「仕組み化」を意味と目的と階層に分けて解説

3.ビジネス基礎知識
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ビジネス用語の解説がわかりにくいのは、人により定義が違う場合と、意味と目的と階層が混在している場合があるからです。

この記事で取り上げる「仕組み化」は、後者の典型的な用語です。

その上、マニュアル化、ナレッジ共有など類似した用語が多いこともわかりにくくなる要因です。

ただ、意味と目的と階層の3つを区別して理解することで、ちゃんと理解できる用語でもあります。

この記事では、この「仕組み化」をわかりやすく解説します。

この記事は、

・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験

これらの経験を持つよしつが実体験から得たことを元に書いています。

(あわせて読みたい、知っておきたい ビジネス基礎知識を参照)

仕組み化とは?

仕組み化の意味

ベストな方法を形式知化し、行動レベルまで落とし込み業務標準にすること

仕組み化の目的

成果を最大化されるために、個人の成果の底上げをおこなうことで、平均点を上げること

仕組み化の対象の階層分け

  • 誰がやっても同じ結果となる業務
  • その他の業務

それぞれを詳細に解説します。

仕組み化の意味の「詳細」

仕組み化の意味は、

べストな方法を形式知化し、行動レベルまで落とし込み業務標準にすること

よく言われる仕組み化の意味は、「いつ誰がやっても同じ結果を再現できる方法」「属人的にならない仕事の進め方を構築する方法」と言われています。

確かにこの言葉だけを聞くと何かメリットがありそうに感じますが、この言葉で具体的な行動をおこせるでしょうか?

具体的な行動がイメージしにくいため、理解できたようなできないような感じになってしまうのです。

  • ベストな方法を抽出すること
  • その方法を言葉で表すこと(=形式知化)
  • その言葉を行動できるレベルに細分化し、業務標準にすること

この3つを同時におこなうことが仕組み化の意味です。

仕組み化の目的の「詳細」

仕組み化の目的は、

成果を最大化されるために、個人の成果の底上げをおこない平均点を上げること

なぜ仕組み化をするかと言えば、成果を上げるためです。成果を上げる必要がなければ、仕組み化をする必要はありません。

では、仕組み化をおこなうことで、誰の成果が上がるのでしょうか?

真っ直ぐ言えば成果の低い人です。成果を出している人は、仕組み化してもできていることが多く、成果はさほど変わりません。

ただ、成果の低い人はうまくできるやり方をおこなうことで成果が出せるようになり、組織の平均点が上がります。

仕組み化の対象の階層分けの「詳細」

仕組み化の対象の階層分けは

  • 誰がやっても同じ結果となる業務
  • その他の業務

この2つに分けて対策します。

誰がやっても同じ結果となる業務

人により結果が違うと困るもの

仕組み化の基礎の基礎となる部分です。

具体的には、交通費精算、受注伝票起票、請求書の処理、個人情報の保存方法などです。

成果物が誰でも完全に同じになるもの=完全に同じでないと困るものです。

完全に同じなので、完全なマニュアル化ができます。

その他の業務

ひとにより結果が変わる業務

完全に同じ結果であるべきもの以外となります。知識やスキルや能力により、成果物が変わるものです。

仕組み化の意味である、べストな方法を形式知化し、行動レベルまで落とし込み業務標準にすることをどのようにおこなうか?がポイントになります。

仕組み化が難しいのは、ベストな方法を一定の業務標準に落とし込む難易度が高いためです。

ただ、この部分をおこなわないと本当の仕組み化とは言えません。

ナレッジ共有とか事例共有があります。

これらは、業務標準まで落とし込めないので、従業員の知識を増やし、引き出しを多く持ってもらう方法で、仕組み化の一歩手前かつ、各自の努力で成果の底上げをおこなってもらうものになります。

