オービックさんは、システム構築会社なのに、フルオーダーメイドにしないことで、高成長しつつ超高利益率を実現しています。
なんと、30期連続営業利益が増益です。さらにすごいのが、営業利益率が右肩上がりで上昇していることです。
売上を伸ばしつつ、営業利益率を上げていくことができているのは、本当にすごいことです。
時価総額はなんと2.5兆円を超えています(2025年5月時点)。
オービックというワードを聞けば、「勘定奉行」と思い浮かぶ人は多いかと思います。
ただ、「勘定奉行」は株式会社オービックビジネスコンサルタントさんの商品です。ちなみにオービックと名前がついている通り、株式会社オービックの関連会社です。
この記事では、あまり世間では知られていないすごい会社である、株式会社オービックさんの高利益率かつ事業成長している理由について解説します。
この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つよしつが実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい【企業実例研究】成長企業の成長理由)
オービックの高成長かつ高利益率の理由とは?
・営業対象を特定の企業規模及び業界に絞った
・フルオーダーメイドが基本のシステム構築会社なのに、パッケージ化に成功した
この2点が高成長かつ高利益率の主たる理由です。
2のパッケージ化と言っても、もちろんオーダー部分があるのですが、多くが統一部分です。
これを実現するための方法として、1のターゲットの絞りが必要だったのです。詳細は後述しますが、だからこその直販体制及び自社生産体制なのです。
オービックはどんな会社?
オービックさんは、情報システムの構築・運用を提供しています。自社開発・直販販売で会計・販売・人事・生産などのシステムを取り扱っています。
オービックを財務三表から見るとどんな会社?
まずは、オービックさんがどんな会社か?を公表されている財務三表で見てみます。
会社とは「現金を使って現金を増やす行動」をおこなっており、その行動は以下の流れです。
・お金を集めて投資する(貸借対照表B/S)
・投資したのものを使って売り上げ、費用を引けば利益(損益計算書P/L)
・上記の結果、現金が増えたのかどうかを把握する(キャッシュフロー計算書C/F)
(詳細は「会社の本質は何?」を超わかりやすく解説を参照)
この流れにそって、現在の業績を見ていきましょう。
オービックさんの2025年3月期の公表されている決算短信を元に説明していきます。

上記の場所から、2025年3月期決算短信をご覧ください。
見方の注意点ですが、数字の単位が万円や億円ではなく、百万円となっています。
財務諸表等では、数字は、カンマごとで切られて表示される場合がほとんどです。10,000,000円では、10百万円や10,000千円と表示されます。
表の右上等に表記の単位が記されていますので、見る癖をつけることと、この表記に慣れましょう。
ちなみに、この記事ではわかりやすいように、万円・億円かつ数字を丸めて表記します。
直近の業績
売上は、1,212億円(昨年1,116億円、一昨年1,002億円)、売上総利益944億円(昨年864億円、一昨年772億)、営業利益は784億円(昨年709億円、一昨年625億円)です。またまた、増収増益を達成しています。
売上は前年度と比べて9%伸びています。特筆すべきは売上総利益率が78%であることです。システム構築会社なのに圧倒的に高い利益率です。
お金を集めて投資する(貸借対照表B/S)

(貸借対照表の見方は「貸借対照表(B/S)」超簡単解説&使い方紹介を参照)
お金を集める
どのようにお金を集めているかみてみましょう。貸借対照表の右側です(決算短信5.6P参照)。
集めたお金の大半が、過去の利益の積み上げである利益余剰金3,651億円(昨年3,295億円、一昨年2,955億円)です。集めたお金の負債純資産合計の73%を占めます。
当然銀行借り入れはなく、超優良企業です。
投資する
どう投資しているのかを見てみましょう。貸借対照表左側です。
現金で2,001億円(昨年1,702億円、一昨年1,563億円)、建物及び建造物+土地で628億円(昨年619億円、一昨年595億円)、有価証券で2,220億円(昨年2,158億円、一昨年1,372億円)となっています。
様々な用途で使える現金を沢山持っておくことで、事業運営をおこなっています。
投資したのものを使って売り上げ、費用を引けば利益(損益計算書P/L)

(損益計算書の見方は「損益計算書(P/L)」超簡単解説&使い方紹介を参照)
どれだけの売上と利益が出ているかを再度見てみます(決算短信7.8P)。
売上は、1,212億円(昨年1,116億円、一昨年1,002億円)、売上総利益944億円(昨年864億円、一昨年772億)、営業利益は784億円(昨年709億円、一昨年625億円)です。またまた、増収増益を達成しています。
売上は前年度と比べて9%伸びています。特筆すべきは売上総利益率が78%であることです。システム構築会社なのに圧倒的に高い利益率です。
システムインテグレ―ション業界は基本、各社ごとのカスタマイズで、システムエンジニアを中心に人件費が沢山かかります。
ただ、オービックさんは、パッケージ化された半製品を、カスタマイズするだけの仕組みを作ったことで、この利益率となっています。
上記の結果現金が増えたのかどうかを把握する(キャッシュフロー計算書C/F)

(キャッシュフロー計算書の見方は「キャッシュフロー計算書(C/F)」超簡単解説&使い方紹介を参照)
キャッシュの増減を見てみます(決算短信11P)。
期末残高は2,001億円(昨年1,702億円、一昨年1,563億)あります。
オービックはどんな売上獲得のモデル(ビジネスモデル)か?

