エアコンなどの空調メーカーであるダイキン工業さんが、高成長を続けています。
25年3月期で売上が4兆7,523億円となりました。なんと、この大きな金額で昨年比8%も伸ばしています。
ダイキン工業は化学事業で2,630億円の売上がありますが、売上の大半を占めるのは空調事業です。
全体の約95%が空調事業であることから、「ほぼ単一事業」と表現できます。
この記事では、この空調事業に特化した経営戦略がなぜ成功したのか、最新の決算を交えながら分かりやすく解説します。
この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つ「よしつ」が実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい【企業実例研究】成長企業の成長理由)
ダイキン工業 高成長の理由とは?
・単一事業に絞った事業展開をおこなった
・世界に進出し、販売体制を自前で構築
・上記のリスクをとって事業展開を実行した
この3点が高い成長率の理由です。
ダイキン工業はどんな会社?
全世界170カ国に事業所を持つ「空調」「化学」「フィルタ」を柱に事業を展開している会社です。
国や地域ごとに異なる文化・価値観から生まれるニーズに応え、多彩な製品とサービスをグローバル市場で展開しています。
ダイキン工業を財務三表から見るとどんな会社?
まずは、ダイキン工業株式会社さんがどんな会社かを公表されている財務三表で見てみます。
会社とは「現金を使って現金を増やす行動」をおこなっており、その行動は以下の流れです。
・お金を集めて投資する(貸借対照表B/S)
・投資したのものを使って売り上げ、費用を引けば利益(損益計算書P/L)
・上記の結果、現金が増えたのかどうかを把握する(キャッシュフロー計算書C/F)
(詳細は「会社の本質は何?」を超わかりやすく解説を参照)
上記の流れに現在の業績を加えて見ていきましょう。
ダイキン工業さんの、2025年3月期の公表されている、決算短信を元に説明していきます。
上記の場所から、2025年3月期決算短信をご覧ください。
決算短信では、数字の単位が「百万円」で表記されています。
例えば、1億円は「100百万円」と記載されるので注意が必要です。
記事内では、分かりやすさを重視し、億円単位に統一して解説します。
直近の業績
売上は4兆7,523億円(昨年4兆3,953億円、一昨年3兆9,816億円)、売上総利益1兆6,267億円(昨年1兆5,097億円、一昨年1兆3,315億円)、営業利益は4,017億円(昨年3,921億円、一昨年3,770億円)です。
売上、売上総利益、営業利益すべてにおいて昨年を上回り、過去最高の成績となっています。
お金を集めて投資する(貸借対照表B/S)

(貸借対照表の見方は「貸借対照表(B/S)」超簡単解説&使い方紹介を参照)
お金を集める
どのようにお金を集めているか見てみましょう。貸借対照表の右側です(決算短信8.9P参照)。
集めたお金の40%である2兆683億円(昨年1兆8,962億円、一昨年1兆7,122億円)が、過去の利益の積み上げである利益余剰金です。
銀行等から借り入れる短長期借入金で5,345億円(昨年5,581億円、一昨年4,677億円)あるものの、返済義務のない株主からの投資などの自己資本比率は55%を超えています。
売上・利益とも大きく伸ばしているため、利益余剰金が大きく積み上がっています。
投資する
貸借対照表の左側を見ると、ダイキン工業がどのように資金を運用しているかが見えてきます。
注目すべきは、過去の利益の積み上げである利益余剰金や、銀行からの借り入れなどを使って、現金や売掛金、製品在庫、設備などへ積極的に投資していることです。
また、M&Aを多数行っているため、買収した会社のブランド力やノウハウといった無形資産である「のれん」も多額に計上されています。
具体的な数字は、現金で8,026億円(昨年7,380億円、一昨年6,177億円)、受取手形、売掛金及び契約資産で8,565億円(昨年8,153億円、一昨年7,063億円)、商品及び製品で7,092億円(昨年6,964億円、一昨年6,683億円)、建物及び構築物で5,244億円(昨年4,227億円、一昨年3,501億円)となっています。
のれんは2,663億円(昨年3,066億円、一昨年3,043億円)となっています。
現金を沢山持っています。空調事業のビジネスマーケットに強いので、法人企業との取引額が大きいため売掛金が多額です。また、在庫である商品及び製品を多く抱えています。
投資したのものを使って売り上げ、費用を引けば利益(損益計算書P/L)

(損益計算書の見方は「損益計算書(P/L)」超簡単解説&使い方紹介を参照)
次に、どれだけの売上と利益が出ているかを再度見てみます(決算短信10.11P)。
売上は4兆7,523億円(昨年4兆3,953億円、一昨年3兆9,816億円)、売上総利益1兆6,267億円(昨年1兆5,097億円、一昨年1兆3,315億円)、営業利益は4,017億円(昨年3,921億円、一昨年3,770億円)です。
売上、売上総利益、営業利益すべてにおいて昨年を上回り、過去最高の成績となっています。
上記の結果現金が増えたのかどうかを把握する(キャッシュフロー計算書C/F)

(キャッシュフロー計算書の見方は「キャッシュフロー計算書(C/F)」超簡単解説&使い方紹介を参照)
キャッシュの増減を見てみます(決算短信14.15P)。
期末残高は6,581億円(昨年6,340億円、一昨年5,482億円)となっています。
ダイキン工業はどんな売上獲得のモデル(ビジネスモデル)か?

