能力が高くても、それを発揮できなければ能力が低いことと同じです。
様々な組織で、個人の能力が発揮されるかどうかは、個人の問題と組織の問題を含め、多くの要因によって左右されます。
組織の課題を個人の能力に起きがちですが、個人の能力を上げなくても能力発揮率を上げることで「個人力」が上がることと同じ効果があります。
この記事では、組織力の大きな要素である能力発揮率をわかりやすく解説します。
この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つ「よしつ」が実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい、知っておきたい 考え方・意識・スキル)
能力発揮率とは?
組織の行動で、個人が自分の能力を何パーセント発揮するか?を表したもの

上記の例をご覧ください。
A社は個人の能力が100で能力発揮率が40%のため、個人力は400です。一方、B社は個人の能力が50で能力発揮率が100%のため、個人力は500となります。結果としてB社の方が個人力は高くなります。
能力発揮率は、このように個人力に大きな影響を与えるものです。
組織において「個人力」を上げるには、個人の能力を上げるのか?能力発揮率を上げるのか?両方上げるか?になります。
この個人力を上げる要素となる能力発揮率について、能力発揮率が低くなる13の要因と対策3つをひとつずつ解説していきます。
「組織力」における「能力発揮率」の位置付け

・組織力=個人力×個人以外力
・個人力=個人の能力×能力発揮率
・個人以外力=組織力-個人力
組織力とは、上記3つの式で表されます。
(組織力の詳細は、組織力とは?「個人力」と「個人以外力」に分けてわかりやすく解説を参照)
組織力を高めるための要素として「個人力」があり、その「個人力」を向上させる重要な要素が「能力発揮率」です。
能力発揮率が低くなる要因
・がんばっているが、能力を発揮できない
・がんばれなくて、能力を発揮できない
能力発揮率が低くなる要因は、上記の通り大きく2つに分けることができます。それぞれ解説します。
努力しているが能力を発揮できない
・努力しなくていいことをがんばっている
・いやいや努力している
・努力してもできない
努力しているにもかかわらず、能力を発揮できない主な理由は、以下の3つに分けられます。
それぞれを解説します。
努力しなくていいことをがんばっている
がんばっているのに、能力が発揮できない理由のひとつは、がんばらなくてもいいことをがんばっている場合です。
これにより、本来頑張るべきことができなくなってしまいます。
・個人の間違った思い込み(自分は正しいと思っている)
・業務分業の不備(間違った指示)
・他人の正解探し
この3つがよくある理由です。
個人の間違った思い込み(自分は正しいと思っている)
一生懸命仕事に取り組んでいるにもかかわらず、実際には不要なことや、力を入れるべきではないことを「自分で選択」してしまうケースです。
周囲のサポート体制の問題も考えられますが、適切な報連相によって修正できる可能性があります。
業務分業の不備(間違った指示)
組織では業務を分業して遂行しますが、その際の分業設計が誤っていたり、不明瞭だったりするケースです。
分業設計は役職者の重要な役割であり、ここに問題が生じることが多々あります。
他人の正解探し
本来は、顧客の課題解決を考えればいいのですが、上司が考える答えを一生懸命考える場合です。
いわゆる「忖度」に代表される行動です。特に古い会社の風土や慣習によく見られます。
貴重な能力が顧客の課題解決ではなく、上司の意図を推測することに費やされてしまうのは、非常にもったいないことです。
いやいや努力している
これは、恐怖によって社員を動かす組織によく見られるパターンです。
主体的な意欲がない状態で「いやいや」取り組んでいるため、前向きになれず、最低限の業務しか行わなくなる傾向があります。
努力してもできない
このケースが最も多いでしょう。これは個人の能力そのものの問題であるため、能力アップの議論となり、能力発揮率とは切り離して考えるべき内容です。
がんばれなくて、能力を発揮できない
・がんばりたくない
・がんばれない
がんばれないにも2つあります。それぞれ解説します。
がんばりたくない
頑張りたくない場合は、5つあります。
・会社が嫌い
・上司が嫌い
・個人の資質の問題
・自分の仕事の領域ではない
・すでに頑張っていると思っている
この5つをそれぞれ解説します。
会社が嫌い
会社が嫌いであれば、当然ながら積極的に頑張ろうとは思いません。最低限のことだけをこなしたり、業務を「こなしたふり」をしたりするケースがこれに該当します。
上司が嫌い
これも会社が嫌いな場合と近い要因です。結果として、必要最低限の業務しか行わない傾向にあります。
個人の資質の問題
一定以上の努力を望まない人が一定数存在します。これは個人の資質に関わる問題です。
自分の仕事の領域ではない
会社は基本的に分業制であるため、この問題はどの組織でも発生しがちです。特に、組織間の連携がうまくいかず、問題が生じることが多く見られます。
意識が高い社員は、このような組織間の問題にも対応しようとしますが、一般的には、多忙になりたくない、責任を負いたくないという理由から見て見ぬ振りをしてしまう傾向があります。
すでに頑張っていると思っている
本人は、100%力を出していると思っていますので、これ以上がんばれないと思っています。個人の問題と組織の期待値の問題です。
がんばれない
・体調の問題
・家庭の問題
・他責思考
がんばれないのは3つあります。それぞれを解説します。
体調の問題
体調が悪ければ、がんばろうと思ってもどうしても制約されてしまいます。
家庭の問題
この問題も大きな問題で、揉め事があり、気分がすぐれないため力を発揮できないことや、介護などのように物理的な問題で働けないという場合です。
他責思考
体調や家庭の問題とは性質が異なりますが、これも「がんばれない」大きな理由の一つです。
他責思考に陥ると、「自分に非はない」という意識に支配され、積極的に頑張ろうとするインセンティブが働きません。
能力発揮率を上げるには?
