「なぜ毎年増収増益を目指すのか?今年くらいは目標を下げたらいいのに?」
会社で働いていて、そう感じたことがある人は多いでしょう。
増収増益を達成するには、現状維持の仕事では実現できず、常に新しい挑戦が求められます。
会社に理由を聞いても「売上を上げることが大事だから」といった抽象的な答えしか返ってこないため、増収増益が自分たちにどんなメリットをもたらすのか、明確に理解している人は稀かもしれません。
しかし、増収増益を続けることは、関わる全員に大きなメリットをもたらします。
この記事では、増収増益を続けることで、従業員・顧客・経営にどんなメリットがあるか?についてわかりやすく解説します。
この記事を読むと、会社が増収増益を目指す理由が理解でき、今より前向きにとらえることができるようになります。
この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つよしつが実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい【概念の本質】ビジネスの根幹・基礎用語の本質・人の本質)
毎年増収増益を目指す理由は?
従業員・顧客・経営者のハッピートライアングルのため
具体的には、
・従業員の市場価値向上
・顧客サービスの安定供給
・経営者の心の安定
これら3点こそが、会社が増収増益を目指す理由であり、経営・従業員・顧客すべてがハッピーになるための必須条件(ハッピートライアングル)なのです。
このトライアングルを構成する要素を、ひとつずつ解説します。
従業員の市場価値向上
・自分の能力アップ
・働く会社のブランド化
・給料アップ
従業員にとって、毎年の増収増益を目指すことはしんどい挑戦です。「今年も頑張ったのだから、来年くらいは目標を下げたらいいのに」と考えるのは当然でしょう。
しかし、増収増益を続ける会社で働くことは、成長が停滞している企業で同じ時間を過ごすことに比べ、上記3つの圧倒的に大きなメリットを自身にもたらします。
その内容を一つずつ見ていきましょう。
自分の能力アップ
自分自身の能力が上がる
増収増益に貢献できる経験こそが、自分自身の能力を高める「最も大きな果実」です。
増収増益が続く会社は、いい意味で適度な緊張感に包まれています。
それは、毎年目標という名の「高くなる山」を登りきるために、「昨年と同じ行動=現状維持」ではなく、常に新しい行動を続けているからです。
その過程で、常に新しい学びが得られます。
働く会社のブランド化
皆さんの能力を証明してくれる
個人の能力を客観的に証明することは、実はとても難しいことです。
しかし、増収増益を続ける会社で働くという事実は、「入社できるだけの能力」、そして「普通の会社よりも多くの経験を積めている」ことの強力な証明になります。
これが、あなたの市場価値を大きく高めるプラス要素です。
特に転職の際、職務経歴書に社名を書くだけで、採用側が上記のようなイメージを持ってもらえるようになります。
給料アップ
給料が上がりやすい
増収増益が続けば、人に払うお金の原資が大きくなります。その上、毎年結果が出ているので、ボーナス含めた給料が毎年上がりやすくなります。
増収増益が実現できていない会社であれば、結果を出しても、増収増益をしている会社ほど一般的には給料が増えません。
会社のコストの中で、人件費は非常に大きな割合を占めます。原資(給与に使えるお金)が増えない限り、あなたがどれだけ活躍しても、大きな給料アップは望めません。
また、増収増益が続くと組織が拡大し、役職のポストが増えます。昇進の可能性が高まることも、給料が上がりやすくなる大きな要因です。
(詳しくは、「給料が上がる会社」「上がらない会社」の見分け方を参照)
顧客サービスの安定供給
良いサービスに改良できる
増収増益が実現すると、新しい投資ができます。そうすると、今の製品・商品・サービスが良くなります。または、まったく新しい製品・商品・サービスを創ることができる可能性が高まります。
これにより、安定的なサービスを提供できるようになり、顧客はますますファン化し、リピートしてくれる状態が続きます。
結果、感謝される状態が続きます。
経営者の心の安定
正しい判断の確率が上がる
経営者はものすごいプレッシャーの中、経営しています。
自分が経営している会社の存続、従業員への責任、顧客への責任をすべて背負っています。
その中で、売上が下がり続ける状態が続けば、何がおきるか?
