BtoBビジネスでは、法人である顧客に製品・商品・サービスを販売します。
個人と違い、法人ではお金を使う際に決裁権を持つ人が最終判断をし、そのための決裁ルート(稟議の手順)が決まっています。
決裁の方法やルートは会社によってさまざまです。
この記事では、あなたの会社とは違うかもしれない、顧客ごとの決裁権と決裁ルートについて分かりやすく解説します。
顧客の決裁なので、営業担当が知っておけばいいと思う方もいるかと思いますが、ビジネスのコアな部分なので、営業担当以外の方にも知っておいてほしいことです。
この記事は、
・営業担当・営業課長・営業部長・営業本部長の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験
これらの経験を持つ「よしつ」が実体験から得たことを元に書いています。
(あわせて読みたい【ビジネス用語】基礎用語解説)
決裁権とは?決裁ルートとは?
・決裁権とは、判断をおこなうことができる権利
・決裁ルートとは、決裁をおこなう社内の道筋
上記が決裁権と決裁ルートです。
決裁権とは、物事の判断をおこなうことができる権利です。誰がどの位の判断をしてよいのかを職務分掌などで決めている場合が多いですが、一般的には、役職ごとに決裁できる内容や金額の上限を決めている場合が一般的です。
決裁ルートとは、決裁をおこなう社内の道筋のことです。
稟議を上げる順番が基本となり、それぞれに承認を取っていき、最終的に決裁者が決裁をすることで、会社としての最終判断がおこなわれたことになります。
決裁権・決裁ルートを以下の5つのテーマで理解を深めていきます。
・決裁権・決裁ルートがなぜ存在する?
・なぜ決裁権・決裁ルートを知る必要があるのか?
・企業が外部のサービスを購入する理由
・決裁権・決裁ルートのパターン
・決裁権と決裁ルートを把握する方法
決裁権・決裁ルートがなぜ存在する?
会社は「分業」して仕事をしているから
分業とは役割を明確にすることです。その役割には、仕事内容と役職(責任の範囲)の関係になっています。
その役職に応じてどこまで決めていいか?(=決裁権)とどの手順でその人に申請をするか?(決裁ルート)が決まります。

上記のような組織図を見たことがあると思います。組織図とは分業体制を表現したものです。
役職が高い人(左側)の責任となる仕事を、部下(右側)に任せることを「権限移譲」といいます。
たとえば、「部長が持っていた100万円までの予算承認権限を、課長に任せる」といったイメージです。
こうして仕事が左から右に流れると、逆に右から左へ「報告・相談」をする義務が発生します。
(詳しくは、「組織図」の見方・考え方・種類をわかりやすく解説を参照下さい)
このように組織全体で分業をおこなうことで、責任の範疇が明確になります。
当然、役職の高い人ほど、任される領域と責任が大きくなります。それに伴い、責任を果たすために会社に及ぼす影響度の高い判断が必要になります。
なぜ顧客の決裁権・決裁ルートを知る必要があるのか?
決裁権者が承認しないと購入してもらえないから
BtoBのビジネスでは、販売したい製品・商品・サービスを適切な部署に営業しないと販売できません。
経理のシステムなのに、営業組織に営業しても販売できませんし、経理のシステムでも、システムの管轄がシステム部なら経理に営業しても販売できません。
また、担当部署にアプローチできたとしても、決裁権者が承認しない限り購入してもらえません。なぜなら、会社から出ていくお金は厳密に管理されており、誰もが簡単に判断できない仕組みになっているからです。
もちろん決裁権者で直接営業できれば話は早いのですが、直接営業できない場合も多くあります。その際に、その決裁権者へどのように稟議が上がるのかの決裁ルートを知らないと営業方法を間違えることになります。
もちろん決裁権者の判断のポイントも知っておく必要があります。
したがって、自社の製品・商品・サービスを購入してもらうために、誰が決裁するのか(決裁権者)そのように決裁が進むのか(決裁ルート)の2つの知識が必ず必要となります。
企業が外部のサービスを購入する理由
自社で構築するより有益だから
企業がお金を使って外部のサービスを購入する理由は、自社でできないことを、他の企業のサービスで充足する方が有益だと考えるからです。
有益とは、そのサービスを自社で作るより、外部から購入した方が安く上がることと、購入したサービスで、売上が増える、もしくは、コストが下がるからです。
自社ですべてをまかなう方が当然使い勝手が良いですが、専門の従業員を雇い商品開発してもらうコストはとても多額になります。
したがって、事業のコアな部分は自社で作る場合が多いですが、それ以外は外部の会社のサービスをお金を払って買うのです。
決裁権と決裁ルートのパターン
決裁権と決裁ルートですが、大きく分けると以下の4つのパターンがあります。
- 「決裁権」 社長がすべて 「決裁ルート」 社長のみ
- 「決裁権」 社長 「決裁ルート」 各部署の担当者→役職者→社長
- 「決裁権」 各部署の役職者 「決裁ルート」 各部署の担当者→各部署の役職者
- 「決裁権」 社長や各部署の役職者 「実際の決裁者」 キーマン 「決裁ルート」 各部署の担当者→キーマン→社長や役職者(報告のみ)
それぞれを説明します。
1.決裁権 社長がすべて 決裁ルート 社長のみ
