グループウェアでトップクラスのサイボウズさん。最近では、業務アプリサービスのキントーンに力を入れています。
グループウェアでシェアを取ったあと、ノーコードで業務アプリが作れるサービスを投入し、更なる事業拡大を狙っています。
この記事では、サイボウズさんがなぜ成長できているのか?また、利益率が高い理由は何か?について最新決算含めてわかりやすく解説します。
この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つよしつが実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい 【成長企業の成長の理由】有名18社の直近決算と成長のポイントを解説)
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高成長と利益率が高い理由
・すべての企業で必要となるグループウェアを提供
・クラウド化の波(マーケットの成長)にしっかり乗ったこと
・利益と借り入れで得た現金でキントーンに積極投資
この3点が高成長及び利益率が高い理由です。
まずは、決算で発表されている財務三表を元にどんな会社かを解説した後に、上記をそれぞれを解説します。
サイボウズ財務三表から見るとどんな会社?
まずは、サイボウズさんがどんな会社か?を公表されている財務三表を元に見てみます。
会社とは「現金を使って現金を増やす行動」をおこなっており、その行動は以下の流れです。
・お金を集めて投資する(貸借対照表B/S)
・投資したのものを使って売り上げ、費用を引けば利益(損益計算書P/L)
・上記の結果、現金が増えたのかどうかを把握する(キャッシュフロー計算書C/F)
(詳細は、本質を一言で表現!「会社とは何?」をわかりやすく解説を参照)
この流れに現在の業績を加えて順番で見ていきましょう。
サイボウズの2023年12月期の公表されている決算短信を元に説明していきます。
https://cybozu.co.jp/company/ir/financial/pdf/240213.pdf
注意点ですが、数字の単位が万円や億円ではなく、百万円となっています。
財務諸表等では、例えば10,000,000円=1,000万円はカンマごとで切られて表示される場合がほとんどです。
具体的には単位が百万円の場合、10とだけ表記=10百万円=1,000万円や10,000=10,000千円=1,000万円と表示されます。
表の右上等に表記の単位が記されていますので、見る癖をつけることと、この表記に何とか慣れましょうね。
ちなみに、この記事ではわかりやすいように、万円・億円かつ数字を丸めて表記します。
直近の業績
売上254億円(昨年221億円)、売上総利益231億円(昨年201億円)、営業利益34億円(昨年6億円)です。
特筆すべきは、以下2点です。
・売上昨年比15%UP
・売上総利益率(=粗利)91%
売上は昨年比15%UPと伸びています。ちなみに10年前の2014年12月期の売上が52億円なので、10年間で5倍近い売上になっています。
売上総利益率(=粗利)はなんと91%です。SaaSビジネスの特徴であるとても高い売上総利益率をたたき出しています。100万売り上げたら、91万が売上総利益となります。
お金を集めて投資する(貸借対照表B/S)
(貸借対照表の見方は「貸借対照表(B/S)」超簡単解説&使い方紹介を参照)
お金を集める
どのようにお金を集めているのでしょうか?貸借対照表の右側ですね(決算短信6.7P参照)。
今までの利益を積み上げた利益余剰金で58億(全体の30%)となっています。短期借入・長期借入はありません。
今期は、自己株式を処分した結果、資本余剰金が50億円となりました(昨年10億円)。
投資する
どう投資しているのか?貸借対照表左側です。
クラウドサービス用のサーバー費が大半を占める工具、器具及び備品で90億円(昨年73億円)、現金で65億円(昨年51億円)です。
投資したものを使って売り上げ、費用を引けば利益(損益計算書P/L)
(損益計算書の見方は「損益計算書(P/L)」超簡単解説&使い方紹介を参照)
どれだけの売上と利益が出ているか?を再度見てみます(決算短信8.9P)。
売上254億円(昨年221億円)、売上総利益231億円(昨年201億円)、営業利益34億円(昨年6億円)です。売上総利益率は91%です。
販管費で目立つのが、人件費に88億円(昨年79億円)、広告宣伝費で43億円(昨年65億円)です。
人を増やすことと、広告費を40億円以上使って顧客開拓をおこなっています。
上記の結果現金が増えたのかどうかを把握する(キャッシュフロー計算書C/F)
(キャッシュフロー計算書の見方は「キャッシュフロー計算書(C/F)」超簡単解説&使い方紹介を参照)
キャッシュの増減を見てみます(決算短信12P)。
期末残高が昨年51億円でしたが、65億円に増えました。当期利益増と自己株式処分による収入が増えた結果です。
サイボウズはどんな売上獲得のモデル(ビジネスモデル)か?
