社会人であれば誰もが使う「名刺」。名刺の運用に関して様々な「不」があったことは誰もが気づいていました。
ただ、誰も気づいている「不」を解決しようとしませんでした。いやできませんでした。
この「不」に対して課題解決したのがSansan株式会社です。
そして、名刺サービスを基盤に、今は営業DXをサポートする会社へ変革をおこなっています。
この記事では、そもそもSansanさんが、名刺の「不」に対してどのような解決をおこなったのかを解説します。
この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つよしつが実体験から得たことを元に書いています。
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他にも様々な会社を解説しています。社名をクリックすると詳細記事が表示されます。キーエンス、オービック、ZOZO、出前館、モノタロウ、エムスリー、ワークマン、ABCマート、ビズリーチ、メルカリ、サイボウズ、無印良品、ネット印刷ラクスル、freee、ダイキン工業、日本M&Aセンター、楽々精算ラクス。
Sansan 高成長の理由は?
・名刺管理の「不」を解決
・名刺のデータ化技術を構築
・使うとやめられないサービス
・顧客基盤を使いサービス拡大
この4点が強みと高い成長率の理由です。
Sansanとはどんな会社?
Sansanさんは、名刺を軸に営業DX全般のサービスを提供する「Sansan事業」、請求書オンライン受け取りサービス「Bill One事業」、契約データベース「Contract One事業」、個人の名詞管理「Eight事業」を提供しております。
Sansanを財務三表から見るとどんな会社?
まずは、Sansanさんがどんな会社かを公表されている財務三表で見てみます。
会社とは「現金を使って現金を増やす行動」をおこなっており、その行動は以下の流れです。
・お金を集めて投資する(貸借対照表B/S)
・投資したのものを使って売り上げ、費用を引けば利益(損益計算書P/L)
・上記の結果、現金が増えたのかどうかを把握する(キャッシュフロー計算書C/F)
(詳細は「会社の本質は何?」を超わかりやすく解説を参照)
この流れに現在の業績を加えて順番で見ていきましょう。
Sansanさんの2024年5月期の公表されている決算短信を元に説明していきます。

上記の場所から、2024年5月期決算短信をご覧ください。
注意点ですが、数字の単位が万円や億円ではなく、百万円や千円となっています。
財務諸表では、数字はカンマごとで切られて表示される場合がほとんどです。10,000,000円は、10百万円、10,000千円と表示されます。
表の右上等に表記の単位が記されていますので、見る癖をつけることと、この表記に何とか慣れましょうね。
ちなみに、この記事ではわかりやすいように、万円・億円かつ数字を丸めて表記します。
直近の業績
売上は、339億円(昨年255億円、一昨年204億円)、売上総利益288億円(昨年218億円、一昨年179億円)、営業利益は13億円(昨年2億円、一昨年6.3億円)です。
売上は前年度と比べて33%も伸びています。また、売上総利益率が驚異の85%となっています。売上が100万円だとすると、売上総利益が85万円も出る高収益構造です。
お金を集めて投資する(貸借対照表B/S)

(貸借対照表の見方は「貸借対照表(B/S)」超簡単解説&使い方紹介を参照)
お金を集める
どのようにお金を集めているか見てみましょう。貸借対照表の右側です(決算短信8.9P参照)。
一番大きな科目は、顧客の支払いは、1年間一括契約時(更新時)払いが基本なので、前受金が多く、137億円(昨年107億円、一昨年82億円)となっています。
2番目は、資本金で68億円(昨年66億、一昨年64億円)となっています。
前受金の137億円は、塵も積もってスクとても大きな金額となっています。金利無しでお金を借りていることと同じです。Saas系のサブスクの大きなメリットです。
投資する
どう投資しているのか見てみましょう。貸借対照表左側です。
現金で249億円(昨年211億円、一昨年154億円)、有価証券で38億円(昨年37億円、一昨年63億円)となっています。
