仕事をする上でビジネススキルが必要です。では、ビジネススキルって何でしょうか?
実はとても漠然としています。Webで検索すると、カッツモデルのテクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルの3つが多く出てきます。
ただ、この3つの関連性の理解と、何から習得していけばいいかがわかりにくいことがこのモデルの難点です。
実は、それほど複雑に考えなくても、1つの考え方でビジネススキルを定義することで、ビジネススキルをシンプルに理解できます。
この記事では、ビジネススキルとは何かをわかりやすく解説します。
この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つよしつが実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい、社会人の勉強 おススメの学び方とは?)
ビジネススキルとは?
仕事をする上で、必要になる能力・技術・考え方のことです。
ビジネススキルは以下です。
仕事の基本スキル | ・仕事の最低限のスキル (パソコン、メール、文章、会話等) |
課題設定スキル | ・目指したい姿を設定するスキル ・「現象」と「原因」を分けるスキル ・「現象」の「原因」を把握するスキル ・解くべき問題=課題を特定するスキル |
打ち手立案スキル | ・複数の打ち手を立案するスキル ・打ち手を決定するスキル |
打ち手実行スキル | ・打ち手を他の人に理解してもらうスキル ・他の人に動いてもらうスキル |
なぜこれがビジネススキルなのかを解説します。
ビジネススキルが必要な理由
課題解決をおこなうため
会社の活動の本質は課題解決です。私たちの仕事もすべて課題解決です。結果、課題解決のためにビジネススキルが必要になります。
(課題解決の詳細は、課題解決とは?意味・考え方・進め方をわかりやすく解説を参照)
したがって、課題を解決できないビジネススキルは必要ないですし、ビジネススキルがあっても、課題解決できないスキルであれば無用の長物となります。
(会社の活動が課題解決である理由は、仕事の本質である「課題解決の考え方」についてわかりやすく解説を参照下さい)
スキルとは?
そもそも「スキル」とは何かを定義しておきます。この部分がずれるとビジネススキルの解釈が変わるからです。
知識とスキルと能力の関係
スキルは能力の一部
知識は「知っていること」で、能力は「できること」です。スキルは「能力の一部」のことで能力と同じ「できること」です。
ちなみに、スキルの集合体が能力となります。
この関係から、知識があるからといって能力・スキルがあるわけではありません。逆に能力・スキルがある状態なら、知識はあります。
たまに「スキルを学ぶ」という言い方をする場合がありますが、「できることを学ぶ」となりますので、この定義からすると間違った使い方となります。
(詳しくは、「知識と能力とスキルの関係」をわかりやすく解説を参照)
ビジネススキルの詳細
私たちの仕事である課題解決のために、必要なビジネススキルの一覧は以下となります。
仕事の基本スキル | ・仕事の最低限のスキル (パソコン、メール、文章、会話等) |
課題設定スキル | ・目指したい姿を設定するスキル ・「現象」と「原因」を分けるスキル ・「現象」の「原因」を把握するスキル ・解くべき問題=課題を特定するスキル |
打ち手立案スキル | ・複数の打ち手を立案するスキル ・打ち手を決定するスキル |
打ち手実行スキル | ・打ち手を他の人に理解してもらうスキル ・他の人に動いてもらうスキル |
まずは、課題解決の基本的な手順を説明した後に、上記をそれぞれ解説します。
課題解決の基本的な手順
1.目指したい姿・ありたい姿=ゴールを設定
2.現状を把握
3.現状とのギャップである問題を洗い出す
4.問題の中で解くべき問題を課題とする
5.課題解決の方法と時間軸である戦略を考える
6.戦略の具体的な行動である戦術を考える
7.立案したものを実行する
図にすると以下です。

1~4が課題設定スキルで、5~6が打ち手立案スキル、7が打ち手実行スキルです。仕事の基本スキルはこれらをおこなうために必ず必要なスキルです。
課題解決の大小に関係なく上記の流れが課題解決の手順となります。
この図の詳細は、「目指す姿・現状・問題・課題・戦略・戦術」をたった1枚の絵で表すを参照)
仕事の基本スキル
課題解決するにしても、まずは、ベースとなる基本スキルがないと仕事ができません。
具体的には、パソコン操作、メールのやりとりのマナー、チャットの操作とマナー、身だしなみ、ビジネス文章の書き方、ビジネス会話などです。
課題設定スキル
・課題設定スキルとは?