(モデルの詳細は「売上獲得のモデル(ビジネスモデル)は3つ」をわかりやすく解説を参照)
直接提供モデル
日本での空調事業から始まり、世界各地で空調サービスを展開しています。他には化学事業を展開しております。
ダイキン工業 高い成長率の理由を「詳細解説」
・単一事業に絞った事業展開をおこなった
・世界に進出し、販売体制を自前にした
・上記のリスクをとって事業展開を実行した
ポイントとなる上記3つをそれぞれ解説します。
単一事業に絞った事業展開をおこなった
全世界で空調事業に絞って事業展開
空調事業としてエアコンの単一事業に絞り事業展開を行ったことが大きなポイントです。
絞ると失敗した時に取り返しがつかないので、大きなリスクとなります。
ただ、決断し徹底的にエアコンに投資し続けたことで、今の地位を獲得しました。
空調事業と言えば、家庭用のエアコン、店舗用のエアコン、業務用(ビル等)のエアコンがあります。
日本では、パナソニック、三菱電機、日立、東芝が競合となりますが、すべて総合家電メーカーです。ダイキン工業さんだけが専業です。
その上、日本市場は飽和状態となっているので海外進出をおこない、今や、ヨーロッパ、中国、アメリカ、アジア、オセアニア、中近東、アフリカとほぼ全世界で事業展開をしています。
空調事業は、全世界でニーズがあります。但し、各国での法律や気候条件、電気環境等の条件が様々で、各国向けに対応しないといけないことが大きな課題となります。
ただ、リスクを取って、エアコン専業で全世界に進出し、各国に適応した商品を現地で開発製造する戦略を取り大成功しています。
世界に進出し販売体制を自前で構築
自前で販売体制を構築
もうひとつ大事な選択をしています。販売体制を自前で構築したことです。
こちらも、当然大きな2つのリスクを背負います。
一つ目は、代理店網であれば自前より構築しやすいですが、自前の販売体制だと時間がかかります。
これだけの国に販売体制を構築することを考えた場合、各国の考え方、環境、商習慣すべてが違います。販売体制を構築できずに売上が上がらないリスクを背負います。
2つ目は、構築できたとしても、販売がちゃんとできないと専属の販売体制なのですぐに販売体制が崩壊します。すべては、ダイキン工業の製品販売に依存するためです。
このリスクに対して、エアコン専属の強みを生かして、店舗用、業務用、家庭用及び、低価格・中価格・高価格モデルを展開しました。
更に製品バリエーションを広げるだけでなく、各製品の競合優位性=商品力も担保しました。
その上、エアコン自体の販売だけでなく、定期メンテナンスや、調子が悪いとすぐに対応しないと大変困るエアコンの特性で、アフターサービスのマーケットが大きいことを活かした事業展開を行います。
上記のリスクをとって事業展開を実行したこと
リスクを取って全世界で事業展開
高成長の最大のポイントは、エアコン事業への特化と、自前の販売体制構築という、とても大きなリスクを取った経営判断にあります。
成功した今だからこそ、これらの戦略が正しかったと言えますが、当時、この決断は決して簡単なものではなかったはずです。
それでも、腹を据えて全世界に進出し、それをやり遂げるだけの実行力があったからこそ、今日のダイキン工業の成長につながっているのです。
ダイキン工業 高成長の理由のまとめ
・単一事業に絞った事業展開をおこなった
・世界に進出し、販売体制を自前で構築
・上記のリスクをとって事業展開を実行した
繰り返しとなりますが、3の判断を行って、腹を決めて全世界に進出するという決断と、実行力がすべてです。簡単にできる判断ではなかったはずです。
ただ、この判断が今のダイキン工業さんの成長につながっています。
他にも「企業実例研究」で以下の会社の記事を書いています。参照下さい。
- 「キーエンス」
- 「ZOZO」
- 「メルカリ」
- 「オービック」
- 「ビズリーチ」
- 「サイボウズ」
- 「ラクス(楽楽清算等)」
- 「エムスリー」
- 「日本M&Aセンター」
- 「ワークマン」
- 「Sansan」
- 「ダイキン工業」
- 「ABCマート」
- 「モノタロウ」
- 「良品計画(無印良品)」
- 「出前館」
- 「ラクスル」
- 「freee」
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