人により定義が異なる「戦略と戦術の違い」をわかりやすく解説

3.ビジネス基礎知識
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ビジネスにおいて、戦略と戦術の定義は人によって様々です。

そのため、まず自分の定義をしっかり持つことが、円滑なコミュニケーションにつながります。

しかし、戦略や戦術を定義すること自体が目的ではありません。本来の目的は「目指したい姿を実現すること」です。

この記事では、この目的を念頭に置きながら、両者の違いを分かりやすく解説します。

この記事は、
・営業担当・営業課長・営業部長・営業本部長の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験

これらの経験を持つよしつが実体験から得たことを元に書いています。

この記事を読むと、目指す姿と戦略と戦術の関係性がわかります。

また、他の人が戦略・戦術という言葉を使う際に、この人は、この意味で使っているとわかることで、コミュニケーションが円滑になります。

(あわせて読みたい、知っておきたい ビジネス基礎知識

戦略と戦術の違いとは?

・戦略とは「〇〇する」
・戦術とは「〇〇するために△△(具体的な行動)する」
・戦略は「方向性」、戦術は「具体的な行動」という違いがある

この定義からわかるように、戦略は「方向性」を定める総論であり、戦術は具体的な「行動」を定める各論です。戦略という大きな枠組みの中に、戦術が存在します。

この記事では、この定義をさらに深掘りするため、以下の5つのテーマで解説します。

・戦略とは?戦術とは?の詳細
・課題解決における戦略戦術の位置付け
・役職における戦略戦術の関連性
・戦略と戦術の具体例

戦略とは?

戦略とは、〇〇する

戦略とは「〇〇する」ことを決めることです。これは同時に、「しないこと」を決めることでもあります。

なぜなら、企業のリソース(人・モノ・金)は限られているため、すべてのことを実行することは不可能だからです。

何に集中するのか?他のことは本当にやらなくていいのか?とても悩みますが、この戦略の絞りが緩いと、結局使えるリソースが分散して、目指す姿にたどり着けない確率が上がります。

したがって、戦略を考えることはとても大事なことです。

戦術とは?

〇〇する(戦略)ために△△(具体的な行動)する

戦術とは、「〇〇する(戦略)ために△△(具体的な行動)する」と決めることです。

戦略があって戦術があります。例えば、「どこにも負けない営業支援サービスを作る」は戦略ですが、そのために何をするか?がないと行動に移せません。

例えば、商品開発の人員を社内異動で今の倍にするとか、外部の人を〇名採用するとか、他社の特許を買い取るとかまで落とし込めば行動できます。これが戦術となります。

課題解決における戦略戦術の位置付け

課題解決フローの中で問題・課題・戦略・戦術が関連している

まずは、課題解決のフロー全体を説明します。

上図が目指したい姿と現状・問題・課題・戦略・戦術を一枚の絵で表したものですが、これが課題解決のフローとなります。

  1. 「目指したい姿・ありたい姿」を決める
  2. その姿と「現状」の差を見て「問題」を洗い出し、その中から「課題」を設定します。
  3. 課題解決をおこなうために何をするか(=戦略)を決めます。そして具体的に行うこと(=戦術)を決めて実行することで、目指す姿に行くことができます。

上記3段階のフローで、問題・課題・戦略・戦術の関係性が理解できると思います。

(この三角形の詳細は「目指す姿・現状・問題・課題・戦略」をたった1枚の絵で表すを参照)

