組織力の意味は、団結して発揮される力と言われています。
当然組織を動かすのは人なので、従業員の団結も重要なことです。ただ、これだけでは、大きな観点が抜け落ちてしまっています。
個人力の集結だけでなく、個人以外の力も、組織力を構成する大きな要素だからです。
この記事では、組織力を「個人力」だけでなく、上記の抜け落ちている部分である「個人以外の力」も加えて、わかりやすく解説します。
この記事は、
・1,000冊近い読書経験
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
これらの経験を持つよしつが実体験から得たことを元に書いています。
この記事を読むと、組織力を構成する要素が理解できます。
(あわせて読みたい、知っておきたい 考え方・意識・スキル)
組織力とは?
- 組織力=個人力×個人以外力
- 個人力=個人の能力×能力発揮率
- 個人以外力=組織力-個人力
組織力とは、上記3つの式で表されます。
詳細を解説します。
組織力は会社の活動のどの位置付けか?
上図は、会社の活動を1枚の図にしたものです。組織力は、組織活動とともに会社の活動の中心である課題解決をおこなっています。
(上図の詳しい説明は、会社の活動をたった「1枚の図」で表すを参照)
組織力の「詳細解説」
この記事で聞きなれない言葉を使っています。「個人以外力」という言葉です。
この言葉を使っているには理由があります。
例えば、「商品力が高く、個人力は普通の組織」と「商品力が低く、個人力が普通の組織」では、どちらが売上と利益を上げることができますでしょうか?
この問いの答えは前者です。したがって、個人力以外の要素も組織力に加える必要があると考えるからです。
ただ、組織力という言葉の一般的な解説では、「個人」だけにスポットが当てられており、「個人以外力」に言及されることはないのが現状です。
この記事では、この抜け落ちている部分を、「個人以外力」という言葉で表しています。
では、それぞれの式を解説します。
「組織力」=個人力×個人以外力
「組織力」とは、「個人力」に「個人以外力」を掛け合わせたものです。
これが組織力となります。
掛け算なのは、個人力がいくらあっても、個人以外力がないと個人力が発揮できないからです。
「個人力」=個人の能力×能力発揮率
個人力とは?
「個人力」とは、個人の持っている「能力」に、個人の「能力発揮率」をかけたものです。
個人の持っている能力はわかると思いますが、なぜその能力に個人の能力発揮率をかけているのか?
理由は単純で、各個人は仕事において、必ず100%の力を出すわけではないからです。
個人の能力とは?
個人の能力=知識×課題解決経験となります。
知識と能力の基本的な違いは、インプットとアウトプットです。知識はあくまでインプット、その知識を使ってアウトプットできると能力が上がります。
(詳しくは、「知識と能力とスキルの関係」をわかりやすく解説を参照)
その上で、課題解決経験を沢山積めば、更に能力が上がります。
知識は大きく3つの分けることが出来ます。必須知識とビジネス知識と業界知識です。それぞれを解説します。
必須知識とは?
社会人として、絶対に知っておきたい知識です。基礎の基礎となるものです。PDCA、報連相、入金サイトが代表的なものです。
ビジネス知識とは?
上記以外の知識です。フレームワークや法則等様々なものがあります。
業界知識とは?
ビジネスをおこなう業界特有の知識です。その業界で仕事をする上で知らないと話が通じない基礎となる知識です。
(必須知識とビジネス知識は知っておきたい ビジネス基礎知識50選を参照)
能力発揮率とは?
能力発揮率とは、個人の能力を何パーセント使っているかという率です。
能力が高くても、能力を使わなければ能力の持ち腐れとなります。
逆に、能力が低くても、能力を100%発揮できれば、能力の高い人に勝てる可能性があります。
したがって、能力発揮率という観点が必要なのです。
具体的には上図の通り、個人の能力が100で能力発揮率が40の会社と個人の能力が50で能力発揮率が100の会社では、個人力はB社の方が高くなります。
能力を発揮できない要因は、以下2つに分けることができます。
・個人の問題
・組織の問題
それぞれを解説します。
個人の問題
個人の問題は以下の2つです。
・個人の特性
・プライベートの問題(仕事に集中できない)
個人の特性としては、さぼり体質や成果を高く求めない(ゴールの低さ)、時間軸の長さなどです。
プライベートな問題とは、問題を抱えており仕事に集中できない、仕事が残っていても帰宅せざるをえないなどです。
内的要因で力を出すことができない場合です。
組織の問題
組織の問題は以下の3つです。
・仕事の割り振りが明確でない
・従業員が会社を好きではない
・仕事をちゃんと教えてもらっていない
仕事の割り振りが明確でないために、個人に余裕があるにもかかわらず、仕事がだぶる、抜ける、もれるなどです。
従業員が会社を好きではないということは、組織の問題です。当然従業員は力を出し切りません。
仕事をちゃんと教えてもらえていないと、本人はやりきっていても成果物は不十分となります。
組織が、従業員を使いきれていない、従業員のやる気を削いでいるなどの、外的要因で力を出すことができない場合です。
(詳しくは、能力発揮率とは?率が下がる13の理由と対策を含めてわかりやすく解説を参照)
「個人以外力」=組織力-個人力
「個人以外力」とは、「組織力」から「個人力」を引いたものです。
何が残るのか?