・課題設定に必要なスキル
上記2つに分けて解説します。
課題設定スキルとは?
解くべき問題である課題を適切に設定するスキル
解くべき問題を間違うと、正しい打ち手を立案することができませんし、打ち手を打っても課題を解決できません。
したがって、課題の設定は、課題解決で一番大事なことです。
課題設定に必要な4つのスキル
・目指したい姿を設定・把握するスキル
・「現象」と「原因」を分けるスキル
・「現象」の「原因」を把握するスキル
・解くべき問題=課題を特定するスキル
必要な手順は上記の流れです。
良く混乱する用語である、現象と原因と問題と課題の違いは以下の図を参照下さい。

「問題」の中に「課題」があります。「問題」は、「現象」「原因」どちらの場合もありますが、「課題」は「原因」の中にしかありません。
(詳しくは、人により定義が異なる「問題と課題の違い」をわかりやすく解説を参照)
課題設定に必要なスキルの4段階をそれぞれ解説します。
目指したい姿を設定・把握するスキル
最初に適切な目指したい姿やゴールを設定するスキルです。課題解決はすべてここから始まります。
目指す姿を設定する際は、どのような状態になりたいかを自分で決めるか、上司や顧客の考えを把握することが大事です。
ヒアリングが大事という話がよく出ますが、ヒアリング=相手のことを知る一番の目的は、上司や顧客の目指す姿を知ることです。
ヒアリングは相手の課題を聞くことをよく言われますが、まずは目指す姿を知ることが大事です。なぜなら、目指す姿をどう設定・把握するかで、課題設定および時間軸が変わるからです。
「現象」と「原因」を分ける
「現象」と「原因」を図にすると以下です。

結果が「現象」、「現象」を引き起こしたものが「原因」です。「現象」は表層、「原因」は根本とも言えます。
この違いを元に現象と原因を分けることができるようになりましょう。
「現象」の「原因」を把握する
様々な現象が起こった原因を特定します。
例えば、「売上が10%落ちた」は現象です。では売上が10%も落ちた理由は何でしょうか?一例で言うと「顧客のニーズ変化に対応した競合にシェアを奪われた」でこれが原因になります。
単純なものはすぐに原因特定できますが、多岐にわたる現象の原因を特定するのは、原因特定の経験が必要です。
これは、現象から原因を特定する回数に比例して上達しますので、自分で考える経験を積むことが大事です。
解くべき問題=課題を特定する
様々な原因をさらに深堀って、様々な原因を一網打尽に解決できる原因=真因=解くべき問題を見つけるスキルです。
上記の例で言うと、「売上が10%落ちた」は現象。「顧客のニーズ変化に対応した競合にシェアを奪われた」が原因となり、課題は、「顧客のニーズの変化をどう把握しどう対応するか」となります。
1つの原因に1つの真因の場合もありますが、多くは、さまざまな問題の原因が複合的に絡まっていて、その奥底に本当の原因である真因=解くべき問題があります。
打ち手立案スキル
・打ち手立案とは?
・打ち手立案のために必要なスキル
それぞれを解説します。
打ち手立案とは?
特定した課題に対する解決策である打ち手を立案できること
一番華やかに見える工程です。
ただ、課題の設定が適切であれば、2,3個の打ち手から選択するだけとなります。
したがって、大事な部分ではありますが、前工程の課題設定の良し悪しに左右されます。
打ち手立案に必要なスキルとは?