当然お金がなくなりますので、投資ができなくなります。投資ができないと顧客へのサービスが劣化します。そうすると更に売上が落ちていく負のスパイラルに入ります。
本来、経営は短期・中長期、ミクロ・マクロのトータル視点で行うべきです。しかし、売上低下が続くと、目の前の現金を確保することが最優先になってしまいます。
その結果、経営者は冷静で正しい判断ができなくなり、従業員が懸命に働いても、会社は傾いてしまうのです。
だからこそ、会社の現金を増やし続ける増収増益が不可欠なのです。
増収増益ができている状態であれば、心が安定します。
心が安定すれば、冷静な判断ができます。その結果、給料アップや先行投資につながります。
毎年増収増益を目指さないと何が起きる?
・組織が緩む
・意識が社外中心から社内中心になる
毎年増収増益ができないと上記の2つの問題が発生します。
それぞれ解説します。
組織が緩む
スピードを緩めると戻らなくなる
毎年の増収増益は本当に大変です。
だから、別に毎年増収増益を続ける必要があるのか?と思う人もいると思います。
しかし、増収増益は毎年必要なのです。人間は現状維持を好む性質があり、一度緩めた緊張感を再構築するのは簡単ではありません。
人の脳をフル稼働させるのは、ものすごいエネルギーが必要です。したがって、人間は怠けるようにできています。
「今まで頑張ったから会社は大丈夫」「私が少しくらい緩めても他の誰かがカバーしてくれる」といった自己を安心させる考えを持ってしまいます。
その証拠に、減収減益が続く会社は、社員がゆっくりのんびりしており、「まさか倒産する」とは本気で考えていません。
他責であふれ、この前こんなことがあったと、10年以上前のことを昨日の出来事のように話しています。
切羽詰まっているかと思いきや、まったくその逆なのです。
私はこのような状態の会社を経験しています。だからとてもわかるのです。このように考えることは先ほども言った通り、人本来のことだから咎めるつもりは全くないです。
ただ、このような状態が続くと、思考が沈着し変化できる可能性が低くなり会社は衰退します。
したがって、そうならないためにも増収増益を続けていくことが、とても大事なこと、かつ必要なことなのです。
意識が社外中心から社内中心になる
社内政治がはびこる
組織が衰退していくと、必ず、従業員の視野が社外中心ではなく、社内中心になります。
これは、人が集まる組織で起きることで、今までの歴史でも数多く起きています。
どんなに強い国でも、領土確保という成長ができなくなると、必ず国の中で問題がおきて組織の中から崩壊していきます。
同じことが会社組織でも起きます。
顧客という社外に向いていた意識が、社内に向き、社内政治・責任のなすり付けあい・他責思考という問題が顕在化します。
意識が外に向いていたため、社内の問題はクローズアップされなかったのですが、意識が社内に向くことで、社内の問題がクローズアップされるようになります。
このような状態になると、社内はギスギスし足の引っ張り合いとなりとても嫌な雰囲気になります。
したがって、増収増益を続けていくことが重要で、継続することで経営・従業員・顧客のハッピートライアングルが出来上がるのです。
毎年増収増益を目指す理由の「まとめ」
経営・従業員・顧客のハッピートライアングルのため
具体的には、
・経営者の心の安定
・従業員の市場価値向上
・顧客サービスの安定供給
これらが実現できるからこそ、会社は増収増益を求めます。
日々の努力を「自分の成長=市場価値向上」のためだと捉えていきましょう。
もちろん、増収増益達成はしんどく感じるでしょう。しかし、しんどさを感じた時こそ、新しい課題に挑戦し、自身が成長している証拠だと前向きに捉えてください。
ただし、掛け声や恐怖だけで増収増益を求める経営、商品やサービスの強化を怠る経営、すべての責任を現場に背負わせる経営には注意が必要です。
そのような環境では、有用な経験は積めません。自身の市場価値向上につながらないと感じたなら、心身を壊す前に転職も視野に入れるべきでしょう。
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