「人事評価(人事考課)の目的」をわかりやすく解説

④ビジネス基礎知識

人事評価って直接収入に関わる判断なので、とっても大事なことです。

でも、どの会社も目的自体が結構不明確なのです。だから、正しく機能していない場合が多く見受けられます。

この曖昧さが、人事評価に納得感が中々持てない根本原因です。

この記事では、人事評価について解説します。理解を深めやすいように、人事評価を受ける人の視点・評価する人の視点両方を記載することで、人事評価に対する理解を深めてもらえるようにしています。

この記事は、全く風土の違う5社で働き、様々な人事評価を評価する側、評価される側両方を経験したからこそわかる よしつ が、人事評価を、できるだけわかりやすく記事を書いています。

※ここでは、「人事評価」と「人事考課」を同じものとして扱います。

(あせて読みたい 知っておきたいビジネススキル向上のための基礎知識をまとめてわかりやすく解説

人事評価(人事考課)の「目的」

人事評価の目的は、

「従業員が組織に貢献すること」と「従業員自身が成長すること」を同時に実現すること

よく、給与や賞与を決めるため、公平性を保つためなど人事評価の目的と表現していますが、私はそうは思っていません。

給与や賞与を人によって変えることや公平性を保つことはあくまで方法であって、目的ではないと考えるからです。

人事評価(人事考課)の「詳細解説」

人事評価(人事考課)はあくまで手法です。

目的があり、その目的を実現する方法を制度設計したものが人事評価です。

人事評価(人事考課)の前提

人事評価(人事考課)を制度として実施する前提として従業員に、

  1. 組織貢献してほしいか
  2. 成長してほしいか
  3. 貢献度合いで報酬を変えたいか

を経営が従業員に求めるかどうか?を決める必要があります。

当たり前すぎるかもしれませんが、この判断により人事評価の方法が大きく変わります。

1、2はそもそもの目的なので、これを求めないのであれば、人事評価制度自体を行う必要はありません。

1、2を求め、かつ3を行う場合に、しっかりした制度設計の必要が出てきます。

評価される人は、この3つを行いたいと経営が判断しているから、人事評価があると考えてください。

従業員が組織貢献するためには?

従業員が組織貢献するためには、まずは、従業員への適切な仕事の分配(分業)を行うこと。

そして、従業員がそれを認識し、その仕事をやりきってくれることが大事になります。

従業員が成長するためには?

従業員が成長するためには、仕事における課題解決経験をいかに積むか?がポイントとなります。

(詳しくは、仕事の本質である「課題解決の考え方」についてわかりやすく解説を参照)

実経験から「沢山」学ぶためには、本人だけに任せるのではなく、周り(上司・同僚)がサポートすることで1経験あたりの学びを大きくすることが大事になります。

評価される人、評価する人それぞれの行動

上記を評価される人評価する人別に表記すると以下になります。

評価される人

  • 自分がやるべき分業内容を把握する
  • その分業内容を期間内に実行する
  • その経験を成長につなげる

評価する人

  • 各人への分業内容を設計する
  • 設計した分業内容を理解してもらう
  • メンバーの実行をサポートする
  • メンバーの経験を成長につなげる
  • この経験で自分自身も成長する

会社組織を作る本質は分業です。

会社組織とは他人の集まりだから、阿吽の呼吸に頼るのではなく、分業の仕組みやルールを作り込む必要があるのです。

(詳しくは「会社組織の本質とは?」をわかりやすく解説を参照)

その打ち手の一つが、人事評価(人事考課)制度なのです。

評価される人の行動詳細

自分がやるべき分業内容を把握する

まずはここからスタートです。自分に与えられる目標を明確に把握しましょう。もし、この時に不明瞭だったら、各論を上長に確認しましょう。

自分がこの内容で動けるのか動けないのかをイメージしてみましょう。そしてイメージできるまで確認しましょう。

その分業内容を期間内に実行する

分業内容を理解したら、目標に向かって実行し、結果を出す。皆さんが給与をもらっている理由となります。

自分の役割=ミッションを実行するのは、雇われた人の責任です。ここは、働いて給与をもらう以上、コミットして下さい。

このことを後押しする、評価結果に対する給与や賞与の増額を目指して頑張りましょう。

その経験を成長につなげる

この部分が一番大事です。会社は皆さんに給与を払ってくれて、かつ 経験をさせてくれます。

その経験を自分の成長に活かしてください。自分の力をつけることが今後の自分を守る最大の武器となります。

経験を積まないと絶対に成長できません。その機会をいだけるのです。

事前に目標を決めて実行する。実行した結果を振り返り改善する。まさにPDCAです。

(PDCAの詳細は「PDCAサイクル」を超簡単解説&使い方紹介を参照)

