皆さんの会社では、人事評価のフィードバック(以下、FB)面談がきちんと実施されていますか?
給与の増減に直結する非常に重要な機会であるにもかかわらず、多くの企業では十分に実施されていないのが現状です。
私自身、これまでに5社で勤務してきましたが、そのうち1社を除いては、結果のみのFB面談で、プロセスについて話し合う機会はほとんどありませんでした。
人事評価のFB面談は、経営の根幹に関わるほど重要なものです。そのため、この面談にどれだけ時間をかけるかが、その会社が良い会社かどうかを判断する大きな指標となります。
この記事では、なぜ人事評価のFB面談に時間をかける会社が良い会社と言えるのかを、わかりやすく解説します。
この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・中途採用の責任者の経験
・多数の書類選考・面接の経験
・3回の転職経験
・風土の違う5社での経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つよしつが実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい、知っておきたい いい会社の判断方法)
良い人事評価のフィードバック面談とは?
年に振り返り面談2回、FB面談2回それぞれ1時間おこない、清々しく終わる
もちろん、だらだら長くやってもしょうがないですし、叱られ続けるのも違います。
具体的には、「対象期間の振り返り」で1時間、「査定のフィードバックと次の目標設定」で1時間おこなわれ、終わった後に、清々しい気持ちになる場合が良い人事評価のFB面談です。
理想の人事評価の流れは以下となります。
1.目標を双方納得の上で設定
2.日々のサポート
3.対象期間が終了後、本人の自己評価を確認
4.その場で期待値調整を実施
5.査定者が集まる査定会議に上長が出席し査定を決定
6.決定した査定評価を本人にFBし、次の目標を双方納得の上で設定
皆さんが働く会社の人事評価が上記の流れであること、かつ3と6で1時間使う場合が良い人事評価FB面談です。
なぜ時間をかけることが良い会社なのか?
・ちゃんとやると時間がかかる
・会社と上司が従業員に真剣に向き合っていることがわかる
・妥当な目標設定になる
・上司が成長し従業員は良いFBを体験できる
上記4つが理由です。「人事評価の目的」と「人事評価FB面談の目的」を解説した後に、上記4つを解説します。
人事評価の目的
「従業員が組織に貢献すること」と「従業員自身が成長すること」を同時に実現すること
これが人事評価の目的です。
よく、給与や賞与を決めるため、公平性を保つためなどが人事評価の目的と言われますが、本来の目的はもっと掘り下げた部分にあります。
給与や賞与を人によって変えることや公平性を保つことはあくまで方法であって、目的ではないからです。
(詳しくは、「人事評価(人事考課)の目的」をわかりやすく解説を参照)
人事評価のフィードバック(FB)面談の目的
認識のズレの調整
人事評価FB面談の主な目的は、評価者と被評価者の間に生じる認識のズレを調整することです。
評価プロセスにおいては、どうしても以下のような認識の相違が生じがちです。
・自分はできていると思うが上司はできていないと思う
・自分はできていないと思うが、上司はできていると思う
・自分はこの目標をこのように理解していたが、そうでなかった
・私自身を上司が理解できていない
・私の行動を上司は見ていない
このように、認識のズレは挙げればきりがありません。これらのズレを調整することこそが、人事評価FB面談の最も重要な目的なのです。
お互いの納得感を醸成する上で、この「認識のズレ」を解消することは不可欠であり、ひいては「人事評価」本来の目的達成にも繋がります。
この認識のズレが解消されれば、被評価者にとってほぼ満足のいく人事評価FB面談となるでしょう。
なぜ時間をかけることが良い会社なのか?の詳細
・ちゃんとやると時間がかかる
・会社と上司が従業員に真剣に向き合っていることがわかる
・妥当な目標設定になる
・上司が成長し従業員は良いFBを体験できる
上記4つの理由を解説します。
ちゃんとやると時間がかかる
半年間の結果だけでなくプロセスも話すから
多くの会社は、半年間の評価となります。
もし短時間でできているなら、結果のみの評価となっているはずです。半年間のプロセス・結果を評価するのは、簡単なことでないからです。
結果のみで評価を決定するデメリットは、従業員に恐怖や圧迫感、やらされ感を抱かせ、結果的に「いかに目標を低く設定するか」に意識が向かってしまうことです。
