れて販売するのではなく、自社生産や共同開発をメインしており、その商品を大量に販売するための店舗網を作り上げたことがポイントとなります。
(詳しくは「ABCマートの高利益率の理由」を超わかりやすく解説を参照)
モノタロウ(株式会社MonotaRO)
約20年で1,900億円の売上を上げる企業に成長したモノタロウさん。中小企業の工場・現場関係者の「不」を取り除くサービスを展開しています。ものすごい品揃えです。
- 1,800万点の品揃え
- 在庫品は当日15時までの注文で即日発送
- 価格の透明性を確保
- これらにより、中小企業の購買の不を解決したこと
ポイントは上記4つです。中小企業の「不」を1800万点、即時発送、価格の透明性で解消したことがポイントです。
(詳しくは「モノタロウ 高成長の理由」をわかりやすく解説を参照)
無印良品(株式会社良品計画)
無印良品で有名な良品計画さんですが、様々な強さを持っています。その中で、どこよりもすごいことがあります。なんと、全2,000ページにも及ぶ「MUJIGRAM」というマニュアルを作成しているのです。
- 各店舗・本社各部署のノウハウがすべて文章化されている
- 定期的に加筆修正が行われている
時勢柄の影響を受けたものの、しっかり成長しているのは上記がポイントです。ノウハウを人に付けるのではなく、会社に付けているのです。人が変わっても成長できる仕組みが、ちゃんと構築されています。
(詳しくは「良品計画(無印良品)のマニュアルのすごさ」をわかりやすく解説を参照)
株式会社出前館
決算数字を見ると大赤字の出前館さん。大量の広告宣伝や割引クーポンだけでなく、配達する人の確保でお金を使いまくっています。マーケットの成長期にシェアを確保し、将来的な果実を得るための投資です。
- 株の新規発行で大量に資金調達
- 広告宣伝及びデリバリー代行体制の構築にお金を使いまくっている
将来数社しか残らないとみているデリバリー代行マーケットで、徹底的な投資を行っています。大事なポイントは、新規の株がちゃんと購入されている(=期待されてる)ことです。
(詳しくは「大赤字でも大量CM実施」出前館のビジネスをわかりやすく解説を参照)
ラクスル株式会社
印刷会社に見えるラクスルさんですが、少し違うビジネスモデルで商売をしています。ラクスルさんも急成長しています。
- 工場の空いている時間を活用
- 複数顧客を同じ用紙でまとめて印刷
- 印刷前工程を徹底的に排除います
上記3点を強みに成長している印刷通販マーケットで成長しています。印刷会社ではなく、印刷商社です。
(詳しくはネット通販印刷「ラクスルのビジネスモデル」をわかりやすく解説を参照)
freee株式会社
クラウド会計ソフト分野でマネーフォーワードさんと熾烈なシェア争いをしているfreee(フリー)さん。ずっと高成長しているのに、ずっと赤字です。
- 赤字でも、お金を集めることができている
- 顧客獲得のために集めたお金を使えるだけ使っている
普通赤字ならお金を集めることが難しくなります。ただ、今は顧客獲得が何よりも大事(将来的に利益を見込める)と、社内外とも考えているからです。それほど将来性が見込めるマーケットに対するサービスを提供しています。
(詳しくは「freee株式会社 高成長なのに赤字の理由」をわかりやすく解説を参照)
現象から見る会社の傾向
エクセルが使えない人が多い会社
エクセルが使えない人が多い会社、エクセルを使っていても、ワード・パワポ代わりの使用が多い会社の特徴があります。
- 数字で物事を語る習慣(=事実を事実としてとらえる習慣)がない
使う必要がないし、使うように求められないためエクセルのスキルが上がらないのです。数字ではなく感覚値や形容詞や過去の経験が大事な会社です。古い会社で、衰退していっている会社に多く見られます。
(詳しくは会社の見方「エクセルが使えない人が多い」をわかりやすく解説を参照)
ビジネスの知識を増やすには、本を読むことがおススメです。
本を読む習慣がない方は、プロのナレーターが朗読した本をアプリ等で聴けるサービスがおススメです。詳しくは以下の記事を参考にして下さい。

オーディオブック2強「Amazon Audible」「audiobook.jp」を徹底比較はこちら
何回も読んだおススメ本の紹介は以下を参照下さい。

何回読んでも学べた本厳選!ビジネスに役立つおすすめ本はこちら
記事一覧から探したい場合はこちら

用語から検索したい場合はこちら
