他社の商品やサービスを、自社のものに乗り換えてもらうのは簡単ではありません。なぜなら、その際にさまざまな「負荷」がかかるからです。
この負荷のことを「スイッチングコスト」と呼びます。
この記事では、スイッチングコストとは何か、そしてどうすれば乗り越えてもらえるのかを、人の心理を踏まえてわかりやすく解説します。
この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つ「よしつ」が実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい【ビジネス用語】基礎用語解説)
スイッチングコストとは?
・人が何かを変える際にかかる負荷で、大きく3つの種類がある
スイッチングコストとは、人が何かを変える際に生じる「負荷」のことです。この負荷は、大きく3つの種類に分けられます。
誰もが経験したことがあるように、私たちは基本的に新しい変化を嫌う性質を持っています。なぜそうした性質を持つのか、その背景から見ていきましょう。
人はなぜ物事を変えたくない性質を持っているのか?
後天的に得るものではなく、先天的に持っている
スイッチングコストは、後天的に得た性質ではなく先天的な性質です。私たちが代々引き継がれてきている遺伝子に組み込まれています。
変化したくないと感じる人の方が生き残って子孫を残す可能性が高かったのでしょう。その結果、変えたくない性質を持っている人が多いのです。
有名な理論でも証明されています。
イノベーター理論と言いますが、新しい商品やサービスをすぐに受け入れるかどうかで人を5分類に分けています。
新しい商品やサービスを、積極的に受け入れるタイプであるイノベーター・アーリーアダプターと言われる分類に入る人たちは、人口全体の16%しかいないという理論です。
その他の84%の人は、物事を変えることを嫌がる層としている理論です。
(詳しくは人を5分類化「イノベーター理論」についてわかりやすく解説を参照)
このような性質を持っているので、何かを変える時には、遺伝子に組み込まれている自己防衛能力が発揮され負荷がかかるのでしょう。
人が何かを変える時にかかる3つの負荷とは?
・金銭的コスト
・物理的コスト
・心理的コスト
上記が3つの負荷です。それぞれ解説します。
金銭的コスト
金銭的コストとは、商品を置き換える際に、今まで払っている金額より高くなる場合に発生するコストです。
当然高くなると、その分のメリットが本当にあるのか?が気になります。安くなるのは簡単に認めますが、高くなることは簡単に認めません。
物理的コストとは?
物理的コストとは、商品の置き換える際に作業等で業務増えてしますことによるコストです。
例えば、新しい商品を選ぶための時間、購入するための手続き、入れ替えの際の作業等、商品を置き換える等の業務が発生します。変えなければ発生しませんが、変えることでこれらの負荷がかかります。
心理的コストとは?
心理的コストとは、めんどくさいという気持ち、手間だと思う気持ちを乗り越えないといけないコストです。
商品の置き換えを検討する際に、作業の発生に嫌だと思う気持ち、新しい商品の使い方に慣れる必要性、以前の商品の方が良かったという思うだろうな等の、心の中に発生するネガティブな気持ちを心理的コストとして表現しています。
3つのコストを乗り越えてもらうために
3つのコストの中で、まず超えないといけないものは「心理的コスト」
3つのコストの関係性ですが、金銭的コスト物理的コストをクリアする前提条件が心理的コストとなります。
金銭的・物理的コストがクリアしやすいものであっても、心理的コストをクリアしないと、変える行動をとりません。
逆に、心理的コストがクリアできたら、金銭的・物理的コストが高くても、何とかしようと考えるのも人の特徴です。
心理的コストをクリアするためにどうすればいいのでしょうか?
まずは、納得してもらうことです。では納得するためには、どうすればいいか?
正しく理解してもらうことです。では、正しく理解してためにはどうすればいいか?
頭で理解できる状態で情報を伝えることです。そのためには、ロジック=論理が必要となります。
そのロジックを伝えることで、理解してもらい、その結果、相手の感情が動けば人は行動をおこしてくれます。
「これ絶対いいよ!」とだけ言われても人の感情は動きません。
「〇〇〇〇なので、効果があるからいいよ」と言われて初めて理解できる=感情が動く前提条件が整うのです。
また、正しく伝わっても感情が動かないのは、その人にとって必要がないからです。
(詳しくは、「論理」と「感情」の関係をわかりやすく解説を参照)
スイッチングコストとは?の「まとめ」
・人が何かを変える際にかかる負荷で、大きく3つの種類がある
人は、ロジックで理解して感情が動けば行動(物事を変える行動)します。
ただ、わかってはいるけど行動できないことも多くあります。それは、金銭的、物理的、そして心理的コストが原因かもしれません。
これらのコストを理解し、特に相手の心理的コストをクリアするためのロジックと感情の伝え方を意識することが、相手を動かす第一歩となります。
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