長いカタカナが続くだけに、とても難しく感じるのがPPMです。
また、PPMは、アメリカのコンサルファームが提唱したフレームワークなので、より難解に感じさせてしまっているのだと思います。
ただ、このフレームワークは、1枚の絵で各事業の立ち位置含め、沢山のことを示唆してくれるとても優れたものです。
この記事では、このPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)の意味だけでなく、使い方も含めてわかりやすく解説します。
このフレームワークを理解するだけで、事業課題・事業戦略の立案力が間違いないなく上がりますよ。
この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つよしつが実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい【課題解決】問題課題、戦略戦術フレームワーク・法則)
PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)とは?
各事業の現在地がわかる
各事業の今後が予測できる
各事業の基本戦略が立てやすくなる
この3つができる、とてもすぐれたフレームワークです。
PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)を図で表す

市場成長率×市場シェアで4象限に分ける
「問題児」「花形」「金のなる木」「負け犬」の4つ
縦軸に市場の成長率、横軸に市場でのシェアを取り、4象限に分け、それぞれを「問題児」「花形」「金のなる木」「負け犬」という名前で呼ばれています。
市場成長率と市場シェアの組合せが、「高・高」なら花形、「低・高」なら金のなる木、「高・低」なら問題児、「低・低」なら負け犬と呼びます。
PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)をわかりやすく加工

セグメントの呼び方を変える
名前は「スタート」「もっと攻める」「利益最大化」「事業撤退」
各セグメントの位置付けをより具体的にするために、「高・低」ならスタート、「高・高」ならもっと攻める、「低・高」なら利益最大化、「低・低」なら事業撤退と私は読んでます。
とてもイメージしやすくなるからです。
PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)の全体概要

スタート(問題児)→もっと攻める(花形)→利益最大化(金のなる木)→事業徹底(負け犬)の4象限
どの事業も、基本は市場が成長しているマーケットに参入(市場成長率高)します。そして最初は市場シェアが低い位置からの「スタート(問題児)」となります。
市場の成長率より高く成長することが前提となり、市場のシェアをどのように高めていくかを考えます。
事業を市場成長率より高く成長させることができれば「もっと攻める(花形)」のセグメントに行くことができます。できなければ、「事業撤退(負け犬)」のセグメントに落ちます。
「もっと攻める(花形)」のセグメントにいる時に、市場がだんだん成熟期となり成長率が低くなります。その際に、シェアを維持もしくは拡大できれば、「利益最大化(金のなる木)のセグメントに行くことができます。できなければ「事業撤退(負け犬)」のセグメントに落ちます。
「利益最大化(金のなる木)」のセグメントにいる間は、投資をできるだけ減らし、原価やコストも削減することで、利益を最大化させます。
そうしている内に、このマーケットは小さくなっていき、最終的には儲からなくなり事業徹底となります。
このように、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)は、自分の立ち位置をどのように進めれば事業が成功できるかを教えてくれるのです。
PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)の「各セグメントの詳細」
では、もう少し詳しく解説していきます。
スタート(問題児)

どの事業も基本は右上のスタートから出発します。
当然最初は市場成長率が高い(と思われる)マーケットに参入します。実はこれが「肝」で、新規参入する際は市場がまだまだ伸びる可能性の高いマーケットを狙うのが定石です。
市場が伸びるということは、まだ戦いの優劣が確定している状態ではなく、マーケットの伸びに合わせて売上を拡大できます。その上、シェアを増やせばそれ以上の売上拡大が可能になります。
成長が止まった市場に参入すると、他社からの置換が基本となります。取った取られたの戦い(=価格競争がおこりやすい)となり、苦労は多いが実りは少なく、実ったとしても価格を下げているので利益率が低い商売となります。
したがって、事業を始める際は成長マーケットを狙い、まずはシェアをどのように上げていくかを考えます。その上で、他社との差別化やまだ競合が攻めきれていない顧客やエリアを狙います。
ただ、自社が成長できていたとしても、マーケットの伸びより低い場合は、自社のシェアは相対的に下がり、「事業撤退」のセグメントに落ちます。
事業撤退のセグメントに落ちてしまえば、よほど抜本的に何かを変えないと別のセグメントにはいけませんので、事業撤退の可能性が高まります。
もっと攻める(花形)