当然ながら、このような評価方法では、人事評価本来の目的は達成できません。
なぜなら、被評価者の行動を深く理解し、会社が求める貢献と従業員自身の成長を同時に実現できる場こそが、真の人事評価であるべきだからです。
会社と上司が従業員に真剣に向き合っていることがわかる
1人の従業員の未来にかかわることだから真剣
上司が時間をかけることを重要だと認識し、実際に多くの時間を費やすのは、会社がその時間を意義あるものとして認めているからです。
ただし、単に時間をかければ良いわけではなく、会社全体の仕組みの改善や上司の適切な関わりがなければ、従業員にとっては単なる苦痛な時間となってしまいます。
会社によっては、人事評価に時間を使うくらいなら、日常業務をおこなってほしいという会社も多く実在します。
当然このような考えを持つ会社は、人事評価より日常業務の方が大事だと考えています。
会社の根本部分である人事評価を軽く見ており、会社・上司と従業員との信頼関係を築くことができない会社と言えます。
妥当な目標設定になる
目標設定が曖昧だと納得感が得られないから
人事評価をしっかりやろうと思えば、無茶な目標設定や軽すぎる目標設定では目的が達成できないことが明白になります。
無茶な目標設定なら、目標の納得感の醸成もできず、最初からあきらめてしまうだけでなく、人事評価に対する不信感につながります。
逆に、軽すぎる目標なら、簡単に達成できてしまうので、本人の成長につなげることができません。
結果、ちゃんとした人事評価をおこなうことで、適切な目標になるのです。
上司が成長し、従業員は良いFB面談を体験できる
・上司はちゃんと考えることで成長できる
・従業員は自身の成長に加えて上司になった時に良いFB面談ができる
人事評価をちゃんとやろうとすると、評価者である上司は本当に大変です。
適切な分業体制を考えたり、難易度をそろえたり、考え方の違う部下に納得してもらったり、時には厳しい評価を下さないといけません。
また、会社の求めることを強制的にやらせないといけない場合もあります。
当然ながら、これらのプロセスを適切に進めるためには、上司が普段から従業員と真摯に向き合う必要があります。
こうした取り組みこそが、上司を成長させるのです。
一方、従業員側も、質の高い人事評価フィードバック面談を数多く経験することで学びを得られます。
時には納得できない経験をすることもあるでしょうが、上司の素晴らしい対応を目の当たりにすることもあるはずです。
これらの経験こそが、将来マネージャーになった際に大いに役立つのです。
このような経験を積むことで、自分が評価者となった際に、人事評価のFB面談にまっすぐ向き合うことができるようになります。
経験がないまま急に評価者になっても、どのように対応すれば良いか分からず、人事評価制度が形骸化してしまう原因にもなりかねません。
多くの人にとって、経験を通じてしか習得できないスキルだからこそ、この経験が人事評価制度の適切な運用には不可欠なのです。
人事評価のFBに時間をかける会社は良い会社の「まとめ」
良い人事評価フィードバックとは、
年に振り返り面談2回、FB面談2回それぞれ1時間おこない、清々しく終わる
これが良い人事評価のFB面談の基準です。
なぜ時間をかけることが良い会社なのか?
ちゃんとやると時間がかかる
会社と上司が従業員に向き合っている
妥当な目標設定になる
上司が成長し従業員は良いFBを体験できる
この4つが理由です。
上記の条件を満たす良いFB面談を実施している会社は、決して多くはありません。もし皆さんの会社がこの条件に合致していれば、それは非常に恵まれた環境だと言えるでしょう。
逆に、このような条件とはかけ離れたFB面談しか行われていない場合、将来自分が管理職になった際に苦労する可能性があります。
その際は、早期の転職を検討することも、一つの有効な選択肢となり得ます。
他にも良い会社を見分ける方法を解説しています。参照下さい。
- 「良い人事評価制度がある会社」
- 「人事異動が多い会社」
- 「責任の所在」が明確な会社」
- 「恐怖より危機感で人を動かす会社」
- 「管理職が本来の仕事をしているか?」
- 「変わり慣れている会社」
- 「結果よりもプロセスを求める会社」
- 「単純作業のマニュアルがある会社」
- 「エクセルが使える人が多い会社」
- 「定量・定性分析を両方行う会社」
- 「取締役の構成を見る」
- 「良い上司かどうかの見分け方」
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