社長のみもしくは10名以下の小さい会社で多いパターンです。社長が他の人に権限移譲していないため、すべてが社長に集約されています。
販促、原価削減、販管費削減すべて社長が提案を受けて自分で判断する場合です。
判断が早いですが、そもそもお金を使う額が少ないことと、すべて社長の判断となり、社長の考え方1つで販売できるかどうかが決まります。
社長に会わないと話が進まないのが特徴です。そして社長の主義趣向に完全に左右されますので、社長の考えを把握することが大事になります。
ただ、各業務の判断にはさまざまな知識が必要です。しかし、各論まで知識を持っていず、案内される製品・商品・サービスについて、深く理解できない場合が多くあります。
したがって、気付きをあたえることも重要なポイントになります。
2.決裁権 社長 決裁ルート 各部署の担当者→役職者→社長
10名以上から100名以下の中小企業によくみられるパターンです。
分業はしているものの、権限移譲をしておらず、役職者では最終判断することができず、すべてを社長が判断している場合です。
まずは、役職者に味方になってもらえるかがポイントです。役職者の判断というよりも、社長の判断の傾向を聞き出し、提案書にまとめて、社長へのトップアプローチもしくは、提案書を社長に役職者から上げてもらう方法となります。
3.決裁権 各部署の役職者 決裁ルート 各部署の担当者→各部署の役職者
分業しており、権限移譲もできている会社です。中~大企業によくみられます。各部の役職により、判断できる金額や内容が決まっている場合が多いです。
決裁ルートも稟議書などのルールが明確になっている場合も多くあります。
上位役職者や決裁権を持った人に会えることができればいいですが、この規模になると直接会うことがしづらくなります。
まずは担当者を見つけて、担当者を見方にすることからのスタートとなります。
担当者が納得してくれたら、次はその方の上長に理解してもらう必要があります。上長に会えない場合は、担当者が上長に説明しやすい資料をどこまで作り込むか?がポイントとなります。
当然、一方的な案内ではなく、その会社の基準に合った資料や提案書を担当の方に渡すことが大事になります。
提案書を独り歩きさせて決裁者に決裁してもらう方法が多いです。
4.決裁権 社長や各部署の役職者 実際の決裁者キーパーソン 決裁ルート 各部署の担当者→キーパーソン→社長や役職者(報告のみ)
3のパターンの変形パターンです。会社の傾向や販売するための方法はほぼ同じなのですが、一番違うのは、キーパーソンに承認してもらわないと商談が進まない点です。
キーパーソンとは、その名の通り、キーとなる人です。社長や部長等の上位役職者で、決裁権者と同じ場合も多いのですが、決裁権を持たないキーパーソンがいる会社も多く見受けられます。
会社には、ある人が提案したら上長(社長や上位役職者)にかなりの確率で通るという人がいます。また、お金を使う場合は、内容に関係なく必ず通さないといけない人物がいる場合もあります。
正式な決裁者ではないのですが、上長に信頼されている人や金庫番のような人たちです。
信頼されている人とは、「製品・サービスの技術的な専門性」や「将来性」で信頼を得ており、決裁者に対して強い影響力を持つ人のことです。
金庫番とは、「お金の流れを管理する責任」から、最終決裁者と同じレベルで権限を持つ人のことです。
経理等の実際にお金の出入金を扱う上位役職者である場合が多く、営業関連の購入についても、この方がOKしないと進まないような重鎮である場合があります。
通常の決裁ルートとは違うので、このような方がいるかどうかの把握と、その方がどんな提案をすればOKしやすいかを把握する必要があります。
決裁権と決裁ルートを把握する方法
一番早い方法は、顧客の組織図を手に入れることです。組織図があれば仮説が立ちます。

上図のような組織図だと、一番の肝になるのは、事業部長ですが、営業関係は営業部長、生産関係は生産部長が決裁者では?と仮説立てできます。
また、決裁ルートも、生産であれば、工場担当者→工場長→生産部長であるという仮説が立ちます。
あとは、この仮説を検証していくことで、決裁権を持つ決裁者と決裁ルートがわかります。
(組織図の詳細は「組織図」の見方・考え方・種類をわかりやすく解説を参照)
また、組織図がない場合は、もらっている名刺を机の上に広げて、事業部、部、課で組織図のように並べていきます。
そうすると全体像は見えなくても、組織図の仮説は立ちますので、そこから考えていく方法をまずはおこないましょう。
これができない場合は、担当者に聞く方法となります。
「この商品の価格帯でしたら、どちら様が決裁されることになりますでしょうか?」
「これ位の価格帯だと予算取りの必要性がありますでしょうか?」
「当社の提案書は稟議書として活用できますでしょうか?」
など、真っすぐ聞くのがおススメです。
顧客の決裁権・決裁ルートの「まとめ」
・決裁権とは、判断をおこなうことができる権利
・決裁ルートとは、決裁をおこなう社内の道筋
企業は、鉛筆1本から数百億円の工場建設まで、様々な決裁を日々おこなっています。
この決裁権と決裁ルートを正確に把握すれば、あなたは「誰に、何を、どのように伝えるべきか」が明確になります。
これにより、無駄な営業活動をなくし、効率的に成約へとつなげることが可能になるでしょう。
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