私たちは普段、さまざまな問題を解決する仕事を行っています。問題を解決するとは、その問題を引き起こしている根本的な原因を取り除くことだと理解しています。
しかし、表面的な「現象」を「原因」と捉え、現象に対する打ち手の議論を行うことで、議論がまったくかみ合わないケースが多々あります。
この記事では、この「現象」と「原因」の違いを明確に理解できるように、わかりやすく解説します。
この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つ「よしつ」が実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい、知っておきたい ビジネス基礎知識)
現象と原因の違いとは?
・結果が「現象」
・「現象」を引き起こしたものが「原因」
図にすると以下のようになります。

何かをおこなった際に結果が出ます。「現象」とはあくまでその結果のことです。「現象」である結果には、必ずそこに至った「原因」があります。
「結果」である「現象」は目に見える部分なので認識しやすく、一方で「原因」は目に見えない部分なので認識しにくいものです。
しかし、「原因」を取り除かない限り、結果である「現象」は変わりません。したがって、原因を見つけ出して初めて、効果的な解決策を立案できるようになります。
現象と原因の違いの「詳細解説」
・現象は表層、原因は根本
・打ち手が多数ある場合、原因にたどり着いていない
・打ち手の議論が噛み合わない場合は、原因を疑う
現象と原因の違いで知っておくことは上記の3つです。それぞれ解説します。
現象は表層、原因は根本
現象はあくまで結果という表層的な側面です。原因は、その結果を招いた根本部分のことです。
例えば売上が下がった、お客様からクレームが入った、不良品が発生した、納期が間に合わなかったなどはすべて現象です。結果だからです。
原因は、これらの現象に対して「なぜ」そのようなことが起きたのかを深掘りすることで、たどり着くことができます。
打ち手が多数ある場合は、原因にたどり着いていない
本当の原因までたどり着けば、その原因を取り除くための打ち手はほぼ見えている状態となります。
言い換えれば、原因に対する打ち手の選択肢はそれほど多くないのです。
したがって、打ち手が多数ある場合は、「起きた現象」の「原因」をまだ突き止められていないのではないか?と考える必要があります。
例えば、売上が下がったという現象を原因としてしまった場合、
- 顧客数を増やそう
- 値引きしないで単価を上げよう
- 営業の訪問数を増やそう
- 新しい商品を開発しよう
- 広告を増やそう
など無数に出てきます。
これこそ、「現象」を「原因」と誤認してしまったが故に、打ち手が無数に出てくる典型的な事例です。
例えば、売上が下がった現象の原因仮説として顧客数に着目した場合、本当に顧客数が減っているのか?→もし減っているのであれば、どの商品の顧客が減っているのか?→取引がなくなった顧客は、競合に乗り換えたのか?それとも当社の商品が必要なくなったのか?まで深堀をし、売上が下がった原因を特定しないと良質な打ち手が出てきません。
また、売上が下がった原因が、本当に顧客数減少によるものなのかも検証する必要があります。
売上が下がったという漠然とした現象の原因を突き止める際は、「分解して考える」ことが必要です。
売上=販売数×単価、売上=顧客数×平均取引単価などに分解できます。このように分解すると、販売個数、単価、顧客数、平均取引単価どれが売上減の一番の要因かが把握できます。
そして、販売個数が売上減に最も影響を与えているのであれば、さらに深掘りすることで、原因にたどり着きやすくなります。
(分解して考える方法は「分解して考える」をかわりやすく解説&使い方紹介を参照)
打ち手の議論が噛み合わない場合は、原因を疑う
一生懸命打ち手の議論をしているにもかかわらず、どうも議論がかみ合わない場合があります。これも、典型的な「現象」に対して打ち手を考えているパターンです。
そのような時は一歩引いて、そもそも「どんな原因」に対しての打ち手を考えているのか、改めて考えてみてください。
おそらく、現象を原因まで落とし込めていないために、各自が勝手に原因を決めつけ、それぞれの打ち手を主張しているケースが多いでしょう。
例えば、売れていない商品の「商品の知名度が低い」という現象に対して、私はTVCMが良いと思う、私はネット広告が良いと思う、私は新聞広告が良いと議論している場合です。
結果として、自分の好きな媒体を挙げているだけになりがちです。
そもそも知名度が低いことが、商品が売れない原因なのか?知名度が一番の要因だとしたら、ターゲット顧客のどの層の知名度が低いのか?それはなぜか?まで考えないと原因にはたどり着きません。
このように言葉で書くと簡単ですが、実際に議論しているうちに、目の前の現象しか見えなくなり、それぞれが違う原因に対する打ち手の議論をしているケースが非常に多く見受けられます。
したがって、議論がかみ合わず、さまざまな打ち手が提示されている状態であれば、一度冷静になり、そもそも原因を特定できているかどうかに立ち返りましょう。
現象と原因の違いの「まとめ」
・現象は表層、原因は根本
・打ち手が多数ある場合、原因にたどり着いていない
・打ち手の議論が噛み合わない場合は、原因を疑う
「打ち手を考えろ!」「打ち手を出せ!」と言う企業も多いですが、まずは原因を突き止めることが重要です。
そして、その原因を関係者全員で共有すること。そうしないと、打ち手の議論は空回りし、不毛な時間を使ってしまうことになります。
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