ビジネスの現場で「課題解決」という言葉を耳にしない日はないでしょう。
しかし、「そもそも課題解決って何?」と聞かれると、明確に答えられる人は意外と少ないかもしれません。
どんな仕事も、突き詰めれば「課題解決」に行き着きます。
顧客の悩みを解決することも、社内の業務効率を上げることも、すべては課題解決なのです。
この記事では、「課題解決」の意味、考え方、そして明日から使える具体的な進め方を解説します。
この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つ「よしつ」が実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい、知っておきたい ビジネス基礎知識)
課題解決とは?
解くべき問題を特定しその問題を取り除くこと
会社には日々、大小さまざまな問題が発生します。
しかし、すべての問題に手をつけるのは現実的ではありません。
そこで重要になるのが、「解決すべき問題」を見極めることです。
限られた時間やリソースの中で、最もインパクトのある問題を見つけ出し、取り除くこと。
私はこれを「課題解決」と定義しています。
まずは、課題という言葉を私はどう定義しているか?を解説した後に、課題解決の詳細を解説します。
課題とは?
解くべき問題が課題
課題とは何でしょうか?私の課題の定義は上記です。
ただ、ビジネス用語を学ぶ際に困ることですが、正解は人の数だけあります。
一旦自分の中で、問題と課題と打ち手の定義を仮置きして、ネット検索してみて下さい。
人により、仮置きした課題とは違う定義で紹介している記事にたくさん出会うと思います。
また、会社によっても定義が異なりますので、最初に入社した会社で教えてもらったことが定義となりがちです。
また、会社によっては、人それぞれの意味で使っている会社もあります。5社で働いた私の経験からくる実感値です。
したがって、言葉の定義を議論しても建設的な話はできませんので、課題という概念でとらえることが大事です。
課題という言葉の概念
沢山の問題の中にある解くべき問題
一旦私なりに定義すると上記となりますが、これだけだと概念でとらえることができません。
課題解決の全体フローである「ありたい姿」→「現状」→「問題」→「課題」→「戦略」→「戦術」をまとめて理解することで概念が理解できます。

上図がそれぞれの言葉をとらえるための概念図です。
言葉の定義に悩むことなく課題解決を進めるためには、全体の流れを把握することが最も効果的です。
このフローは、「ありたい姿」→「現状」→「問題」→「課題」→「戦略」→「戦術」という一連のプロセスで構成されます。
細かく分かれているように感じるかもしれませんが、それぞれの要素を分けて考えることが、本当に解決すべき課題を見つけ出すための鍵となります。
間違った問題に時間をかけても成果は得られません。
まず、「ありたい姿」(ゴール・目標)を設定します。
次に、現在の状態である「現状」を正確に把握します。
「ありたい姿」と「現状」の間に生まれるギャップが、私たちの目の前にある「問題」です。
問題は無数にありますが、その中から最もインパクトが大きい、あるいは根本原因となっているものを特定します。これが「課題」です。
特定した課題をどう解決するか?その道筋や方法を定めたものが「戦略」です。
最後に、戦略を実行するための具体的な行動計画が「戦術」となります。
このように課題解決全体の流れで各用語をおさえておくと、他の人が使う「課題」という言葉がどの部分(問題?戦略?)のことを言っているかがわかります。
これにより、コミュニケ―ションロスが大幅に解消します。
(詳しくは「ゴール・現状・問題・課題・戦略」をたった1枚の絵で表すを参照)
(問題と課題の違いは、人により定義が違う「問題と課題の違い」をわかりやすく解説を参照)
(戦略と戦術の違いは、様々な説のある「戦略と戦術の違い」をシンプルにわかりやすく解説を参照)
課題解決の詳細
・課題解決は仕事の本質
・課題解決の進め方
上記の順番で課題解決を解説します。
課題解決は仕事の本質
仕事はすべて「課題解決」
個人の労働である仕事の本質は課題解決です。
会社は、顧客に製品・商品・サービスを提供してお金をいただくことで成り立っています。
私たちが普段接している、製品・商品・サービスとは、会社が沢山の人の課題をまとめて解決する手段です。
(詳しくは「製品・商品・サービスとは何?」をわかりやすく解説を参照)
顧客は、課題が解決できるからお金を払ってでも製品・商品・サービスを購入することで解決しょうとします。
会社はこのように製品・商品・サービスを使って顧客の課題解決をおこなうことが仕事なのです。
営業や商品開発の仕事をしている人は、顧客への製品・商品・サービスを提供することに直接かかわっていますので、仕事が課題解決だと理解しやすいです。
ただ、直接サービスに関わらない人も課題解決をおこなっています。
総務部は、営業や商品開発の人を含めた従業員が仕事を快適にできる環境を整えることが仕事です。
システム部は、従業員が使いたい時に使いたいようにネットワークを構築したりPCが快適に使えるようにすることが仕事となります。
共に、これらを阻害する課題を解決することが求められています。
このように全従業員の仕事は課題解決と言えます。
課題解決の進め方
「ありたい姿」→「現状」→「問題」→「課題」→「戦略」→「戦術」→「実行」の順番で進める
課題を特定し、特定した課題を取り除くために、
1.目指したい姿・ありたい姿=ゴールを設定
