ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)という言葉を聞いたとき、それぞれの意味を明確に答えられますか?
「ビジョン」という言葉はよく耳にするものの、3つの言葉すべてを正しく説明できる人は少ないでしょう。
これらは非常に大きな概念であるため、言葉の意味だけを追うと抽象的で理解しにくいと感じがちです。
この記事では、MVVを「会社の活動」と紐づけて解説します。そうすることで、それぞれの言葉が持つ意味を、より具体的に、より深く理解できるようになります。
この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つ「よしつ」が実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい、知っておきたい ビジネス基礎知識)
ミッション・ビジョン・バリューとは?
ミッションとは、「組織が存在する意義」
ビジョンとは、 「組織が目指す将来像」
バリューとは、 「将来像へ向かうための行動指針」
まずは、これらの定義を基準として理解を深めましょう。
ビジネス用語にはさまざまな定義が存在するため、自分なりの定義を一つ持つことが重要です。
基準があれば、異なる意見や定義に出会ったときに、その違いを理解し、自分の定義をさらに発展させることができます。
会社の活動とMVVを組み合わる

上図は、会社の活動にMVVを組み込んだものです。
まず、会社の活動を行うためには、そもそも組織が必要です。その組織を何のために作るのか、その存在意義こそがミッションです。
そして、その組織が中長期的に目指す姿がビジョンとなります。会社には短期的な目標もありますが、ビジョンはより長期的な視点で描かれる「将来像」です。
ビジョンに到達するための具体的な方法として、戦略が必要になります。この中長期的な目標達成に向けた基本的な戦略がバリューです。
まずは、MVVを設定する目的、必要性、理解のしずらさを説明した後に上図を解説します。
MVVを設定する目的とは?
何をする組織かを明確にするため
MVVを設定する目的は、他人が集まる組織において、組織を作った意味、組織が目指す姿、その姿への行き方を提示することで、何をする組織かを全員が理解できるようにすることです。
働く人々が何をする組織かがわかりやすくなるだけでなく、入社しようと思う人がどんな会社かを知りやすくなるためです。
MVVはなぜ必要?
何をしたらいいかがわかるから
組織が大きくなると、会社の方向性・行き方・組織の存在意義が、全員に浸透しなくなります。
社長(経営者)との距離が遠くなり、直接のコミュニケーションが希薄になることで、以心伝心で物事が伝わらなくなるからです。
この課題を解決するために、そもそもの会社の存在意義が全員に伝わるように、明確な文章で表す必要があります。
文章にすることで、誰もが理解しやすくなり、働く人の思いや意思が統一しやすくなるからです。
MVVが理解しずらい理由?
・言葉が抽象的すぎて理解しにくい
・ミッションがよくわからない
上記がミッション・ビジョン・バリューが理解しずらい理由です。
それぞれを説明します。
言葉が抽象的すぎて理解しにくい
MMVは、あくまで大枠を決めるものだから抽象化された言葉になります。
抽象化されているので、ふわっとした感じとなり具体的な行動に移しにくい言葉になりがちです。
逆にやらないことを決めているという見方をした方が人によっては理解しやすいかもしれません。〇〇するということは、〇〇する以外はやらないと同じ意味だからです。
ミッションという概念がよくわからない
ミッションとは、海外から輸入された考え方です。
一神教で生活する人の生活では、ミッションという考え方が肌感覚でわかりますが、日本で生活する人の多くは、この感覚でわかりません。
したがって、ビジョンとミッションの区分けがしづらいのです。
ミッションは、組織が存在する意義、ビジョンは、組織が目指す将来像としてとらえて下さい。
混乱しがちですが、言葉の定義だけ憶えておくくらいで大丈夫です。
MVVと会社の活動の関係性
会社の活動とは?

