物事を考える際、判断に迷う時が多々あります。
候補案の間に大きな差がないように感じられたり、どの基準で考えるかによって最適な案が変わったりするためです。
判断する際に何を基準にし、どう考えればよいのかは、判断する内容によって異なります。
しかし、どのような状況でも役立つ、普遍的な思考法が一つあります。
それがこの記事のテーマである「極端に振って考える」方法です。
この記事では、なぜ極端に振って考えると良いのか、を具体的な事例を交えつつ解説します。
この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つよしつが実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい【ビジネススキル】必須スキル・思考方法・コミュニケーション)
極端に振って考えると何かいいのか?
解くべき問題が見えてくる
判断が難しく感じるのは、考えるべき内容が複雑で、何を基準に考えると良いかがわからないことが主な原因です。
極端に振って考えることで、大きな視点で物事をとらえやすくなり、枝葉ではなく本筋が見えやすくなることで、考える基準や論点が把握しやすくなる場合が多くあります。
これにより、解くべき問題が特定しやすくなり判断の間違いを減らすことができます。
複数の事例を元に詳しく解説します。
解くべき問題がわかる
事例1:既存顧客と新規顧客どちらが大事か?
既存顧客と新規顧客どちらが大事かを考えてみましょう。
単一商品を販売しており、1社あたりの取引額はほぼ同額であると仮定します。
結論から言えばどちらも重要ですが、両方を同等に重視しようとすると、単純計算で業務量が2倍になってしまいます。
このような場合、解くべき問題を把握するために、極端に振って考えてみましょう。
① 既存顧客しか営業しない
② 新規顧客しか営業しない
極端に振って考えると上記になります。
①の場合、売上の増加は見込めません。顧客の総数が変わらない中で、毎年一定数の既存顧客との取引が自然減するためです。
② だと取引してくれている既存顧客の取引が激減しますが、新しく取引する会社は大きく増えます。
ただ、両方ともとても選べない選択肢です。
では、そもそもの既存顧客と新規顧客どちらが大事か?という問題は、どのような問題設定にすれば正解が導き出せるでしょうか?
振って考えた場合に出てくるポイントは「社数」です。
社数を軸に考えると、売上を増やすためには、「既存顧客の取引減少数を上回る新規顧客をいかに獲得するか」が解くべき問題となります。
解くべき問題をここまで具体的にできれば、打ち手立案の精度も上がり、実行することで成果につながりやすくなります。
事例2:健康を考えた生活をするかしないか?
健康を維持するために、運動するだけでなく食生活にも気を使うかどうかの判断で考えてみましょう。
解くべき問題を把握するために、極端に振って考えてみましょう。
① 毎日1時間ランニングし、太らないように食事は糖質制限をおこない、禁酒禁煙をおこない、8時間寝るようにする
② なにも気にせず生活する
極端に振って考えると上記になります。
① が実現できるとかなり健康的であると言えますが、ストレスをためたり体を痛める可能性が高まります。
②だといつ体を悪くするかわかりません。
ただし、①と②のどちらを選んだとしても、いつ大病を患うかは予測できません。一般的に②の方が病気になるリスクは高いと考えられますが、生活習慣と大病の因果関係は複雑であり、両者で決定的な差があるとは一概に言えないかもしれません。
では、そもそも健康を考えた生活をするかしないか?という問題は、どのような問題設定にすれば正解が導き出せるでしょうか?
振って考えた場合に出てくるポイントは、「病気になるかどうか」です。
病気になるかならないかはわかりませんが、もし大病をしないで、健康な状態で年老いた場合を考えてみましょう。
当然①の場合は、体がしっかり動く確率は大きく上がりますし、②の場合は筋肉が落ちて体の動きが悪くなります。
したがって、解くべき問題は、もし健康で年老いた場合にどのような状態でいたいか?そのために今どれだけの時間を投資するか?になります。
事例3:独学で学ぶか資格を取るか?
社会人になって勉強をしたいと思ったとします。その際に、独学で知識を得るか?資格を取るか?を考えてみましょう。
これも解くべき問題を見つけるために極端に振って考えてみます。
① 誰にも相談せずに独学のみで頑張る
② 勉強は資格を取るためだけに使う
そもそも独学で学ぶか資格を取るか?という問題は、どのような問題設定にすれば正解が導き出せるでしょうか?
極端に振って考えた場合に見えてくるポイントは、「学習テーマを状況に応じて柔軟に変更できるか、それとも特定の資格取得に絞るため変更が難しくなるか」という点です。
ここまで具体的にできれば、今の自分が置かれている状況を踏まえて考えることができそうです。
事例4:今の会社で働き続けるかどうか?
社会人の多くが悩む、今の会社で働き続けるかどうかについて考えてみましょう。
これも解くべき問題を見つけるために極端に振って考えてみます。
① 現時点でどんなことがあっても今の会社で65歳まで働く
② 今日働く会社が倒産。転職せざるをえない状態になった
極端に振って考えると、①のように現時点で今の会社に留まることを決めた場合、将来より良い条件の会社で働く機会を逃す可能性があります。
転職する場合、今より良い会社で働ける可能性がありますが、悪い会社に転職してしまうリスクもあります。
この場合は、今より「確実に」良い会社に転職できるか?かが解くべき問題となります。
よほど企業を見抜くスキルがない限り、実際に転職してみるまで、その選択が成功だったか失敗だったかは分からないものです。
すでに今働いている会社は辞めていますので戻れません。
したがって、「確実に」良い会社に転職できるかが解くべき問題になります。
事例5:社会人になって出世を目指すかどうか?
社会人の多くが悩む、出世していくことを目指すかどうかについて考えてみましょう。
これも解くべき問題を見つけるために極端に振って考えてみます。
① 仕事の結果を出し続け、上司からの信頼を得て、責任範囲も拡大していく
② 最低限の仕事だけをおこない、上司や周りに気を使わずに働けるため、プライベートの時間も増える
この2つを比較すると、どんな解くべき問題が浮かび上がるでしょうか?
この場合は、①は給料が上がり続けますし、仕事を通して能力が上がることで転職もしやすくなります。②は給料は上がらないですし、能力も上がらないので転職が難しくなります。
したがって「給料の増減の可能性と優位な会社に転職できる可能性をどう判断するか?」が解くべき問題となります。
極端に振って考えるの「まとめ」
解くべき問題がわかる
上記事例からわかる通り、これが極端に振って考える際のメリットです。
解くべき問題を間違うと、絶対に正解には到達しません。
解くべき問題を見誤らないために、この「極端に振って考える」思考法を活用しましょう。極端に振れば振るほど、本質的な論点が見えてくるはずです。
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- 打ち手を考える前に必ず必要な「たった一つのこと」
- 「前提をそろえる」
- 「分解して考える」
- 「枝葉でなく幹をつかむ」
- すぐに検索せずに「一旦考える」
- 「具体化と抽象化」を使い分ける
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