様々な用途で使える現金を持っておくことと、運用益が見込める有価証券にお金を使っています。
投資したのものを使って売り上げ、費用を引けば利益(損益計算書P/L)

(損益計算書の見方は「損益計算書(P/L)」超簡単解説&使い方紹介を参照)
どれだけの売上と利益が出ているかを再度見てみます(決算短信10.11P)。
売上は、339億円(昨年255億円、一昨年204億円)、売上総利益288億円(昨年218億円、一昨年179億円)、営業利益は13億円(昨年2億円、一昨年6.3億円)です。
売上は前年度と比べて33%も伸びています。
SaaS事業の典型的な高売上総利益率構造となっています。売上総利益率85%。100万円売上を上げたら、85万円儲かるという構造です。
企業が年間費用を払ってSansanさんのシステムの中に入り、サービスを受けます。
ただ、実物商品販売のように、商品ひとつごとに実原価がかかるサービスではありません。
1つの企業がシステムに参画したとしてもSansanさんサイドには原価はかかりません。だからこのような高売上総利益率になるのです。
上記の結果現金が増えたのかどうかを把握する(キャッシュフロー計算書C/F)
(キャッシュフロー計算書の見方は「キャッシュフロー計算書(C/F)」超簡単解説&使い方紹介を参照)
キャッシュの増減を見てみます(決算短信14.15P)。
期末残高は247億円(昨年210億円、一昨年152億)あります。昨年と比べて37億円積み上がっています
Sansanはどんな売上獲得のモデル(ビジネスモデル)か?

(モデルの詳細は「売上獲得のモデル(ビジネスモデル)は3つ」をわかりやすく解説を参照)
直接提供モデル
営業DXサービスであるSansan事業部、請求書オンライン受け取りサービスのBill One事業は、直接提供モデルです。
個人向けのサービスのEight事業はマッチングモデルです。
Sansanの強みと高い成長率の理由を「詳細解説」
高成長している会社や事業は大体同じパターンです。困っている人が多い(=マーケットが大きい)ことに対して、最適な解決方法で一網打尽に課題解決しているパターンです。
Sansanさんも事業のコアは、まさに誰もが困っていた名刺管理の不の解消です。
今では、営業DX全体のサービスとして進化していますが、元々始まった名刺サービスについて、どのように成長したのか?を以下の強みと高成長のポイントに分けて解説します。
・名刺管理の「不」を解決
・名刺のデータ化技術を構築
・使うとやめられないサービス
・顧客基盤を使いサービス拡大
名刺管理の「不」を解決
・個人の名刺管理の「不」を解消
・組織の情報共有・情報活用の「不」を解消
上記2つの「不」をまとめて解決しました。
名刺は、社会人であれば多くの人が持ち名刺交換をします。
名刺交換の目的は、連絡方法と名前を紙一枚に記載したものを渡すことで、相手に簡単に連絡先を提供することです。
名刺には、氏名、会社名、部署役職、会社電話番号、携帯番号、住所が記載されており、渡した段階で情報を活用することを承諾するものです。
上記2つをそれぞれ解説します。
個人の名刺管理の「不」を解消
・名刺フォルダーに入れての管理では検索性が悪い
・名刺数が多いと持ち歩けなくなり、住所録等に転記する必要がある
・名刺フォルダーは名詞が増えるたびに入れ替えが必要
・名刺をなくすと連絡先が分からなくなる
・名詞処分後に急に必要になり困る
・異動・昇格等の情報がアップデートされない
名詞という紙を扱うため、アナログの管理方法となります。
これらを解消するために、名詞情報を一瞬でデータ化しスマホのアプリで管理できるようにしました。
これにより、数が多くても持ち運びできますし、本人が名詞情報をアップデートすると、名刺交換した人がその情報を把握できるようになりました。
組織の情報共有・情報活用の「不」を解消
・顧客の担当者に、自社の他の部署の接触状況がわからない
・自社内で情報共有しようとしても、予算の取り合い等の問題で情報共有が進まない
・会いたいと思っている人が、実は同じ会社の別部署の担当者が頻繁に会っていた。
・初めてテレアポしたのに、何回も電話してくるなと叱られた
このように「不」を上げていくといくらでも上がっていきます。
ちなみに有名なCMも上記の不(早く言ってよ~)をテーマにしています。
