リクルート「リボン図(リボンモデル)」を事業活用経験を元に解説

5.課題解決
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リボン図(リボンモデル)は、マッチングモデル(プラットフォームビジネス)における課題設定や戦略立案に役立つフレームワークです。

楽天市場、アマゾン、転職サイト、飲食店・宿泊予約サイトなどがこのマッチングモデルの代表例です。

リボン図の最大の特徴は、カスタマーとクライアントをマッチングさせる事業全体像を1枚の絵で表現できる点です。

マッチング数を増やすために、カスタマー側とクライアント側、どちらをどのように伸ばすべきか、全体を俯瞰して検討できる優れたフレームワークです。

この記事では、リボン図を使って事業運営した経験を元に、リボン図とはそもそも何か?どのように使うのか?をわかりやすく解説します。

この記事は、

・リボン図を事業運営で活用した経験
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験

これらの経験を持つ「よしつ」が実体験から得たことを元に書いています。

(あわせて読みたい【課題解決】問題課題、戦略戦術フレームワーク・法則

リボン図(リボンモデル)とは?

・マッチングモデル(プラットフォームビジネス)の事業を1枚の絵で表現
・課題設定、戦略立案に使えるフレームワーク

この2つがリボン図のポイントです。

この図がリボン図です。その名の通り、リボンの形に見えることからこの名称となりました。

カスタマーとクライアントを結びつけるビジネス全体を一枚の絵で表現しています。

左サイドはカスタマー(消費者)サイドです。人を集めて一部の人が商品を買ってくれる様子を表わしています。

楽天スーパーセールやポイント倍増キャンペーンなどの広告を見たことがあると思います。これらの手法でまずはカスタマーにサイトに来訪してもらう場合が多いです。

その上で、サイトに訪問した方が望む行動(予約、成約等)をしてもらうために、魅力的な商品を豊富に揃えるなどで行動を促します。

右サイドはクライアント(販売者)側です。店舗などが参画し、商品を提供し一部が売れる流れを表します。

まず、営業担当の訪問やインサイドセールス等の手法で、サイトへの登録を促します。

次に、売れ筋商品や在庫数を多く掲載してもらうよう働き掛けます。

これらで集まった人や商品が真ん中にいくに従い数が減っていき、最終的にマッチングされることを表現しています。

マッチングモデルとは?

ひとつの場にカスタマーとクライアントを集めてマッチングさせる

そもそもリボン図が表すマッチングモデルとは何か?から解説します。

マッチングモデルとは、一つの場にカスタマーとクライアントを集め、クライアントの商品をカスタマーが購入する機会を作るモデルです。

主な収益源は、クライアントの販売収益の一定利率、もしくは、クライアントからの広告費です。

このビジネスモデルはプラットフォームビジネスとも呼ばれています。

楽天市場の例で具体的に説明します。

右側のクライアントサイドは、何かを販売したい店舗に参画してもらい、売りたい商品を楽天に掲載します。

左側のカスタマーサイドは、何かを買いたい消費者が集まり、買いたい商品を検索します。

これにより、売りたい人と買いたい人が出会い商品が売れます。まさに出会う=マッチングするので、マッチングモデルと言います。

そしてその場全体のことをプラットフォームと言いますので、プラットフォームビジネスとも言います。

(ビジネスモデル全体は「売上獲得のモデル(ビジネスモデル)は3つ」をわかりやすく解説を参照)

マッチングモデルの事業拡大をリボン図で表わす

両サイドのバランスを考えながら、リボン自体を大きくすることが事業拡大につながる

上記の図のように、右側も左側も数が多くなることで、マッチチング数が増えて事業拡大となります。

例えば上記の図のように、カスタマーは沢山集めることができました。ただ、クライアントサイドの商品はあまり集めることができませんでした。

その結果、クライアント側の商品数以上にマッチングはしないため、カスタマー側の人を無駄に集めてきたことになります。

さらに、せっかくサイトに来てくれた人が求める商品がない場だと判断することで、再訪問を控える可能性が高まります。

逆に上記の図のように、クライアントサイドの商品は沢山集めることができました。しかし、カスタマーサイドの買いに来る人はあまり集めることができない場合は、多くの商品が売れないため無駄に商品を集めてきたことになります。

