社会人は、知識を常にインプットし続ける必要があります。
目の前の実務を実行するための知識だけでなく、更に効率よく実務をこなすための知識も必要なりますし、新しい実務を担当することもあるので、次々に知識を増やしていく必要性に迫られます。
ただ、私たちは人間なので、インプットできる知識には限界があります。
その上、がんばって得た知識でも、知識をどのように使うか?が頭の中で整理されていないと実務で活用できません。
社会人の学びには、このような問題があります。
ただ、この問題を解消できる方法があります。抽象化と具体化を使い分けることです。
この記事では、学びのコツである抽象化と具体化の違いと使い方をわかりやすく解説します。
この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つよしつが実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい、知っておきたい 考え方・意識・スキル)
具体化と抽象化の使い分け方法とは?
・日々の業務は具体化する
・得た知識は抽象化して記憶する
上記の考え方で知識を得て記憶することで知識量を増やすことができます。
日々の日常業務は具体化した知識でこなします。対応できない場合は、抽象化した知識を頭の中から引き出し、業務をおこないます。
そのために、具体化した知識を沢山並列で持っておくのではなく、具体化した知識を抽象化した上で、分類・整理し、見出しだけを頭の中に入れておくのです。
必要になった時に、見出しをもとに、紐づく知識の中から一つ選んで活用するイメージです。
まずは具体化と抽象化を説明した後に、上記2つをそれぞれ解説します。
具体化と抽象化とは?
まずは、具体化と抽象化それぞれの意味を説明します。
具体化と抽象化の意味
具体化はそのままでも使える状態にすること
抽象化は共通要素でまとめ直すこと
具体化は、そのまま使える状態まで物事を明確化することです。具体化できている状態とは、その言葉で動けるかどうかです。
抽象化は、共通性や法則性を見つけ出し、枝葉を取り除いた言葉になっているものです。
抽象化すると本質にたどり着く場合が多くあります。
抽象化と具体化の関係
上図は、具体化と抽象化を有名な3C分析を元にあらわしています。
具体化は、3C分析を具体的に説明したものとなり、「市場・顧客、自社、競合の3つで分析する」となります。
逆に抽象化の第一段階では、「現状を抜けもれなく分析」するとなります。
3C分析とは、よく戦略立案に使われるため、戦略策定手法のように理解される場合があります。
ただ、3C分析をしても、戦略が直接導きだれるわけではありません。
あくまで、市場・顧客と自社と競合という3つの軸で分析することで抜けもれなく、「現状」を把握することができるフレームワークです。
更に、抽象化をもう一段上げると、「分けて考える方法」となります。
3C分析だけでなく、SWOT分析、ファイブフォースなどの有名フレームワークがありますが、ほとんどのフレームワークは分けて考える方法となります。
分けて考える目的は、抜けもれなく考えることです。
「日々の業務は具体化する」の詳細
・自分で使える
・人に伝えることができる
・伝えた人が使える
日々の業務では上記3つがあることで、業務がちゃんと回ります。
まずは自分で使える状態にならないと行動に移すことができません。使える状態とは、具体化することで形式知化されている状態で、その文章を実行すれば業務をおこなうことができる状態です。
このような状態にできることで、自分で動けることはもちろん、他の人に伝えることができ、伝えた人が使える状態にもなります。
したがって、日々の常務は具体化することが大事になります。
「得た知識は抽象化して記憶する」の詳細
得た知識は抽象化し本質を理解しておき、頭の中で整理整頓しておくことでいつでも使える状態になるだけでなく、たくさんの情報を頭の中に置いておくことができます。
抽象化したキーワードで整理する2つの方法を紹介します。
・分類して格納
・つなげて格納
それぞれ説明します。
分類して格納
目的ごとに関連知識を引き出せるように格納
脳には格納できる限界があります。したがって、整理整頓して知識を格納することが大事になります。
目的で抽象化すると具体的な知識を分類することができ、格納しやすくなります。
先ほど具体例を出した3C分析をもとに説明します。
3C分析を一段階抽象化すると「現状を抜けもれなく分析」です。更にもう一段階抽象化すると「分けて考える方法」となります。
「分けて考える方法」をざっと上げると以下となります。
「プロダクトライフサイクル」
「3C分析(市場・競合・自社)」
「SWOT分析」
「ファイブフォース」
「AIDMA(アイドマ)」
「4P」
