「手段の目的化」の意味と具体例と原因をわかりやすく解説

4.個人力(考え方)

よほど意識しないと陥ってしまうのが、手段の目的化です。

最初はちゃんと目的を意識していたが、気がつけば忘れ去られてしまっています。

誰もが経験することなので、人は、よほど意識しないと手段の目的化に陥りやすいのでしょう。

この記事では、手段の目的化の意味、具体例、そしてなぜ起きてしまうのか?についてわかりやすく解説します。

この記事は、風土の違う5社での経験、数百名のマネジメント経験、数千社との取引経験をもつ、よしつが、書いています。

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手段の目的化とは?

・手段実現が、目的になってしまうこと

本来は、目的を実現するために手段があり、手段が達成できた時に、目的を実現できたかを把握して、その手段が正しかったかどうかを判断します。

ただ、人は上記の中で時間が経過した時、また、議論に集中している時に、気がつけば、手段を達成することが目的に置き換わってしまいます。

これが手段の目的化です。

その結果、手段を達成することに集中し、目的は蚊帳の外で、手段が達成できれば、それでよかったとなってしまいます。

手段の目的化の「詳細解説」

手段が目的になる原因は?

手段の目的化が起こる原因は2つあります。

1つ目は、目的が共有されていないことと、2つ目は、人は目の前に見えているものに集中できる能力を持っていることです。

目的が共有されていないため

まずは以下の図をご覧ください。


上位役職者からメンバー間の、手段と目的の関係を表しています。

部長や課長やメンバーという役割により、目的と手段の階層構造になっています。

部長の手段が、課長の目的、課長の手段がメンバーの目的となります。

ということは、あなたがメンバーであれば、降りてきたテーマは、部長の目的が細分化された、ひとつの手段となります。

そして、それが、あなたが解決するテーマ=目的となるのです。

この時点ですでに、手段の目的化は起きているのです。

本来上長は、自分の目的だけでなく、上長の上長の目的も合わせて、現場のメンバーに伝える必要があります。

でもこれができていない場合が多いのです。

したがって、部下は、おりてきた手段を解決することが目的となるのです。

ただ、課長や部長にしてみたら、そのテーマは、そもそもの目的ではなく、手段なのです。

人は目先のものに集中してしまうため

もう一つの理由は、とてもシンプルで、目の前に見えているものに人はすごい集中力を発揮する能力を持っているからです。

ピンポイントになればなるほど人は集中して考えることができるのです。

したがって、考えれば考えるほど上位概念ではなく、目先のテーマに集中し、目的自体でははく、手段を実現することに集中するのです。

こうして、手段の目的化が起こるのです。

手段と目的の関係は?

「〇〇〇のために、△△△する」の言葉で言い表すことができます

〇〇〇が目的、△△△が手段です。

上図は、目指したい姿・ありたい姿と、現状と、問題と、課題と、戦略(行き方)を表したものです。

本来は、行き方=戦略=「手段」は、目指したい姿や、ありたい姿・課題=「目的」に対して設定されるものです。

だから本来は、「目指したい〇〇な姿になるために、戦略を実行する」、もしくは、「〇〇な課題を解決するために、戦略を実行する」となります。

でも、「戦略を実行するために、戦略を実行する」となってしまう手段の目的化が起きるのです。これはおかしいと誰もが思いますが、中々気づかないのです。残念ながら。

手段の目的化の別の言い方は?

まったく同じ意味で使われる言葉は、「自己目的化」です。まったく同じ意味です。

近しい言葉として、木を見て森を見ず、部分最適があります。

木を見て森を見ず、部分最適は、一部をみて全体を見ずという意味なので、結局、大元の目的がおざなりになることです。

手段の目的化の「具体例」

日々色々なところで起きています。

通常の事例

例えば、どの広告手法を使うかを考える際に、そもそもの、なぜ広告を打つのか(=目的)を議論せずに、Web広告がいい、TVCMがいいと手法の議論をおこなってしまう場合が典型例です。

目的が共有されていない

「自社HPの訪問数を増やすこと」というテーマが上司から下りてきて、既存顧客に訪問してもらう施策を打つことで、訪問数を増やすことができました。

その結果を上司に報告すると、「既存顧客では意味がないですよ。新規を増やさないと!」言われるパターンです。

メンバーからしたら「最初から言ってよ~」という話になります。

元々の目的が共有されていないことで起きる典型的なパターンです。

昔からの慣習

昔決まった内容が代々引き継がれていて、なぜそれをやるのかがわからない場合も手段の目的化が起きます。

例えば、あまり見られていない書類を何に使うのだろう?と思いながら作るパターン。

そもそもこの書類は、何か目的があったので作成することになったはずですが、その目的が引き継がれていないため、書類を作るという手法だけが残ってしまうパターンです。

やめるにやめれなくなる典型的な例です。

そもそも目的がない

手段の目的化とは少しずれますが、実はとても多いパターンです。

目的設定がなく、手段のみがテーマとなるので、この時点ですでに手段の目的化となります。

手段の目的化を回避する方法

これは、残念ながらたった一つです。

目的を常に意識すること

このように書くと、もっと良い方法がないのかと言われます。

でも、これしかないです。

工夫している事例としては、

  1. 企画書や提案書のテンプレートに必ず目的欄を入れておく。
  2. 会議の際にホワイトボードの一番上に、その会議の目的を記載して会議を進行する。

このような工夫をしている会社もあります。このように、各自の頭の中に目的を置くのではなく、テキストにして残すことが大事です。

文章がない(少ない)会社で社歴が長い会社は、手段の目的化だらけです。時間が経ってしまい、当時関わった人がいなくなれば、そのことを知っている人がいなくなってしまうからです。

手段の目的化の「まとめ」

・手段を実現することが目的になること

手段の目的化は誰でもおきます。上長からおりてきたテーマが手段なので、テーマ設定自体が、手段の目的化状態です。

だから、上長やその上長の目的を把握することができると、手段を実行する際に、違う方向で実行することが少なくなります。

ぜひとも目的を確認しましょうね。

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