「現象」と「原因」の違いをわかりやすく解説

1.概念の本質
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私たちは普段、さまざまな問題を解決する仕事を行っています。問題を解決するとは、その問題を引き起こしている根本的な原因を取り除くことだと理解しています。

しかし、表面的な「現象」を「原因」と捉え、現象に対する打ち手の議論を行うことで、議論がまったくかみ合わないケースが多々あります。

この記事では、この「現象」と「原因」の違いを明確に理解できるように、わかりやすく解説します。

この記事は、

・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験

これらの経験を持つ「よしつ」が実体験から得たことを元に書いています。

(あわせて読みたい【概念の本質】ビジネスの根幹・基礎用語の本質・人の本質

現象と原因の違いとは?

・結果が「現象」
・「現象」を引き起こしたものが「原因」

図にすると以下のようになります。

何かをおこなった際に結果が出ます。「現象」とはあくまでその結果のことです。「現象」である結果には、必ずそこに至った「原因」があります。

「結果」である「現象」は目に見える部分なので認識しやすく、一方で「原因」は目に見えない部分なので認識しにくいものです。

しかし、「原因」を取り除かない限り、結果である「現象」は変わりません。したがって、原因を見つけ出して初めて、効果的な解決策を立案できるようになります。

現象と原因の違いの「詳細解説」

・現象は表層、原因は根本
・打ち手が多数ある場合、原因にたどり着いていない
・打ち手の議論が噛み合わない場合は、原因を疑う

現象と原因の違いで知っておくことは上記の3つです。それぞれ解説します。

現象は表層、原因は根本

現象はあくまで結果という表層的な側面です。原因は、その結果を招いた根本部分のことです。

例えば売上が下がった、お客様からクレームが入った、不良品が発生した、納期が間に合わなかったなどはすべて現象です。結果だからです。

原因は、これらの現象に対して「なぜ」そのようなことが起きたのかを深掘りすることで、たどり着くことができます。

打ち手が多数ある場合は、原因にたどり着いていない

本当の原因までたどり着けば、その原因を取り除くための打ち手はほぼ見えている状態となります。

言い換えれば、原因に対する打ち手の選択肢はそれほど多くないのです。

したがって、打ち手が多数ある場合は、「起きた現象」の「原因」をまだ突き止められていないのではないか?と考える必要があります。

例えば、売上が下がったという現象を原因としてしまった場合、

  • 顧客数を増やそう
  • 値引きしないで単価を上げよう
  • 営業の訪問数を増やそう
  • 新しい商品を開発しよう
  • 広告を増やそう

など無数に出てきます。

これこそ、「現象」を「原因」と誤認してしまったが故に、打ち手が無数に出てくる典型的な事例です。

例えば、売上が下がった現象の原因仮説として顧客数に着目した場合、本当に顧客数が減っているのか?→もし減っているのであれば、どの商品の顧客が減っているのか?→取引がなくなった顧客は、競合に乗り換えたのか?それとも当社の商品が必要なくなったのか?まで深堀をし、売上が下がった原因を特定しないと良質な打ち手が出てきません。

また、売上が下がった原因が、本当に顧客数減少によるものなのかも検証する必要があります。

売上が下がったという漠然とした現象の原因を突き止める際は、「分解して考える」ことが必要です。

売上=販売数×単価、売上=顧客数×平均取引単価などに分解できます。このように分解すると、販売個数、単価、顧客数、平均取引単価どれが売上減の一番の要因かが把握できます。

そして、販売個数が売上減に最も影響を与えているのであれば、さらに深掘りすることで、原因にたどり着きやすくなります。

(分解して考える方法は「分解して考える」をかわりやすく解説&使い方紹介を参照)

