文章を読むのは「しんどい」のに動画を視るのは「楽」な理由とタイパの関係性

1.学びの大前提
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動画で15分学ぶのと、文章を読むことで15分学ぶ場合、どちらが疲れますか?

多くの人は「文章を読むこと」と答えると思いますし、一般的に脳が疲れるのは文章です。

では、タイパ(タイムパフォーマンス)はどちらの方が優れているでしょうか?

「動画の方が楽で早いからタイパが良い」と思われがちですが、実はこの答えには「人の脳の不思議な性質」が関わっています。

この記事では、文章を読むのが「しんどい」のに動画を視るのは「楽」に感じる理由を解説し、それがどのように皆さんの学びのタイパに繋がるのかをご紹介します。

この記事は、
・営業担当・課長・部長・本部長・執行役員の経験
・風土の違う5社での経験
・数百名のマネジメント経験
・数千社への営業経験
・100回を超える勉強会の講師経験
・1,000冊近い読書経験

これらの経験を持つ「よしつ」が実体験から得たことを元に書いています。

(あわせて読みたい、「思考」の引き出しが増えるビジネス基礎知識)

動画と文章ではどちらがタイパが良いか?

総合的に判断すると、文章で学ぶ方がタイパは良い

動画のメリット・デメリット、文章のメリット・デメリットを総合的に踏まえると、真の意味で成果が出るのは文章学習です。

その理由を語る前に、まずはそもそも「タイパとは何か?」という前提を明確にすることから始めましょう。

「タイパ」とは何か?

時間当たりの知識・スキルの変化量(成果)

タイパとは、同じ時間を使った場合に「どのような方法で行えば、より自分の知識やスキルに繋がるか」という効率の指標です。

しかし、多くの人が陥る決定的な勘違いがあります。それは、「処理した情報量」と「頭の中にストックした量」は別物であるということです。

処理した情報量(誤ったタイパ):15分間で1.5倍速の動画を観て「たくさんの情報を消費した」状態(手段の消化)。

自分自身の変化量(本質的なタイパ):15分間で得た知識によって「自分の行動やスキルが変わった」状態(成果)。

どれだけ多くの情報量を処理しても、自分の知識やスキルとして身に残っていなければタイパは悪くなります。

では、なぜ「動画は楽なのに身に残りにくく、文章はしんどいのに身に残りやすい」のでしょうか?

それには、人の脳に関する以下2つの特性が関係しています。

・「受動」か「能動」か

・「情報処理」か「ストック」か

順番に解説します。

【理由1】脳の「受動」と「能動」〜なぜ文章はしんどいのか

脳をちゃんと動かすには能動的なアプローチが必要

脳は体重のわずか2%程度の重さしかありませんが、体全体の約20%ものエネルギーを消費する「大食い器官」です。

そのため、脳にはエネルギー消費を可能な限り抑えようとする生物学的な本能(省エネメカニズム)が存在します。

ぼーっと動画を観ているとき、脳は最小限のエネルギーで動く「アイドリング状態(受動)」に近くなります。

脳の本能として「楽な道(動画)」を選びたがるため、エネルギーを使う文章学習を「しんどい」と感じるのはごく自然な生理現象なのです。

脳の生物学的な目的: 生命維持(エネルギー消費を抑える=省エネ)

ビジネス学習の目的: 自己成長(新しい神経回路を作る=カロリー消費が必要)

つまり、脳の生存本能に従うと「動画(省エネ)」が正解に思えますが、ビジネス上の成果を得るには、あえて脳にエネルギーを使わせる(能動的な負荷をかける)必要があるという矛盾が生じるのです。

【理由2】情報の「処理」と「ストック」〜ナビ頼みの罠〜

乗り換え検索やナビを使うと「ルートを覚えない」のと同じ現象

アプリの指示通りに進めば迷わず楽に目的地に着きますが、あとで同じルートを自力でたどろうとしても全く覚えていない、という経験はありませんか?

言われた通りに脳を使わず行動した結果、情報が頭にストックされていないのです。

動画学習も同じで、手軽に目的地(知識)へ到達できたように感じても、ビジネスの現場で自力で路線図を描いて迂回する力(応用力)は身につきません。

一方で、文章を読む作業は「地図を見て自分の頭でルートを考える」ことと同じです。脳のエネルギーは使いますが、一度覚えた道は一生自分のストック(知識)になります。

AI時代に 脳にストックする必要がある?

いちいち調べる必要があり、時間がかかりすぎる

「AIがあるのだから、いちいち脳に知識を溜め込まなくても検索すればいいのでは?」と思うかもしれません。

しかし、AIは魔法の箱ではなく、「入力された情報(プロンプト)の質」に合わせて答えを出す仕組みです。

例えば、自社の業績に悩んだとき、以下のどちらの問いをAIに投げられるでしょうか?

A:「売上が落ちています。どのような理由が考えられますか?」

B:「売上が落ちています。当社の商品が『衰退期』に入っているかどうかを確かめる指標を教えてください」

当然、Bの方が本当に知りたい答え(解決策)に一瞬でたどり着けます。

Bの問いが立てられるのは、頭の中に「プロダクトライフサイクル」というフレームワークの知識(ストック)があるからです。

詳しく細部まで暗記していなくても、「プロダクトライフサイクル」というキーワード(検索フック)が頭にあれば、すぐに調べて質の高いプロンプトをAIに投げることができます。

このようにAIを使いこなすためにも、自分の頭の中に「思考の引き出し」と「最低限の知識(ストック)」を持っておくことが不可欠なのです。

動画と文章をどう使い分けるべきか?(学びのベストプラクティス)

メリットデメリットを踏まえて使い分ける

動画の役割:全体像(概要)をパッと掴む、心理的ハードルを下げる(導入ツール)

文章の役割:深掘りする、体系化する、自分の頭で考えて記憶に定着させる(思考・ストックツール)

「ゼロから大枠を知りたいときは動画」「実務で使えるレベルに落とし込みたいときは文章」というようにメリデリ(メリット・デメリット)を知って使い分けることこそが、真のタイパを生み出します。

まとめ

・「楽=高タイパ」ではない
・脳に程よい負荷をかける「能動的な文章学習」こそが、時間あたりの変化量を最大化する

同じ時間学ぶのであれば、より成果が高い方法を選びたいものです。それこそが、本来のタイパを実現することに繋がります。

また、ビジネスを学ぶ際は、片っ端から知識を詰め込むのではなく、「自分の軸を持ち、その軸を太くしていくこと」が非常に重要です。

軸がないまま手当たり次第に学ぼうとすると途中で挫折し、それこそタイパが悪くなってしまいます。

例えば「ビジネススキルを学びたい」と考えた場合、その目的は「課題解決能力を上げること」に行き着きます。

課題解決の手順は、以下の7ステップです。

1.目指したい姿・ありたい姿(ゴール)を設定する

2現状を把握する

3.現状とのギャップである問題を洗い出す

4.問題の中で解くべき問題を「課題」とする

5.課題解決の方法と時間軸である「戦略」を考える

6.戦略の具体的な行動である「戦術」を考える

7.立案したものを実行する

このステップをひとつずつ理解し、実践を通してスキルアップしていくことで、初めて課題解決能力が高まります。

このように目的と構造(軸)を明確に持ち、文章を通して自分の頭で考えながら軸を太くしていくこと。それこそが、時代に流されない「最もタイパの良い学び方」なのです。

この記事を読んで頂いたことで、思考の引き出し「1.学びの大前提」の知識が皆さんの頭の中に1つ格納されました。

他にも1.学びの大前提に関する以下の記事を書いています。参照下さい。