役職による戦略・戦術の関連性

役職によって、戦略と戦術の捉え方が変わる

戦略と戦術の定義と違いは上記で説明した通りですが、戦略と戦術について、更に理解を深めてもらうために知っておいてほしいことがあります。

戦略と戦術を組織に当てはまると戦略と戦術が役職によりリンクしてくるのです。まずは以下の図を見てください。

上図は「役職」と「戦略・戦術の関係」を表しています。

組織はピラミッド型の分業体制で成り立っているため、社長・部長・課長・一般社員の仕事はすべてつながっています。

この構造により、社長の「戦術」が、その直下である部長にとっては「戦略」になるという現象が起こります。

具体的には、社長の視点では、会社の戦略は○○することと決め、それを実現するための具体的な行動(戦術)はAとBと設定します。

部長の視点では、社長から任された具体的な行動Aは、自分の部署にとっての「方向性(戦略)」になります。それを具体的な行動(戦術)CとDと設定します。

その結果、課長は部長の具体的な行動であるCが自分の部署にとっての「方向性(戦略)」となります。

このように部長から課長、課長から一般社員へと仕事が流れています。結果、ある役職の戦術が直属の部下には戦略にリンクしていくことになるのです。

実は、これが戦略と戦術の違いを分かりにくくしていることでもあります。

戦略と戦術の違いの具体例

キーエンスさん、オービックさん、エムスリーさんの例を紹介します。

キーエンスの戦略と戦術

キーエンスさんという会社をご存知でしょうか?平均年収が日本トップクラスの会社として有名です。

キーエンスさんは、営業が強い会社として有名です。ですが、戦略は営業力を高めることではありません。

キーエンスさんの戦略は、今まで存在しない商品を開発して粗利80%以上で販売することです。

この戦略を具体的に実現するために、

・高い年収を払い、優秀は人材を採用する

・採用した優秀な人材で今まで存在しない商品を開発する

・営業時間の損失を最少にする

この3つが戦術です。

ちなみに商品は業界初・世界初で7割だそうです。

営業に課せられていることは営業の最大効率化です。いかに早く高く売れるかがポイントです。そのために1分日報と、前日の夜に必ず翌日の商談ロープレをおこなっているそうです。もちろんアポはきっちり入っていることが前提です。

(キーエンスさんの詳細は、「キーエンス高利益率の理由」をわかりやすく解説を参照)

オービックの戦略と戦術

30期連続で増益(その期間ほとんど増収)を実現している、システム構築をおこなっている会社です。

システム構築をしている会社は、顧客に要望に応じたフルオーダーメイドのシステムを構築するのが普通です。

ただ、オービックさんはシステム構築のパッケージ化に成功し、粗利が76%もある会社です。

オービックさんの戦略は、システム構築のパッケージ化をおこなうことです。

この戦略を具体的に実現するために、

・中小企業をターゲットする(大手はフルオーダーで受けざるをえないため)

・業界を絞り徹底的に共通部分を見つけて基本パッケージシステムを開発する

・営業担当はすべて直販とし、現場のニーズが直接つかめるようにする

この3つが戦術です。

(オービックさんの詳細は、実はすごい会社「オービックの高利益率の理由」をわかりやすく解説を参照)

エムスリーの戦略と戦術

世間一般にはそれほど知られていないですが、医療業界では知らない人がいない高成長企業です。

2000年の創業から24年間で、なんと売上約2,300億円の企業となりました。たった24年です。

全国の医師が集まるサイトを作り、製薬会社がその医師に情報提供するために、1社平均年間5億円を払っています。

エムスリーさんの戦略は、全国の大多数の医師が集まる場所を作ることです。

この戦略を具体的に実現するために、

・医療ニュースや文献検索、科別情報といった情報を無料提供

・情報を読むだけでポイント付与(ギフトカードと交換可能)

・上記サービスを受けるために会員登録

・医師が集まった状態で製薬会社に営業

この4つが戦術です。

今では、医師の92%が会員登録しています。更に病院に直接営業に行きにくい環境もあって更に追い風となっています。

(エムスリーの詳細は、「エムスリー株式会社 高成長の理由」をわかりやすく解説を参照)

他にも有名な会社の解説をしています。

詳しくは、【有名企業分析】18社の直近決算と成長のポイントをわかりやすく解説を参照ください。

戦略と戦術の違いの「まとめ」

戦略とは「〇〇する」と決めること

戦術とは「〇〇するために△△(具体的な行動)する」 と決めること

このことが戦略と戦術の違いです。

共に目指したい姿を実現することが目的で、戦略の中に戦術があります。

戦略と戦術という言葉にとらわれすぎず、その考え方を理解することが重要です。

他にも言葉の違いを解説した記事があります。参照下さい。

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