上図は、会社の活動を表したものです。会社の活動は、人の仕事によって行われます。そして仕事の本質は課題解決です。
他の人の課題を解決することでお金をもらえるからです。
(詳しくは、仕事の本質を分かりやすく解説!なぜ仕事が必要?なぜ給料が違う?を参照)
表の見方を説明します。
まず最初に右上の目指す姿・ありたい姿を設定します。その姿と現状を比較するとギャップが生まれます。ギャップが問題となります。
問題はたくさんありますが、すべてを解決できないですし、解決しても効果が少ない問題も多くあります。したがって、問題の中に、解くべき問題を見つける必要があります。これが課題です。
課題を解決するためには、戦略を策定し、戦略を具体的に実行する方法である戦術を設定し実行する必要があります。
そして課題が解決したら、目指す姿に近づくことができます。これらを表わしたものが上記の図です。
(この図の詳細は、「目指す姿・現状・問題・課題・戦略」をたった1枚の絵で表すを参照)
MVVと会社の活動

MVVは、上図に組み込むことができます。
上図が会社の活動には、そもそも会社の活動をおこなう組織を作ることが必要です。この組織を作る意味が「ミッション」です。
会社には短期的に目指したい姿と中長期的に目指したい姿があります。ビジョンは中長期でなりたいと考える姿のことです。
そして目指したい姿にいくための方法である戦略が必要です。戦略にも短期的な戦略と中長期的のなりたい姿になるための戦略が必要です。後者となる基本戦略がバリューとなります。
MVVそれぞれの詳細
ミッションとは?
ミッションとは、「組織が存在する意義」
ミッションの意味にはビジョンと近しい解釈もあるので、わかりやすく理解するために、「組織を作る意味」と捉えることも一つの方法です。
なぜこの組織があるのか?この組織を作る必要があるのか?というそもそも人が集まる理由です。
他人の集まりである組織において、このコアの部分が明確でないと集まる(=組織化)意味が見出せなくなります。
ビジョンとは?
ビジョンとは、 「組織が目指す将来像」
2、3年という近い将来ではなく、中長期でたどり着きたい将来の姿です。
課題解決における「目指す姿」は、短期で目指す姿となり、ビジョンとは期間が大きく異なります。
バリューとは?
バリューとは、 「将来像へ向かうための行動指針」
バリューは、ビジョンを達成するための具体的な「行動指針」や「判断基準」を指します。
もしこの定義が理解しづらい場合は、「基本戦略」と捉えることも一つの方法です。
バリューは、従業員一人ひとりが日々の業務でどのような行動を取るべきかを明確にし、戦略の前提となる行動範囲を定めるものです。
MVVと企業理念・クレドの違い
企業理念とは、企業が最重視する考え方や価値観という意味なので、MVVの上位概念となります。MVVよりさらに抽象化された言葉になりがちです。
クレドとは、価値観や行動指針などと翻訳されます。バリューとほぼ同じですが、バリューを具体的にしたものととらえて下さい。
ただ、企業によって解釈が違う場合も多いため、まずは、MMVの意味を把握した上で、把握した意味を元に、各社の企業理念やミッション・ビジョン・バリューを読んでみると、各社の言葉のとらえ方がわかります。
言葉の定義は何か?ではなく、何が言いたいのかを読み解きましょう。企業によって解釈が変わるので、たとえば、ある会社は、ミッションとビジョンを合わせてミッションとして設定している会社もあります。
また、バリューを行動規範として設定し、従業員の行動の基本スタンスを何項目かで表現している企業もあります。
行動の基本なので、戦略を立てる際においても、バリューに含まれる内容になります。
MVVの具体例
私の定義に近い設定をしている会社は以下です。
・株式会社出前館
・Sansan株式会社
・note株式会社
一度各社のサイトでミッション・ビジョン・バリューを見てください。理解が進みます。
MVVの「まとめ」
ミッションとは、「組織が存在する意義」
ビジョンとは、 「組織が目指す将来像」
バリューとは、 「将来像へ向かうための行動指針」
会社の活動とミッション・ビジョン・バリューの関係性は、上記の1枚の絵でご理解下さい。
ビジネス用語には、人によって解釈が異なる言葉が多く存在します。
だからこそ、まずは自分なりの定義を持つことが重要です。そして、多様な意見に触れることで、その定義をより洗練させていくことができます。
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