良い会社の見分け方 「取締役の構成を見る」

6.いい会社の判断方法
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転職・就職・取引先分析等で、知らない会社が良い会社がどうかを把握したいことがあると思います。

ただ、会社の評価には多くの項目があり、何を重視すべきか迷うことが多いでしょう。しかし、見るべきポイントさえ知っていれば、良い会社かどうかを判断できる項目があるのです。

この記事では、良い会社かどうかを判断できる項目の一つである「取締役の構成」について、見るポイントと判断方法についてわかりやすく解説します。

この記事は、

・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験

これらの経験を持つよしつが実体験から得たことを元に書いています。

この記事を読むと、良い会社の判断方法のひとつを得ることができます。

(あわせて読みたい、知っておきたい いい会社の判断方法

取締役構成の見るべきポイント

・新卒入社の取締役の比率
・取締役に占める同族数
・親会社からの出向状況

上記3つが見るポイントです。それぞれを解説します。

新卒入社の取締役の比率

組織の硬直度合がわかる

新卒入社の取締役が多いか少ないかで、考え方や風土風習の硬直度合いの傾向がわかります。

一般的に、柔軟な組織は良い会社、硬直化した組織は注意が必要な会社と言えるでしょう。

新卒比率が低い場合は柔軟である傾向が多く、新卒比率が高い場合は硬直化している可能性が非常に高いと言えます。

・取締役の新卒入社比率の確認方法
・組織が硬直化する理由

上記2つに分けて解説します。

取締役の新卒入社比率の確認方法

・HPの役員の経歴を確認
・上場企業であれば有価証券報告書を確認
・個人名で検索

上記方法で確認してみましょう。上場していない会社で確認しづらい場合は、他の2つの判断方法を参照下さい。

ちなみに、5割を超えていたら多いと判断できます。8割を超えていたら完全に独特な風土風習かつ硬直化した組織です。

この数値は、これまで多数の有価証券報告書に記載された取締役のプロフィールを分析した経験則に基づくものです。

組織が硬直化する理由

・同じような考え方の人が取締役になる
・過去の成功体験をひきずる

上記2つの理由で硬直化します。それぞれを解説します。

同じような考え方の人が取締役になる

取締役の多くが新卒で入社した人ということは、その会社独特の風土風習に合わすことができた人しか出世したといえ、外部から来た人は出世できない、もしくは転職者がとても少ないかのいずれかの可能性が高いです。

また、このような会社は、部長や課長などの役職者の多くも新卒入社の場合が多く、一部の人が今後取締役になり、社長になります。

このサイクルが確立しているため、新しい考え方や外部の考え方を受け入れる風土ではなく、自社独特の風土風習を持つことになります。

社内の人はその会社しか知りませんので、あまりおかしいとは思っていません。

このような組織で横行しやすいのが社内政治です。

正しいか正しくないかではなく、上司の考えが何であるかが重要となります。

意見を戦わせるのではなく、上司が何を考えているかを当てることに頭を使うことになります。

当然考え方が硬直化し、他の意見を受け入れる風土が発達しません。

このような会社で働くには、その会社が持っている風土風習を習得し、社内政治に打ち勝たないと出世できません。

出世がすべてとは言いませんが、入社後の働き方も含めて風土風習にあわないと、良い仕事の担当にもなりにくいし、活躍もしにくくなります。

唯一例外は、毎年増収増益を10年以上続けている会社です。上記の状態では、増収増益を続けることができる状態ではないからです。

過去の成功体験をひきずる

取締役になるには、ある程度の結果を出す必要があります。

ということは、成功体験をたくさん積んでいる人が取締役になります。成功体験はとても重要なものですが、大きなデメリットがあります。

「過去の体験」であるため陳腐化してしまうことです。

現時点で役立つ経験でも、2年後には役に立たない場合があります。

ただ、成功体験はとてもうれしいことです。したがって、成功体験を簡単に捨てることができなくなり、過去の成功体験の呪縛にはまってしまうことがよくあります。

(成功体験の詳細は、少しの工夫で成功体験を積む方法をわかりやすく解説を参照)

また、新卒入社の取締役ということは、多くの場合20年から30年その会社で働いています。

20年から30年たてば必ずビジネスの外的環境は変わります。

その上、周りには同じような成功体験を積んだ新卒入社の取締役が多くいます。

結果、成功体験を捨てることができずに、時代遅れとなった過去のやり方にこだわる組織になります。

取締役に占める同族数

3名以上の同族者がいれば、経営体制に問題あり

3名以上の同族者が取締役にいれば、ほぼまちがいなく、経営体制に問題を抱えています。

・取締役に占める同族数確認方法
・どんな問題を抱えているか?

