上場企業でさえ、単純作業のマニュアルがなく、上司や先輩に口頭で仕事を教える会社が多く存在します。
中小企業では、マニュアルがないのが一般的かもしれません。
しかし、実はこのたった一つの現象で、その会社が良い会社か悪い会社かを見分けることができるのです。
結論から言えば、マニュアルが整備されている会社こそが良い会社です。それは、会社運営において極めて重要な要素への対策をしっかりと行っているからです。
本記事では、単純作業のマニュアルがある会社が良い会社である理由を、具体的に解説していきます。
この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つ「よしつ」が実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい【会社の環境】良い会社の特徴)
単純作業のマニュアルがある会社が良い会社の「理由」
・生産性アップの対策が打てている
・単純作業をメイン業務にする社員がいない
上記2つが単純作業のマニュアルがある会社が良い会社の理由です。それぞれ解説します。
生産性アップに対策が打てている
・先輩社員の時間を奪わない
・業務が見える化でき改善につながる
マニュアルがあることで、「先輩社員の時間を奪わない」「業務が見える化でき改善につながる」という2つのメリットが生まれ、生産性が向上します。
限られた時間で最大限の成果を出すことが重要である会社にとって、生産性アップは何よりも大切な要素です。
それぞれを解説します。
先輩社員の時間を奪わない
先輩社員の教える時間を削減できる
単純作業は、基本誰が実行しても同じ内容=成果物になります。したがって手順が決まっています。人により、交通費精算伝票の書き方が違えば困るからです。
また、教えてもらう人もマニュアルを見るだけで人に聞かなくてもできます。ただ、マニュアルがなければ誰かに教えてもらう必要があります。
当然先輩社員が教えることになるのですが、マニュアルがあれば1人でできることをわざわざ時間を使って教えることになります。
この一部分だけ見れば些細な時間ですが、全社で考えると、この「無駄な教える時間」は積もり積もって膨大な時間になります。
同じ時間働くのであれば、誰がやっても同じ結果になる単純作業に無駄な時間を使うよりも、売上や効率アップにつながる仕事に時間を使った方が、利益をちゃんと上げる会社になります。
業務が見える化でき改善につながる
手順が文章化される過程で手順が改善される
各業務をマニュアルという文章に落とす作業をおこなうとわかりますが、内容があやふやな状態では文章化できません。
これにより、業務を各論に落とすことができるだけでなく、客観的に把握することができ、問題点を把握し改善につなげることができます。
以上の2つ(生産性向上・業務の見える化)に取り組まない会社は、従業員が非生産的な仕事に時間を費やすことを当たり前と捉えているか、問題だと認識しながらも先送りし、結局何も対策を打てずにいるかのどちらかです。
中小企業では、人手が足りないので、大手のようにマニュアルが整備できないという声も聞こえます。
その考えのもと、単純作業に沢山時間をかけて本来すべきことができていないか?たくさん残業して無理やりおこなっているか?のどちらかとなります。
本来は商品力含めた総合力が弱い中小企業こそ、単純作業を効率化しないと生きていけないはずです。
しかし、経営層を含め、この課題の重要性を理解できていない会社は少なくありません。その結果、課題は放置され、生産性の高い業務に時間を使えないまま、業績が低迷してしまうのです。
単純作業をメイン業務にする社員がいない
知識のみでできる仕事だけをする人が現れないようにしている
マニュアルがないと必ず業務を知っている人が重宝されます。その内容が誰でもできることにも関わらずです。
そうして時間がたつと単純作業をメイン業務にする社員が現れます。
結果何がおきるかと言えば、その方々はその仕事がメイン業務になります。
生産性ゼロですが誰かがやらないといけない業務を、正社員の人件費を使っておこなうことになります。
悪いことに、その担当になった人は、その仕事を効率化してなくすことをしません。効率化しようとすれば徹底的に阻止しようと動きます。
なぜなら、単純作業しかできないので、その仕事がなくなると自分の仕事がなくなり、居場所がなくなることがわかっているからです。
また、悪いことにこのような会社ではこの担当者が昇進します。例えば係長とかになります。
部署ごとの係長の仕事を並べてみると、仕事内容の難易度はまったく違うのに給料は一緒となります。
難易度の高い仕事をしてる人はばかばかしくなるだけでなく、非効率な業務運営を見て会社の将来を案じ退職していきます。
単純作業の効率化という、一見大きな課題ではないように感じることでも、対策を打たないととても大きな課題となり、優秀な人が退職する原因となるのです。
その上、このような非生産的な仕事をする人が異動や退職すると、その業務を若くて元気な社員が担当することになります。先輩社員には引き継がせることができない簡単な内容だからです。
担当した若手は、仕事が単純作業なので成長できる機会が減り、時間がたつと年齢を重ね、その仕事が楽で手放さくなる思考になってしまいます。
大げさなように感じると思いますが、以下の人々を見てきた私の実感です。
・売上が200億円位のBtoBの会社で、経理業務が手作業のために経理部に30名の正社員がいる
・45歳のお客様対応の電話しかしない正社員(係長)がいる
・エクセルで式を組めば、瞬間にできることを手書きかつ電卓で作業をしている
・手書き伝票がいまだに沢山残っている
単純作業のマニュアルがある会社は良い会社の「まとめ」
・生産性アップに対策が打てている
・単純作業をメイン業務にする社員がいない
よくマニュアルがあると自分で考えなくなるという思考の経営者が沢山います。
確かに、生産性を上げてほしい部分については当てはまる部分もありますが、単純作業についてはまったく間違っています。この区分けができていないだけです。
そして、この問題は時間がたてばたつほど、とても根深い問題になります。
単純作業の知識をあたかも「能力」だと勘違いする社員が現れ、非効率な業務がそのままの形で脈々と引き継がれていきます。これでは、会社が儲かるはずがありません。
もしあなたの会社でこのような現象が起きているなら、それはすでに、放置できないほど大きな課題を抱えた「悪い会社」になっている可能性があります。
このような現象が多い会社は、基本変わらないので転職を検討することをお勧めします。
他にも「良い会社の見分け方」で以下の記事を書いています。参照下さい。
当サイトでは以下のカテゴリーで200以上の記事を掲載しています。気になる内容があれば参照下さい。
・【 概念の本質 】ビジネスの根幹・基礎用語の本質・人の本質
・【キャリアプラン】軸とタイミング・成長ロードマップ
・【 自己成長 】定義から効率的な学びの方法を紹介
・【社会人の悩み 】素朴な悩み・よくある悩みと対策
・【 課題解決 】問題課題、戦略戦術フレームワーク・法則
・【ビジネススキル】必須スキル・思考方法・コミュニケーション
・【ビジネス用語 】基礎用語解説
・【 企業会計 】一つの軸で理解・収益構造とコスト分析
・【企業実例研究 】成長企業の成長理由
・【 会社の環境 】良い会社の特徴
・【 転職 】転職前の心構えと知識・具体的な方法
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