様々な戦略立案を行う際に、まずは、現状分析が大事となります。現状分析が不十分だと、良い戦略を立案することが出来ません。
この現状分析をおこなう際に、活用できるフレームワークは沢山あります。
その中でも、一番の基本となるフレームワークが3C分析です。
3C分析単体でも十分使えるのですが、3C分析をコアとして、様々なフレームワークを組み合わせやすいのも特徴です。
この記事では、3C分析の解説だけでなく、具体的な作り方・使い方に加えて、他のフレームワークの組合せ方法含めてわかりやすく解説します。
この記事は、風土の違う5社での経験、数百名のマネジメント経験、100回を超える若手向け勉強会の講師をした経験を持つよしつが書いています。
(あわせて読みたい 課題解決の考え方と課題設定・戦略立案に使えるフレームワークまとめ)
3C分析とは?
- 現状把握をヌケモレなく行えるフレームワーク
- 分析対象を市場・顧客、自社、競合の3つに分割
これが3C分析です。
3C分析は会社のどの活動で使えるか?

上図は、会社の活動を1枚の図にしたものです。3C分析は、問題発見と課題設定で使えるフレームワークです。
(上図の詳しい説明は、「1枚の図」と「一言で要約+詳細解説」でビジネス基礎知識をわかりやすく解説を参照)
3C分析の詳細解説
3C分析のテンプレート

この参画の図を見たことがありますでしょうか?
このように、市場・顧客と競合と自社を、それぞれ結ぶ形で表されるテンプレートです。
それぞれの円の中に分析結果を記載します。
現状分析のフレームワーク
そもそも、現状分析をする目的は何でしょうか?

まずは、問題解決の全体像ですが、上図で表すことができます。
「目指したい姿、ありたい姿」があり、その状態とのギャップ見つけるために「現状」を把握します。
そして、「問題」を洗い出し、その問題の中で解くべき問題を「課題」設定し、限られた「時間」内で完了するように行き方である「戦略」を考えます。
(この図の詳細解説は、「目指す姿・現状・問題・課題・戦略」をたった1枚の絵で表すを参照)
正しい問題の洗い出しをおこなうために、「現状」の部分をヌケモレなく分析することが現状分析の目的です。
この目的を実現するために、3C分析という手法が存在します。
3C分析の名称の由来は?
3C分析は、ヌケモレなく分析するために3つの観点に分けられています。
- 市場・顧客(Customer)
- 自社(Company)
- 競合(Competitor)
この3つの観点の頭文字の「C」を取って、3C分析と名付けれています。
ちなみに提唱者は、マッキンゼーの経営コンサルタントだった大前研一さんです。自身の著書の中で提唱し、世間に広まりました。
市場・顧客、自社、競合に分ける理由は?
戦うために、場所を知り、自分を知り、相手を知ることが必要だからです。
例えば、何か新しい商品開発をしたいと思った場合、何を市場に出せば売れるかを考えないといけません。
ひとりよがりで、自分勝手な商品を作っても売れません。
では、沢山のニーズがある市場に、商品を投入すればいいではないかという話ですが、そこには必ず邪魔者がいます。
それが競合です。競合さえいなければ、市場のニーズだけを考えて商品開発をすればいいのですが、沢山のニーズがある市場ではそうはいきません。
市場では高く売れると見込める商品でも、競合が安く売っていれば、その金額より安くするのか?もしくは、もっと価値を上げて高くで売るのかを決めないといけません。
このようにこの市場と競合と自社は、切っても切れない関係なのです。なので、この3つの関係性を常に意識しながら、考えないといけないため、この3つに分けています。
では、それぞれについて説明します。
市場・顧客とは?
私たちのビジネスで唯一お金をいただくことが出来るのは、顧客です。製品・商品・サービスを提供して、その対価として、お金を頂きます。
その顧客は市場(マーケット)に実在します。
だから、市場・顧客を分析することが大事になります。
自社とは?
「自分を知る」ことは、とても大事なことです。できないことにチャレンジしても失敗するだけだからです。
でも、自分のことを自分で知ることは結構難しいのです。なぜなら、意識して客観的に自分を見ないと、自分を知ることができないからです。
競合とは?
ビジネスは、相対的な戦いとなります。だから、競合を分析することは必須となります。
自社がいくら強くても、競合がそれ以上に強ければ、負けます。逆に自社がとても弱くても、競合がいなければ勝てるからです。
だから、必ず分析することが必要なのですが、なぜか、漏れてしまうことが多いのも事実です。
人には、自分の所属する組織の意見を信じる内集団バイアスや、自分に都合にいい情報ばかり集める確証バイアスがあるからです。
(バイアスの詳細は、考える際に注意が必要!「人の思考の癖」をわかりやすく解説を参照)
3C分析のやり方
3C分析をどう作ればいいか?作ったものをどう活用すればいいかを解説します。
3C分析の作り方
各観点ごとに説明します。
市場・顧客部分の作り方
市場分析は、市場の成長度合いと、市場でのシェアを把握することで十分です。
顧客分析は、各顧客目線での3C分析が最適です。
市場分析の注意点
市場分析というとPEST分析に代表されるマクロ分析からおこないましょうと言いますが、正直、必要ありません。
大手企業の全社戦略を考える人以外は、以下に示すミクロ分析で十分です。
マクロ分析から入ると間違いなく3Cを作る工程で挫折します。
プロダクトライフサイクルで市場を把握する

