スーパーの閉店間際の半額シール。あるいは、飛行機の早期割引。
私たち消費者にとっては、タイミングが合えばとてもお得なサービスです。
しかし、なぜ企業はこのような割引をするのか、その「目的の違い」を考えたことはあるでしょうか。
実はこれら一見似たような割引も、企業の仕組みや目的を紐解くと、大きな違いが見えてきます。
「売れるものを売り切る」ための直前割
直前割(閉店間際の食品など)は、主に「本日中に売り切らないと価値がゼロになる」業界で用いられます。
ホテルや飛行機、生鮮食品などは、供給数(座席数・部屋数・仕入れ数)を需要に合わせてピンポイントで調整するのが非常に困難です。
在庫を減らしすぎると「機会損失(販売チャンスのロス)」になる。在庫を増やしすぎると「廃棄リスク」を背負う。部屋や座席は空のままとなります。
この塩梅がとても難しいため、売れ残るリスクを背負うくらいなら、直前に価格を下げてでも売上を回収するのです。
直前割が抱える「ブランド価値」のジレンマ
とはいえ、直前割には大きなリスクがあります。それは「安くなるまで待たれてしまうこと」です。
常に直前割を狙われると、定価で買う人が減り、企業の「ブランド価値」が毀損してしまいます。
かといって在庫をそのまま廃棄するわけにもいかない。ここが企業にとって悩ましい二律背反(トレードオフ)なのです。
問題を解決する「早割」の仕組み
このブランド毀損のリスクを避けつつ、収益を最大化するために生まれたのが「早割」です。
早く予約・購入してくれた顧客に対して割引を行うことで、単なる「安売り」ではなく、「条件付きのお得なサービス」として顧客に認識させることができます。
あらかじめ需要を予測し、需要が低い時期の稼働率を埋めるための賢いコントロール手段だと言えます。
また、飛行機のマイレージサービスで無料航空券がもらえたり、無料でアップグレードしてくれるのも、実は元々空席になる席を使っているだけなのです。
航空会社は痛くも痒くもないのですが、消費者からとても喜ばれるサービスとなっています。
日常の仕事にも応用できる視点
「直前割」は後手の対策であり、「早割」は先手の対策です。
これは企業のマーケティングだけでなく、私たちの仕事の進め方にも通じます。
目の前のトラブルに対応するだけでなく、「何が余りそうか」「どこに需要があるか」を先回りして考えることの重要性を教えてくれます。
また、このように「すでに発生しているコストを活用して、いかに利益を積み上げるか」という会計上の仕組みを理解することも、ビジネスパーソンには欠かせない視点です。

