働いた会社が1社しかない20代の皆さんにとって、自分の会社が良い会社かどうか?を客観的な基準で判断はしづらいと思います。
世の中にはたくさんの会社があり、風土風習が本当にバラバラです。また、良いかどうかの判断には、会社の事業、働く従業員、制度設計など複合的な判断が必要になります。
パワハラやセクハラ、残業時間が長い、休日出社が多いなど明らかな内容であれば明確にわかりますし、判断を間違うこともありません。
ただ、上記は会社の見方の一部でしかありません。本当に良い会社かどうか?は、複数社で働いてやっとわかります。
良くない会社と判断して転職したら、実はそれほど悪くない会社だったということもあります。
この記事では、良い会社の見分け方をさまざまな観点から紹介します。
この記事は、
・風土の違う5社での経験
・中途採用の責任者の経験
・多数の書類選考・面接の経験
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・3回の転職経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つよしつが、実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい、社会人の勉強 学ぶ方法と知っておきたい知識を紹介)
良い会社の特徴
「良い人事評価制度」がある会社
・人事評価制度は、会社組織の根幹をなす制度
・良い会社は、根幹の制度をきちんと設計実行している
上記2点の理由から、人事評価制度を掘り下げていくと、その会社の良し悪しが見えてくるのです。
人事評価制度の目的は、「従業員が組織に貢献すること」「従業員自身が成長すること」を同時に実現することです。
また、人が会社組織を作る理由は、ひとりでできないことができるからです。
そのために大事なことは、
・人が集まること
・共通の目的があること
・分業されていること
・仕組みやルールが整備されていること
この4つが大事になります。
この4つに人事評価制度がすべて絡んでいるのです。
上記から、人事評価制度は会社組織の根幹をなす制度だと言えます。
したがって、その根幹となる人事評価制度を、どこまできちんと設計し実行できているかを見ると、その会社の経営層が組織運営をどこまで深く考えているかがわかります。
経営層がきちんと組織運営を考えている会社は良い会社である場合が多く、逆にそうでない場合は、ほぼ間違いなく悪い会社と言えるでしょう。
(詳細は、会社の見分け方「良い人事評価制度」があれば良い会社を解説を参照)
人事評価のフィードバック面談に時間をかける会社
年に振り返り面談2回、FB面談2回それぞれ1時間おこない、清々しく終わる
もちろん、だらだら長くやってもしょうがないですし、叱られ続けるのも違います。
具体的には、「対象期間の振り返り」で1時間、「査定のフィードバックと次の目標設定」で1時間おこなわれ、終わった後に、清々しい気持ちになる場合が良い人事評価のFB面談です。
理想の人事評価の流れは以下となります。
1.目標を双方納得の上で設定
2.日々のサポート
3.対象期間が終了後、本人の自己評価を確認
4.その場で期待値調整を実施
5.査定者が集まる査定会議に上長が出席し査定を決定
6.決定した査定評価を本人にFBし、次の目標を双方納得の上で設定
皆さんが働く会社の人事評価が上記の流れであること、かつ3と6で1時間使う場合が良い人事評価FB面談です。
結果、以下のことがちゃんとおこなわれることになり、良い会社であると言えるのです。
・ちゃんとやると時間がかかる
・会社と上司が従業員に真剣に向き合っていることがわかる
・妥当な目標設定になる
・上司が成長し従業員は良いFBを体験できる
(詳しくは、人事評価のフィードバック面談に時間をかける会社は良い会社を参照)
「人事異動が多い」会社
「人事異動が多い」会社が成長できる良い会社であるのは、以下3つの理由からです。
・学ぶ機会が増える
・変化に慣れる
・時間軸が短くなる
ただ、これらは成長を求める場合です。成長を求めないのであれば、異動の負荷はとても重くなりますので、おススメしません。
ただ、少しでも成長したいと考えるなら、自分で無理して頑張らなくても、結果として成長できる環境に身を置くことで上記3つを獲得してほしいと考えます。
本来はやりたいことがあり、そこに向けて成長していければ最高です。
しかし、20代のうちから「本当にやりたいこと」が明確な人は、そう多くありません。
異動の多い環境は、いわばキャリアの「基礎体力」を養う期間です。
この期間に成長の土台を築いておくことで、将来やりたいことが見つかった時に、誰よりも有利なポジションからスタートを切れるのです。
