パレートの法則とは、ビジネスにおける経験則を法則化したものです。
28(ニッパチ、ニハチ)の法則と言われたり、80:20の法則とも言われます。
色々な場面で使える法則であり、知っていることで、問題の根源=課題を見つけるスピードが上がります。
この記事では、パレートの法則とは何か?及び使い方をわかりやすく解説します。
この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つよしつが実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい、ビジネスフレームワーク・法則を用途別に分けて紹介)
パレートの法則(28の法則)とは?
・上位2割で全体の8割を占める
・イレギュラーがすぐわかる
この2つがパレートの法則(28の法則)の意味と使い方です。
何かの集まりを分析した場合、2割で8割を占めていることが多く出現します。
例えば
売上上位2割の顧客で8割の売上を上げている
売上上位2割の商品で8割の売上を上げている
などです。
この経験値を法則化したものがパレートの法則(28の法則)です。
パレートの法則(28の法則)はどんな時に使える?
問題発見と課題設定で使えるフレームワーク
「普通はこのようになる」というのがビジネスの法則です。対象と法則との差異を見ることで、基本的な問題点と解くべき問題=課題がわかります。詳細は後述します。
パレートの法則(28の法則)の詳細解説
パレートの法則を詳細に解説していきます。
パレートの法則(28の法則)の別名は?
呼び名が沢山あるめずらしい法則
パレートの法則、28(にはち)の法則、28(にっぱち)の法則、80-20(はちじゅうにじゅう)の法則、ばらつきの法則が代表的です。
同じ法則のことを言ってますので、ここでは、パレートの法則(28の法則)という表記で統一します。
パレートの法則(28の法則)の提唱者は?
イタリアの経済学者ビルフレッド・パレートさん
所得分布に関する法則として発見していますが、所得以外のことにも当てはまることが多いため、様々な場面で使われるようになりました。
上位2割で全体の8割を占める
売上総額が1,000万、取引会社数10社の場合、各社ごとの売上は上図のようになり、上位2社で80%(=800万)を占めます。
必ずこのようになる法則というわけではないのですが、多くの場合、上位2割の会社で、全体の売上の8割を占めるのです。
売上総額1,000万円で10社なので、平均100万円となりますが、基本的に10社とも100万円の取引額にはなりません。
この法則を知っているとイレギュラーがすぐわかる
この法則を知っていると、とても便利です。
なぜなら、様々な分布は基本2割で8割になるという仮説で物事を見た時、イレギュラーとなることがすぐにわかるからです。
例えば上位1割の会社で、9割の売上を占めていたら、通常とは違うということがわかります。
違うということがわかったら、何か問題があるかも?ということに気づくことができます。
上記で言えば、「上位1社に売上が集中していて、その1社の取引に依存していて危険だ」と仮説立てできます。
もし、この法則を知らなかったら、上位1割の会社で、9割の売上を占めている事実を見ても、おかしいかも?とは気づかず、問題を見逃してしまう可能性があります。
パレートの法則(28の法則)の使い方
「普通はこうなるのに、そのようになっていないのは何かある!」
と仮説を立てることができるため、課題にたどり着くスピードを上がることができます。
使い方の具体例
基本形の仮説立て
先ほどの例の売上総額1,000万円の会社で10社の取引があるとします。
どのような分布になるでしょうか?と聞かれたら、この法則を知っていると、上図のような分布になることが想像できます。
取引上位会社からなだらかに売上が下がっていくことと、2社で8割の売上を上げることがイメージできます。
実データを作成
次に実際のデータでグラフを作ってみます。そうすると、上図のようなグラフになったとします。
直観的に良くないことはわかると思いますが、パレートの法則(28の法則)を知らなければ、どれ位悪いかをイメージできません。
原因を仮説立てする
2割で8割となるグラフと上記のグラフを見比べると、上位1社で9割の売上を上げており、2位以降はほぼ同じ売上ということがわかります。
普通は2社で8割だから、仮に1位の会社の売上が0となれば、売上は半減です。
でもこの会社は、1社で9割となるので、この1社の売上が0となると、売上は9割減となります。
1社の比重が高すぎて、とても大きなリスクを抱えていることがわかります。
更に、このような現象が起きると何が想定されるか?を仮説立てします。
1社の比重が高いという現象から
- 値引き要求は受けているだろうから、利益率はかなり悪いのでは?
- エース級の人材は、すべてこの会社だけに関わっているのでは?
- 当社のサービスの価値で取引が大きければいいが、人間関係が取引理由ならかなりやばいのでは?
- 社内オペレーションが、この1位の会社を最優先しているのでは?
1社以外の取引額が低いという現象から
- 会社の提供している製品・商品・サービスが劣化しているから、2位以下の会社の取引額が低いのでは?
