会社に入ると、必ず直属の上司がいます。
しかし、心から「この人は良い上司だ」と思える人に出会うのは、なかなか難しいのが現実です。
また、もう一つの問題として、良い上司がしてくれている行動に、上司経験のない私たちが気づけないこともあります。
人間同士なので相性はもちろんありますが、それが相性の問題なのか、それとも上司として不適合なのか、判断に迷うことも多いでしょう。
上司が変わったり転職したりした時に、前の部署の上司が実は良かったと気づくケースもよくあります。
この記事では、そんな「良い上司」が具体的にどのような行動をとっているのか、12の例を挙げて分かりやすく解説していきます。
この記事は、
・3回の転職経験
・中途採用の責任者の経験
・多数の書類選考・面接の経験
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つ「よしつ」が実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい【会社の環境】良い会社の特徴)
良い上司とは?
・管理職の本当の姿を教えてくれる
・成長支援をしてくれる
良い上司とはあなたにこの2つをあたえてくれます。それぞれ解説します。
管理職の本当の姿を教えてくれる
管理職の本当の仕事を知ることができる
皆さんが将来管理職になった時を想像してください。誰を参考しますか?
将来管理職を目指すかどうかは一旦置いた場合、今までの上司の行動を参考にするはずです。
もちろん参考にする場合もあれば、絶対しないようにすることもあると思います。
ちなみに、管理職の仕事とはなんでしょうか?
私の定義は以下です。
・「担当する組織」で成果を出す
・「担当する組織」の能力を上げる
これが管理職の仕事ですが、実は「担当する組織」の部分を「自分」に置き換えてみてください。
皆さんが行うこととの違いは、自分なのか人が集まる組織なのかの違いになります。
わかりやすい自分のことだけなのか、他人のことも含むのかの違いですが、他人を含むことでとても難易度が上がるのも事実です。
だからこそ、実際にちゃんとおこなっている上司の行動を直接知っているだけで、皆さんはとても大事な知識を得ることができます。
成長支援をしてくれる
「help」ではなく「support」してくれる
良い上司は、ただ助けてくれる(help)のではなく、成長を支援してくれます(support)。
なぜなら、何でもかんでも答えを教えてくれる上司が、必ずしも良い上司とは限らないからです。
上司がすべてを教えてしまうと、自分で考え、行動する機会を奪ってしまい、結果的にあなたの成長スピードを遅らせてしまうことがあります。
成長にとって一番大切なのは、自ら考え、行動し、成功体験を積み重ねることです。
(詳しくは、成功体験が大事なたった一つの理由と体験方法をわかりやすく解説を参照)
もちろん、何も教えてくれないのは問題です。
ただ、helpとsupportの違いをその場その場で判断し、部下の力量に応じて使い分けることが大事です。
これにより部下の成長支援が促進されます。
このような対応をしてくれることで皆さんの成長のスピードが上がります。
次は現象ごとにどんな上司が良い上司かを解説していきます。
良い上司がおこなう具体例
結果に至るプロセスを気づかせてくれる
成果につながった「本人が気づいていない行動」認識させてくれる
良い上司は、結果をほめてくれるだけではなく、その結果に至ったプロセスもほめてくれます。
更に最高の上司は、自分が気づいていないプロセスを気づかせてくれた上でほめてくれます。
結果には必ずプロセスがあります。そのプロセスにより結果が出ます。
したがって、結果が出たプロセスを理解できることで、良い結果の再現性が高くなるのです。
良い上司は、この事実をよく知っているからプロセスをほめてくれるのです。
そして本人が気づいていないプロセス認知できるようにしてくれるのです。
ほめる時はみんなの前、叱る時はこっそり
ほめる・叱るの場をわきまえてくれる
良い上司は、ほめてくれる時はみんなの前でほめてくれ、叱られる時は、出来るだけみんなにわからないように、時や場所を配慮して叱ってくれます。
誰だってほめられるのはうれしいです。それが、みんなの前だと更にうれしいです。
逆に、みんなの前で叱られるのは、あまり気持ちの良いものではないです。
その上、みんなの目が気になり、素直に受け入れることができなかったり、逆に言いたいことが言えなくなったりします。
したがって、会議室を使ったり、周りに人ができるだけ少ない時を狙ったり、小声で叱ってくれます。
逆に周りに聞こえるように大声で怒る上司は、普段どんなに良い人でも、心を許してはいけません。
人として大きな問題があります。メンバーのためではなく、単に自分の不満をまき散らすことが大事な人だからです。
ほめる時はほめるだけで終わる
ほめる効果を理解している
良い上司は、良い結果が出て結果を褒めてくれて、そのまま会話を終えてくれます。
よくあるパターンが、ほめた会話の続きに別の話になり、気がつけば叱られることがあります。