「もっと攻める」のセグメントにいる時には、成長率が高いため、徹底的に攻めるフェーズです。競合との力関係は確定せず、伸ばしあいとなります。
その後市場がだんだん成熟し成長率が低下します。そうなると、シェアは固定されて、何をしてもそれほど変わらない状態となります。
市場シェアをしっかり獲得できていれば、利益最大化のセグメントに行くことができ、競合に負けてシェアを落としていると事業撤退のセグメントに落ちます。
利益最大化(金のなる木)

安定成長の後は衰退期を待つだけです。
シェアが確定している強みを生かして、安定している間に、利益を最大限稼ぎます。
まさに金のなる木という命名通りです。シェアを高く維持できたご褒美に利益を得ることができます。
投資をできるだけ減らし、原価やコストも削減するフェーズです。
事業撤退(負け犬)

最終的には市場が小さくなりますので、事業撤退となります。
成功パターンは、上図を反時計回りに回っていくのが一番いい流れとなります。
ただ、各セグメントから市場シェアを落としたり、最終的にマーケットがなくなることで、事業徹底(負け犬)のセグメントとなります。
このようになったマーケットは成長しないために、撤退です。
PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)の「作り方」
自社や自社事業のマーケット状況を把握
自社や自社事業のシェアを把握
この2つで自社事業の立ち位置をプロットすることができれば終了です。
自社や自社事業のマーケット状況を把握
プロダクト・ライフ・サイクルを使う
自社事業が参入しているマーケットの、市場成長率がどのあたりなのかをプロダクト・ライフ・サイクルのフレームワークを使って把握します。

上図のプロダクト・ライフサイクルの考え方である、導入期・成長期・成熟期・衰退期のいずれであるかを考えます。
(プロダクト・ライフサイクルの詳細は、プロダクトライフサイクル(PLC)をわかりやすく解説&使い方紹介を参照)
自社や自社事業のシェアを把握
自社のシェアをマーケットデータ等で把握
マーケットデータがあればそれを使います。なければ、推測で図るしかないですが、できるだけ客観的なデータを使うようにしましょう。
この2つがわかれば、プロットすることができます。そのプロットされた位置が現在の立ち位置となります。
その立ち位置により、基本戦略が決まります。
PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)の「使い方」
使い方詳細は4つあります。
各事業立ち位置把握
各事業を市場の成長率と市場シェアでプロットすることで、現状の立ち位置を把握することができます。
戦略の方向性立案
現状の立ち位置の把握ができれば、どのように進むべきか?、競争のポイントは何か?を決めることができます。
複数事業を俯瞰してとらえる
複数事業を1枚のPPM図にプロットすることで、各事業のそれぞれの立ち位置を俯瞰してみることができます。
投資の方向性
各事業の立ち位置と戦略が見えるので、どの事業にどう投資するかの大枠を考えることができます。
PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)の「まとめ」
各事業の現在地がわかる
各事業の今後が予測できる
各事業の基本戦略が立てやすくなる
このフレームワークは、どの事業に投資するかしないかで使われる場合が多いですが、各事業の今後の予測でも使えます。
このようなフレームワークを頭に入れておくことで、定石を踏むことができ、正しい答えとなる確率が上がります。
他にも課題解決力が上がる「戦略・戦術用フレームワーク」に関する以下の記事を書いています。参照下さい。
- 「4P」
- 「アンゾフの成長マトリクス」
- 「アップセル・クロスセル」
- 「ポーターの3つの基本戦略」
- 「ランチェスターの法則」
- 「コトラーの競争地位戦略」
- 「イノベーター理論」
- 「ロングテール」
- 「感度分析」
当サイトでは以下のカテゴリーで200以上の記事を掲載しています。気になる内容があれば参照下さい。
・【 概念の本質 】ビジネスの根幹・基礎用語の本質・人の本質
・【キャリアプラン】軸とタイミング・成長ロードマップ
・【 自己成長 】定義から効率的な学びの方法を紹介
・【社会人の悩み 】素朴な悩み・よくある悩みと対策
・【 課題解決 】問題課題、戦略戦術フレームワーク・法則
・【ビジネススキル】必須スキル・思考方法・コミュニケーション
・【ビジネス用語 】基礎用語解説
・【 企業会計 】一つの軸で理解・収益構造とコスト分析
・【企業実例研究 】成長企業の成長理由
・【 会社の環境 】良い会社の特徴
・【 転職 】転職前の心構えと知識・具体的な方法
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