話が「腑に落ちる」先輩と「腑に落ちない」先輩の違いの理由

4.自己成長
※当ページのリンクには広告が含まれています。

様々な先輩や上司からアドバイスを受ける機会が沢山あると思います。

その際に、この先輩や上司の話は腑に落ちてよくわかると思う場合とそうではない場合がありませんか?

私はとても感じていました。

具体的には、「何か正論すぎて実際の現場では使えないように感じる」、「そのアドバイスは確かにある場面では有効だと思うが今の私の問題では使えないように感じる」などです。

この差はある明確な理由で説明することができます。

この記事では、この違いを分かりやすく解説します。

この理由を知っておくことは、将来皆さんが先輩や上司になった時にも、とても役立つはずです。

この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験

これらの経験を持つ「よしつ」が実体験から得たことを元に書いています。

(あわせて読みたい【自己成長】定義から効率的な学びの方法を紹介

話が腑に落ちる先輩と腑に落ちない先輩の違い

経験を抽象化しノウハウ化できているかどうかの差

この差によって、自分が求めている的確な答えが返ってくる確率に大きな開きが生まれるのです。

ノウハウ化できている先輩は、私たちが今置かれている状態(問題や課題)に合わせたアドバイスをしてくれます。

一方、ノウハウ化できていない先輩は、自身が過去に経験した特定の出来事や、単に見聞きしただけの話をそのまま当てはめて話してしまいます。

その結果、後者の先輩のアドバイスは私たちの抱える問題や課題とズレてしまうのです。

この差がでてしまうのは以下の理由です。

・同じ部署で仕事をしていても全く同じ経験は多くはない
・同じ経験数であっても、ノウハウ化のレベルで差がつく
・汎用性のあるノウハウ化は的確な答えが出せる

それぞれを解説します。

同じ部署で仕事をしていても全く同じ経験は多くはない

同じ仕事でも時と場合により経験できることが変わる

仕事には以下3つの変数が存在します。

・自分(担当者)の変数:スキル・心理状態・知識量・過去の成功/失敗体験
・相手(顧客・上司・他部署)の変数:相手の性格・立場・その時の感情・社内事情
・環境(時期・市場・状況)の変数:時期・予算・競合の動き・業界のトレンド

ひとつひとつの仕事には、このように多数の変数が存在します。

どれか一つでも条件が変われば、そこから得られる体験の中身も変わってしまいます。

例えば、今の自分のスキルと、過去に先輩や上司がその仕事に取り組んだ時のスキルが違えば、仕事の深さも変わり、学べる内容も変化します。

変数が一つ変わるだけで状況は大きく変化するため、同じ部署で同じ仕事を担当していても、まったく同じ経験にはならないのです。

同じ経験数であっても、ノウハウ化のレベルで差がつく

1つの経験を1つの知見とするか、2つ以上の知見とするか

この意識を持つかどうかで最終的に得ることができるノウハウが変わります。

例えばクレーム処理を例に考えてみましょう。

顧客から電話が掛かってきて「本日の納品分の品物が違う」と言われたとしましょう。

再納品の手配をした上で、すぐにお客さまのもとへお詫びに伺い、「明日正しい商品をお届けする」とお伝えして許してもらえたとしましょう。

この体験から得られる素直な学びは、「すぐにお客さまのもとお詫びに行けば許してもらえる」というものです。

まずはこれが1つ目の知見になります。

ただし、この対応で本当のポイントとなるのは、「翌日の再納品で事なきを得た」という事実です。

これは、たまたま相手の納期スケジュールに余裕があり、致命的な不都合が生じなかったから許された可能性が高いと言えます。

もし「翌朝一番に使いたい商品」だったとしたら、どれだけ急いでお詫びに行っても許してもらえなかったはずです。

こうして振り返ってみると、「すぐにお詫びに行く」こと以上に、「いつまでに再納品すれば被害(問題)を最小限に抑えられるかを確認する」という行動こそが重要だったと分かります。

つまり、この1つの失敗経験から、

1.すぐにお客さまのもとお詫びに行くこと
2. 再納品の期限(いつまでなら許容されるか)をまず確認すること

という「2つの知見」が得られたことになります。

さらに順序としても、「まずは再納品可能かどうかの期限を確認・確保した上で、お詫びに向かう」という汎用的なノウハウへ昇華させることができるのです。

これはどのようなクレームでも基本となる対応方法と言えます。

1つから2つの知見と言うととても難しいことのように思います。

ただ、この事例を元にすると、なんだこんなことかと思うでしょうが、この程度でも大きな差となります。

もし振り返りを怠ってしまうと、「クレームが来たら、とにかくすぐにお詫びに行く」という表面的な対応だけがノウハウとして残ってしまいます。

これでは、状況が変わった時に対応を誤ってしまうリスクがあります。

特にクレーム対応時は誰しもパニックになり、冷静さを失いがちです(私自身、いまだにクレームの連絡が入るとドキドキします)。

だからこそ、あらかじめ型としてノウハウ化されていれば、焦った状態で一から判断するよりも失敗するリスクを大幅に減らすことができるのです。

汎用性のあるノウハウ化は的確な答えが出せる

本質を踏まえた的確なアドバイスがもらえる

自分の経験を汎用的なノウハウにまで高められている人は、相手の身に起きている現象を聞いただけで、本質を踏まえた的確なアドバイスができるようになります。

体験した出来事を「そのままの形(1つの知見)」でしか捉えていないと、他の場面に応用がききません。

腑に落ちるアドバイスをくれる先輩は、無意識かもしれませんが、自身の経験を様々な場面で応用できるよう「ノウハウ化」して蓄積しているからこそ、相手にフィットする的確な打ち手を提示できるのです。