打ち手の議論が噛み合わない場合は、原因を疑う

一生懸命打ち手の議論をしているにもかかわらず、どうも議論がかみ合わない場合があります。これも、典型的な「現象」に対して打ち手を考えているパターンです。

そのような時は一歩引いて、そもそも「どんな原因」に対しての打ち手を考えているのか、改めて考えてみてください。

おそらく、現象を原因まで落とし込めていないために、各自が勝手に原因を決めつけ、それぞれの打ち手を主張しているケースが多いでしょう。

例えば、売れていない商品の「商品の知名度が低い」という現象に対して、私はTVCMが良いと思う、私はネット広告が良いと思う、私は新聞広告が良いと議論している場合です。

結果として、自分の好きな媒体を挙げているだけになりがちです。

そもそも知名度が低いことが、商品が売れない原因なのか?知名度が一番の要因だとしたら、ターゲット顧客のどの層の知名度が低いのか?それはなぜか?まで考えないと原因にはたどり着きません。

このように言葉で書くと簡単ですが、実際に議論しているうちに、目の前の現象しか見えなくなり、それぞれが違う原因に対する打ち手の議論をしているケースが非常に多く見受けられます。

したがって、議論がかみ合わず、さまざまな打ち手が提示されている状態であれば、一度冷静になり、そもそも原因を特定できているかどうかに立ち返りましょう。

現象と原因の違いの「まとめ」

・現象は表層、原因は根本
・打ち手が多数ある場合、原因にたどり着いていない
・打ち手の議論が噛み合わない場合は、原因を疑う

「打ち手を考えろ!」「打ち手を出せ!」と言う企業も多いですが、まずは原因を突き止めることが重要です。

そして、その原因を関係者全員で共有すること。そうしないと、打ち手の議論は空回りし、不毛な時間を使ってしまうことになります。

この記事に関するよくある質問をnoteで答えています。質問内容は以下です。

Q1:「現象」と「結果」は、この記事では同じ意味で使われていますが、厳密な違いはないのでしょうか?

Q2:「原因」を取り除けば「現象」は変わる、とありますが、原因が複数ある場合はどう考えれば良いですか?

Q3:「売上が下がった」は現象ですが、これを「原因」と誤認してしまうとは、具体的にどういうことですか?

Q4:記事では「原因は目に見えない部分」とありますが、原因を可視化するためのフレームワークなどはありますか?

Q5:「打ち手が多数ある」=「原因にたどり着いていない」という状態に気づくためのチェックポイントはありますか?

Q6:上司から「打ち手を考えろ」と言われた際に、現象の深掘りに時間をかけすぎて怒られないか心配です。

Q7:打ち手の議論が噛み合わない時、「原因を疑う」として、具体的にどう行動すれば議論をリセットできますか?

Q8:営業担当として、お客様から「この商品はもうひとつです」と言われた際、「現象」と「原因」はどのように分解すべきですか?

Q9:「現象」であるクレームに対して、「謝罪」は打ち手として適切ではないのでしょうか?

Q10:経営層や上司は、なぜ「打ち手を考えろ」と現象ベースで指示してしまうことが多いのでしょうか?

Q11:「なぜなぜ分析」を何度も繰り返すと、最後は「社員の意識が低い」のような、曖昧で解決しにくい原因になってしまいがちです。これはなぜですか?

Q12:経験豊富な方でも、現象と原因を混同してしまうことがありますか?

Q13:原因究明をしっかり行わないと無駄に「不毛な時間」を使うことになります。どうすればこの「不毛な時間」を減らせますか?

Q14:「原因を取り除くと現象は変わる」とありますが、原因を取り除くには時間やコストがかかります。どの程度の原因究明でストップして良いのでしょうか?

Q15:「現象」と「原因」の違いを理解することで、仕事をする上で一番得られるメリットは何ですか?

以下から参照下さい。

「現象」と「原因」の違いを分かりやすく解説(よくある質問の回答付)|よしつ@社会人の学びをサポート
私たちが普段の仕事で行う問題解決において、「現象」と「原因」を取り違えることで議論が空回りするケースが多くあります。 この記事では「現象」と「原因」の違いを分かりやすく解説します。 現象と原因の本質的な違い 現象とは、何かを行った結果として...

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