このようになりがちが上司は悪い上司です。
良い上司はメンバーをほめたいのです。したがって、ほめたことが帳消しになるこのような行為は絶対に避けます。
良い上司はぐっと我慢して一旦会話を終え、時間をおいて別の機会に叱るのです。
相談している時は相談に全集中
他の作業を一切せずに聞いてくれる
良い上司は、相談した時に、手を止めて(パソコンなどをやめて)対応してくれます。
忙しい等で作業しながら対応する上司は、相談相手のことを何も考えていない悪い上司です。
どれだけ忙しくても、上司の大事な仕事のひとつに部下対応があります。
その大事な仕事を大事にしない行動をとるということは、まずは自分、その次に部下という考え方なのです。
部下が大事なのであれば、ちゃんと作業をとめて話を聞きます。
どうしても対応できない場合は、「今から〇分間緊急の仕事をしないといけないから、その後でも大丈夫?」と確認してくれます。
部下の失敗は自分の責任
責任の所在を理解している
人の上に立つ場合の基本スタンスは、「部下の失敗は上司である自分の責任」、「部下の成功は部下自身の成果」と考えることです。
良い上司は、これが実践できています。
管理職は、部下の業務を通して成果を出すことが仕事です。
部下に業務を割り振り、進捗管理・全体調整を行い成果につなげていきます。
したがって部下が失敗するのは、自分が組織運営をできていないがゆえに失敗したと考えるのです。
逆に失敗したことを失敗した人だけのせいにするのは、自分の仕事を投げ出していることを理解していないのです。
起きた事象に対して叱る
人格否定しない
良い上司は、部下の人間性そのものを叱るのではなく、起きた事象を叱ります。
上司には、部下の成長のために叱らなければならないことがあります。
ただその時は、起きた事象(=ミスなど)をベースに叱るのが基本です。
そして、起きたことの原因と対策を話し合うことで、今後改善できる可能性を上げます。
逆に人物否定をする上司は悪い上司です。もっと悪い上司は、変えようがないことを怒ります。例えばセンスがないなどです。
メンバーの基準を理解しようとする
基準・思いは人それぞれ
たとえば、成長したいという思いは誰もが持っています。ただ、成長の高さは人によって違います。
良い上司は、その高さを理解しようとしてくれます。
更に自然とその高さを引き上げてくれるのは最高の上司です。
悪い上司は、自分基準を押し付けるので、時には押し付けとなります。
ただ、人により要望の高さを変えると業務のばらつきが出て、その結果組織目標を達成しづらくなります。
この二律背反をどのように解くかは上司の大事な仕事です。
提出した提案書を持っている
捨てたり返却しない
良い上司は、提出した提案書をちゃんと保管してくれています。
部下の仕事に敬意があるから簡単には捨てることができません。
悪い上司はその逆で、すぐに捨てるか返却します。当然その提案書の内容を忘れており、後程その提案書の内容について、平気で聞いてきます。
この前言ったよねと言いません
伝わっていないのは自分の責任
良い上司は、できるだけ「この前言ったよね」とは言いません。伝わっていないのは、自分の伝え方の問題だと思っているからです。
人に何かを伝えることはとても難しいです。管理職でこのことに悩まない人はいません。
伝わっていなかった場合、たとえ部下のポカでもまずは自分の責任だと自責で考えるからです。
マネジメントの基本スタンスを分かっている
「聞いてあげて、ほめてあげて、我慢する」
良い上司は、この3つのスタンスを大切にしています。
部下の話を聞いて、成果が出たら褒め、安易に手を出すのを我慢して見守る。
これは簡単なようで非常に難しく、だからこそ、こうした基本を実践できる上司は本当に貴重な存在です。
読書習慣がある
「学ぶこと」を止めない姿勢
良い上司に共通しているのは、読書習慣があることです。
私の経験から言うと、読書習慣がある悪い上司はいても、読書習慣がない良い上司にはほぼ出会ったことがありません。
なぜなら、読書は自身の経験だけでは得られない知恵や情報を与えてくれる、最も効率的な学びの手段だからです。
人の上に立つ者として、学び続ける姿勢は不可欠なのです。
一旦意見を受け止めてくれる
何を言いたいかをちゃんと理解する努力をしてくれる
良い上司は、どんな意見でも一旦受け止めてくれます。
言葉は完全ではなく、本意かどうかわからないことをわかっているからです。
悪い上司は、言葉だけで判断するだけでなく、自分と違う意見を受け入れてくれません。
まとめ
・管理職の本当の姿を教えてくれる
・成長支援をしてくれる
直接関わる上司は、あなたの社会人生活を大きく左右する重要な存在です。
素晴らしい上司に出会えたら最高ですが、そうした機会は決して多くありません。
だからこそ、上司に過度な期待をせず、現実的に向き合うことが、自身の精神的な安定にもつながります。
もし、この記事に挙げたような「良い上司」や、そうでなくてもあなたに寄り添ってくれる上司に出会えたら、その幸運に感謝しましょう。
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