商品力、ブランド力、Webサイト集客力などです。
同じ個人力でも上記のありなしで、間違いなく売上が変わります。
商品力があれば、営業力が低く出ても、売ることができます。
ブランド力があれば、他社より高く売ることができます。
集客力のあるWebサイトがあれば、新規顧客接点が増え取引数を増やすことができます。
このように、個人以外力が組織力に大きな影響をあたえるのです。
よく個人力があれば、上記も結果的に上がるという話もあります。
確かにその通りなのですが、今現在ではどうでしょうか?個人力が高い会社は、上記の課題がないのでしょうか?
けっしてそうではないので、あえて個人以外力として切り分けて考える必要があります。
(詳しくは、組織力から個人力を引いた時に残る「個人以外力」をわかりやすく解説を参照)
組織力を上げる方法
組織力を上げる方法は以下の2つです。
・個人力を上げること
・個人以外力を上げること
それぞれを解説します。
個人力を上げるための方法
個人力を上がるには以下3つあります。
・個人の能力を上げる
・個人の問題を取り除く
・組織の問題を取り除く
それぞれを説明します。
個人の能力を上げる
個人の能力アップ=知識の習得×課題解決経験です。
だから、沢山の知識を得ることと、その知識を使って課題解決経験を積むことが大事になります。
知識の習得
知識が増えることで能力を上げる素地ができます。逆に能力を上げようとしても、知識がないと上がりません。
日々の業務の中で知識を得ていくことはもちろん、教育研修、勉強会への参加、読書などを行うことが必要です。
知識には、最低限知らないといけない知識、業界知識、ビジネス知識に分けることができます。
最低限及び業界知識は、とにかく覚えること。覚えないとスタートできないからです。
その上で、ビジネスをおこなう上で役に立つ知識を得ていきましょう。
課題解決経験
課題解決経験を積むことで、課題解決スキルがアップします。
したがって、与えられた課題を解決するために、精一杯努力することが重要になります。
・営業であれば、売上を上げるためにどうするか?
・総務であれば、従業員が快適に働くためにどうするか?
・経理であれば、経営にどのような数字を出せば、経営判断の質が上がるか?
など、それぞれに課題は必ずあります。
また、課題解決が簡単なものが多ければ、せっかくの経験から得るものが少なくなります。少し大きな課題を自分から取りにいくことも重要になります。
仕事の本質は、課題解決です。普段の業務は必ず何かの課題を解決する活動です。
だからその経験が必要ですし、経験を積むことで必ず課題解決力が伸びます。
(詳しくは20代で一番大事なこと「時間当たりの課題解決経験の多さ」をわかりやすく解説を参照)
個人の問題を取り除く
個人を叱っても限界がありますので、組織としてどう対応するかという問題になります。
上長が仕事を適切に割り振ること、時間軸を決めること、その中で仕事を完了することを徹底的にサポートすることが重要になります。
組織の問題を取り除く
組織の長の仕事となります。人事部ができることは、組織の長に対するアプローチです。
仕事の本質である分業をどのように設定するか?(戦略及び組織作り)、その分業での活動をどう的確に進めるか?(権限移譲と報連相)が大事になります。
個人以外力を上げる方法
これも組織全体での対応となります。
商品力、ブランド力、蓄積されたノウハウ、Webサイト集客力です。他にもありますが、この4つが大きな要素となります。
これらに対して、組織全体として最重要のテーマとして設定し、取り組んで上げていきます。
逆に言えば、これらに力を入れていないと個人力が有効活用できない状態となります。
組織力とは?の「まとめ」
・組織力=個人力×個人以外力
・個人力=個人の能力×個人の能力発揮率
・個人以外力=組織力-個人力
このように分解して考えると、組織力を上げるために何をすればいいのか?を考えることができますし、私たちが能力を上げることで何につながるのかがわかります。
組織力の意味である、団結して発揮する力は、個人の能力発揮率(組織要因)を上げる方法でしかありません。
他にも、個人自体の能力アップ、個人の能力発揮率(個人)、個人以外力のアップという方法があります。
このように分けて考えることでより、有効な打ち手を考えることができるようになります。
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