2.現状を把握
3.現状とのギャップが問題
4.問題の中で解くべき問題が課題
5.課題解決の方法と時間軸が戦略
6.戦略の具体的な行動が戦術
7.実行する
上記7つの流れで課題解決をおこないます。

(上図の詳細は、「目指す姿・現状・問題・課題・戦略・戦術」をたった1枚の絵で表すを参照)
1.目指したい姿・ありたい姿=ゴールを設定
まずは目指したい姿を置きます。目指したい姿なので、理想、ゴール、目標を設定します。
「〇〇になる、〇〇の目標を達成」などの言葉で表します。
2.現状を把握
左下に現状を置きます。今の現状をそのまま表記します。書き出すだけ書き出します。
「〇〇です、〇〇な状態」などの言葉で表されます。
3.現状とのギャップが問題
目指したい姿と現状がわかると、その高さの差=ギャップ=問題となります。
「〇〇が不足している、〇〇がない、〇〇で困る」などの言葉で表されます。
4.問題の中で解くべき問題が課題
問題は沢山あり、全部を今すぐに解決することは非現実です。
したがって、問題の中で解決すべき問題を特定する必要があります。それが課題です。
たくさんの問題の中から解決すべき問題を特定するので、問題と同じく「〇〇が不足している、〇〇がない、〇〇で困る」などの言葉で表されます。
ここで注意してほしいことがあります。人によっては、課題は「◯◯する」という語尾を求められることがあることです。詳細は後述します。
5.課題解決の方法と時間軸が戦略
いつまでに目指したい姿に行きたいか?が横幅です。
横幅の時間内に課題を解決し、目指したい姿に行く方法が必要になります。
この作戦が戦略です。
行き方=戦略なので、「〇〇する」という言葉で表されます。
6.戦略の具体的な行動が戦術
戦略をおこなうための実行プランを作成します。これが戦術です。
戦略は「〇〇する」なので、「〇〇するために△△を具体的に行う」などの言葉で表されます。
7.実行する
上記で立てた作戦を実施することで課題解決をおこないます。
人による課題の定義が違うことでの注意点
言葉の定義によって問題を深堀せず打ち手を考え始めてしまう
課題の語尾は「◯◯がない」などと言いましたが、人により「◯◯する」という人います。
その人たちは、課題を問題を解決するために行う行動という定義をしています。
もちろん人により定義が違うだけで、間違いではありません。
ただ、課題を「〇〇する」で表現した場合に大きなデメリットが発生します。
「〇〇する」という言葉は方法を表わすことが多いため、問題を深堀せず打ち手を考え始めてしまうことです。
方法ということは、その前提に必ず目的等があります。
例えば「テレビに広告を掲載する」だと、目的は認知を上げる、商品の販売量を増やすなどです。
課題解決で重要なことは、限られた時間やお金や労力で最大の効果を発揮することです。
ということは、問題の中でインパクトの大きい問題、さまざまな問題をおこす根本となる問題を特定する工程がとても重要になります。
ただ、課題を〇〇するという方法で定義すると、どうしてもこの課題の特定をおこなう工程をあやふやにしたまま打ち手を考えてしまうことになります。
人は打ち手の議論が大好きですが、問題を深堀する思考は苦手なので避けがちだからです。
したがって、私の定義では、解くべき問題を特定=課題とし、解決する方法である戦略を〇〇すると定義することで、課題を特定する工程を浮き立つようにしています。
課題解決の具体例
上記を元に課題解決をおこなう場合の具体例を紹介します。
テーマ:自社運営のECサイトへ掲載する商品が増えない
1.目指したい姿・ありたい姿=ゴールを設定
・新商品が週に1商品増える状態
2.現状を把握
・新商品掲載は月1回のみ
・販売は月1件のみ
・新商品掲載は社内で自発的な行動に任せている
・ECサイトの専門組織は作られていない
・数値目標は設定していない
3.現状とのギャップが問題
・そもそも新商品掲載目標が大幅未達
・既存の仕事を優先するので新商品を考える時間がない
・責任の所在が不明確で自主的な動きに依存
・週に1商品を増やす目的が不明瞭
4.問題の中で解くべき問題が課題
・商品が増えることで、何が実現できるかがわからないから誰も積極的に行動しない
・自主的な行動に頼っていては商品は増えない
5.課題解決の方法と時間軸が戦略
商品を増やすための社内体制を構築する
6.戦略の具体的な行動が戦術
・ありたい状態を数値で設定する
・責任者と担当者を決める。
・既存業務を見直して、新商品の掲載時間を確保する。
・毎週ミーティングを行い、進捗を確認する。
7.実行する
立てた戦略と戦術を実行し、ありたい状態の数値が実現できたかどうかを把握する
このように分解しながら進めることで抜けモレなく検討でき、思考の深さも担保できるので課題解決につながりやすくなります。
課題解決とは?の「まとめ」
課題解決とは、解くべき問題を特定し、その問題を取り除くこと
仕事の本質が課題解決である以上、あなたの「仕事ができる・できない」は、この課題解決ができるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。
難しいことだと考えず、まずは身近な小さな問題から、今回ご紹介した「ありたい姿」→「現状」→「問題」→「課題」→「戦略」→「戦術」→「実行」のフレームワークに当てはめてみてください。
この経験を積み重ねることで、あなたの課題解決力は必ず向上していきます。
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