(モデルの詳細は「売上獲得のモデル(ビジネスモデル)は3つ」をわかりやすく解説を参照)
直接提供モデルで自社製品を販売するモデル
普通は1社増えるごとに、販売する商品を作るための原価も同じく増えるのですが、サイボウズさんのモデルは原価がほぼ増えません。
出来ているシステムに、新しい顧客が入って使用するだけです。容量さえクリアできれば、使用人数が増えることでの原価アップにはならない仕組みです。
したがって、高い売上総利益率になります。
その上、一旦顧客に導入されると、他社に変更されるリスクはとても少なくなります。サイボウズの使い勝手になれることと、わざわざ変更するほどの大きな問題が発生しずらいからです。
したがって、競合と戦いながら早くシェアをとるために、人件費と広告宣伝費という販売費に大きく投資しているです。
高成長と利益率が高い理由の詳細解説
・すべての企業で必要となるグループウェアを提供
・クラウド化の波(マーケットの成長)にしっかり乗ったこと
・利益と借り入れで得た現金でキントーンに積極投資
上記3つをそれぞれ解説します。
すべての企業で必要となるグループウェアを提供
大手だけでなく、中小企業も対象となる商品
グループウェアってとっても便利です。他の人のスケジュールが把握でき、様々な情報共有や情報ストックもできます。
この便利さは、業種や会社の規模に関係なく享受できますので、ターゲット企業数はとても多くあります。
また、一度グループウェアを導入すると、解約されることがとても少ない。
「サイボウズで共有しておいて!」や「サイボウズのスケジュールに入れておいて!」などの会話が普通となり、完全に業務フローに組み込まれてしまうからです。
クラウド化の波(マーケットの成長)にしっかり乗ったこと
パッケージ版は残しつつ、クラウド版をベストなタイミングで投入した
一気に様々なサービスがクラウド化していきましたが、その波にしっかりと乗りました。
サイボウズさんがクラウドサービスを始めたのは2011年11月ですが、マイクロソフトさんのoffice365が投入されたのが2011年6月です。
事前に準備をちゃんとしていたのでしょう。誰もが知るマイクロソフトさんがクラウドサービスを投入し、世間がクラウドサービスを認知したタイミングでマーケットにクラウドサービスを投入しています。
また、クラウド化は企業に大きな収益をもたらします。
当初提供していたパッケージ版は、ダウンロードする際にお金を払えば終わりですが、クラウド版は毎月月額をユーザー数分課金できるので、大幅な売上拡大となります。
すでに取引のあるパッケージ版を購入してくれた会社に、クラウド版に変更してもらうだけでなく、新規顧客は、サーバー運営等の手間が全くかからないクラウド版を導入してくれます。
セキュリティのリスクに慎重な会社には、そもそも販売していたパッケージ版を買ってくれます。
同じ機能ですが、2つの顧客層に販売できますし、クラウド版が多くなればなるほど、売上総利益率が高い商品を買ってくれる=儲かることになります。
利益と借り入れで得た現金でキントーンに積極投資
更なる商品拡大
現在、サイボウスさんは、「キントーン」に徹底的に投資しています。「ノーコードで業務アプリが作れる」で有名です。
サイボウズのグループウェア導入会社にキントーンをすすめるだけでなく、TVCM等で認知を上げ、新しい顧客開拓をおこなっています。
現在32,800件(昨年27,500件)と大幅増となっています。売上は、130億円となり、全社売上の50%を超えています。
サイボウズOfficeがメインと思っていたら、すでにキントーンで半分以上の売上となっています。積極投資を今期もしていきますので、1年後はもっと増えているでしょう。
サイボウズ高成長・高利益率の理由のまとめ
・すべての企業で必要となるグループウェアを提供
・クラウド化の波(マーケットの成長)にしっかり乗ったこと
・利益と借り入れで得た現金でキントーンに積極投資
このように書くと当たり前なのですが、当たり前のことを当たり前に行う、当たり前ではない会社が成長するのですね。
社長自ら、育休を3回取ったことでも有名はサイボウズの社長青野さんが、どんな考え方で経営をしているか?会社を成長させる上でのエッセンス満載な本です。
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また、上記企業のポイントをまとめてさくっと知りたい方は、【成長企業の成長の理由】有名18社の直近決算と成長のポイントを解説を参照ください。
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