営業担当の仕事は厳しいとかつらいとかのイメージが多いですね。
確かにその一面もありますが、営業以外の仕事でも、厳しいとかつらい仕事も沢山あります。
どうも世間では、営業担当の仕事について間違った認識があるようです。
お客様に怒られる、お客様の言いなり、責任を押し付けられるなどだけでなく、なんでも売るのが営業、売れないものでも売るのが営業、と理不尽な要求をされるイメージもあります。
この記事では、商売の根本に立ち返って、営業担当とは何か?を立ち位置・本質・役割・営業力というキーワードを踏まえて解説します。
営業担当の仕事の根本を理解すると、今までのイメージとは違う見方ができます。
この記事は、風土の違う5社での経験、数百名のマネジメント経験、数千社との取引経験、営業担当、営業リーダー、営業課長、営業部長、営業本部長での経験を活かし、書いています。
(あせて読みたい 知っておきたいビジネススキル向上のための基礎知識をまとめてわかりやすく解説)
営業担当の立ち位置・本質・役割・営業力とは?
- 「立ち位置」は、組織の全面的な後押しを得て、お客様と接点を持つ位置
- 「本質」は、唯一お金を頂けるお客様の課題を解決しお金を頂くこと
- 「役割①」自社商品で解決できる課題を持ったお客様を探し、受注すること
- 「役割②」お客様のニーズを社内にフィードバックすること
- 「営業力とは」、お客様や担当エリアが変わっても、3年以上目標を達成し続ける力
上記のように営業のことを定義できます。そうすると、自分の会社はそうでない等の意見が出てくるかと思います。
ここで、知っておいてほしいことは、営業担当とは?という根本の理解をしてもらうことです。
そうすることで、自分の会社がそうではない部分があれば、それは、経営の考え方の根本が違うとわかるからです。
売上が上がらないと総じて営業担当の責任になります。
ただ、上記の考え方をしっかり持っておくと、会社本来の課題は何なのか?が理解できます。
営業担当の立ち位置・本質・役割・営業力とは?「詳細解説」
それぞれ4つのことをわかりやすく解説します。
営業担当の立ち位置とは?
営業担当の立ち位置は、組織の全面的な後押しを得て、お客様と接点を持つ位置です。
営業担当は個人事業主ではなく、組織の一員です。
組織をサッカーチームに例えると、わかりやすいのですが、営業担当はフォワードプレイヤー=点を取る人です。
チームスタッフが試合を設定してくれて、試合ができます。
その試合で監督が点の取り方(=戦術)を考えて選手に伝え、ディフェンダーやゴールキーパーが相手の攻撃を守り、ミッドフィルダーがフォワードにボールをつないでゴールとなります。
フォワードがディフェンスばかりやっていると点を取れません。
チームの目的はゴールを入れて勝つことです。
そのために各自の役割=分業が行われ、その分野でのスキルを上げて、各自が最高の仕事をすることが大事になります。
会社でも同じことが行われています。
営業が売上を上げることに集中できるように、スタッフがオフィス環境を整えて、雑務を肩代わりしてくれます。
そして商品開発が営業の売りやすい商品を開発し、生産現場が、開発した商品を生産してくれます。
それぞれの役割を果たしてくれるから、営業が前だけを見て進むことができます。
だから、営業以外の組織の方の仕事は、実はすべて、営業がゴールを入れるためのサポート活動となります。
このように書くと当たり前のことですが、組織運営の難しいところは、このたったひとつ事実を忘れてしまい、他の部署への責任を押し付け合う行動をとってしまうことを中々是正できないことです。
営業担当の本質は?
営業担当の本質は、唯一お金を頂けるお客様の課題を解決しお金を頂くことです。
会社の目的は、製品・商品・サービスを提供して、その対価としてお金を頂き、そのお金を再投資して、また、サービスを提供して、お金を頂くループを実現することです。
お金を頂けるのは、お客様だけです。そしてそのお客様は何もしないのにお金をいただけません。
お客様が抱える、困ったこと、何とか解決したいこと、喜びたいと思う気持ち、うれしくなる気持ちを実現することで始めて対価としてお金を頂けます。
だから、これらの思いを見つけて、自社サービスで解決し、しっかり代金を頂くことが営業担当の本質なのです。
営業担当の役割は?
営業担当の役割は、①自社商品で解決できる課題を持ったお客様を探し、商談・クロージング・受注し、アフターフォローをおこなうことです。そして、②お客様のニーズを会社にフィードバックすることです。
営業担当の役割①
間違ってはいけないのは、自社商品で解決できる課題をもったお客様がターゲットです。そのお客様を見つけて、解決できる課題を聞き出して提案受注することが役割です。
売れない商品を売るのが営業だという話が出てくるのは、完全に間違いです。営業の課題ではなく、商品開発の課題です。
営業担当の役割②
今ある製品・商品・サービスを売ることが役割ですが、製品・商品・サービスは必ず陳腐化します。
(詳しくは「プロダクトライフサイクル」をわかりやすく解説&使い方紹介を参照)
だから次の製品・商品・サービスの開発の元となるお客様のニーズを把握し、社内にフィードバックすることも大事な仕事です。
このニーズ(お客様の課題)が多いものに対して、各社まとめて解決する製品・商品・サービスを開発することが、会社が存続できるかどうかを決める大きな要素となります。
営業担当と広告宣伝の違い
また、営業担当と広告宣伝との違いは何でしょうか?