上記の図で表されるプロダクトライフサイクル(PLC)で現在のマーケットを見ます。
現在参入しているマーケットが導入期なのか?成長期なのか?成熟期なのか?衰退期なのか?で戦略がまったく変わります。
まずは、どの期かを把握しましょう。
(PLCの詳細は、プロダクトライフサイクル(PLC)をわかりやすく解説&使い方紹介を参照)
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントで全体像を把握

上図がプロダクト・ポートフォリオ・マネジメントのフレームワークです。
これ一枚で市場の全体像と自社の現状の立ち位置がわかります。
難しく感じるかもしれませんが、大丈夫です。とても分かりやすく解説します。
まずは、上記で説明した、プロダクトライフサイクルで市場の成長度を把握します。
導入期→成長期→成熟期→衰退期になるに従い、縦軸側が上から下に下がっていきます。
厳密にプロットしなくても大体のイメージでとらえてください。
次に今参入しているマーケットで何位くらいにいるかをイメージします。
これが横軸となります。こちらも大体のイメージでとらえてください。
そうすると、上図のどこかにプロットされます。
これで、市場分析と自社の立ち位置の把握は終了です。
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの詳細は、「PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)」わかりやすく解説を参照)
更に詳しく分析したいなら、5フォース分析

もし、もう少し詳細に市場分析をしたい場合は、上図の5フォース分析がおすすめです。
「業界内の競合」、「新規参入」、「代替品」、「売り手」、「買い手」の5つに分けて分析します。
あくまで分析することが目的ではなく、問題をもれなく洗い出すための現状把握が目的なので、テーマにより、どこまで分析するかは考えてください。
できるだけ、簡易で終わらせることがおすすめです。
自社部分の作り方
自社の強み弱みは「事実ベース」で把握しましょう。
業界トップの会社、同じような立ち位置の会社、明らかに勝っている会社の3社を想定し、事実を比較することが有効です。
先ほども述べましたが、人には、自分の所属する組織の意見を信じる内集団バイアスや、自分に都合にいい情報ばかり集める確証バイアスがかかります。
だから、事実を比較するために、仮想敵国を決めることが良い方法です。まずは一旦競合を仮置きします。
競合部分の作り方
自社を分析する際に仮想敵国を決めたと思いますが、これである程度自社の弱みと強みを洗い出せたら、その3つの競合を入れ込みます。
あまりピンと来ない場合は、別の会社と自社を比較しましょう。
この部分も精緻にやる必要はないです。
競合分析は、自社の強みと弱みを浮き出させることができれば問題なしです。
3C分析の使い方
自社分析で使う
上記の作り方で出来上がったものを俯瞰しながら、目指す姿、ありたい姿とのギャップを見つけます。
そうすると、様々な問題点と自社の強みが浮き上がってきます。
ここまで、出来れば、3C分析の目的が達成されます。
更に、沢山の問題に中で、解くべき課題を特定する際も使うことができます。
自社以外での使い方
競合分析で使う
競合を競合目線(競合の社員目線)で3C分析を行います。
そうすると、自社とは違う問題が把握できます。その現状を踏まえると、どのような課題設定および戦略を組むかがある程度予測できます。
このように競合のこれからの行動仮説を立てる際に活用できます。
顧客分析で使う
顧客を顧客目線(顧客の社員目線)で3C分析を行います。
そうすると、顧客自体の問題点が洗い出すことができますので、どうすれば、自社サービスで解決できるかの仮説を立てる際に活用できます。
顧客を見る目は、どうしても、自社側のどうしたら売上拡大できる?という目線で見がちです。
視野を変更するために、活用できるのです。
3C分析とSWOT分析
3C分析とSWOT分析は基本同じものです。
3C分析と同じくらいよく使われるフレームワークにSWOT分析があります。

SWOT分析は、上図の通り、内部環境と外部環境×プラス要因とマイナス要因の4象限で表されるものです。
(詳しくは「SWOT分析(スウォット分析)」をわかりやすく解説&使い方紹介を参照)
一見全く違うように感じますが、実はほぼ同じ内容です。SWOT分析の図に3Cの図を組み合わせると以下の通りとなります。

完全に組み合わされますね。
有名な2つのフレームワークが実は同じことを言っているのです。ということは、この観点で分析を行うことで、抜けもれない現状分析ができるということです。
3C分析のまとめ
- 現状把握をヌケモレなく行えるフレームワーク
- 分析対象を市場・顧客、自社、競合の3つに分割
これが3C分析です。市場・競合・自社の3つの関係性を意識しながら、忘れがちな競合が抜けないように気をつけましょう。
あくまで、現状分析の方法であることを忘れずに、精緻になる過ぎないことが有効活用するポイントです。
以下は、市場分析から戦略策定・実行までを、小説風に読みやすく分かりやすく書かれたとても学べる本です。
私は、すでに20回以上読み返しています。でも不思議で毎回学びがあるですよね。
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