上記2つに分けて解説します。

取締役に占める同族数確認方法

会社のホームページの会社概要欄をご覧ください。同じ苗字の人が社長会長含めて、取締役に3名以上いるかどうかで判断できます。

更に同族以外に取締役がいなければ、より大きな問題を抱えやすくなります。

どんな問題を抱えているか?

・仕事ができない取締役がいる
・家族兄弟の利権争いが起きている

上記2つの大きな問題を抱えます。

それぞれを解説します。

仕事ができない取締役がいる

3名以上の同族ということは、親と子以外に、親の兄弟や子の兄弟・親戚が取締役にいることになります。

この中で3名全員が「経営者として」優秀な人材である確率は、果たしてどれ程でしょうか?

多くの場合はとても低い確率となります。

ということは、経営者として仕事ができない人が権限を持つ取締役になっている可能性が高くなります。

このできない取締役が何も仕事をしなければいいのですが、逆にあれこれ現場に口出ししてくる場合が多くあります。

その際の指示がどうでもよい些末なことが多く、現場もその指示を実行せざるを得ず、優先順位の高い本来すべき業務ができなくなります。

家族兄弟の利権争いが起きている

仕事ができて出世したのではなく、同族だから出世しているので、会社経営の本質的な議論ができない場合が多くあります。

家族間や兄弟間の好き嫌いや確執を元に議論するので、建設的な議論ができないし、もっと言えば議論さえしません。

そうなると、本来判断すべき経営課題が解決されず、同族内での権利・利権・お金争いばかりとなります。先代から引き継いだ資産が大きい場合もあるので権力闘争が起きやすくなります。

親会社からの出向状況

親会社があると経営の制約がある

親会社から子会社へ出向した経験、また独立企業が後に親会社を持つようになったケース、これら両方の経験から言えることは、子会社は経営の制約が多く自由に経営できません。

会社単体でやりたいことと、親会社がやりたいことが相反することがよくあるからです。

・親会社があるかどうかの確認方法
・なぜ制約があるか?

上記2つに分けて解説します。

親会社があるかどうかの確認方法

自社ホームページで確認してみることが最初の第一歩ですが、加えて必ずおこなってほしいことがあります。

親会社の記載がない場合も、社長・会長含めた取締役をWeb検索してほしいのです。

検索結果で親会社の存在がわかる場合があるからです。

100%子会社であればホームページや社名を見ればわかりますが、主要株主の場合、公表していない場合が多くあります。

ただ、主要株主になれば、多くは親会社から出向で子会社の社長・会長や取締役になっている人がいますので、検索することをおススメします。

なぜ制約があるか?

・親会社の意向が強く働く
・親会社の権力闘争に巻き込まれる

それぞれを解説します。

親会社の意向が強く働く

子会社の社長・会長や取締役には必ず親会社から出向者が来ます。

親会社ということは、子会社の株を持っていますから、何かの意図があります。

当然、その人の意向=親会社の意向が大事にされるので、子会社で自由に物事を決めることができにくくなります。

親会社の権力闘争に巻き込まれる

親会社から子会社に出向する人の本籍は親会社です。当然親会社での出世争い等をおこなっています。

結果、子会社の経営に100%コミットするのではなく、親会社での自分の立場を考えている人が多くいます。

結果、子会社にとって本当は良くないことでも、親会社の意向があれば実行する可能性があります。

また、2年ごとに親会社から子会社の社長に出向してくることもあり、経営の継続性が担保できなくなることもあります。

補足:取締役と執行役員の違い

この記事では取締役を中心に記載していますが、混同しがちな取締役と執行役員の違いを補足しておきます。

取締役とは?

会社法で定められた正式な役職であり、会社を代表し、株主総会で選任されます。

役割は、会社の経営に関する重要事項の決定、会社の方針決定、株主の利益の保護など、会社全体の運営を監督する責任を負います。

責任は、会社の経営状況について株主に説明する責任があり、不正行為などを行った場合には、株主から損害賠償を求められる可能性があります。

執行役員とは?

会社法で定められた役職ではなく、各企業が独自に設置する役職です。

役割は、取締役会の決定に基づいて、具体的な業務を執行します。部門長や事業部長などが執行役員に当たる場合が多いです。

責任は、取締役会の決定事項を遂行し、その結果について責任を負います。

取締役構成の見るポイントの「まとめ」

新卒入社の取締役の比率
取締役に占める同族数
親会社からの出向状況

この3つをまずは調べてみましょう。これだけで、どんな会社が大枠は把握することができます。

経営判断を担う取締役の構成は、企業を評価する上で非常に重要なポイントです。転職の際は必ず見るようにしましょう。

他にも以下の「良い会社の見分け方」を書いた記事があります。参照下さい。

noteで、フジテレビを「取締役の構成」含めた3つのテーマで分析しています。参照下さい。

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他にもたくさんの記事を書いています。参照下さい。

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