例外にとらわれず、原則を掴んで成果を出す思考方法

7.ビジネススキル
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ビジネスは例外の連続です。マニュアル通りに動く単純な仕事など、どこにもありません。

多くの人は、その「例外」の一つひとつを抱え込み、思考の重りにしてしまっています。

私もそのような経験をしてきました。

教えてもらったこと、本などで学んだこと通りに進まないことだらけでした。

しかし、5社での勤務や数多くの異動を経験する中で、私はある考えに至りました。

大事なのは例外を「増やす」ことではなく、例外と「どう付き合うか」という姿勢そのものだったのです。

大げさに聞こえるかもしれませんが、例外との向き合い方一つで、成長速度は劇的に変わります。

本記事では、例外を味方につけ、どんな環境でも成果を出し続けるための思考法を解説します。

ビジネスの現場には、マニュアル通りにいかない『例外』があふれています。人によってはそれを「特例」や「イレギュラー」と呼ぶかもしれません。

ただ、本質的にはすべて『基本の型から外れたもの』です。この記事ではこれらを総称して『例外』と呼びます。

この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験

これらの経験を持つ「よしつ」が実体験から得たことを元に書いています。

(あわせて読みたい、ビジネススキルを必須スキル・思考法・コミュニケーションに分けて解説

例外とうまく付き合う思考方法とは?

原則と例外を並列で扱わない

鉄則は「まず原則を押さえ、その後に例外を考える」ことです。決して、両者を同じ優先順位(並列)で扱ってはいけません。

なぜなら、並列に捉えた瞬間、脳は例外の多さに振り回され始めるからです。

一見わずかな差に思えますが、これが後に「能力」としての大きな開きとなります。

例外を並列に扱うと以下の3点の問題が発生します。

1.知識だけを得ていく思考方法になる
2.知識を持っていることに特別感をもってしまう
3.時代が変われば得た知識が使えなくなる

共通するのは、「経験から知識を得るのか」、「経験を能力に変えるのか」の違いです。

まずは知識と能力の違いを説明した後に、上記3つをそれぞれ解説します。

知識と能力の違い

知識は知っているだけ、能力は知識を活用できる力

上図が知識と能力の関係を表しています。

聞く・読む・見ると知識が上がります。知識を使って、話す・聞く・実行することができると能力がある状態となります。

例えば、野球でホームランをどうすれば打てるかという知識は、調べれば誰でも手に入れることができます。

ただ、それを実行できるかどうかは別ものであることと同じです。

このことを違う言い方をすると、インプットすると知識が上がり、アウトプットができると能力がある状態になります。

また、「知識がついてから能力が上がる」という順番になっています。

まず私たちは「わからないからできない」という状態からスタートします。

知識を身につけることで、ようやく「わかってはいるが、できない」という次のフェーズに進めます。

そして、実践を通じて能力を磨くことで、最終的な「できる」状態にたどり着くのです。

つまり、最初の一歩として知識は不可欠です。

ただし、ここで注意が必要なのは、知識はあくまで「道具」に過ぎないということ。

持っているだけでは、成果を生む「能力」には昇華されないのです。

(詳しくは、「知識と能力とスキルの関係」をわかりやすく解説を参照)