(詳しくは、「人事異動が多い」会社は成長できる環境がある良い会社を参照下さい)
責任の所在が明確な会社
・やることが明確
・やったことが成果につながりやすい
この2点が理由です。
やることを明確にするためには、組織内で抜けモレダブりなく業務を割り当てる必要です。
当たり前のように感じると思いますが、できている会社はそれほど多くはありません。
不明瞭な部分があったり、同じ業務に複数の人を割り当てたり、担当がいない場合がよくあるからです。
ただ、これを設計する立場になり、実際におこなうとわかりますが、1人1人まで落とし込むのはかなり難しい業務です。
単に割り振るなら簡単ですが、個人の適性、同じ階層の人に同じ難易度、各人の成長促進、本人が希望しない業務など、沢山の要素を踏まえた正解を見つける必要があります。
したがって、この設計ができているということは、これらのことを精緻に考えて組織運営していると言えます。
もちろん分業が正しくできていれば、業務の効率が上がり業績が上がるか確率が大きく上がります。従業員のやる気と高まります。
(詳しくは良い会社の見分け方「責任の所在が明確」をわかりやすく解説を参照)
営業力に頼らない会社
商品開発を全社の最優先課題としている
営業力はあった方がいいです。ただ、商品力がないと営業力が半減してしまうことも事実です。
だからこそ、商品開発に力を入れる会社が良い会社と言えます。商品開発はとても難しいので、ついつい営業に責任転嫁をしたくなる誘惑にどう立ち向かいが経営の大事なポイントと言えます。
そうしないと、商品力がさらに低下し業績不振につながるからです。
(詳しくは、良い会社の条件 営業力が一番大事だと考えない会社を参照)
「すべき」より「したい」が多い会社
・自分の意思で行動できているから
・思考停止に陥っていないから
・「したい」を維持することは難しいから
上記3つがしたいが多い会社が良い会社の理由です。
「したい」と「すべき」の違いは、自分の思いなのか?過去のノウハウなのか?の違いです。
つまり、「したい」と「すべき」の大きな違いは、行動の源が「自分の思い」なのか、「過去のノウハウ」なのかという点です。
自分の「したい」ことは、積極的におこなうことができるので従業員のモチベーションが高い傾向になりますし、「すべき」が多いと、なぜそのようなことをおこなうかもわからずに行動に制約を受けることが多くなります。
結果、したいが多い会社が良い会社と言えるのです。
(詳しくは、「すべき」より「したい」が多い会社は良い会社を参照)
恐怖より危機感で人を動かす会社
恐怖ではなく危機感に満ちた組織が良い会社とされる理由は、以下の3点に集約されます。
・個人の成長を促す環境がある
・本物のリーダー・マネージャーが存在する
・健全で良い会社の雰囲気が醸成される
外からの圧力によって「やらされている」と感じる雰囲気ではなく、自身の内側から「動きたい」という気持ちが生まれる組織、すなわち健全な危機感のある会社で働くことは、このような多大なメリットをもたらします。
私自身の両方の組織での経験から言えるのは、恐怖で人を動かす組織では人は決して成長しないということです。むしろ、言われた以上のことをしようとすると、逆に叱責される経験さえあります。
その結果、従業員は「言われたことしかしない」という習慣が身についてしまいます。一度この習慣がついてしまうと、それはなかなか払拭できません。なぜなら、その方が楽だからです。
これは、長年の現場経験から得られた確かな知見です。
(詳しくは、良い会社の条件 恐怖より危機感で人を動かす会社を参照)
「無謬性(むびゅうせい)」が発症していない組織
無謬性(むびゅうせい)とは、
思考や判断に誤りがないこと
「人間は間違いを犯すもの」という前提は誰もが理解していますが、集団である組織においては、時にこの「無謬性」という症状が現れることがあります。
この症状が組織に現れると、過去の決定や行動すべてが正しいものと見なされるようになり、組織をより良い方向へ変化させる上で不可欠なPDCAサイクルが機能しなくなります。
過去の行動を「正しい」と前提するがゆえに、振り返りや改善の必要性を感じなくなるためです。その結果、組織は停滞し、健全な成長が阻害されてしまいます。
(詳しくは、悪い組織に多く発症する「無謬性(むびゅうせい)」とは?を参照)
上司ではなく、お客様に目を向けている会社
お客様サービスを一生懸命考えているから
お客様が何を考えているかを一生懸命考えるのが良い会社です。上司が何を考えているかを一生懸命考えるのが悪い会社です。
誰でもわかる当たり前の話です。ただ、上司を大事する悪い会社がたくさんあります。
会社の風土に染まると、この当たり前のことが「わかっていながら」実行できなくなります。
なぜお客様より上司を大事にするようになるのか?
