キャリアプランの策定は、多くの方にとって難しい課題ですよね。私自身も深く悩みました。
面接用の建前であれば、様々なサイトを参考に作成できますが、「本物の」キャリアプランとなると話は別です。
Webで検索すると、理想の姿を明確にし、自己の強みや弱みを棚卸しするといったアドバイスが数多く見つかります。しかし、それが簡単にできれば、そもそも悩むことはないでしょう。
10年、20年先を予測しにくい現代において、自己理解が不十分なまま、どうキャリアを築けば良いか分からないという声が多数聞かれます。
この記事では、そうした悩みを抱える方々に向けて、キャリアプランを考える上での指針となる2ステップの考え方をご紹介します。
この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つ「よしつ」が実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい、知っておきたい 考え方・意識・スキル)
キャリアプランの考え方の2ステップとは?
第一ステップ
リーダーマネジャー職か専門職か?
第二ステップ
ゴールから考えるか?流れで考えるか?
この2つの質問を通じて、まずはご自身のタイプを理解することから始めましょう。
図にすると以下です。

キャリアプランの定義をご紹介した後、2ステップの質問の詳細、および4タイプごとのキャリアプラン立案方法と注意点について解説します。
もし回答が難しい場合は、後述する「おススメする仮決め」をご参照ください。現時点での仮の考えとして設定する程度で問題ありません。
キャリアプランとは?
自分がどのようなキャリアを積むかを計画すること
考え方の王道は、「どうなりたいか?」から逆算し、どのような力をつけ、どのような経験を積むかを計画することにあります。
しかし、この「どうなりたいか?」という問いに現時点で明確な答えを持つ人はごく一部でしょう。それは、簡単に見つけられるものではないからです。
したがって、自身のやりたいことや夢が現状で明確ではない方には、上記の第一ステップと第二ステップの質問を、キャリアプランを考える上でのきっかけとして活用いただければ幸いです。
2つのステップについて解説します。
2つのステップの詳細
第一ステップ
リーダーマネジャー職か?専門職か?
第二ステップ
ゴールから考えるか?流れで考えるか?
これが2つのステップです。それぞれを紹介します。
第一ステップ リーダーマネジャー職か専門職か?
企業における職務は、大きく分けてリーダー・マネジャー職と専門職の二つに分類される
リーダー・マネジャー職は社長、執行役員、部長、課長といった役職を指し、専門職は部下を持たずに現場で実務を行う人を指します。
この二者には明確な違いがあるため、どちらの道を選択するかを定めることが重要です。
選択の参考となるよう、それぞれの「違い」と「メリット・デメリット」をご紹介します。
2つの違い
自分以外の人のことまで責任を持つのか?自分だけに責任を持つかが大きな違いです。
組織である以上、組織全体(会社全体だけでなく、部や課も含む)の運営を考える人が必要で、組織全体=自分以外のことまで責任を持つ役割の人が必要になります。
また、会社では現場で実務をおこなう人も必要です。自分の仕事の責任を果たすことが役割となります。
リーダーマネジャー職のメリット・デメリット
メリットとデメリットを紹介します。
メリット① 給料が上がる確率が高くなる
給与が上がる最も確実な方法は、役職に就くことです。
役職に就くことで基本給が上昇します。たとえ査定が芳しくなくても、高い基本給からの増減となるため、安定性が増します。
メリット② 職種と組織長の2軸の強みを獲得
例えば、営業職として経験を積み、昇進してリーダー・マネジャーになったとします。
その結果、営業職としての経験で培った強みと、リーダー・マネジャーとして得た経験の二つを獲得できます。
これら二つの専門性を持つメリットは、さらに上位の役職を目指せる可能性が高まること、そして転職市場での選択肢が広がることにあります。
営業職としての専門性、リーダー・マネジャーとしての組織長としての専門性、あるいはその両方を武器として活用できるからです。
結果として、現在所属している一社に固執する必要がないという安心感を得られます。
デメリット① 自分以外に責任を持つことで大きな負荷がかかる
経営からの要望が大きくなり、部下からの要望にも答えないといけません。
自分自身のことだけでもコントロールしきれないと感じる中で、他者のことまで管理する必要が生じ、苦悩が増える傾向にあります。
デメリット② 責任の範囲が飛躍的に大きくなる
自分以外に責任を持つということは、例えば10名の組織を担当する場合、責任の範囲が飛躍的に拡大することを意味します。
専門職のメリット・デメリット
メリット① 自分のことに集中できる
基本自分のことだけを考えればいいので、他の人のことは考えずに、自分のやることに集中できます。
メリット② 専門性を上げることができる
働く時間すべてにおいて実務の専門性を上げることに使えますので、専門性が高くなります。
デメリット① 給料が上がりにくい
よほど他の追随を許さないほど専門性を突き詰め、突出した結果を出し続けなければ、給与は上がりにくくなる傾向にあります。
基本給が上がりにくい構造にあるためです。
デメリット② 年齢を重ねた時に転職しにくくなる
年齢を重ねると、たとえ専門性が高くても、成長が見込める若手との競合が激しくなり、転職が難しくなる傾向にあります。
さらに、専門性を極めたとしても、その専門分野が時代遅れになるリスクも伴います。
現在Web系のエンジニアのニーズは高いですが、将来的に、コードを書かずにWeb開発を行うようになれば、現在のコード記述スキルが不要となる可能性も考えられます。
リーダーマネジャー職か専門職か?の「まとめ」
上記のメリット・デメリットを参考に、まずはどちらかに仮置きで構いませんので、方向性を定めてみましょう。
それでも決めきれない方も少なくないでしょう。その場合は、リーダー・マネジャー職と仮置きすることをお勧めします。
私自身、5社での勤務経験と数千社への営業訪問を通じて、多種多様な人々と接する機会に恵まれました。
その経験から見えてきたのは、一つの分野のスキルだけで勝負する専門職を目指す人が、必ずしも多くないという現実です。なぜなら、一つの専門性だけで抜きん出ることは非常に困難だからです。
もちろん、専門性を極めるために「まずは営業のプロとして認められたい」といった目標は非常に重要です。
しかし、長期的なキャリアを考えた際、私が提案したいのは『スキルの掛け合わせ』によって自身の価値を高めるという考え方です。
例えば「営業スキル × マネジメントスキル」のように、複数の強みを組み合わせることで、誰にも真似できない「あなた独自の専門性」が生まれるからです。
もちろん、リーダー・マネジャーになりたくないと感じる方も多いでしょう。しかし、皆さんの上司が「本来の管理職の仕事」をしているかどうかを、一度立ち止まって判断していただきたいのです。
なぜなら、本来の管理職の仕事をしていない現状の上長の姿を見て、「あんなに大変な仕事はしたくない」と感じ、リーダー・マネジャーを敬遠している可能性があるからです。
本来のリーダー・マネジャーの仕事は、確かに責任が重く大変な側面もありますが、非常にクリエイティブで大きなやりがいのある仕事だからです。
(詳しくは、「管理職になりたくない」と思った時に知っておいてほしいことを参照下さい)
第二ステップ ゴールから考えるか?流れに任せるか?