知識だけを得ていく思考方法になる

・抽象化せずに事例をストックする
・思考の癖が定着してしまう

例外をひとつずつ扱っていくと、上記2つの状態になります。それぞれを解説します。

抽象化せずに事例をストックする

人は本能で対応する

人は人としての本能を持っています。それは、起きた事象に対して対応するという本能です。

現在の人が持っている本能は、狩猟採集時代から大きく変わっていないとのことです。

目の前で動くものに注意が向き、恐怖を感じたり、今おこなっていることをやめて、目の前のことに集中する本能を持っています。

これは、昔は草むらのわずかな動きに反応できないと、他の動物に襲われ生存できなかったからだと言われています。

このような例を上げたらきりがありません。

このような目の前のことに集中し対応するという本能のもと、日々起きる様々な出来事に対応しています。

結果、目の前の個別事象に対応することになり、抽象化するような意識は働きません。

個々の事例ごとの対応はできるようになりますが、違う事例の場合はゼロベースでの対応となります。

ちなみに抽象化できていると、汎用化されるので応用が効くようになります。

思考の癖が定着してしまう

脳が自動化する

脳は体重のわずか2%程度の重さでありながら、全身のエネルギーの約20%を消費する「大食漢」な臓器です。

そのため進化の過程で、脳は極力エネルギーを節約する(=深く考えない)ように最適化されてきました。

散らばった事象から共通項を見つけ出す「抽象化」という作業は、前頭葉をフル回転させるため、脳にとっては極めて「燃費の悪い作業」なのです。

そのため、脳は本能的に「目の前の例外をそのまま受け入れる」という省エネモードを選びたがります。

そして、目の前に起きている事象に対応するために、過去におこなったことを自動で引き出します。

結果、過去の事象と同じ対応をおこなう脳の自動化が起き、これが思考の癖となるのです。

あくまで、ストックされているものは、抽象化されたわけではなく、過去の事象の経験の記憶を元にしているだけです。

知識を持っていることに特別感を持ってしまう

自分の領域を特別だと感じる

アイデンティティの防衛本能を人は持っています。

具体的には、自分の仕事は熟練の技が必要な特別なものだ」と思いたいのです。

これは人なら大なり小なり持っているものです。ただ、これが大きくなると他の意見を受けいれなくなってしまいます。

自分の殻に綴じこもる、タコ壺に隠れてしまうなどと言われる状態になります。

5社で働いて経験したことですが、同じ会社でも各支店に行くと支店ごとの独特な考え方があります。

当然会社が変わればそれぞれの考え方があります。

表面的には環境対応できていいように感じますが、行き過ぎるとデメリットとなります。

「この地域は特殊だ」「当社は特別だ」「顧客ごとに事情が違うから共通化なんて無理だ」、こうした言葉が口をついて出る時は、注意が必要です。

その思考の裏には、例外対応の連続を「自分にしかできない仕事」と勘違いし、その狭い環境に安住しようとする心理が隠れているからです。

膨大な個別経験を「抽象化」できれば能力は飛躍しますが、心地よい「脳の自動化」を自ら止めるには、強い自律心が求められます。

特に1社で長く同じ業務をしている人にこの傾向が顕著に出ます。

時代が変われば得たものが使えなくなる

時代は変わる

今AIが時代を根本から変えてしまう勢いで広がっています。数年前からAIは登場していますが、最近特に進化が加速しています。

これにより、Web検索が変わりました。また、知識ではAIに勝てない時代になりました。また、これからAIに取って代わられる業務も発生するでしょう。

このように環境は常に変わってしまいます。今まで使えていたことが使えなくなったり、他に代替されてしまうことが起きます。

パソコンができ、インターネットができ、AIが発達しています。その度に人がやることが変わってきました。

過去の具体的な経験から得た知識は、いつ使えなくなってもおかしくない時代を私たちは過ごしているのです。

上記デメリットをより理解するための事例

経験による思考の自動化VS経験による思考の抽象化

このことを分かりやすい事例で紹介します。

「20年同じ顧客と担当する営業」VS「20年間で10回以上異動する営業」を比較してみましょう。

20年同じ顧客と担当する営業

20年同じことをやっていれば、特例や例外もほぼ経験します。

また、顧客の社員を知っている人も増えますし、最初は一担当者だった人が昇進して部長役員社長になることもあります。

何人もこのような営業担当を知っていますが、とてもその顧客のことをよく知っています。

過去のこと、人のこと、会社の成長過程のことなど聞けばなんでも答えてくれます。

ただ、20年間同じ顧客を担当しているということは、間違いなく新しいことを知る機会は減っていきます。

また、たくさんのことが経験できるので、抽象化することも必要ありません。

ということは、必然的に人の本能と逆らう抽象化や、原則に当てはめてその顧客を知ることの経験が少なくなります。

ただ、なんでも知っている営業を顧客が喜ぶだけでなく、社内の上司も喜ぶ場合が多くあります。

このように役に立つ存在のため、異動や担当変更される可能性が低くなっているのも事実です。

このような状態では、会社からすれば「便利な人」として重宝されますが、本人にとっては「他の場所で通用しないリスク」を抱え込んでいる状態です

20年間で10回以上異動する営業

20年で10回以上異動するとすれば、経験を抽象化し、どのような環境でも使えるように抽象化しないと仕事ができません。

また、短期間で結果を出さないといけないので、物事の時間軸が短くなります。

関係性を築いてから売上を上げていこうという選択肢がありません。

その中でどのようにすれば結果ができるかという思考になります。

どちらがいいか?

キャリア形成にとってどちらが良いでしょうか?

もちろんどちらにも良い点悪い点がありますが、一般的には20年で沢山の異動を経験するキャリアの方が能力アップにつながります。

私たちの働く究極の目的は、会社のためではなく自分のためです。自分のために働くのですが、価値を提供する先は会社やその先の顧客です。

したがって、働く目的を社会貢献とかお客様貢献という表現をします。

想像してみてください。もし「非常に社会貢献はできるが、給料は一切出ない」という仕事があったら、あなたは迷わずそれを選びますか?