直接提供モデル
直接提供モデルです。特徴的なのは、システム構築及び販売体制をすべて自社で行っている点です。
(モデルの詳細は「売上獲得のモデル(ビジネスモデル)は3つ」をわかりやすく解説を参照)
オービックの高成長かつ高利益率の理由を「詳細解説」
・営業対象を特定の企業規模及び業界に絞った
・フルオーダーメイドが基本のシステム構築会社なのに、パッケージ化に成功した
2つのポイントをそれぞれ紹介します。
営業対象を特定の企業規模及び業界に絞った
ターゲット顧客のどのような「不」を解消しようと考えたかを見てみましょう。
どんな「不」を解消しようと考えたのか?
・手計算や基本ソフト(エクセル・アクセス等)を使っているが、対応しきれない
・自社の業務フローをシステム化したいが、フルオーダーだとお金がかかりすぎる
・現状の業務フローが完全ではないため、今後大きな変更となる可能性がある
・ただ、システム構築した方が絶対に効率化できることが分かっている
このような不を解消しようと考えたのです。
どのような規模の会社がこのような「不」を持っているか?
中規模会社がメインターゲット
まず大手企業が思い浮かびますが、この層は自分たちの業務フローが確立しています。
また、資金もあり業務範囲が広いため、投資効果が高く自社用のシステム構築を要望されます。
そうなると完全オーダーメイドかつ大規模構築となるため、上記の「不」とは違う「不」となり、ターゲット外となります。
小規模会社では、どうでしょうか?
そもそも、システム構築しなくても、基本ソフトで対応できます。逆に、システムを組んでしまうと、オーバースペックとなり、費用対効果が悪くなり、こちらもターゲット外です。
残る中規模クラスの会社ですが、多数の仕入れ先・顧客との取引があります。基本ソフトでは対応できない規模の取引先や顧客がいて、システム開発ニーズはあります。
ただし、一からシステム開発を行うほど投資金額を使えない会社も多くいます。
このように中規模会社には、解決したい「不」があるのです。
どのような業界の会社がこのような「不」を持っているか?
業界ごとに製品を用意
中規模の会社ではどこの会社でもこのような「不」を持っています。ただし、業界によって取引の慣習やシステムの開発ニーズが全く違います。
したがって、業界ごとに製品を用意しました。オービックさんのHPを見ると、化学・鉄鋼・機械・メーカー・食品・流通小売・商社物流・不動産・建設工事・ITメディア・金融を対象にしているのがわかります。
フルオーダーメイドが基本のシステム構築会社なのに、パッケージ化に成功した
業界ごとのパッケージ化に成功
フルオーダーメイドになりがちなシステム構築会社なのに、パッケージ化に成功したことが一番のポイントです。現在構築しているものをコピーして提供するのであれば、ほぼ開発コストも製造原価はかかりません。
中規模会社は、システム化はしたいがお金はかけたくないという思いがあるので、自社の仕組みを完全に網羅したシステムではなく、ある程度出来合いのものに、自社の仕組みを合わすことを考えます。
この「不」と「選択の妥協ポイント」の妙でパッケージ化ができたのです。
うまくいったポイントは2つです。
1.顧客の「不」や「ニーズ」や「業務フロー」をしっかり把握
直販体制
「不」や「ニーズ」や「業務フロー」をしっかり把握するために、直販体制にこだわりました。
直販ではない代理店販売等だとどうしても、詳細な情報が入ってこないことと、知りたいことがあってもすぐに顧客に聞ける体制ではないためです。
2.開発はすべて自社
自社の社員で開発
知った情報をちゃんと形にするために、外部発注ではなく、自社での開発体制にしました。
できるだけたくさんの会社に対応できるパッケージ化がシステム開発のポイントです。外部発注だと、こだわり切れない部分が出てしまうからです。
このように、各業界に直販体制を持ち、そこから吸い上げるニーズを自社の開発陣がパッケージ化することで、顧客ごとのシステムを開発することなく、サービスを提供できる仕組みを作ったのです。
オービックの高利益率の理由のまとめ
・営業対象を特定の企業規模及び業界に絞った
・フルオーダーメイドが基本のシステム構築会社なのに、パッケージ化に成功した
利益率が高いということは他社ではできないサービスを提供できているということです。そうでないと価格競争に巻き込まれます。
ただ、他社ができなくても、フルオーダーメイドでは利益率はかなり低くなります。
このジレンマを解決したことで、成長し続けるだけなく、高利益率を実現できていることができているのです。
他にも「企業実例研究」で以下の会社の記事を書いています。参照下さい。
- 「キーエンス」
- 「ZOZO」
- 「メルカリ」
- 「ビズリーチ」
- 「サイボウズ」
- 「ラクス(楽楽清算等)」
- 「エムスリー」
- 「日本M&Aセンター」
- 「ワークマン」
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- 「良品計画(無印良品)」
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- 「ラクスル」
- 「freee」
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