上司よりもお客様を大切にする会社が良い会社である。それは当たり前だと思う人が多いでしょう。
しかし、現実はどうでしょうか。
お客様よりも上司の顔色をうかがう会社は、残念ながら数多く存在します。
なぜ、このようなことが起きてしまうのか。この記事では、その背景を私の実体験を交えながら分かりやすく解説します。
この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つ「よしつ」が実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい【会社の環境】良い会社の特徴)
上司ではなくお客様を大事にする会社とは?
お客様サービスを一生懸命考えている
お客様が何を考えているかを一生懸命考えるのが良い会社です。上司が何を考えているかを一生懸命考えるのが悪い会社です。
誰でもわかる当たり前の話です。ただ、上司を大事する悪い会社がたくさんあります。
会社の風土に染まると、この当たり前のことが「わかっていながら」実行できなくなります。
なぜお客様より上司を大事にするようになるのか?
成長が止まり時間に余裕ができるから
商売はお客様からしかお金をもらうことはできませんので、お客様の困りごとや課題を解決することが大事になります。
ただ、困り事は時間経過と共に変わります。したがって、お客様が何を考えているかを常に考えないといけないし、事業を再構築することがとても大事になります。
常に顧客のことを考えていると、会社も個人も成長し、ある種の「緊張状態」が続きます。
しかし、この状態が永遠に続くことはありません。いつか必ず成長の踊り場が訪れるのです。
すると、従業員の関心は「新しい挑戦」や「顧客の課題解決」といった本来やるべきことから離れ、「楽をしたい」「自分の身を守りたい」という心理が働き始めます。
人は、一旦楽をしてしまうと、楽じゃない状態となった時に、自ら気を引き締めて頑張りなおすことが簡単にできる生き物でありません。
結果、自責ではなく、他責で考えるようになり、時間の余裕があるために、自分の責任回避のために自分を守ってくれる人を確保することに時間を使うようになり、社内政治が始まります。
社内政治が始まると、上司の顔色がお客様の顔色より気になり出す状態となります。
お客様より上司を大事にすると何がおきるか?
上司が考える答え探し
典型的におきることは、自分がどうしたいではなく、上司がどう考えているかの答え探しが大事になります。
そして、答え探しがうまい人が出世していきます。
上層部に出世する人がこのような考えなので、社内の上司の顔しか見なくなる組織が出来上がります。
その上、上司は沢山いますので、あっちを立ててこっちを立てないことができなくなります。
結果、何も決まらなくなります。
何も決まらないと何かおきるか?本来一番大事にすべきお客様にしわ寄せがいき、本来解決すべき社外のお客様の課題が置き去りになり、事業不振が続き事業徹底や倒産となります。
上司しか見ない会社でおきること
上司の過去の言動に敏感に反応する
このような組織ではさまざまなことがおきます。例えば、社長が参加する会議に、社長を除く参加者全員が開始10分前に会議室に勢ぞろいするようなことが平気で行われます。
実際の私の経験ですが、役職者70名の会議が定期的にありましたが、社長が来る前に会議室に入ならければならないという暗黙のルールがあり、10分前には全員着席する必要がありました。
みんな当たり前に座ってましたが、10分×70名=700分=12時間(全部役職者の時間)が無駄になってることを理解しているのは、私を含む転職者3名だけでした。
本来お客様に使える時間を社内に使う典型的な例です。
ではなぜこのような暗黙のルールが発生したかというと、過去に社長が怒ったからです。背景や本当の理由は誰もわかりません。ただ、怒った事実だけが伝承されます。
結果、社長はこのようなことが嫌いだから気を付けようという話が暗黙のルールとなるのです。
さらにひどい例として、顧客からのクレーム対応で会議に遅刻したにもかかわらず、「時間に遅れた」という事実だけが一人歩きするケースです。
上司からの評価を恐れるあまり、たとえクレームの電話であっても途中で切って会議室に向かうような組織が生まれてしまうのです。これは、実際にあった話です。
上司ではなく、お客様を大事にする会社は良い会社の「まとめ」
顧客を優先すべきことは誰もがわかっています。しかし、一度でも社内にばかり目を向ける組織風土ができてしまうと、その当たり前の行動が難しくなります。
この現象は、会社の規模や業種を問いません。もしあなたの会社でこうした兆候が見られるなら、それは非常に危険なサインです。
企業が常に成長を求めるのは、まさにこのような「内向き」な状態を避けるためです。
もし、この状況を変えるために何かできることはないか、自分で考えてみることをお勧めします。それでも状況が変わらない、あるいは努力が無駄だと感じたときは、別のキャリアを視野に入れるタイミングかもしれません。
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