これらの「不」を解決するには名刺をデータ化し、社内であれば誰でも見ることができる状態にし、自社軸ではなく、顧客軸で自社の担当全員がアプローチ履歴を、その名刺に紐づけて管理することです。
その上で、会社全体で情報共有をする判断をすることで、情報を隠す事もできなくなります。
またデータ化できることで、メールアドレスの直打ちもなくなるだけでなく、メールの一斉配信もできるようになり、営業効率も上がります。
まさにこのような仕組みをSansanさんは提供したのです。
名刺のデータ化技術を構築
1枚1枚違う内容をデータ化できる仕組みを構築
データ化できれば誰もが楽になることがわかっていましたが、一番のネックは名刺のデータ化です。
このデータ化を99.9%の精度で実現したのです。
名前を間違うのは失礼ですし、アドレスが違って別の人にメールが届くと迷惑です。
実際に私が新卒で入った会社のアドレスですが、最後の文字が「ら」なのですが、アドレスが「ra」ではなく、「r」で終わりでした。
最後のaが入ると別の人のアドレスになります。その人から迷惑そうに何回もメール転送をしてもらったことがあります。
自分のせいではないのですが、とても気まずくなった記憶があります。
このように一文字間違うだけで、大きな問題になります。社内であればまだいいのですが、FAX番号等が間違えてしまっては、社外に情報漏洩してしまう可能性もあります。
その上、名刺に記載されている情報は基本同じですが、名詞内に記載される位置は千差万別で、名詞のサイズの数種類あります。
貴重な情報を間違えることなく、データ化する難易度の高さで、誰もが良いサービスができるとわかっていても実現できなかったのです。
数字の「1」と英語小文字の「l」「i」など似た文字も多い存在します。
ただ、これをSansanさんは実現したのです。
当初はスキャンしたものをすべて人が目でチェック(2名)し、手直しをしてデータ化をしたそうです。そして2名分のデータを突き合わせて、不一致の場合は更にもう一名が確認変更をしたそうです。
気が遠くなる作業ですが、名刺の確実なデータ化にビジネスチャンスと見たSansanさんは、ネット企業にも関わらず、人海戦術を取ったのです。
今ではかなり画像認識技術・AI技術が進んで人に頼らなくなっているようですが、すべて機械化ではなく、人が最後には確認する仕組みで運用したそうです。
私も、個人向けの「Eight」を使って名刺管理していますが、日々読み取りのスピードが上がっているのがわかります。
使うとやめられないサービス
Sansanさんのサーバーに名詞情報を登録するので他社に置き換えれない
一番の強みは、Sansanさんの仕組みで名刺管理をおこなうと、やめることができなくなります。
やめること=名刺管理を捨てることになるからです。また、名刺に紐づいた顧客情報も捨てることにもなりますので、やめる選択は非常に取りづらくなります。
なんと最新の解約率は0.42%しかないそうです。1,000社の内、4社位しか1年間でやめないのです。ひっくり返せば996社位から継続的な収入を得ることができるのです。
顧客基盤を使いサービス拡大
Sansan事業の顧客基盤を使い新規事業をおこなう
Sansan事業で獲得した顧客に対して、新サービスを立ち上げてクロスセルをおこなっています。
請求書オンライン受け取りサービス「Bill One事業」、契約データベース「Contract One事業」です。
Sansanさんの名刺管理事業のシェアは80%を超えているようですが、最近の騒動により、直接人が接点を持つ機会が減ったため、名刺交換のニーズが少なくなりました。
ただ、顧客情報(名刺情報)を基盤に、さらなる情報を付加し、営業DX全体にサービスを広げることで事業拡大を狙っています。
Sansanの強みと高い成長率の理由「まとめ」
・名刺管理の「不」を解決
・名刺のデータ化技術を構築
・使うとやめられないサービス
・顧客基盤を使いサービス拡大
特に名刺のデータ化は、人でおこなうことで今のSansanさんのビジネスにつながっているのです。
そして、この顧客基盤を使って営業DXや請求書受領のシステム等を販売することでサービスの多角化を図っています。
今後も売上がまだまだ伸びそうです。
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