- 2位以下の会社に会社のリソース(営業力等)をかけていないので、伸びていないのでは?
- この現象を経営者はわかっているが、解決しようとしていないのでは?
パレートの法則(28の法則)を知っているだけで、色々な仮説がたちます。
これらの仮説を一つずつ検証していけば、ゼロベースで考えるより、かなり早く課題にたどり着くことできます。
この際に注意が必要なのは、1社で9割の売上を占めることが課題ではありません。単なる現象でしかありません。原因となる問題が何で、解くべき問題である課題がなにか?と考える必要があります。
現象と原因、問題と課題をまとめて表現すると以下の図となります。
(詳細は、人により定義が異なる「問題と課題の違い」をわかりやすく解説を参照)
例えば、この会社のオペレーションはすべてその1社の投入されており、それ以外の顧客への営業量が少ないこと、製品・商品・サービスが劣化している、市場では時代遅れになっているなど、原因の特定と解くべき問題である課題が設定できます。
パレートの法則(28の法則)の使用例
私は、今まで出向1回転職3回で5社で働いています。必ず新しい会社で働く初日にパレートの法則に従って、売上グラフを作ります。
そうすることで、上記のような仮説が沢山立ちますし、もうひとつ大事ことがわかります。
数字が出てこない会社があるのです。
売上数字がエクセルで使えるようになっていないことが5社中2社で体験しました。
数字が使える形で存在しないのです。あったとしても紙でしか残っていない場合もありました。
古い会社であれば、このようなことがよくあります。
そして、このような会社には全く同じ傾向があります。従業員のエクセル能力が極端に弱いのです。
文章表記としての使用はできますが、式を組むとかグラフを作るとかの能力がほぼないのです。
数字をもとに議論する文化がなく、定性情報だけで話をしているので、数字を加工する必要がないのです。
(詳しくは「エクセルが使えない人が多い会社」は悪い会社!をわかりやすく解説を参照)
パレートの法則をわかっておくと、上記のような現象が初日にわかるのです。
パレートの法則(28の法則) と似ている法則は?
262の法則と働きアリの法則
よく似た法則に262の法則と働きアリの法則があります。ともに組織は必ず上位2割、普通6割、下位2割の分布となるという法則です。
28の法則の8を6と2に区分けしています。
(詳しくは、必ずこの分布に「262の法則」をわかりやすく解説&使い方紹介を参照)
イノベーター理論
人を分類化した理論で、イノベーター理論があります。
「新しいもの好き」から「保守派」の人たちを5分類化。マーケットにどのように商品が広がっていくかを理論化したものです。
自分から新しい物を求める16%(イノベーター2.5%、アーリーアダプター13.5%)、自分からは新しいものを求めない84%(アーリーマジョリティ34%、レイトマジョリティ34%、ラガード16%)という風に区分け居ています。
28ではないですが、近しい数字の分類となります。
(詳しくは人を5分類化「イノベーター理論」についてわかりやすく解説を参照)
パレートの法則(28の法則)とロングテール
パレートの法則は過去の経験則を法則化していますが、最近のネットの台頭により、上位2割以外のニーズが少ない部分で、商売ができるようになりました。
ネット販売は、店舗の大きさで販売できる商品数が変わることと、営業担当の訪問できる量によって売上が変わるという制約を取り払いました。
その結果上図のように、上位2割以外での商売もできるようになりました。聞いたことがあると思いますが、ロングテールと言われるものです。
(詳しくは「ロングテール」をわかりやすく解説&使い方紹介を参照)
パレートの法則(28の法則)の「まとめ」
・上位2割で全体の8割を占める
・イレギュラーがすぐわかる
このようなよく知られた法則を沢山知っておくと、ゼロから考えることが減り、確からしい仮説を立てることができるようになります。
このような法則を学んでおくと、仕事がとっても早くなりますよ。
他にも沢山のフレームワーク・法則の記事を書いています。参照下さい。
「開発→生産→販売」、「分解して考える」、「ロジックツリー」、「プロダクトライフサイクル」、「キャズム理論」、「SWOT分析」、「ファイブフォース」、「リボン図(マッチングモデル)」、「AISAS(アイサス)」、「AIDMA(アイドマ)」、「ABC分析」、「4P」、「アンゾフの成長マトリクス」、「アップセル・クロスセル」、「ポーターの3つの基本戦略」、「PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)」、「ランチェスターの法則」、「コトラーの競争地位戦略」、「イノベーター理論」、「ロングテール」、「感度分析」、「262の法則」、「メラビアンの法則」、「マズローの5段階欲求」、「ジョハリの窓」
ビジネスの知識を増やすには、本を読むことがおススメです。
本を読む習慣がない方は、プロのナレーターが朗読した本をアプリ等で聴けるサービスがおススメです。詳しくは以下の記事を参考にして下さい。
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