それだけでなく、せっかく商品を出したのに売れないとなると、この場に商品を掲載することを減らしたり掲載を控える可能性が高まります。

したがって、両サイドのバランスを考慮しながら、リボン全体を大きくすることが重要であり、それが事業拡大を意味します。

このバランスを保ちながら事業を拡大するために、現状を全体的に俯瞰し、課題設定や戦略立案を行う際にリボン図が役立ちます。

マッチングモデルの3つの収益方法

1.成約での収益化
2.広告掲載での収益化
3.オプションを付加して収益化

マッチングモデルの主たる収益方法は1と2でした。ただ、最近はその他の方法を増えています。それぞれを紹介します。

成約での収益化

販売手数料モデル

楽天は、カスタマーに商品を買ってもらって初めて、クライアントから販売価格の一部を手数料としてもらいます。アマゾン(仕入れ販売は除く)やZOZOも同様です。

リボン図の概念を生み出したと言われるリクルートのじゃらんネットもこのパターンです。消費者が宿を予約・宿泊したら、宿はじゃらんに販売手数料を支払います。

広告掲載での収益化

カスタマーとの接点を持つ機会を広告掲載で提供

成約して手数料としてもらう上記パターンとは違い、掲載費(広告)をもらうことで収益化しています。

例えば転職サイト(リクナビ、マイナビ、エン・ジャパン等)は、採用したい企業が広告費を払って募集内容を各サイトに掲載しています。

採用したい企業は、それぞれのサイトに沢山の転職を考える人が来ると思うから、その人たちとの接点を持てることを期待して広告掲載します。

マッチングモデルの多くは「成約による収益化」パターンがほとんどですが、転職サイトは広告掲載モデルが主流です。

このモデルは、ネットが一般的になる以前から行われており、大きな収益を上げていました。その流れを継承しているため、広告モデルが多いのです。

昔は、紙媒体を使い1P〇〇万円という掲載費をもらい会社情報を掲載します。

こうしてできた紙媒体を一般家庭に無料で送ったり、市販誌として格安で販売していました。

採用ができようができまいが、1Pで百万円以上する場合もある広告費をもらうビジネスなので、とても儲かっていました。

これにより、販売手数料のように成約1件当たりいくらというモデルには移行しづらかったのです。

オプションを付加して収益化

販売手数料以外で収益化

販売手数料モデル加えて同じ会社から別の収益を得る方法が増えています。

例えば、販売手数料+月額定額掲載料、販売手数料+掲載位置を上位にできる広告費、販売手数料+各社でポイントアップ分を負担、更にこれらの複合的な組み合わせなどです。

元々販売手数料だけだったのですが、店舗等のクライアントへの送客が増えることで、プラットフォーム側が強い立場になります。なぜなら、送客を止められると困るからです。

その中で、プラットフォーム側は収益拡大を狙います。結果、上記のような課金方法となりました。

また、アマゾンではカスタマーへの課金をおこなっています。様々な特典をつけることで、プライム会員になってもらい、月額料金を徴収しています。

リボン図の具体的な使い方

「各項目の実数」と「遷移する際の率」を元に戦略を考える

成約モデルの例で進めていきます。

まずは、上記のように事実を数字でつかみましょう。これにより、全体と詳細を同時に把握することができます。これらを俯瞰して、どのような課題があるかを把握しましょう。

数字を把握することで、何も見ずに議論するよりもはるかに話がスムーズに進むようになります。

次の手順として、カスタマー側とクライアント側、どちらに問題がありそうか仮説を立てます。

例えばカスタマー側とした場合、全体の人数(訪問数や検討者数)が少ないのか、もしくは訪問から検討への遷移率が低いのかなど、左から右へ進む過程でどこが課題かを明確にします。

例えば、購入者数÷検討者数の率が低いと課題設定したとします。検討まではしてくれているので、あと一押しすることで購入までつながる可能性が高い場合だと、今制約するとポイント付与率アップするなどのキャンぺーンをおこなうことが有効でしょう。

リボン図を見ながらひとりで考えるのもいいですが、複数の人とリボン図を見ながら一緒に考えると、議論が散漫にならずに課題特定がしやすくなります。

課題が特定できると良質な戦略立案ができるようになります。

また、課題特定および戦略の議論をしていると、どうしても戦略および各論となる打ち手の議論になりがちで、課題設定が抜け落ちやすくなります。

例えば、課題を特定していないのに、例えばWeb広告がいいとか、TVCMがいいとかとの議論になりがちです。

ただ、全体を俯瞰して見えるようになるリボン図を使うと、このようなことを避けることができるメリットがあるのです。

まとめ

・マッチングモデル(プラットフォームビジネス)の事業を1枚の絵で表現
・課題設定、戦略立案に使えるフレームワーク

この2つを知っておきましょう。

フレームワーク全般に言えることですが、議論の抜けモレを防ぎ、問題を分解して考えられる、頭の中だけでなく図にして議論できることで議論が散漫にならないなど、大きなメリットがあります。

特にリボン図は、カスタマー側とクライアント側という『異なる部署やチームの課題』を、『共通の数字』で可視化し、『共通のゴール』に向けて議論できる点が最大の強みです。

結果として、自分の部署だけでなく、事業全体を見て提案できるようになります。

まずは、自社でマッチングモデルを運営しているなら自分で数字を把握してみましょう。事業全体の課題をつかむことができます。

また、現状数字がわからない場合もあるでしょう。その場合は、そもそも数字を取得することから始めないと、課題すら特定できないことが分かります。

この記事に関するよくある質問をnoteで答えています。質問内容は以下です。

Q1:リボン図が特に役立つビジネスモデルは何ですか?
Q2:リボン図を使う最大のメリットは何ですか?
Q3:リボン図と他のフレームワーク(例:4P分析)との違いは何ですか?
Q4:リボン図の「リボン」は何を意味していますか?
Q5:カスタマー側で最初に行う施策は一般的に何ですか?
Q6:クライアント側で最初に行う施策は一般的に何ですか?
Q7:「両サイドのバランス」を欠いた場合、どのような問題が起こりますか?
Q8:リボン図はどのように課題設定に役立ちますか?
Q9:具体的な使い方の例を教えてください。
Q10:リボン図は、異なる部署間の議論にどのように貢献しますか?
Q11:マッチングモデルの主な収益源を教えてください。
Q12:リボン図の議論で注意すべき点はありますか?
Q13:リボン図の「遷移率」とは具体的に何を指しますか?
Q14:リボン図は一度作ったら終わりですか?
Q15:リボン図は小規模なマッチングサービスでも有効ですか?
Q16:リボン図を活用することで、事業運営者はどのような能力が身につきますか?

以下を参照下さい

リクルート「リボン図(リボンモデル)」を解説(よくある質問の回答付)|よしつ@社会人の学びをサポート
この記事は、マッチングモデル(プラットフォームビジネス)の課題設定と戦略立案に役立つフレームワーク「リボン図(リボンモデル)」を解説しています。 リボン図の核心 カスタマー(消費者)とクライアント(販売者/企業)をマッチングさせる事業の全体...

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