このPDCAを、自分だけでなく、上司も巻き込んで行うことで、自分の成長につなげてください。

成長=市場価値の向上=転職会社の選択肢増となります。

評価する人の行動詳細

各人への分業内容を設計する

分業内容を設計することが、評価をおこなう人=部課色々ありますが、組織の長となる人の責務です。

組織の長の本質は、人を通して成果を出すことです。

そして組織の長のミッションは、

  1. 与えられた組織で結果を出すことと
  2. 組織力(全体・個人)を上げること

の2つを同時に行うことです。

そのために、誰に何をおこなってもらうことが、「従業員が組織に貢献すること」と「従業員自身が成長すること」を同時に実現できるのか?を考えることが最初の第一歩となります。

設計した分業内容を理解してもらう

分解した業務を各人に伝えるだけでなく、理解してもらうことが大事になります。そのために文章にすることが大事です(見せる見せないはどちらでもいいです)。

「文章が下手です」は単純に言い訳です。単に、文章に落とすことができるまで、各論で考え切れていないのです。だから、文章化できるまで考え切ることが大事になります

メンバーの実行をサポートする

これも人の上に立つ人が苦労します。自分でやればできるのです。でも、自分の部下は出来ない。

自分でやった方が早いし、答えを教えてあげた方が早い。でもそうすると成長しない。

とはいえ、組織目標を達成するには、時間が限られているからゆっくりもできない。

この二律背反問題をどう解くのかが、人の上に立つ人に課せられた仕事です。

メンバーの経験を成長につなげる

経験を成長につなげる上で、一番大事なことは、本人が気づいてないことを気づいてもらうことです。

例えば、良い行動をしたために良い結果が出たのに、本人がその行動を認知していない場合がある。

これを言語化して気づかせてあげることで、大きな成長となります。

この逆で悪い行動をしたために、悪い結果となった場合も同じです。気づかせてあげてください。

この経験で自分自身も成長する

上記のようなことを考えて実行することで、実はとっても貴重な経験を積むことができます。

自分だけを考えればよかったメンバー時代ではなく、これが人の上に立ったからこその悩みでもあり、苦しみでもあり、楽しみでもあります。

この経験から学んでください。簡単には人は動いてくれないことを。そして、言っていることが理解されないことを。

評価する人の行動を評価される人から見る

評価される皆さん、評価する人はこのようなことを考えています。

ちゃんと目標内容を明確にしてくれて、実行をサポートしてくれて、気づかないことを気づかせてくれる上司に当たったら、ラッキーです。

そのラッキーなことを生かして、自分自身の成長のために、会社の目標を追いかける経験から多くを学んでください。

もし、このような考え方が反映されていない人事評価制度であれば、自分で頑張るか、転職を考えることも今後の自分のための選択肢となります。

(20代で転職を考える際は20代で転職「転職の判断基準と会社選びの方法」厳選8つをわかりやすく解説を参照)

ひとつ注意点です。人事評価制度がしっかりしている会社は、プライム(旧東証一部)の上場企業でも実はそれほど多くないのも事実です。

それだけはわかっておいてください。

人事評価(人事考課)の「まとめ」

人事評価の目的は、

「従業員が組織に貢献すること」と「従業員自身が成長すること」を同時に実現すること

すべての出発点はこの目的です。組織に所属することで、組織の貢献と自分自身の成長の機会としてください。

最後に大事な視点をお伝えします。会社に雇ってもらっていることは上下の関係ではないです。

対等な関係であることを心のどこかに持つこと。主従ではなく、対等です。

そうすると、人事評価の目的の意味が理解できますし、そのように行動することが、あなたをより成長させてくれます。

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