本質の役割は全く同じです。お客様の課題解決をおこなうツールである、製品・商品・サービスを知ってもらうことです。
認知に加えて、何ができるか?何が役に立つか?を知ってもらい、購入するという行動をおこしてもらうことです。
だから、営業担当と広告宣伝は同じ役割なのです。
ただ一つ違うのは、広告宣伝は臨機応変に対応できないですが、営業担当は臨機応変に対応できることです。
お客様に応じて、伝え方を変える、お客様の課題によって、伝える内容を変えるなど、双方向のコミュニケーションができることが違うことです。
こう考えると、よく営業担当とショップなどの販売担当の仕事は違うという議論がありますが、役割から考えると営業も販売も全く同じですね。
販売員の役割も、知ってもらって、購入するという行動をおこしてもらうための活動ですから。
営業力とは?
営業力とは、どれだけお客様や担当エリアが変わっても、3年以上目標を達成し続ける力のことです。
世間一般で言うトップ営業とは?
トップ営業という言葉があります。トップ営業は「必ず」営業力があるのでしょうか?
そもそもトップ営業とは何か?会社により違うと思いますが、三ヶ月、半年、1年という期間に、グロス売上金額や目標達成率がトップの人のことをトップ営業と言いますよね。
たまたま、1回だけトップでもトップ営業になれます。
そして、私の経験上トップ営業と呼ばれる70%の人は、たまたま伸びるお客様やエリアを担当していたか、目標自体が他の人より低かったか、たまたま他の人より大きなマーケットを担当していて売上額が大きかったかです。
たまたまラッキーな要素が多く含まれているのです。
本来のトップ営業=営業力があるとは?
だから、長い期間において(3年以上という期間)、複数回設定された目標をクリアし続けること。
お客様や担当エリアが変わりながら達成し続けることができこと。
この2点ができる人が、たまたまやラッキー要素が格段に少なるなるので、営業力があると言えます。
売れないものを売るのは営業力があるというか?
もう一つ違う見方をすれば、売れないものを売る力は営業力というのでしょうか?
営業力の一部と言えますね。では、会社組織がその営業力を求めていいのでしょうか?
10名営業担当がいる組織であれば、売れないものを売れる営業担当は1名いればいい方です。そんな簡単なことではありません。ということは組織として成り立ちません。
そして、鍛えたら10名がすべてこのような営業担当になるのか?1人2,000万円の年収を出して採用からやれば可能性がでてきますが、普通の組織では無理です。
また、違う見方をすれば、売れないものを売る時間と、売れるものを売る時間でいうとどちらが短時間で売れるでしょうか?
間違いなく、売れるものを売る場合です。優秀な人に非効率な仕事をさせるほどもったいないことはないですよね。
だから、組織としての営業力というのは、売れないものを売る力ではなく、売れるものを高く早く売ることができる力が営業力と言えるのです。
営業力があるといわれる会社の特徴は?
ちなみに皆さん営業力がある会社と言ってどの会社をイメージしますか?
キーエンスさんが浮かぶ人が多いと思います。キーエンスさんの商品は売れない商品でしょうか?
まったく逆で商品力があるものばかりです。商品化できるのは、粗利が80%あるものです。
80%の粗利でも売れる商品は、競合がなくニーズがある=商品力があるものです。
ではなぜ営業力があると言われているのでしょうか?売れるものを高く早く売っているから、営業力があると思われるのです。
キーエンスさんの営業担当は1分日報を書いているのを知っていますか?毎日1分も無駄にしない行動量を求められます。
そして、企画書も書きません。企画書を書かなくて売れる仕組みにしていますし、その時間は商談に使うべきと考えています。
また、夜は翌日の全商談のロープレを必ず行い、商談が非効率にならないように事前訓練を徹底しています。
そして接待はゼロです。必要がない行動と定義されています。
こうして、粗利率の高い商品を、豊富な商談数かつ各商談の成功率を上げることで、高く早く売る組織となっています。
だから、最新の平均年収は2,000万円を超えるのです。
(詳しくは「キーエンスの高利益率の理由」をわかりやすく解説を参照)
そして、これが営業本来の仕事なのです。
営業担当の立ち位置・本質・役割・営業力とは?「まとめ」
- 営業担当の立ち位置は、組織の全面的な後押しを受けてお客様と接点を持つ位置です。
- 営業担当の本質は、唯一お金を頂けるお客様の課題を解決しお金を頂くこと
- 役割①自社商品で解決できる課題を持ったお客様を探し受注すること
- 役割②お客様のニーズを社内にフィードバックすること
- 営業力とは、どれだけお客様や担当エリアが変わっても、3年以上目標を達成し続ける力
上記の軸で営業の仕事を理解しておいて下さい。現状と違う場合はそれが皆さんの働く会社の課題となります。
その課題を受け入れるのか?受け入れずに転職を検討するのかは皆さんの判断になります。
上記がわかっていて、できている会社はとても良い会社です。とても少数ですが。
上記をわかっているができていない会社は、出来るようになる可能性があるので良い会社になる見込みはあります。
ただし、上記を受け入れることができない会社(=経営者)の考え方は変わりません。要はなんでも売れるのが営業だという考え方に固執する会社のことです。
この基準がひとつの会社を見る上での大きな判断基準となります。
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