話が腑に落ちる先輩になるために必要なこと

これまで見てきたように腑に落ちるアドバイスとそうではないアドバイスが存在します。

先輩や上司という立場になった時には、腑に落ちるアドバイスがしたいですよね。そのためには以下の2つがポイントになります。

・1つの経験を1つではなく2つ以上の学びとする意識
・具体例→抽象化→本質→ノウハウ化の流れを知る

それぞれを解説します。

1つの経験を1つではなく2つ以上の学びとする意識

2つ以上の学びと言うと難易度が高く感じますが、深く考えすぎなくても大丈夫です。

何かを経験したこと自体で1つの知見となります。そして、その経験を振り返って、「良い対応をした」と思っただけでも1つの知見となり、合計2つの知見を得ることができます。

また、他の方法があったかも?と思うだけでも1つの知見となります。

更に先輩やAIに聞けば更に1つ知見が増えて合計3つとなります。

日頃から先輩や上司に「もっと深く考えろ」と言われていると、「『別の方法があったかも』と少し思ったくらいでは、考えたうちに入らないのでは?」と感じてしまうかもしれません。

しかし、起きた出来事を客観的にパッと振り返るだけでも、経験はしっかりと頭に残ります。

最初はこれくらい軽い気持ちで捉えている方が、挫折せずに「1つの経験から複数の学び」を得続けることができます。

結果として、より多くの成長につながるのです。

最初から深く考え込もうとすると、思考の泥沼にはまってしまい、振り返る習慣自体が途切れてしまい兼ねません。

具体例→抽象化→本質→ノウハウ化の流れ

ノウハウ化の流れはこの流れです。ただ、現段階では、このような流れでノウハウ化ができることを知っておくだけで大丈夫です。

知識が能力に変わるのは、「知らない」→「知っているけどできない」→「できる」のステップを踏む必要があります。

(詳しくは、「知識と能力とスキルの関係」をわかりやすく解説を参照)

ただ、ノウハウ化は少し難しいことです。したがって、現段階では「知っているけどできない」状態にステップアップしておくことで十分です。

経験を抽象化し、最終的にノウハウへと昇華させる能力は、例えるなら「バケツに水を注ぐ作業」に似ています。

脳という「バケツ」に、日々の知識や経験という「水」が少しずつ溜まり、それが溢れ出た時に初めて自然と実践できるようになるものだからです。

だからこそ今は、「やり方は知っているけれど、まだ実践はできない」という状態までステップアップしておくだけで100点満点なのです。

まとめ

この記事では、話が「腑に落ちる先輩」と「腑に落ちない先輩」の根本的な違いについて解説してきました。

その違いは、「自分の経験を抽象化し、汎用的なノウハウにまで高められているか(思考の引き出しを持っているか)」という点にあります。

最後に、ポイントを振り返っておきましょう。

なぜアドバイスがすれ違うのか:仕事には「自分×相手×環境」という3つの変数が存在するため、表面的には同じ仕事に見えても二度と「まったく同じ経験」は訪れないから。

腑に落ちる先輩のアドバイス:単なる過去の自慢や1つの成功体験ではなく、事象から本質を抜き出し「相手の状況(変数)」に合わせて再構成されたノウハウになっている。

今日からできるノウハウ化の一歩:無理に完璧な分析をしようとせず、「他の方法があったかも?」と軽く振り返ったり、1つの経験から「2つの学び」を意識したりするだけで十分。

若手のうちは、目の前の泥臭い仕事や不慣れなトラブルに追われ、「自分の下積みは本当に意味があるのだろうか」と不安になることもあるかもしれません。

しかし、今あなたが職場で流している冷や汗や、失敗して焦った経験こそが、将来「説得力のあるノウハウ」に変わる最強の原石(宝箱)です。

最初から完璧に抽象化してノウハウ化できる人はいません。バケツに水を一滴ずつ溜めていくように、「次はこうしてみようかな」とスマホのメモ帳に1行残してみる。

その小さな1行の積み重ねが、数年後、後輩から「〇〇さんのアドバイス、すごく腑に落ちます!」と頼りにされる、本物のプロフェッショナルへとあなたを育ててくれます。

まずは今日の仕事を、軽い気持ちで1分だけ振り返ってみることから始めてみませんか?

他にも自己成長の「定義と効率化」に関する以下の記事を書いています。参照下さい。