「アンゾフの成長マトリクス」
「アップセル・クロスセル」
「ポーターの3つの基本戦略」
「コトラーの競争地位戦略」
このように並べるとどうしていいかわからなくなります。
ただ、この一覧を1段階抽象化し、「現状を抜けもれなく分析」するためのフレームワークと「戦略を考える」際のフレームワークに分けてみましょう。
現状を分析
「プロダクトライフサイクル」
「3C分析(市場・競合・自社)」
「SWOT分析」
「ファイブフォース」
「AIDMA(アイドマ)」
戦略を考える
「4P」
「アンゾフの成長マトリクス」
「アップセル・クロスセル」
「ポーターの3つの基本戦略」
「コトラーの競争地位戦略」
このように現状分析で使えるもの、戦略立案で使えるものに分けることができます。
(各用語の説明は、組織活動のコアである課題設定・戦略立案に使えるフレームワーク25選を参照)
このように分類しておくと、現状分析をしたい場合は、現状分析のフレームワークの中から使えるものを探すだけとなり、とても選びやすくなります。
戦略の場合も同じです。
このように抽象化しておくことで、何をしたいか?が明確になれば、その引き出しから選ぶことができるのです。
ひとつひとつを別の引き出しにしまっておいて、その引きだしをすべて開ける必要がありません。
つなげて格納
抽象化されたキーワードでつなげて格納
例えば、会社の本質を知っておくと、財務三表が理解できます。
なんのこと?と思うでしょうが以下のようにつながっています。
会社の本質と財務三表のつながり
会社の本質は、「現金を使って現金を増やす器」です。
(詳しくは、本質を一言で表現!「会社とは何?」をわかりやすく解説を参照)
上記の本質をもう少し詳細にします。
1.お金を集めて投資する
2.投資したものを使って売り上げ、費用を引けば利益
3.上記の結果、現金が増えたのかどうかを把握する
という流れになります。
実は財務三表は上記をそれぞれ表しています。
お金を集めて投資する
これを表しているのは、貸借対照表(B/S)です。
上図となります。
投資したものを使って売り上げ、費用を引けば利益
これを表しているのは、損益計算書(P/L)となります。
上図となります。
3.上記の結果、現金が増えたのかどうかを把握する
これを表しているのは、キャッシュフロー計算書(C/F)となります。
上図になります。
このように会社の本質を数値で表わしているものが財務三表で、会社の本質と財務三表はつながっているのです。
また、会社組織の本質は、「分業」です。分業なので、責任と権限が必要になります。また、何をしてほしいかを明確にするために、人事評価制度が必要になります。
また、責任と権限を図式化したものが組織図です。
会社の本質と同じく、本質部分をおさえておくと、さまざまな制度がつながっていることがわかりますし、その制度の目的は、本質部分を実現することになります。
抽象化した知識を得る方法
具体化した知識は日常業務で使うので、働く会社で教えてもらいましょう。
ただ、抽象化した知識は、教えてもらえないので自分で学びましょう。
ただ、自分だけで学ぶと時間がとてもかかります。
てっとり早く知るひとつの方法は、私のブログの他の記事を参照してもらうことです。
会社の本質、会社組織の本質、製品・商品・サービスの本質など、ざまざまな本質を解説しています。
また、様々なフレームワークをわかりやすく解説しながら分類しています。
記事一覧は、よしつブログのサイトマップを参照下さい。
まずは上記の記事を読み、一旦自分の考えの軸としてください。
そうすると、今まで、目の前を気が付かずに通りすぎていた情報が認識できるようになります。
基準があることで、目の前を通る情報が自分の考えにあっているかどうかがわかるので、その情報を認識できるのです。
さまざまな情報を総合的に判断して自分なりの考えを構築して下さい。
社会人の学びのコツ「具体化と抽象化を使い分ける」のまとめ
・日々の業務は具体化する
・得た知識は抽象化して記憶する
使い分け方は上記となります。また、抽象化したキーワードで整理する方法は以下の2つです。
・分類して格納
・つなげて格納
これらのことを理解しておくと、がんばって得た知識が頭の中で整理され、必要な時に引き出すことができるようになります。
他にもビジネスの基本スキルの記事を書いています。参照下さい。
- 「伝え方の基本 大枠から詳細へ」
- 「前提をそろえる」
- 「ミスコミュニケーションの原因と対策」
- 「正しい情報を得る6つのコツ」
- 「手段の目的化」
- 「論理と感情の関係」
- 「人の思考の癖」
- 「人が変われない理由と対策」
ビジネスの知識を増やすには、本を読むことがおススメです。
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