・ミッション設定
・個人のスキル
・無理に解決しようとしない
上記が能力発揮率を上げる打ち手3つです。
これまでの章で取り上げた、能力発揮率が低くなる13の要因を以下にまとめます。
1.個人の思い込みで、がんばらなくてもいいことでがんばっている
2.ミッション設定の不備で、がんばらなくてもいいことでがんばっている
3.他人の正解探しで、がんばらなくてもいいことでがんばっている
4.いやいや頑張っている
5.がんばってもできない
6.会社が嫌いでがんばりたくない
7.上司が嫌いでがんばりたくない
8.個人の資質の問題でがんばりたくない
9.自分の仕事の領域ではないのでがんばりたくない
10.すでに頑張っていると思っている
11.体調の問題でがんばれない
12.家庭の問題でがんばれない
13.他責思考でがんばれない
このように多くの問題があるように感じられますが、対策は上記の3つに集約されます。
それぞれの打ち手について、詳しく解説していきましょう。
ミッション設定で解決
会社と個人のミッション設定(目標設定)が精緻に行われていれば、以下の問題が解決に繋がるでしょう。
具体的には、1.2.3.4.9.10の6つの要因が解消される可能性があります。
会社の多くの課題は、ミッション設定・目標設定・分業設定を精緻におこなうことで解決できます。
個人のスキルで解決
次に、個人レベルで解決を図るべき問題は以下の通りです。
具体的には、5.8.11.12.13の5つの要因が該当します。
これまでのミッション設定で解決できる要因と合わせると、合計11の要因に対応できることになります。
それぞれ個人ごとに対策を打つ問題となり、個々に応じた打ち手をおこなう必要があります。
無理に解決しようとしない
残りの6と7、すなわち「会社が嫌い」「上司が嫌い」といった要因は、誤解を解いたり、双方の歩み寄りによって緩和できれば理想的ですが、効果的な対策は限られます。
このような状況に陥る社員が増える前に、事前に予防策を講じることが重要となります。
打ち手のまとめ
このように、能力発揮率の低下要因は、およそ半分が個人の問題、残り半分が組織の問題に分けられます。
個人の問題は、基本的には本人が解決に努めるべきですが、組織の問題については、ミッション設定(目標設定)をいかに精緻に行うかが重要なポイントとなります。
ミッション設定(目標設定)は査定項目として使われる場合も多く、お金に絡む問題なのでとても重要です。
実はこれだけ多くの問題を解決する内容なので、本来は、制度設計をしっかりおこなう重要度はとても高いものです。
ただ、この部分の重要性に気づかずに、ちゃんと取り組まない会社が多いのも事実です。
逆に言えば、今できていなくても、この問題に真摯に取り組む会社はいいのですが、この制度設計をちゃんと考えない会社は変化せず、会社の業績も上向かないので、退職することがおススメとなります。
私も5社で働いていますが、この5社を良い会社からランキングした場合、ミッション設定(目標設定)の制度がしっかりしているかどうかと明確にリンクします。
能力発揮率のまとめ
組織の行動で、個人が自分の能力を何パーセント発揮するか?を表したもの
個人力=個人の能力×能力発揮率
会社の根幹に関わる非常に重要な部分であるため、この問題に真摯に取り組まない会社は、いずれ業績の悪化に直面することになるでしょう。
組織力を上げることにとても大きな要素となります。
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