・到達したいポジションをまず決めてキャリアを積む
・到達したいポジションを決めずにキャリアを積む
選択肢はこの2つです。
2つの違い
両者は正反対のアプローチですが、どちらの考え方も有効です。
王道は、到達したいポジションを決めてキャリアを積む方法です。ただ、そんな簡単に決めることができないこともわかります。
その際は思い切って、何も決めずに今を大事にする方法である後者を選ぶのも一手です。
両方とも当然メリット・デメリットがありますのでそれぞれを紹介します。
ゴールから考えるメリット・デメリット
メリット
ゴールにいきやすくなります。明確な目標がありますので、どのようにたどり着けばいいかの作戦が立てやすくなるからです。
デメリット
ゴールの設定がしづらいことです。ゴールが明確にできるなら、誰も迷いませんが、簡単には決めることはできないからです。
また、強引に決めたとしてもそれが正しいかどうかで悩み、結局ゴール設定のメリットが享受できなくなります。
流れに任せるメリット・デメリット
メリット
今に集中できます。あまり先のことを考えることなく、今できることに集中できますので、今の仕事の専門性を上げやすくなります。
デメリット
ゴールが低くなる可能性があります。たどり着いた先がゴールとなるため、高いゴールに行けるかどうかがわかりません。
あくまで今の積み重ねの結果だからです。
ゴールから考えるか?流れに任せるか?の「まとめ」
ゴールから考える王道を選ぶか、リスクはあるが目の前のことに集中できる流れに任せる方法を選ぶかを仮置きでもいいので決めましょう。
キャリアプランを立てる際の立て方と注意点
2つの質問で定めた方向性(仮置きを含む)に基づき、キャリアプランの具体的な立て方と注意点をご紹介します。

① の象限
まずは組織図を思い浮かべましょう。そしてどのポジションに行くかを決めます(仮置きでも可)。決めたら、どうややっていくかを考えます。
今おこなっている業務を専門と言えるくらい追求しながら、リーダーマネジャー職の基礎知識を今から得ておくことがポイントとなります。
結果を出すことにこだわることと、できれば2つ以上の違う仕事を経験したいです。役職者になると、部分最適ではなく、全体最適が求められます。
(部分最適と全体最適の違いは、全く違う「全体最適と部分最適の違い」をわかりやすく解説を参照)
1つの部署の経験ではなく2つ以上の経験があれば、全体最適で考えやすくなるからです。
② の象限
どこまで専門性を高めるかをまずは決めます。ポイントは、他の人と明確に差別化できるように、小さな山でもてっぺんに立つことを目指すことです。
次にその高みに行くために何をするかを考えます。
イメージは売れている芸能人のポジショニングです。芸能人はすべて専門家です。ただ、司会者もいれば、歌手もいれば、ひな壇芸人もいます。さらにその中でも細分化されています。
ただ、長く活躍している人は、必ず同じ括りでも他の人と違う特色を持っているだけでなく、その特色で一番を取っています。
③ の象限
今の仕事で徹底的に結果を出すことにこだわりましょう。
それと並行してリーダーマネジャーの知識を得ていくようにしましょう。
まずは、先を考えずに目先の結果にこだわり続けることで、自分のしたいことやゴールが見えてくることも多くあります。
④ の象限
とにかく今の仕事で徹底的に結果を出し続けることにこだわりましょう。
それができると、次のステップが見えてきます。
キャリアプランの考え方・立て方の2ステップの「まとめ」
第一ステップ
リーダーマネジャー職か専門職か?
第二ステップ
ゴールから考えるか?流れで考えるか?
今明確に先のことが決まっていない場合は、①もしくは③を選ぶことをおススメします。給料アップとキャリアの選択肢が広がるからです。
ただ、先を決めることができないのであれば、②と④を選ぶことも可能です。その際は、リスクを踏まえて、日々の仕事で結果を出し続けることを考えましょう。
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