「Will Can Mast(ウィル キャン マスト)」って聞いたことがありますでしょうか?
株式会社リクルートさんが、人事評価で使ったことが最初と言われているフレームワークです。
今では、人事評価だけでなく、個人の就職や転職の際の目標設定にも活用できると言われています。
ただ、人事評価と個人の目標設定の2つは、近いけれども、まったく違うものです。
「Will Can Mast」は人事評価で使うフレームワークとなります。
この記事では、「Will Can Mast」のそもそもの意味に加えて、なぜ人事評価で使うものなのか?を含めてわかりやすく解説します。
この記事は、風土の違う5社での経験、数百名のマネジメント経験、100回を超える若手向け勉強会の講師をした経験を持つよしつが書いています。
(あせて読みたい 知っておきたいビジネススキル向上のための基礎知識をまとめてわかりやすく解説)
「Will Can Mast」とは?
「従業員が組織に貢献すること」
「従業員自身が成長すること」
上記を同時に実現するためのフレームワーク
もう少しかみ砕くと、
「しなければならないこと」を行うことで、「したいこと」を見つけたり、「できること」を強化したり、増やしたりすることにつなげるフレームワーク
加えて、
「本人」・「上司」・「業務の目標設定」の3つが揃わないと使えないフレーワワーク
これが「Will Can Mast]の説明になります。
実は上記のことは、人事評価の目的とまったく同じです。
従業員に組織貢献してもらうためには、まずは、従業員への適切な仕事の分配(分業)を行います。
従業員がその内容を認識し、その仕事をおこないます。
その仕事を通じて、従業員に成長してもらうことと、人事評価を同時におこないます。
この結果、従業員と会社のWIN-WINの関係を築くことにつながります。
(詳しくは、「人事評価(人事考課)の目的」をわかりやすく解説を参照)
「Will Can Mast」を詳細に解説
Will Canは「したいこと・できること」なので、個人の領域です。そして「できること」が増えることで個人の成長となります。
この領域を増やすためにMastである「すべきこと」を活用することが「Will Can Mast」の関係となります。
まずは、「Will Can Mast」それぞれの意味を解説します。その上で、Will Canの関係、Will CanとMastの関係をそれぞれ詳細に解説します。
Willとは?
従業員が「したいこと、なりたいこと」です。
従業員個人の「したいこと、なりたいこと」には、個人の観点と組織としての観点があります。
個人が個人にスポットを当てて、自分をどうしたいのか?という場合と、個人が所属する組織をどうしたいのか?という場合です。
Canとは?
従業員が「できること」です。個人が過去の仕事等で付けた能力等のことになります。
Mastとは?
従業員が「すべきこと」です。会社に所属していれば担当業務が必ずあり、その担当領域で成果をどのように出すか?がすべきことになります。
WillとCanの関係は?
個人の成長がWillとCanの関係です。

上図の9象限が個人の成長=WillとCanの関係となります。
「やりたいこと・できること」のマスが現状です。この現状から隣のマスに広げていくことが、個人の成長となります(青い矢印)。
そして、「できないこと」については、「やりたくても」「やりたくなくても」、手を出してはいけない領域となります。
特に「やりたいこと・できないこと」の領域は、やりたい気持ちに引っ張られて、手を出してしまいがちです。
ただ、手を出しても「できないこと」なので、無駄に終わります。したがって、手を出してはいけない領域なのです。
「やりたくないこと・できること」「やりたくないこと・今後できるようになること」については、仕事を行う上で、必ず必要になることのみできるようになりましょう。
この領域は、やりたくないことなので、学びのスピードも上がりません。また、できたとしても精神的な負荷がかかります。
したがって、必要なことに絞らないと効率が悪くなります。
「Will・Can」と「Mast」の関係は?
Mast(業務としてすべきこと)をおこなうこと(=経験すること)で個人が成長(=WillとCan)する関係となります。
人は、何事も経験しないとできるようになりません。
さらに、この2つをつなぐ役割として上長の役割が大きな要素となります。
Mastに対して、どのような気持ちで取り組むかにより、得られるものが大きく変わります。
ただ、自分自身では、やる意味を見出しにくい場合が多くあります。
そこで、第三者であり、広い視野や知見を持つ上長のサポートが必要になるのです。
個人の成長(=WillとCan)と会社の成長(Mast)の両輪をどのようにして最大化するか?が上長の仕事です。
個人だけではだめ、会社だけでもだめという二律背反をどう実現するか?という難易度の高い仕事となります。
各部下は、したいこと・できることと課題はバラバラです。
そのバラバラなものを、会社の業務と組み合わせて、理解・納得してもらうことが必要となります。
「Will Can Mast」のフレームワークは難易度が高い
今までの「Will Can Mast」の説明を受けて、皆さんもわかる通り、出来ている会社や上長が身近に存在しますでしょうか?
ほとんどいないのが実情だと思います。
このフレームワークは、個人の内面に切り込むことが前提となります。
上長はそこまでメンバーに心の中を開示させないといけません。
様々な会社でこのフレームワークを入れているようですが、多分表面上だけの制度となっていると思われます。
「Will Can Mast」のフレームワークを導入する前提条件は、個人面談の時間の長さです。
半年ごとに査定で、上長とメンバーで行う振り返りミーティングと、査定フィードバック及び目標設定ミーティングにそれぞれ1時間、合計2時間かけている会社でないと無理です。
1時間位かけていると深い話もしているかと思います。
その前提がないと、「Will Can Mast」をつなげるコミュニケーションには至らないのです。
ちなみに最初に導入したリクルートさんは、上記をクリアしています。
したがって、高度な制度を導入できるのです。
それ位難易度が高いものだということを知っておいてほしいのです。
ただ、「Will Can Mast」のフレームワークが導入されているのであれば、制度がうまく回っていなかったとしても、Willを半年に一回強制的に考える機会があることを喜びましょう。
Willにまっすぐ向き合う機会は本当に少ないので、大事な機会となります。
「Will Can Mast」のまとめ
「従業員が組織に貢献すること」と「従業員自身が成長すること」を同時に実現するためのフレームワーク
もう少しかみ砕くと、
「しなければならないこと」を行うことで、「したいこと」を見つけたり、「できること」を強化したり、増やしたりすることにつなげるフレームワーク
合わせて、「本人」・「上司」・「業務の目標設定」の3つが揃わないと使えないフレーワワーク
難易度が高いフレームワークですが、個人の成長と会社の成長を両立させるものであることだけは知っておきましょう。
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