おそらく、多くの人が躊躇するはずです。

つまり、働く目的の根底には「自分のため(生活や成長)」がある。これは否定すべきことではなく、健全な事実です。

この「自分の成長」という軸で、20年という長期スパンから2つのキャリアを比較してみましょう。

あえて極端な例で比較するこの手法を「振って考える」と呼び、論点をあぶり出すのに有効です。

(詳しくは、迷った時の考え方「極端に振って考える」を参照)

会社にとっては、20年同じ仕事をしてもらえば何でも知っており良さそうです。ただ、すべてがそのような働き方では困ります。

なぜなら、経験したことに対する答えだけで事業を運営できないからです。

個人で見ると、20年間同じだとお客様には喜ばれるかも知れません。ただ、本人の成長の観点で言うと、新しい経験、新しい発見が少なく成長機会が少ないことになります。

もちろん、優秀な人はどんな環境でも成長できますが、私のような人はやはり環境に左右されます。

環境に左右されるとは考えたり、変わったりする必要が強制的にあるかどうかということです。

異動は、強制的にこのような環境に身を置かせてくれます。

並列で扱わないための具体的案思考方法

「普通ならこうなる」という思考方法を持つ

原則か例外かがわかるようにすることがポイントとなります。

そのためには「普通ならこうなる」という思考を持つことです。この思考だと例外が明確になります。

そのためには、まず軸となる原則をおさえることで、原則と違うことが起きれば例外だと認識できます。

まずは原則を考えてから、例外を把握するという順番を意識してもらうことを前提として、原則をつかむ方法を紹介します。

・業務の基本の流れをつかむ
・開発→生産→販売

上記の考え方・フレームを使うことをおすすめします。それぞれ解説します。

業務の基本の流れをつかむ

まずは、業務の流れを大枠で把握します。何事にも基本の業務の流れがあります。

新規営業であれば、リストを作る→アポを取る→商談する→クロージングをおこなう→受注する。

工場であれば、受注や製造計画を知る→生産をおこなう→完成させる。

このように基本の業務の流れを把握すると基本で収まるのか、収まらないのか?また一部の工程のみ他と違うのかが分かります。

開発→生産→販売

会社では、商品を開発して、生産して、販売するという流れで仕事をしています。

一部例外はありますが、「開発」をサービス構築、「生産」をサービス提供そのものや納品までのプロセスと置き換えると、ほぼ同じことをおこなっています。

例えば、Saas業界の交通費精算自動化サービスでは、自動化システムを開発し、顧客がそのサービスを使えるようにサーバーを用意し、営業が販売をおこないます。

これを原則と置いたら、全体に反する例外や一部工程に反する例外が分かります。

例外の抽象化の方法

例外を「例外のまま」終わらせない抽象化する方法を紹介します。

目の前の例外(イレギュラー)を、以下の3つの問いを自分に投げかけてみてください。

「これは、どの工程の変形か?」を考える

起きた事象を単体で見るのではなく、先ほど紹介した「業務の流れ」や「開発・生産・販売」のどこに紐づくかを考えます。

「今回のクレームは、販売工程の『期待値調整』が不足した例外だな」と、大きな箱の中に仕分けるイメージです。

「条件が変わったら、同じことが起きるか?」を試す(変数を見つける)

「今回のトラブルは、A社だから起きたのか? それとも『BtoBの製造業』ならどこでも起きるのか?」と条件を広げてみます。

特定の名前(A社)を少し広い属性(製造業)に置き換える。これが抽象化の第一歩です。

「自分なりの『教訓』を一行で言語化する」

「A社への納品ミスへの対応」というメモではなく、「納期が短い案件では、確認工程を一つ前にずらすべき」という、他社でも使える「自分ルール」に変換します。

このプロセスを回すことで、例外はあなたの脳内で「二度と起きないための予防策」と「どこでも通用する武器」へと昇華されます。

まとめ

例外を飼い慣らし、変化に強い「OS」を構築しましょう。

ビジネスにおいて、例外をゼロにすることは不可能です。しかし、例外への「向き合い方」を変えることは今すぐにでもできます。

・「原則」という幹を太くし、例外をあくまで「枝葉」として処理する。

・脳の「省エネ本能」に抗い、意識的に「抽象化」という負荷を自分にかける。

・知識を「所有」することに満足せず、それを現場で「運用」できる能力へと昇華させる。

時代は猛烈なスピードで変化しています。

過去の成功体験という名の「具体的な知識」だけでは、明日には通用しなくなるかもしれません。

ですが、どんな例外が起きても、それを素早く抽象化し、本質に照らして判断できる「思考のOS」さえ持っていれば、あなたはどんな環境、どんな時代でも成果を出し続けることができます。

目の前の「マニュアル外」の出来事にイライラするのではなく、「これは自分の能力をアップデートするチャンスだ」と捉え直してみてください。

その一歩が、あなたの成長速度を劇的に変えていくはずです。

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