・複数の打ち手を立案するスキル
・打ち手を決定するスキル
それぞれ解説します。
複数の打ち手を立案するスキル
課題特定が適切だと最適な打ち手案が設定しやすくなり、多くの打ち手案を考えることが難しくなります。
ただ、さまざまな角度から絞り出して3つの案を作ることができるようになるスキルです。
最適な案がよりよく感じることができますし、もしかしたら、見逃していた観点を見つけることができ、より良い案となる場合もあるからです。
打ち手を決定するスキル
複数の案から一番良い案を選ぶスキルです。
まずは、一番最初に設定する「目指す姿」を思い出しましょう。その目指す姿に到達することが目的です。
打ち手を打つことで、その目的に一番近づける案を選びます。
打ち手実行スキル
・打ち手実行とは?
・打ち手実行のために必要なスキル
それぞれを解説します。
打ち手実行とは?
立案した案を社内の人や顧客に理解してもらい動いてもらうこと
打ち手は自分1人では実行できず、社内・社外の他の人に協力してもらう必要がある場合がほとんどです。
打ち手を打つことが目的ではなく、目指す姿になることが目的だからです。当然目指す姿になる(=変化する)ということは、他の人に影響を及ぼします。
したがって、他の人にまずは打ち手を理解してもらい、協力してもらうことが必要になります。
当然、他の人が絡みますので難易度が上がります。
打ち手実行に必要なスキル
・案を他の人に理解してもらうスキル
・案を理解し行動してもらうスキル
それぞれを解説します。
案を他の人に理解してもらうスキル
相手に論理的に説明し、相手が打ち手の内容だけでなく、背景や課題を含めて理解してもらう必要があります。
よく使われるプレゼンテーションスキルのことです。
プレゼンテーションの基本は、前述した以下の流れで説明することです。
1.目指したい姿・ありたい姿=ゴールを設定
2.現状を把握
3.現状とのギャップである問題を洗い出す
4.問題の中で解くべき問題を課題とする
5.課題解決の方法と時間軸である戦略を考える
6.戦略の具体的な行動である戦術を考える
このように説明することで、目指したいこと、そのために解決しないといけない課題、課題解決の打ち手の一連のな流れが理解できます。
結果、プレゼンテーションを聞いた人は、この案が良い案なのか?また、その思考プロセスの途中段階である課題設定等が正しいのかを検証できます。
だからこそ、上記の流れで提案するスキルが必要になります。このスキルは上記の流れを常に意識して案を作る経験をすることで上達することができます。
案を理解し行動してもらうスキル
上記の流れでプレゼンテーションをすることがゴールではありません。他の人に論理的に説明し、その結果感情を動かすことができれば人は動いてくれます。逆に言えば論理的伝えても感情が動かないと何も行動してくれません。
この差がとても大事なポイントになります。
したがって、何かの行動をおこしてほしい他の人の感情を動かすには何をどのように伝える必要があるかを把握し、理解してもらったら行動サポートをおこなうことが大事になります。
どのように伝えれば想定通りの行動をおこしてくれるかを考えるスキルが必要になります。
常に「行動してもらう」ということを念頭に置いて考えるかどうかで差が出ますので、常に意識しておくだけでスキルアップにつながります。
ビジネススキルとは?の「まとめ」
仕事をする上で、必要になる能力・技術・考え方のことです。
ビジネススキルの全体像は以下です。
仕事の基本スキル | ・仕事の最低限のスキル (パソコン、メール、文章、会話等) |
課題設定スキル | ・目指したい姿を設定するスキル ・「現象」と「原因」を分けるスキル ・「現象」の「原因」を把握するスキル ・解くべき問題=課題を特定するスキル |
打ち手立案スキル | ・複数の打ち手を立案するスキル ・打ち手を決定するスキル |
打ち手実行スキル | ・打ち手を他の人に理解してもらうスキル ・他の人に動いてもらうスキル |
仕事の本質である、課題解決という業務をコアにおいて考えると上記になります。
まずは、仕事の基本スキルは早く習得してしまい、課題設定のスキルを習得する時間を確保しましょう。
その際に、課題設定スキルの自分の苦手な部分を上記で明確にし、その部分を対策していくことで、より早く取得できます。
結果、会社の本質である課題解決スキルを習得でき、市場価値が上がることになります。
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