成長が止まり時間に余裕ができるから
商売はお客様からしかお金をもらうことはできませんので、お客様の困りごとや課題を解決することが大事になります。
ただ、困り事は時間経過と共に変わります。したがって、お客様が何を考えているかを常に考えないといけないし、事業を再構築することがとても大事になります。
常に顧客のことを考えていると、会社も個人も成長し、ある種の「緊張状態」が続きます。
しかし、この状態が永遠に続くことはありません。いつか必ず成長の踊り場が訪れるのです。
すると、従業員の関心は「新しい挑戦」や「顧客の課題解決」といった本来やるべきことから離れ、「楽をしたい」「自分の身を守りたい」という心理が働き始めます。
人は、一旦楽をしてしまうと、楽じゃない状態となった時に、自ら気を引き締めて頑張りなおすことが簡単にできる生き物でありません。
結果、自責ではなく、他責で考えるようになり、時間の余裕があるために、自分の責任回避のために自分を守ってくれる人を確保することに時間を使うようになり、社内政治が始まります。
社内政治が始まると、上司の顔色がお客様の顔色より気になり出す状態となってしまうのです。
(詳しくは「上司ではなく、お客様に目を向けている会社」は良い会社を解説を参照)
管理職が本来の仕事をしているかで判断
・管理職の本来の仕事を知る
・できているかできていないかを判断
・できていない場合の問題点を把握
上記の流れで判断することで、良い会社かどうかだけでなく、良い会社でない場合何か問題なのかが判断できます。
管理職の仕事は、以下2つです。
・担当する組織を通じて最大の成果を出す
・担当する組織力を上げる
これらの視点から、今の上司や経営陣の働きぶりを観察してみましょう。今までとは違った見方ができると思います。
(詳しくは、良い会社の見分け方 管理職が本来の仕事をしているかで判断を参照)
変わり慣れている会社
会社は変わらないと存続できないから
変われる風土があるから
組織力が高くなるから
この3つが、変わることに慣れている会社が良い会社の理由です。
変わることが受け入れられる組織は、とても強い組織となるだけでなく、働く従業員も鍛えられ成長できるのです。
(詳しくは、良い会社の条件 変化し続ける会社を参照)
雑談が多い会社
話したくないと思う人が少ない
「すべき」ではなく「したい」が多い
頑張ろうと思える
上記が良い会社の理由ですが、前提条件があります。
仕事が個人に適切に割り振られている
上記が前提条件となります。
雑談で避けたいことは、無駄なおしゃべりが続くことです。
もちろん少しならいいのですが、長く何回も続く場合は問題となります。
その大きな理由が、仕事の割り振りがちゃんとできないことで、暇な人が周りを巻き込んで「時間つぶし雑談」をするからです。
したがってこの前提が大事になります。
(詳しくは、良い会社の条件 雑談が多い会社を参照)
結果よりもプロセスを求める会社
・結果が出せる方法をたくさん習得できる
・風土が良い
この2つが良い会社の理由です。
ちなみに、皆さんの働く会社が、結果とプロセスどちらを大事にしていますかを判断するのは、人事評価シートにプロセス指標が入っているかどうかで判断できます。
プロセスにこだわる会社では、結果が出せる方法をたくさん習得できます。成果を継続的に出せるプロセスの構築力が上がり、上長の適切なマネジメントでサポートを受けることができるからです。
(詳しくは良い会社の見分け方「結果よりもプロセスを求める会社」を参照)
単純作業のマニュアルがある会社
・生産性アップに対策が打てている
・単純作業をメイン業務にする社員がいない
よくマニュアルがあると自分で考えなくなるという思考の経営者が沢山います。
確かに、生産性を上げてほしい部分については当てはまる部分もありますが、単純作業についてはまったく間違っています。この区分けができていないだけです。
そして、この問題は時間がたてばたつほど、とても根深い問題になります。
単純作業の知識を能力と思ってしまう社員が現れて、生産性の低い業務が脈々と生産性が低いまま残るのです。会社が儲かるわけがないのです。
もしこのような現象がおきていたら、実は大きな根深い課題となっている悪い会社となっています。
(詳しくは良い会社の条件 単純作業のマニュアルがちゃんとある会社を参照)
エクセルが使えない人が多い会社の特徴
・数字で語る風習がない
・効率を上げる意識が希薄
エクセルを使えないという現象には、分析が甘い(=事実を把握することが甘い)から課題設定に弱い傾向が顕著です。
事実に真摯に向き合うこと、そして有限な時間を有効に使うこと、もっと言えば成果の出ない業務を従業員にさせないようにすることが大事です。
会社で私たちがおこなう仕事は課題解決です。そのために、解くべき問題=課題設定を間違うと、当然正しい答えを導くことができません。
したがって正しい課題を設定するために、現状に向き合い、事実を数値であぶり出すことがとても大事なのです。
(詳しくは、「エクセルを使えない人が多い会社は悪い会社」をわかりやすく解説を参照)
定量・定性両方を両方おこなう会社
業績が上がり給料が上がる可能性が高まるから
定量・定性分析両方を扱っているということは、
経営者がちゃんと考えている
この証になります。経営者が考えていると、従業員に対して定量・定性分析両方を求めてきます。
経営者が深く考え、適切な判断材料となる定量・定性分析に基づいて意思決定を行えば、業績が向上する可能性が高まります。
その結果、給料が上がるだけでなく、顧客に喜ばれるサービス提供を通じて、従業員のやりがいも生まれる好循環が期待できるからです。
言うまでもなく、業績の悪い中小企業の多くは、経営者が十分に考えていないケースが少なくありません。それが業績不振の大きな理由です。
(詳しくは、良い会社の条件 定量・定性分析を両方おこなう会社を参照)
取締役の構成で判断
・新卒入社の取締役の比率
・取締役に占める同族数
・親会社からの出向があるかどうか
上記を確認することで、
・組織の硬直度合がわかる
・3名以上の同族者がいれば、経営体制に問題あり
・親会社があると経営の制約がある
上記がわかります。
(詳しくは、良い会社の見分け方 「取締役の構成を見る」を参照)
新卒入社が多い古い会社でおきる一番の問題とは?