仕組み化のメリット・デメリット

仕組み化をおこなうメリットとデメリットを紹介します。

仕組み化の「メリット」

・従業員の成果の平均点のアップ
・戦略の浸透
・時間創出

この3つです。それぞれ紹介します。

従業員の成果の平均点のアップ

そもそもの仕組み化の目的です。

成果の低い人が成果の高い人のマネをすることで、成果が上がり、組織全体として平均点が上がることになります。

戦略の浸透

仕組み化は、ベストな方法を横展開することです。

このベストな方法と戦略を合致させることで、全従業員に戦略を実行してもらえることになります。

時間創出

平均点が上がるということは、同じ時間でより良い結果、もしくは短い時間で同じ結果が出せます。結果、時間が創出されます。

また、1から学ぶことも減りますので、できるようになるまでの時間も短縮されます。

仕組み化の「デメリット」

・形式知化・業務標準化の難しさ
・継続の難しさ

それぞれを説明します。

形式知化・業務標準化の難しさ

形式知化し、業務標準にすることができるのは一部の人です。当然仕事が出来る人です。

ただ、この仕事が出来る人でも、なぜ成果が上がっているか?を自分で認識できる人が少ないことと、できる人は総じて忙しいので、これらに時間を使うことができないのです。

継続の難しさ

単純作業のマニュアルを作ったことがある人はわかると思いますが、決まった成果のものでも、マニュアルを作って運用することは難しいのです。

なんとかマニュアル化できたとしても、できたマニュアルを随時改訂することは本当に煩わしい業務です。

結果、更新が遅れ使えないという評判になり、更に更新が滞ることになり使えないものになってしまいます。

このように、決まった成果のものでも難易度が高いので、成果の変わるものは、もう一段難易度が上がり仕組み化できない場合が多くあります。

仕組み化で従業員が考えなくなる?

そんなことはありません

仕組み化のデメリットとして、従業員が考えなくなると言われます。

これは仕組み化のデメリットではありません。単に業務設計ができていないという問題です。

業務設計すべきリーダーやマネジャーが業務設計できていないのです。なぜなら、従業員が常に考えるような仕組み化を構築すればいいからです。

仕組み化の「進め方」

誰がやっても同じ成果であるべきもの

完全マニュアル化

手順や入力内容等を明確に定義し、定義した内容でマニュアルを作成します。

例外となることは必ず洗い出し、どうすればいいかを明文化することが、マニュアルを運用にのせるポイントです。

その他の業務

仕組み化を管理職の業務にする

ある程度仕事の経験があるだけでなく、仕事ができる人でないと「その他の業務」の仕組み化はできません。

したがって、管理職に仕組み化の業務を担当してもらうのです。また、現場からベストな方法を吸い上げる業務も管理職の仕事とします。

仕組み化は片手間ではできません。人それぞれ、顧客ごとに変わる、時と場合という言葉と戦う覚悟が必要です。仕組み化の過程で必ずぶち当たるからです。

これらの意見を乗り越えるためにも、ある程度の役職を持っている人がおこなうことが必要です。

仕組み化の「具体例」

仕組み化がうまくいっている会社の事例を2つ紹介します。

無印良品

無印良品さんのマニュアルのすごさって知っていますか?

ノウハウがすべて文章化されて、定期的に加筆修正が行われています。

なんと店舗用で2,000ページ、本部用で6,000ページになるそうです。

マネキンの飾り付けというマニュアル化しにくいものまで、マニュアル化しています。まさに仕組み化です。

成果の変わらないものだけでなく、人により成果の変わるものまで文章化されています。その上、定期的な改訂をおこなっています。

新入社員や中途社員だけでなく、アルバイトやパートの方でも一定レベルの仕事ができるのです。

(詳しくは、良品計画(無印良品)の「マニュアルのすごさ」を解説を参照)

ワークマン

全国にある職人の店ワークマンさんの路面店舗の大きさはほぼ同じって知っていますか?

商品展示等のノウハウを他のどの店舗にも活かせるからだそうです。

確かに店舗の大きさがバラバラだと、展示する商品や展示の仕方によって売上が変わり、多店舗へのノウハウ共有ができません。

その上、売上額が予測しやすいので、多店舗展開の要となるフライチャイズの応募数が確保しやすいからだそうです。

仕組み化を進めるために、店舗の大きさを決めてしまっているのです。

(詳しくは、同じ商品を別ターゲットに販売「ワークマン高成長の理由」をわかりやすく解説を参照)

仕組み化の「まとめ」

仕組み化の意味

べストな方法を形式知化し、行動レベルまで落とし込み業務標準にすること

仕組み化の目的

成果を最大化されるために、個人の成果の底上げをおこなうことで、平均点を上げること

仕組み化の階層

  • 誰がやっても同じ結果となる業務
  • その他の業務

このように意味と目的と階層を分けて理解するととても頭の中が整理できて、理解が進みます。

また、仕組み化ができている会社は間違いなく良い会社です。

他にもビジネスの基礎知識の記事を書いています。まずはまとめ記事である、知っておきたい ビジネス基礎知識51選を参照下さい。

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