問題であることを問題と言えなくなる
会社は常に、環境にあわせて変化していく必要があります。そのためには、今抱える問題点解決が必要です。
ただ、新卒入社が多い古い会社の多くは、解決すべき問題を問題であると言えなくなります。
理由は以下の3点です。
・現経営陣の批判となる
・成功体験の呪縛
・気概がある人ほどやめていく
(詳しくは、新卒入社が多い古い会社でおきる一番の問題とは?を参照)
直接あって確認する
展示会でブースに訪問
様々な事象で判断する方法もありますが、思いきって直接接してみて、自分に合うかどうかを判断する方法があります。
面接等の採用における公の場ではなく、目当ての会社が展示会等に出展している場合、そのブースに訪問してみる方法です。
ブースが元気か元気でないか?
会場全体が元気か元気でないか?
ブースでの接点を持った際の印象
上記3つがポイントとなります。
また、ブースに立ち寄った際の見方のポイントは、
・会社や商品の強みをシンプルに話してくれているか?
・ブースにいる従業員(出展社というネックストラップをしています)の年齢層
・競合の悪口を言っていないか?
この3つとなります。
この内容を押さえておくと、その会社の本当の姿が見えてきます。
(詳しくは、良い会社の見分け方~展示会で直に接してみる~を参照)
良い上司かどうかの判断基準
・管理職の本当の姿を教えてくれる
・成長支援をしてくれる
良い上司とはあなたにこの2つをあたえてくれます。
具体的な良い上司の行動は以下です。
・結果に至るプロセスを気づかせてくれる
・ほめる時はみんなの前、叱る時はこっそり
・ほめる時はほめるだけで終わる
・相談している時は相談に全集中
・部下の失敗は自分の責任
・起きた事象に対して叱る
・メンバーの基準を理解しようとする
・提出した提案書を持っている
・この前言ったよねと言いません
・マネジメントの基本スタンスを分かっている
・読書習慣がある
・一旦意見を受け止めてくれる
(詳しくは、良い上司とは?12の具体例含めて解説を参照)
まとめ
この記事で紹介した「良い会社の見分け方」は、あなたの会社を客観的に見つめ直すための、具体的なものさしです。
人事評価制度の設計、上司の行動、組織の風土、意思決定のプロセス、そしてお客様への向き合い方。これらはすべて、あなたが仕事を通じて成長し、充実感を得られる環境かどうかを映し出しています。
もし、この記事の内容に当てはまる項目が多ければ、あなたは素晴らしい環境にいます。そうでなくても、それがあなたの次のキャリアを考える貴重な判断材料となります。
あなたのキャリアの主導権を握るのは、あなた自身です。ぜひ、この知識を活かし、あなたの会社、そして未来の働く環境を主体的に見極めてください。
当サイトでは以下のカテゴリーで200以上の記事を掲載しています。気になる内容があれば参照下さい。
・【 概念の本質 】ビジネスの根幹・基礎用語の本質・人の本質
・【キャリアプラン】軸とタイミング・成長ロードマップ
・【 自己成長 】定義から効率的な学びの方法を紹介
・【社会人の悩み 】素朴な悩み・よくある悩みと対策
・【 課題解決 】問題課題、戦略戦術フレームワーク・法則
・【ビジネススキル】必須スキル・思考方法・コミュニケーション
・【ビジネス用語 】基礎用語解説
・【 企業会計 】一つの軸で理解・収益構造とコスト分析
・【企業実例研究 】成長企業の成長理由
・【 転職 】転職前の心構えと知識・具体的な方法
・【 読書ガイド 】テーマ別おススメ本
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